トヨタ・ランドクルーザープラド
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ランドクルーザープラド(LANDCRUISER PRADO)はトヨタ自動車が製造する4輪駆動車である。
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[編集] 概要
ランドクルーザーの派生車種として登場。
その為、「プラド」と略されることが多い。
初代はランドクルーザー70系にハイラックスサーフと共通のパワートレインを載せ、乗用車化したモデルだった。当初は仕向け地によって「ランドクルーザーワゴン」、「ランドクルーザーⅡ」、「バンデラ」の呼び名を使い分けていた。70系と殆ど変わらない無骨な外観であることが災いしたのか、あまり販売台数は伸びなかった。
2代目以降はさらに、フレームやサスペンションにいたるまで共有化が進んだ。都会的なスタイリングをはじめ、ランドクルーザーシリーズのなかでは欧州向けSUVの性格が強まった。当時、大人気を誇っていた三菱パジェロのシェアを奪うほどの大成功を収めた。が、あまりにも標的であるパジェロと外観や車両構成などを似せすぎていたことが、今でもトヨタの販売手法の悪しき典型例として批判され続けている。
ショートホイールベースの3ドアと、ロングホイールベースの5ドアがあるが、ショートホイールベースはハイラックスサーフには存在しない。
現行モデルである120系は、ED2(イーディースクエア)のデザインによる3ドアと5ドアのボディーに、新世代V6のトップを切った4,000ccの1GR-FEと、4気筒、2,700ccの2TR-FEの2種類のガソリンエンジン、そして4気筒、3,000ccのコモンレール式直噴ディーゼルターボエンジンの1KD-FTVを積む。後述するが、現行モデルは現在新車で購入でき、かつ(規制地域を除き)乗用登録できる唯一の国産ディーゼル車である。 ただし惜しむべきは、ATミッションのみの構成となり、MTモデルが存在しないことである。(海外モデルでは、5MT/6MTも存在している。)
駆動方式は、全車2速のトランスファーと、ボッシュのトルセンギアを用いた、センターデフ式フルタイム4WDを採用しており、ハイラックスサーフに見られる2WDモデルは無い。
[編集] 歴史
[編集] 70ライト系(1984年11月 - 1990年3月)
- 1984年11月、ランドクルーザー70系のライトデューティー版として発表される。
- ホイールベースはショートのみ、ボディーはソフトトップ(幌)とハードトップ(メタルトップ)の2種類。
- オーバーフェンダー、ワイドタイヤ、ハーダースプリングを装備し、派手なグラフィックのデカールで飾り立てた、シティーオフローダーの「バンデラ」を設定。
- ランドクルーザー、ランドクルーザーII、バンデラの車名を使い分ける。
- 70ヘビー系のフレームを軽量化したものに、ハイラックス ピックアップ/トヨタ・ハイラックスサーフと共通のパワートレインと、日本のクロスカントリー車では初となる、前、後ともコイルスプリングとリジッドアクスルの組み合わせによるサスペンションを装備する。
- エンジンは、ガソリンエンジンは2.4Lの22R型、ディーゼルエンジンは2.4Lの2L型と2L-T型で、乗用車系の直列4気筒のみ。
- トランスミッションも、ガソリンエンジン車はG52型、ディーゼルエンジン車はR150、151型と、ハイラックスグループと共通である。
- 1985年10月、ランドクルーザー60系・70ヘビー系のターボ化に合わせ、初の5ナンバー(乗用登録)となる「ランドクルーザーワゴン」として日本国内導入開始。日本国内の70系にはソフトトップとガソリンエンジンの設定は無く、ハードトップの2.4Lディーゼルターボのみ。
[編集] 70ライト系プラド(1990年4月-1996年4月)
- 1990年4月、フロントグリル、フロントフェンダー、エンジンフードを新デザインのものに変更、ヘッドランプも丸型2灯から規格型の角型2灯に変わり、より乗用車テイストへと大きく印象を変える。
- 同時に「プラド」のサブネームがつけられるが、仕向け地によっては、ランドクルーザー、ランドクルーザーIIも引き続き使用される。
- ガソリンエンジンは22R型から22R-E型へ、ディーゼルエンジンに2.8Lの3L型と2.4Lターボの2L-TE型が追加される。日本国内は2L-TEのみの設定。
- エンジン出力の向上に伴い、2ドアミドルのソフトトップとFRPトップ、4ドアモデルが新設される。それぞれのボディーはヘビー系との共用。
- 1993年、ガソリンエンジンは22R-E型から3RZ-FE型に、ディーゼルエンジンはアルミヘッドを持つ3.0Lターボの1KZ-TEが追加される。日本国内は1KZ-TEのみの設定。
[編集] 90系(1996年5月-2002年9月)
- エンジンは3RZ-FE型 直列4気筒 2.7L(日本国内は1997年から追加)と5VZ-FE型 V型6気筒 3.4L、ディーゼルエンジンは、5L型 3.0Lと1KZ-TE型直列4気筒3.0Lディーゼルターボ(国内ディーゼルは1KZ-FEのみ)。
- サスペンションとスプリングの形式は前がダブルウイッシュボーン+コイルスプリングの独立懸架型、後ろは5リンクのリジッドアクスル+コイルである。
- 3ドア車のみ、海外向け同様の縦基調ラジエターグリルと丸型ヘッドランプを採用していた(横グリル+異型ランプに変更となったのは99年?)。
- 1999年6月、マイナーチェンジ。法改正に伴い、バンパー内にフォグランプが装備される。
- 2000年7月、マイナーチェンジに伴い、ディーゼルエンジンをDOHC 直噴 電子制御コモンレール式の1KD-FTV型へ変更。
[編集] 120系(2002年10月-)
- エンジンは直列4気筒2700(3RZ-FE)・V型6気筒3400ガソリン(5VZ-FE)と直列4気筒3000ディーゼルターボ(1KD-FTV)。
- 海外向けの一部(欧州、豪州、中国等)には、同時発表となった新世代V6である1GR-FE型が採用された。
- 高級SUVの盗難が相次ぐ中、プラドにもイモビライザーが採用された。
- 2004年8月、2700ガソリンエンジンが、新開発の2700ガソリン(2TR-FE)に変更。
- 2005年7月には3400ガソリンに代わりV型6気筒4000ガソリン(1GR-FE)が採用され5速ATも同時に設定された。
- 現在新車で購入でき、かつ(規制地域を除き)乗用登録できるディーゼル車は、国産車ではプラドのみである。
- 北米では、V8 4.7Lの2UZ-FEエンジンを搭載し、レクサスブランドでGX470として発売されている。
- 海外専売モデルとして、120系では当初から国内モデルには存在しない1KZ-TE(3.0Lディーゼル、96KW/135ps)及び、5L-E(3.0Lディーゼル、70KW/95ps)エンジンを搭載した車両も生産されている。
- 海外向けモデルには、サイドステップの有無、エアバッグの有無、エアバッグ及びABSの無いモデル(ABSの代わりにLSPVを装着)、オーバーフェンダーの無いナローボデー、と色々なバリエーションがある。