のび太の恐竜2006
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『のび太の恐竜2006』(のびたのきょうりゅう にー まる まる ろく)は、2006年3月4日に公開された『映画ドラえもん』シリーズの作品であり、新レギュラー声優陣による最初の作品である。略称「のび恐」。
内容は原作『のび太の恐竜』をストーリーの大筋はそのままにアレンジしたもの。配給は東宝。2006年12月20日にはDVDが発売され、スペシャル版には渡辺歩によって描かれた絵本「のび太の恐竜」が同梱された。
のび太の恐竜2006としての「大長編ドラえもん」は存在しないが、2006年3月2日に発売された『ドラえもん のび太の恐竜2006 DS』をベースにコミカライズされた『ドラえもん「のび太の恐竜2006DS」オリジナルコミック』が岡田康則によって執筆され、コロコロコミックに掲載された。
完全リニューアル作品であり、おまけにリメイクということもあって前評判は悪かった。コアな原作ファンには本作を酷評する人も多いが、一方で原作の持つセンチメンタリズムをさらに膨らませた作風は好評を博しており、新シリーズ第1弾にして作者没後作品の中では最も良作と評価する向きもある。
第1回Invitation AWARDSアニメーション賞受賞作品(『時をかける少女』と同時受賞)。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 声の出演
- ドラえもん:水田わさび
- のび太:大原めぐみ
- ジャイアン:木村昴
- スネ夫:関智一
- しずか:かかずゆみ
- ピー助:神木隆之介
- 黒マスク(恐竜ハンター):船越英一郎
- ドルマンスタイン:内海賢二
- パパ:松本保典
- ママ:三石琴乃
- スネ夫のママ:高山みなみ
- 妊婦:倉田雅世
- タイムパトロール隊員:大橋卓弥(スキマスイッチ)、常田真太郎(スキマスイッチ)
- ガケシタさん、主婦A、リサイクル業者、レポーター、タイムパトロール長官:劇団ひとり
- 主婦B:まるたまり
- 手下:楠見尚己、宇垣秀成、高戸靖広、木村雅史
- ダイバー:後藤史彦、下和田裕貴、寺田昌明
- 女の子:桃森すもも、瀬那歩美
- 男の子:福圓美里、山下亜矢香
[編集] スタッフ
本作品はスタジオジブリ出身の小西賢一を作画監督に迎えており、テレビアニメ版と絵のタッチが異なる。美術背景も美術監督である西田稔によってリアルに描かれ、木船徳光率いるIKIF+による3DCGも随所で効果的に活用された意欲作となっている。
- 原作:藤子・F・不二雄
- 総監督:楠葉宏三
- 監督・絵コンテ:渡辺歩
- 脚本:渡辺歩、楠葉宏三
- 演出:宮下新平
- 作画監督:小西賢一
- 動画検査:大野順子、山西晃嗣、澤田裕美、八木郁乃
- 色彩設計:松谷早苗
- 色彩設計補佐:堀越智子
- 色指定・検査:吉田春絵
- 仕上検査:今泉ひろみ
- 仕上担当:野中幸子
- 特殊効果:千葉豊
- 美術監督:西田稔
- CG監督:木船徳光
- CG制作:IKIF+
- 撮影監督:熊谷正弘(アニメフィルム)
- 編集:岡安肇(岡安プロモーション)
- 編集データ管理:三宅圭貴
- 録音監督:田中章喜
- 効果:糸川幸良(グループ・アンド・アイ)
- 音響制作:AUDIO PLANNING U
- 音響制作デスク:中村友子、佐々木愛
- レコーディングスタジオ:APU MEGURO STUDIO
- ミキサー:田口信孝
- アシスタントミキサー:村越直
- ダイアログ・エディター:山本寿、内山敬章、金子俊也
- 音楽:沢田完
- エンジニア:北川照明
- セカンドエンジニア:奈良美幸
- フィルムワーク:東京現像所
- タイミング:吉川富雄
- フィルムレコーディング:増田悦史
- ラボ・コーディネィト:大渕智一
- ラボ・マネーメント:加藤善仁
- おまけマンガ作画:むぎわらしんたろう
- おまけマンガ制作:タイムマシン
- 原画制作:別紙直樹
- 制作事務:杉野友紀、服部高弘、宮沢英太郎
- 制作デスク:外崎真、山崎智史
- プロデューサー:小倉久美、吉川大祐、山崎立士
- チーフプロデューサー:増子相二郎、杉山登
- アニメーション協力:ベガエンタテイメント
- 制作:映画ドラえもん制作委員会(藤子プロ、小学館、テレビ朝日、シンエイ動画、ADK、小学館プロダクション)
[編集] 「特報」ムービー制作スタッフ
(7月中旬から劇場で流された最初の特報のみが予告専用に製作されたもの。これ以外の予告編は本編映像を使用)
[編集] 主題歌
- 『ハグしちゃお』
- 作詞:阿木燿子/作曲:宇崎竜童/編曲:京田誠一/歌:夏川りみ(ビクターエンタテインメント)
- 『ボクノート』
[編集] キャッチコピー
君がいるから、がんばれる。
[編集] 『のび太の恐竜』と『のび太の恐竜2006』の違い
2006年版が原作・80年版と大きく違うところを一言で言えば、「最後まで自分たちの力でがんばる」(実際に、ドラえもんたちはのび太の机の場所を発見する)
- 80年版、2006年版共に基本的に原作通りに進むが、2006年版は終盤からの展開が原作・80年版と異なる。
- キャラクターの役割の入れ替えによる合理化が図られている。(例:原作ではのび太がラジコンを操作しているが、映画ではスネ夫がラジコンを操作しているなど)
- 2006年版は原作に無いシチュエーションがいくつか追加されており、監督の渡辺歩は「新しく盛りこんだというより、原作に潜んでいる(と想像される)ものを改めて描いた」という風にコメント。
- その他、以下の細部で異なっている。
- ピー助・恐竜ハンター一味のキャラデザイン(黒マスクがあまりにもリアルになっているのは言うまでも無い。)
- 黒マスクやドルマンスタインが操るメカ
- 恐竜ハンターのひみつ基地のある場所、外観
- リニューアル版開始時からであるが、着せ替えカメラで水着に着替えるシーンでしずかの乳首の描写がない。
- ドルマンスタインがカツラである事、黒マスクの髪形が違う事。
また、現在の学説で考えて、それぞれの場面に登場するには不適切な恐竜は別の恐竜に差し替えられている。ただし、現在では卵から生まれるとは考えられてない「フタバスズキリュウ」(ピー助)は、卵から生まれない事にすると、映画の設定がまったく違う物になる為、ピー助の出生部分は別とされている。 解剖学上フタバスズキリュウは陸上を歩けないとされている点も同じ。
- 火口湖でティラノサウルスに襲われる恐竜
- タケコプターで飛行中、5人を襲う翼竜
[編集] その他
- 近畿広域圏のABCラジオ専用のCMに、ドラえもん役の水田わさびが出演していた。
- キャッチコピーは「きみがいるから、がんばれる」。
- エンドロールが終わった後、画面に鉛筆書きの4コマ漫画が流れる「おまけ」演出が見られる(作画はむぎわらしんたろう)。
- 長年オープニングはCGを多用した物が主流だったが今回は『クレヨンしんちゃん』の映画でよく見られるクレイアニメを交えた物になっている。
- 原作ではなかったティラノサウルスとスピノサウルスの対決シーンが見られる。ティラノサウルスはこの戦いではスピノサウルスを破り、図らずも『ジュラシック・パークIII』での雪辱を果たした形となった。