ピタゴラスイッチ
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ピタゴラスイッチとは2002年よりNHK教育テレビで放送している、子供たちの「考え方」を育てるテレビ番組。
『第25回 みかたをかえてみる』が、第三十回 日本賞 子ども番組の部で最優秀賞を受賞(総理大臣賞)。また、「プリ・ジュネス2004」(ミュンヘン)で「6歳までのノンフィクション部門」最優秀賞受賞。
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[編集] 概要
- 世界の現象・ピタゴラスの定理・原理や特徴を楽しく紹介するというテーマのもと、「スイッチ」や「しくみ」を主として、興味と知識を得られるような題材が数多く登場する。進行の中心となるのは人形劇だが、内容の大部分はいくつかの小さなコーナーで構成されている。内容の斬新さやシュールさから大人のファンも多く、そのためか2007年度から土曜日夕方に15分バージョンの再放送が実施される。2006年には携帯サイトが開設され、着メロなどがダウンロードできるようになった。
- 番組の監修は佐藤雅彦と内野真澄。佐藤雅彦が過去に制作した作品や、慶應義塾大学佐藤雅彦研究室(以下、佐藤研)の学生がワークショップで作った作品が採用されている。こうした作品は当番組のほかに、書籍『ねっとのおやつ』(文庫版タイトル『四国はどこまで入れ替え可能か』) や『任意の点P』などでも紹介されている。
- 各コーナーの映像には、NHKで過去に放送された番組やそれを模したもの(NHKニュースやNHK高校講座など)が多く使用されている。時には子供向けの演出やナレーションとのギャップを感じさせ、この番組のシュールさをかもし出す一因になっている。
- 最近では一部のコーナーにオリンピックの映像も使用されてきている(主にアテネ夏季五輪やソルトレークシティ冬季五輪の映像)。
- 本番組は幼稚園・保育所の時間の水曜枠として放送されているが、この枠は2001年度までは道徳系の番組が放送されていた。本番組のように数量系にカテゴライズされる番組は、1994年度の『マホマホだいぼうけん』(終了後に土曜午前帯再編成の煽りにより廃枠)以来である。なお、道徳系番組は2004年度の『わたしのきもち』開始により事実上復活している。
[編集] 放送時間
(時間はいずれもJST)
- 毎週火曜日 午前9:15~9:30
- 毎週水曜日 午前10:30~10:45
- 毎週土曜日 午後5:25~5:40(2007年度から)
2週をひとまとまりとして、同じ回を4回放送している(水曜に新作>次週の火曜、水曜、次次週の火曜に再放送>水曜に新作、が基本パターン)。なお、2007年度に始まる土曜日夕方の15分版は、2週(時たま3週)続けて前年度以前の放映回を放送する。現在出ている情報では2004年度分を本放送とおなじ順番で放送予定。 詳しくは、平成19年度幼稚園保育所番組と利用の手引き参照
また、「ピタゴラスイッチ・ミニ」というダイジェスト版が以下の時間に放送されている。
- 毎週月~金曜日 午前8:10~8:15
- (当日分の再放送)毎週月~金曜日 午後5:25~5:30
- 夕方の放送は、2006年度(2007年3月)までは土曜日にも放送されていた(土曜日は夕方のみの放送であった)。
この他、2005年度の年末年始に30分の拡大版「ピタゴラスイッチデラックス」や15分のものを2回続けて再放送する「ピタゴラスイッチセレクション」が放送された。
[編集] コーナー
[編集] 人形劇(人形操演:木ぐつの木)
- 知りたがりのペンギンの男の子。ニット帽は、前にいた動物園でお世話になった、飼育係のおじさんにもらった物。
- 知りたがりのペンギンの男の子。
- スー(車に乗ってやってくるねずみ 声:うえだゆうじ(旧名・上田祐司))
- 百科おじさん(おじさんの顔をした百科事典 声:名古屋章→川久保潔→車だん吉)
- テレビのジョン(テレビの形をした犬型ロボット。 声:井上順)
- ナレーター(徳田章)
- 百科おじさんがピタとゴラに世の中の仕組みを解説する。
- 百科おじさんは「詳しいことはわしの○○ページに書いてアール」と言うが、ピタとゴラは「じーっ、子供だから、読めませーん」と言い、テレビのジョンに映像で解説してもらう、というのがお決まりのストーリー。百科おじさんのページ数は語呂合わせで決められており、例えば、712ページなら「ナイフ」、529ページなら「呉服」と言った具合である。数字の読み方もいろいろなパターン(中国読み?!4=「すー」や、1=「もの」なども)が織り交ぜられ難解。ちなみに百科おじさんは全988ページ。
- スーは何かを運んでくるときに現れ、毎回登場するわけではない。
[編集] ミニコーナー
- ピタゴラ装置
- オープニングとエンディングは必ずこのコーナーである。ルーブ・ゴールドバーグ・マシンというからくり装置(番組内ではピタゴラ装置と呼ばれる)を利用して番組タイトルを完成させる。この装置は、紙コップや定規やクリップなど身の回りのもので組み立てられているのだが、非常に複雑な仕掛けがなされており、最初のきっかけを人力で与えたあとはすべての動きが連鎖的に引き起こされる。
- 15分版ではオープニングとエンディングのピタゴラ装置は同じであるが、5分版(ミニ)では、毎回異なったピタゴラ装置が登場する。ただし、5分版にてアルゴリズムたいそう・こうしんが最後のコーナーになった場合は、エンディングが省かれテロップだけ表示される場合がある。
- なお、2006年12月1日に、ピタゴラ装置の部分のみをまとめた、ピタゴラ装置DVDブック1が発売された。
- アルゴリズムたいそう
- 出演 いつもここから
- 2人1組で行う体操。アルゴリズムがテーマとなっており、一人では意味の無い動きが、2人並ぶと関連性のあるものとなる。いつもここからの2人がいろんな所へ出向き体操するのが恒例となっており、最大規模は埼玉県立浦和北高等学校の922人と体操。また、衛星中継で、南極観測隊20人と体操を行ったこともある。
- アルゴリズムこうしん
- 出演 いつもここから
- アルゴリズムたいそうを発展させた体操。2人以上で縦一列になって輪唱のように1人ずつ動きをずらして行う。前の人の動きと後ろ人の動きが関連性を持ったものになっている。アルゴリズムたいそう同様、いろんな所へ出向き行進するのが恒例となっており「プロレスラーの皆さんと一緒」の会ではKAIENTAI-DOJOの選手達と行進した。
- 余談ではあるが、YouTubeのサイトに、フィリピンの刑務所で囚人の大集団(967人、世界記録を主張)がアルゴリズムこうしんをしている動画がアップされている。
- おとうさんスイッチ
- 2002年度 = 「おとうさんスイッチ」
- 2003年度 = 「おとうさんスイッチ 2」
- 2004年度以降 = 「おとうさんスイッチ おじいちゃんも(可)」
- 空き箱に五十音のいずれかの行の文字5つが書かれた手作りの「お父さんスイッチ」を子供が押し、おとうさんがその文字からはじまる動きをするというコーナー。冒頭に出場者の自己紹介をした後、知久が「おとうさんスィッチ(おじいちゃんも可)いきますよ~」と歌って始まる。
- クレイジーケンバンドの横山剣(「おとうさんスイッチ 2」ら行)や大相撲の錦島親方(「おとうさんスイッチ おじいちゃんも(可)」2004年度、が行)、ジャズパンクバンド「勝手にしやがれ」の浦野正樹(ゲストとして福島忍と斉藤淳一郎)、も、それぞれ本名を名乗り親子で出演したことがある。
- おとうさんスイッチの作り方
- 前述のおとうさんスイッチのつくりかたを歌で紹介。
- フレーミー
- 声の出演 井上順
- 四角いフレームで構成された透明な犬「フレーミー」のアニメ。他のキャラクターも単純図形で構成されているが透明ではない。So-net「ねっとのおやつ」作品から。
- 10本アニメ
- 10本の棒が合体していろいろなものに変身する。佐藤研ワークショップからの派生。
- ポキポキアニメ
- 声の出演 草彅剛
- 1本の長い線をポキポキ折り曲げていろいろなものを作っていく。なお、どんな形になっても必ず最後は元の直線に戻り、「失礼しま~す」というセリフとともに退場する。
- 角砂糖アニメ
- 角砂糖12個が並べ方を変えるだけでさまざまな形に変身する。佐藤研のワークショップ作品。
- きょうのスイッチ
- ナレーション 徳田章
- とある場所・施設にある機械の起動スイッチを押し、何かが起こる様子を紹介。(例:噴水、観覧車)
- きょうのロボット
- ナレーション 徳田章
- いろいろなロボット(主に作業用ロボット)を紹介する。
- ○と△のしゅうだん
- ナレーション 徳田章
- ある一定の動きをする集団とそうでない集団とに分け、その動きを説明する。
- なにしてるの?おじさん
- 公園で小林扮するおじさんが妙な動きをしている。それを見た少年が、おじさん何してるの?と訊ねると、じつはあるものの形態模写であることがわかる。
- なんのあと?
- 撮影 ホンマタカシ
- 何らかの動きが終わった「跡」の様子を最初に見てから、物体の動きが逆戻りして始めに戻り、「なんのあと」だったのかが判る。(例・火のついたろうそく、水に入った角砂糖など)
- なにしてる点?/なにしてる人?
- うた 知久寿焼
- モーションキャプチャーのマーカーの部分の動きだけが表示され、何をしている所かを考える。
- かってなルール
- 子供たちが一風変わった行動をとるが、実はかってに決めたあるルールにのっとって行動をしているというもの。
- はしって文字
- ナレーション 岸部一徳 撮影 ホンマタカシ
- グラウンドを複数人が走る様子を上空から見る。すべての動きが終わったあともう一度同じ映像が流れるのだが、今度は走った姿がそのまま残像となり、軌跡を繋ぎ合わせると文字になっている。
- かぞえてみよう
- 不確定な動きをする群集を対象にして数える。(例・バレーボールの弾む回数を数えるなど。)他の学校放送で放送されたものをそのまま切り取ってきたような映像が特徴。
- ぼてじん
- サイコロの形をしたキャラクター・ぼてじんが、地面に描かれたマス目のなかを前後左右に動いて、カメラに向かってぼてじんのサイコロの面に書かれたメッセージを披露する。たまに小さいサイズのいぬてん(声後藤輝基)が登場する。こちらには顔と「ワン」しか書いていない。2006年12月には、ぼてじんの総集編が放送されている。
- なんだこれ?
- うた 知久寿焼
- 棒で構成された、ぱっと見よく判らない立体が、まわして違う方向から見てみると(平面的に)つじつまが合う物体として認識できる。3Dと2Dが渾然一体という感じ。
[編集] うた
- ぞうのあしおと係
- 音響効果を果たす楽器を紹介。(例・象の足音係はチューバ)
- ・・・の中をよく見たら
- ことばのなかに隠れている別の言葉をさがす歌。(例・'れいぞうこ'のなかには'ぞう'がいる)
- おんなじとこちがうとこ
- 作詞 佐藤雅彦・内野真澄
- 作曲 栗原正己
- うた ピタ・ゴラ(星河舞・西村朋紘)
- カレイとヒラメなど、よく似たものを見分ける歌。
- ぼくのおとうさん
- 作詞 佐藤雅彦・内野真澄
- 作曲 栗原正己
- 状況に応じて「ぼくのおとうさん」はなんと呼ばれるのか。お店に入ると「おきゃくさん」になり、歩いていると「つうこうにん」になるなど、同じ人間でも場に応じて色々な役割をもつことがわかる歌。
- ピタゴラそうち41ばんの歌
- 作詞 佐藤雅彦・内野真澄
- 作曲 栗原正己
- うた 日下好明
- ピタゴラ装置の中で「もっとも長い」と呼ばれる、41番の作品の動きを歌にしたもの。
- つながりうた もりのおく
- 作詞 佐藤雅彦]・内野真澄
- 作曲・うた桜井秀俊
- しりとりのように歌詞がつながってゆく歌。
- そっくりひっくりかえしましょ
- うた ピタ・ゴラ(星河舞・西村朋紘)
- 擬態語を逆から言うと全然別の意味になる対比のうた。(例・しずしず<>ずしずし(歩く))
- あるくのどのあし?
- うた ピタ・ゴラ(星河舞・西村朋紘)
- 両足を交互に出して歩くと、手が互い違いに出るのは体が知っていることで、無理に逆にすると不自然でしょ?のような意味のうた。
- んがなくちゃいか!
- うた ピタ・ゴラ(星河舞・西村朋紘)
- 言葉からある文字(「ここでは「ん」)を抜くと全然別の意味になる対比のうた。(例・あんまん<>あま(尼、海女)
- ピタゴラジョンマーチ
- 作詞・作曲 パラダイス山元
- 編曲 テディ熊谷
- うた ピタ・ゴラ(星河舞・西村朋紘)
- そのまんま「マーチ」かと思いきや,ひとつのことについての、程度での名称の違いも絡めたうた。(例・人に対して、”かおなじみ”、”みずしらず”、”(かおだけしっているのは)かおみしり”)
- 水はぐるぐる
- うた ピタ・ゴラ(星河舞・西村朋紘)
- 水は気体・液体・固体と形を変えても実は同じもの、という内容。2002年度第3回「みずもおゆもおなじもの?のまき」の内容と類似。
- フレーミーのうた
- うた 井上順
- ともだち訪問~いっしょにさんぽ。出てくるキャラクターはフレーミー本編や他のうたで見たことが有るような。
- なぞなぞうた・いたちのたぬき
- 作詞 佐藤雅彦・うちのますみ
- 作曲・うた 栗原正巳
- 歌詞がそのまんまなぞなぞになっているうた。答えを並べると……
[編集] 関連映像作品・書籍
書籍
- NHKピタゴラスイッチアルゴリズムたいそう―おまけおとうさんスイッチ (2003年2月 日本放送出版協会 ISBN 9784144071263 )
- おどりかた図解(モデルはいつもここから)。イラストでおとうさんスイッチの紹介も。
- ピタゴラブック(1)ぴったりはまるの本(2006年10月 ポプラ社 ISBN 9784591094709 )
- 身近なもののシルエットとひとことヒント。そこから元の物体が何かを想像する。しっかりした厚手の紙の本なので、持ち歩いて実際に「はめて」みよう。
- ピタゴラブック(2)フレーミーとそうじき(2006年11月 ポプラ社 ISBN 9784591094945 )
- フレーミーがそうじきを嫌いな理由。なるほど。
CD,DVD
- NHKピタゴラスイッチ アルゴリズムたいそう&こうしん(2003年6月ワーナーミュージック・ジャパン ASIN: B000095YLG)
- たいそう、こうしん共に練習バージョンやカラオケも含め全9曲収録。
- ピタゴラ装置DVDブック1(2006年12月 ISBN 978-4-09-480311-2 (=小学館扱) 、DVD規格品番:PCBE-52408 (=ポニーキャニオン扱))
- 33点のピタゴラ装置の映像とその解説本。書店・DVDショップの双方で取り扱う。
- ピタゴラ装置DVDブック2(2007年4月 ISBN 978-4-09-480312-9 (=小学館扱) 、DVD規格品番:PCBE-52422 (=ポニーキャニオン扱))
- 「ピタゴラ装置史上最長(販売元Webサイトより)」として知られる「ピタゴラ装置41番のうた」ほか、全32作品+試作風景を所収。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
[編集] 前後番組の変遷
NHK教育テレビ 幼稚園・保育所の時間 水曜枠(2002年度以降) | ||
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