ドラえもん ギガゾンビの逆襲
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ジャンル | ロールプレイングゲーム |
対応機種 | ファミリーコンピュータ |
発売元 | エポック社 |
人数 | 1人 |
発売日 | 1990年9月14日 |
価格 | 6800円 |
『ドラえもん ギガゾンビの逆襲』(-ぎゃくしゅう)は、エポック社が発売したロールプレイングゲーム。エポック社としては初の、『ドラえもん』を題材としたコンピュータゲームであり、これ以降、同社は多くのドラえもんのコンピュータゲームを製作している。また、本ソフトは、ドラえもん初のロールプレイングゲームでもある。大長編ドラえもんに登場したキャラクターが、多数登場しており、後日譚的作品となっている。
目次 |
[編集] プロローグ
『のび太の日本誕生』で敵として登場したギガゾンビが、かつて大長編でドラえもんたちと戦った者達を復活させ、再度の世界征服を試みる。それを知ったドラえもん達5人は、彼の野望を阻止するため、タイムマシンに乗ってギガゾンビのいる時代へ向かおうとした。が、それを知ったギガゾンビによって、移動中、時空間を襲われてしまい、5人は離れ離れになってしまう。また、その際、四次元ポケットを除くドラえもんのひみつ道具までもが、全て時空間へとばら撒かれてしまう。幸いドラえもんだけが、運良く元の町に戻ることが出来、その時たまたま落っこちた場所が主人公の家であった。ドラえもんに旅の同伴を請われ、かくして主人公はドラえもんと共にバラバラになってしまった仲間やひみつ道具を探しながら、打倒ギガゾンビに向けての旅に出たのであった。
[編集] ゲームシステム
本作は、ドラゴンクエスト風のロールプレイングゲームであり、マップ、戦闘シーンなどはほぼドラクエを踏襲している。
魔法や特技の代わりとして、ひみつ道具があり、冒険を進めて見つけ出さなければ、使うことは出来ない。また、貨幣とマジックポイントの性質を併せ持った「ドラやき」が設定されており、買い物や、ひみつ道具の使用は、このドラやきを消費して行う。ちなみにこの世界に道具屋(交換所)は存在するが武器屋・防具屋は存在せず、武器と防具は宝箱を開けるか人から譲渡してもらうかで入手するようになっている。ひみつ道具や武器・防具・道具はドラえもんのポケットにしまったり出したりすることができる。街でドラミを呼ぶことで、体力回復とセーブができ、今までに倒した敵に応じたドラやきが貰える。ゲーム進行に迷ったときは、そうだんコマンドでドラえもんや仲間たちから助言を得る事が出来る。会話ウインドウにはキャラクターの顔グラフィックが表示され、状況によって表情が変化する。
[編集] アイテム
手に入れた道具はまず、ドラえもんのポケットの中に入れられる。ポケットの中の道具は、移動中は自由に使ったり取り出てし仲間に渡したりすることが出来るが、戦闘中には取り出すことは出来ないので、戦闘用の道具は予めポケットから出しておく必要がある。またポケットには容量があり、ポケットがいっぱいになって道具を入れられなくなると、それ以上新たな道具の入手も出来なくなる。ただし、ひみつ道具などは別枠扱いになっているらしく入手できる。
- 武器:名前に剣のアイコンが付いている。装備すると「ちから」が上がる。
- 防具:名前に盾のアイコンが付いている。装備すると「がまん」が上がる。
- その他:名前に首飾りのアイコンが付いている。そうびすると「ちから」・「がまん」が上下する。名称が紛らわしいので、以降は「飾り」と記す。
- ひみつ道具:名前に鈴のアイコンが付いている。さまざまな効果があるが、多くのひみつ道具は使うとドラ焼きを消費する。効果の高いもの、有用なものほど消費は多い。
- 消耗品:宝箱のほか、交換所でドラ焼きと交換することでも入手できる。
- キーアイテム:イベントを進める為に必要。イベントが終わり不要になっても捨てることは出来ない。
[編集] ステータス
この作品では、パラメータの名前も特徴的なものになっている。
- ゆうき:レベルに相当。最大値60。
- ぼうけん:経験値に相当。規定値に達すると「ゆうき」が上がる。最大値999999。
- げんき:ヒットポイントに相当。最大値999。
- げんきM:「げんき」の最大値。最大値999。
- ちから:攻撃力に相当。元の「ちから」に武器・飾りの強さを加えた値。最大値600。
- がまん:守備力に相当。元の「がまん」に防具・飾りの強さを加えた値。最大値600。
- ようす:そのキャラの状態を表す。
- よい:何の異常もない状態
- けが:「げんき」が「げんきM」の半分未満の状態
- おおけが:「げんき」が「げんきM」の1/4未満の状態
- どく:どくをもった敵の攻撃を受けると、どくにおかされることがある。戦闘後の移動中、1歩ごとに「げんき」が1減る。
- まひ:ネズミ型の敵に遭遇するとドラえもんが必ずまひする。また、一部の敵の攻撃を受けると、まひすることがある。戦闘中のみ有効で、数ターンの間、行動できない。
- ねてる:敵の「まほう」によって眠らされる。戦闘中のみ有効で、数ターンの間、行動できない。
- きぜつ:「げんき」が0の状態。戦闘中は回復できない。戦闘後は「げんき」1で復帰する。仲間全員が「きぜつ」すると、最後に訪れたドラミを呼ぶことが出来る場所まで戻される。道具やドラやきが減ることは無い。
[編集] 戦闘
ドラゴンクエストシリーズと同じ、ターン制。敵は最大で3匹現れる。また、同じモンスターが複数現れた場合でもA・Bのように区別されないので少々分かりにくい。モンスターを倒した場合、自動的に別のモンスターへの攻撃が定まるわけではないので、注意をする必要がある。
[編集] 戦闘中のコマンド
- たたかう:装備している武器で攻撃する。武器によって効果音が変わる。
- ぼうぎょ:防御する。なお、先頭のキャラは防御できない。
- にげる:戦わずに逃亡する。ただし必ず成功するとは限らないし、ボス敵からは逃げられない。先頭のキャラのコマンド入力でのみ選択できる。
- ひみつ:ひみつ道具を使う。
- どうぐ:ひみつ道具以外の道具を使う。
[編集] 敵が使用する特殊攻撃
- まほう:まほうで眠らせる。
- たいあたり:体当たりし、通常より大きなダメージを与える。
- ひをはく:火を吐き、通常より大きなダメージを与える。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場キャラ
名前の後の数字は、仲間になった時に加わる位置(主人公とドラえもんは最後まで固定)。ブランクが生じた時を含め、前に同じ位置に加わっていた仲間の「ぼうけん」や装備品を引き継ぐ(キーアイテム・ひみつ道具は離脱時にポケットに戻る)。
- 主人公(1)
- ドラえもんやのび太たちと同じ町に住んでいる。ゲーム版オリジナルキャラ。男子・女子の選択と命名が可能。戦闘力は高く、成長スピードも速い。男女による戦闘力の差は全くない。しかし、先頭に立つ主人公でありながら、肝心な表紙の絵(箱、カセット、説明書など)には、男女共に一切写っておらず、いつものレギュラー5人の姿のみである。また、このキャラによって、本来の主人公・ドラえもんや、のび太らレギュラーメンバーの個性が若干喰われ気味でもあり、このためか以後のオリジナル主人公の登場作品は、GBC版ソフト『ドラえもん きみとペットの物語』(2001年、エポック社)のみである。それだけにレアなマイナーキャラでもある。余談であるが、説明書の画面写真ではスタッフの名前をもじって「ほりえもん」となっている(勿論、堀江貴文とは何の関係も無い)。
- ドラえもん(2)
- 22世紀からやってきたネコ型ロボット。今作では、終始パーティーメンバーとして主人公と行動を共にする。ネズミ系の敵に遭遇すると驚いて麻痺してしまう。
- ドラミ
- パーティーメンバーになる事はできないが、町や村で呼ぶと、セーブをしてくれるとともに、倒した敵に応じた数のドラやきを供給してくれる。ゲーム終盤になると、そのドラやきの数はインフレを起こす。ダンジョンなどを攻略し多くの敵を倒したあと、ようやく町や村に戻ってきてドラミを呼ぶと、「おにいちゃんの だいすきな ドラやきを 3864こ つくったから もっていって!」などということになる。また、全く敵を倒していない場合は「おにいちゃんの だいすきな ドラやきを 0こ つくったから もっていって!」となる。ドラやきの数に関わらず、ドラえもんの返答は必ず「ありがとう ドラミ」である。
- のび太(3)
- デマオンによって石像にされてしまっている。魔界編終了後、みよ子に代わり仲間となって以降は、最後まで行動を共にする。しかし、「ゆうき」1の状態で仲間になるため、最初は雑魚戦すらままならないほど弱い。ゆうきを上げさえすればドラえもんよりも「ちから」が高い戦力となる。
- スネ夫(4)
- 鬼岩城でエルと共に囚われている。神殿の鍵を持っている。救出後、海底編終了までパーティーメンバーとなるが、すぐに海底編の最終ボス戦なので、加入している時間はさほど長くない。海底編終了後、改造プラモ軍団(敵全員に20~30のダメージを与えられるアイテム。ドラやきを消費しない。秘密道具が通じないボスキャラクターにも有効なので、攻撃力が低いキャラに持たせたい)を作るために離脱。改造が終わるのは終盤なので、受け取り忘れないように注意。
- ジャイアン(4)
- 地底世界に飛ばされた後、バンホーに保護されていた。地底編終了までパーティーメンバーとなる。ただでさえ高い戦闘力を持つが、さらに、ジャイアン専用アイテムとして「魔神のマイク」(敵全体に50~60のダメージ与えられる超強力アイテム。ドラやきも消費しない)が存在する。地底編終了後、母ちゃんにお使いを頼まれ戦線離脱。
- しずか(4)
- 古代に飛ばされたが、テラに助けられて現代へと戻る。最後に加わるパーティーメンバーである。戦闘力は低いので、秘密道具を駆使しよう。
[編集] 魔界編
オリジナルは、『のび太の魔界大冒険』。
- みよ子(3)
- のび太の魔界大冒険に登場した女の子。満月博士の娘。魔界編終了まで、パーティーメンバーとして主人公と行動を共にする。なお、映画と同じく、猫の姿に変えられている(魔界編終盤に人間に戻れるが、能力は全く変わらない)。なお、会心の一撃に相当する「がんばった」が、みよ子のみ「まほうをつかった」と表記される(効果は他のキャラと同じで、通常の攻撃の2倍のダメージを与える)。なお、アイテムは入れ替わり加入するのび太に引き継がれるが、「ぼうけん」は海底編で仲間になるスネ夫に受け継がれる。
- 魔王デマオン
- のび太の魔界大冒険に登場した魔界の大王。ギガゾンビの再生装置によって甦った。魔界編の最終ボス。多少のダメージを与えた後で銀の矢を打ち込めば倒せるが、銀の矢を使わなくても倒すことは可能である。
- 満月博士
- みよ子の父で魔法学博士。石にされて待っている。最後の力でみよ子を人間の姿に戻してくれる。
[編集] 海底編
オリジナルは、『のび太の海底鬼岩城』。
- エル
- 調査のため鬼岩城へ向かうも、ポセイドンに捕らえられてしまう。救出後はムー連邦を危険から守るために戻って行った。
- 水中バギー
- ポセイドンを倒した英雄として、オーターの町で彼の残骸が墓碑として祀られている。タイムふろしきを使ったところ、いとも簡単に復活し、主人公達と共に再び鬼岩城へと向かう。海底火山の溶岩の上を通行することが可能。アイテム名は「バギーちゃん」(劇場版の作中、しずかが呼んでいたもの)。再びポセイドンを倒した後、この国が気に入って、そのまま海底世界に残ることになる。
- ポセイドン
- 太古の昔に滅びたアトランティス連邦を、今でも守り続けている自動報復システムコンピューター。ギガゾンビの再生装置によって甦った。海底編の最終ボス。
[編集] 地底編
オリジナルは、『のび太と竜の騎士』。
- ツチダマプリースト
- ゲーム版オリジナルキャラ。ギガゾンビの手下。法王に化けて、地底世界を支配しようとしていた。
- ツチダママスター
- ゲーム版オリジナルキャラ。ギガゾンビの手下。ツチダマプリーストと共に地底世界を任されていた最終ボス。攻撃力が低いが防御力が高い金と、防御力が薄いが攻撃力が高い銀の2体で出現する。
[編集] 古代編
オリジナルは、『のび太の日本誕生』。
- テラ(4)
- ゲーム版オリジナルキャラ。古代編の中盤までパーティーメンバーとなるが、実はギガゾンビ(山田博士)の娘。。
- ギガゾンビ
- 精霊王。正体は23世紀のマッドサイエンティスト・山田博士。『のび太の日本誕生』でタイムパトロールに捕まったはずだが、脱獄したようである。再び世界征服をもくろんでいるが…。古代編のボスキャラクター。
[編集] その他の登場キャラ
会話シーンが一切ない戦闘するだけのボスキャラとして、『のび太の魔界大冒険』のメジューサ(ゲーム中での表記はメデューサ)、『のび太のパラレル西遊記』の金角・銀角、『のび太と鉄人兵団』のジュドなどが登場する。 そしてギガゾンビの背後には 強大な黒幕が存在する。
雑魚敵キャラとしては、『のび太の日本誕生』のツチダマ、『のび太の魔界大冒険』のとげむしやギョロリン、デビルモンキー、『のび太の宇宙開拓史』のでんでんワニ、『のび太と鉄人兵団』のロボット兵なども登場している。原作で衝撃波と再生能力を持っていたツチダマは、本作品では最弱の敵に降格しているが、その代わりにバリエーションが豊富になっており、上述のようにステージボスも務めている。
また、出木杉くんや、のび太の母らレギュラー陣の母親たちも登場する。
[編集] その他
- ゲームオーバー
このゲームの有名なゲームオーバーがある。オープニングの後に主人公の部屋に現れたドラえもんの頼みを断り続けるとドラえもんがスネてしまい、そのままゲームオーバーとなるものである。一種のギャグとして盛り込まれており、選択肢で「いいえ」を選択した場合に同じメッセージが繰り返されない珍しい例でもある。「いいえ」を選択するたびにドラえもんの顔グラフィックが必死な形相へと変化していく様は必見である。
- 海底編の罠?
海底編で鬼の顔のようなマップがあり角の部分の穴に入る事ができるのだがこれに入ってしまうと、色の変わった変な場所に移動してしまい、二度と抜け出せなくなる。
- クロマニヨンの塔16階
地底編のクロマニヨンの塔の16階ではドラミを呼ぶことができる。このフロアでは敵も出現しない。
- ゆうき50以降の能力上昇
このゲームはゆうきの上昇に伴い能力の上昇も少しずつ大きくなるが、主人公・ドラえもん・のび太の3人だけは、ゆうきが50以降になると能力が大幅に上昇する。最終レベルである60に達した時は、3人ともゲーム上の最大値まで上昇し、雑魚敵は一撃で、最終ボスも簡単に倒せるほどに強くなる。
[編集] 関連書籍
- ドラえもん まんが版ギガゾンビの逆襲 ファミコン攻略ブック(1990年10月10日発行、小学館)
- 攻略データと、ゲームを基とした攻略漫画の2本立てになっており、以降のドラえもんゲームの攻略本もこれに倣っている。ただし、本書は全120ページのうち80ページを漫画(著者:田中道明)が占めており、その上データページには武器や防具のデータや、ボスではないモンスターのデータが一切掲載されておらず、ボスモンスターのデータもHP・パワー・スピードの3種類しか掲載されていない(HPはげんき、パワーはちからに当たる。スピードはゲーム中では確認できない隠しパラメータ)など、漫画に偏りすぎている感は否めない。
[編集] 備考
- もともと、「アクションゲーム」として企画が進められていたが、「コロコロ」等の企画部から「RPG」の要請があり、最終的にRPGゲームとして作られる事になった。
[編集] 関連項目
- ドラえもん
- ドラえもん映画作品
- ドラえもん(ハドソン版)…本作以前に発売されたドラえもんを題材にしたファミコンソフト
- キャラクターゲーム