電気陰性度
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電気陰性度(でんきいんせいど、Electronegativity)は、分子内の原子が電子を引き寄せる能力。異種の原子同士が化学結合しているとする。このとき、各原子における電子の電荷分布は、当該原子が孤立していた場合と異なる分布をとる。これは結合の相手の原子からの影響によるものであり、原子の種類により電子を引きつける強さに違いが存在するためである。この電子を引きつける強さは、原子の種類ごとの相対的なものとして、その尺度を決めることができる。この尺度のことを電気陰性度と言う。一般に周期表の左下に位置する元素ほど小さく、右上ほど大きくなる。以下に、ポーリングによる表を示す。
→ 原子半径の減少 → イオン化エネルギーの増加 → 電気陰性度の増加 → | |||||||||||||||||||
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族 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | |
周期 | |||||||||||||||||||
1 | H 2.20 |
He |
|||||||||||||||||
2 | Li 0.98 |
Be 1.57 |
B 2.04 |
C 2.55 |
N 3.04 |
O 3.44 |
F 3.98 |
Ne |
|||||||||||
3 | Na 0.93 |
Mg 1.31 |
Al 1.61 |
Si 1.90 |
P 2.19 |
S 2.58 |
Cl 3.16 |
Ar |
|||||||||||
4 | K 0.82 |
Ca 1.00 |
Sc 1.36 |
Ti 1.54 |
V 1.63 |
Cr 1.66 |
Mn 1.55 |
Fe 1.83 |
Co 1.88 |
Ni 1.91 |
Cu 1.90 |
Zn 1.65 |
Ga 1.81 |
Ge 2.01 |
As 2.18 |
Se 2.55 |
Br 2.96 |
Kr 3.00 |
|
5 | Rb 0.82 |
Sr 0.95 |
Y 1.22 |
Zr 1.33 |
Nb 1.6 |
Mo 2.16 |
Tc 1.9 |
Ru 2.2 |
Rh 2.28 |
Pd 2.20 |
Ag 1.93 |
Cd 1.69 |
In 1.78 |
Sn 1.96 |
Sb 2.05 |
Te 2.1 |
I 2.66 |
Xe 2.6 |
|
6 | Cs 0.79 |
Ba 0.89 |
* |
Hf 1.3 |
Ta 1.5 |
W 2.36 |
Re 1.9 |
Os 2.2 |
Ir 2.20 |
Pt 2.28 |
Au 2.54 |
Hg 2.00 |
Tl 1.62 |
Pb 2.33 |
Bi 2.02 |
Po 2.0 |
At 2.2 |
Rn |
|
7 | Fr 0.7 |
Ra 0.9 |
** |
Rf |
Db |
Sg |
Bh |
Hs |
Mt |
Ds |
Rg |
Uub |
Uut |
Uuq |
Uup |
Uuh |
Uus |
Uuo |
|
ランタノイド | * |
La 1.1 |
Ce 1.12 |
Pr 1.13 |
Nd 1.14 |
Pm 1.13 |
Sm 1.17 |
Eu 1.2 |
Gd 1.2 |
Tb 1.1 |
Dy 1.22 |
Ho 1.23 |
Er 1.24 |
Tm 1.25 |
Yb 1.1 |
Lu 1.27 |
|||
アクチノイド | ** |
Ac 1.1 |
Th 1.3 |
Pa 1.5 |
U 1.38 |
Np 1.36 |
Pu 1.28 |
Am 1.13 |
Cm 1.28 |
Bk 1.3 |
Cf 1.3 |
Es 1.3 |
Fm 1.3 |
Md 1.3 |
No 1.3 |
Lr |
|||
この相対的な尺度の決め方には、代表的なものとして次の二つが存在する。また、その他の尺度としてオールレッド・ロコウの電気陰性度が挙げられる。
[編集] ポーリングの電気陰性度(1932年)
定義:Eを原子同士の結合エネルギーとし、原子Aと原子Bの結合エネルギーの実測値を、E(A-B)とすると、純粋な共有結合と仮定した場合の結合エネルギーとの差、ΔE(A-B)が定義できる。
このΔE(A-B)に関して、
を満たすように決めたが原子Aに関してのポーリングの電気陰性度である (は原子Bの電気陰性度)。Kは適当な係数である。
[編集] マリケンの電気陰性度(1934年)
定義:原子Aのイオン化エネルギーをIA、電子親和力をEAとして、
で求まるが原子Aに関してのマリケンの電気陰性度である。原子Bでは添え字がA→Bになる。
ライナス・ポーリングの電気陰性度とロバート・マリケンの電気陰性度は、原子毎のその値の大小関係の傾向が互いに類似する。違いは、マリケンの電気陰性度では、その定義式右辺にあるIA、EAの値が周囲の状況によって異なることがあり、これにより同じ原子でもマリケンの電気陰性度が状況により異なることがある(例:アセチレンの炭素原子でのマリケンの電気陰性度は、メタンのそれより大きな値となる)。
[編集] オールレッド・ロコウの電気陰性度
定義:ある原子中の電子の有効核電荷をZeff、原子の共有結合半径をrとして、
で与えられるがオールレッド・ロコウの電気陰性度である。
この尺度はA.L.AllredとE.G.Rochowが提案したものであるが、電気陰性度が原子表面の電場の強さで決定されるという考え方に基づいている。原子表面での電位はZeff/rに比例し、電場の強さはZeff/r2に比例する。これを用いて、ポーリングの電気陰性度と似通った値になるように係数を選んだのがこの尺度であると言えよう。