マ・クベ
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マ・クベ(U.C.?~0079年12月)はアニメ、『機動戦士ガンダム』に登場する、架空の人物。(声優:塩沢兼人、特別版田中正彦)
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 概要
キシリア・ザビ配下のジオン公国突撃機動軍大佐。副官はウラガン、部下にはクリンク・バイス・ラング・ヘイブなど。
ジオン軍の地球侵攻作戦では資源採掘地帯オデッサの基地司令となり、資源採掘・輸送、基地防衛などを統轄していた。また占領地では、任務の傍ら骨董品蒐集に努めており、特に北宋期と推定される白磁の壺は彼の寵愛を集め執務室に多く並んでいる。また基地の防衛に努める一方、地球連邦軍の副将エルランに内通を促すなど優れた策謀家としても活躍した。軍人として功績はあるが、性格は計算高い上に情が薄く至って官僚的であり、政治的な駆け引きには長けるものの、任務達成のためなら手段を選ばない狡猾な面が強い。しかしその策は案外詰めが甘く、また策が破れた際の備えも疎かであった。
ガルマ・ザビの仇討ちのため地球に降下したランバ・ラル隊にも、一旦は十分な補給を保証するものの、政治的な理由からその約束を反故にしたり、ソロモンから脱出して来た兵士たちを見捨てようとするなど、黒い三連星やバロム大佐から「前線に立つ兵士たちの気持ちが分かっていない」と批判を受けていた。 また、独自の軍服というより階級章付きの私服に近い服装を常用していることからも、その気質が武人ではなく(悪い意味で)文人に近いことがうかがわれる。
マ・クベの登場内容については各作品で多少異なっている。
因みに、劇場版『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』のエンディングにおける、声の出演のテロップの「マ」とは、マ・クベの事である。なお声優は、2000年に初代の塩沢兼人が死去したため、以後は田中正彦が担当している。
余談だが、彼の名前の由来は虫プロ出身の富野監督にとって馴染み深い手塚治虫キャラの一人「ロック」こと「間久部緑郎(まくべろくろう)」に因む、などマニア間でも諸説紛々である。
[編集] テレビアニメ版
登場話数は第16話・18話・20話・22話~25話・36話・37話。初登場の第16話ではのっけから壺を指で弾き音色を楽しむ姿が描かれ、早くも骨董マニアぶりを見せつける。
第18話では督励に訪れたキシリアと共にモビルアーマー・アッザムを操縦してガンダムとの交戦を経験。
第22話では、特殊部隊による「故意にレーダーだけを残した」破壊工作、ついでグフとドップの時間差攻撃でガンダム・ガンキャノンとホワイトベースを分断して各個撃破を狙う、さらにホワイトベースを「故意にレーダー索敵によるドップからの避退を許し」てメガ粒子砲陣地の射線上に誘い込み猛砲撃を浴びせる、と三段構えの周到かつ執拗な策で、ホワイトベースを大破着底させる鮮やかな知略を見せた。しかし、ホワイトベース隊の苦し紛れの偽装工作に引っかかり、止めを刺すのを怠ってしまう。
続く第23話ではクリンク隊がマチルダ・アジャン大尉のミデア隊による救援阻止に失敗し、結局ホワイトベース隊を取り逃がしてしまった。さらに、ドズル・ザビ配下のランバ・ラル隊には鉱山採掘の実態を知られないよう非協力的な態度で通し、第24話でキシリアが派遣してきた黒い三連星とも全く反りが合わず、貴重なMS戦力である彼らが独走の果てに撃破されるのを阻止できなかった。
地球連邦軍がオデッサ作戦を決行した第25話では、事前に内通していた連邦軍のエルラン将軍を裏切らせようとするが、逆に連邦軍がエルランを捕縛し、その兵力で防衛線を突破してしまった。最後の切り札として、南極条約で禁止された核による攻撃を示唆し連邦軍を恫喝。レビル将軍が脅しに乗らないと見るや迷わず水爆ミサイルを発射するが、爆発する前にガンダムによって空中で弾頭部分を斬り落とされてしまう。しかし、その間隙を縫い本人はマダカスカルで宇宙へと脱出。その際に本国に送った十分な資源で「ジオンはあと10年は戦える」と豪語した。
その後、地球連邦軍によるチェンバロ作戦(ソロモン攻略戦)によって、陥落の危機に陥ったソロモンに対する救援艦隊の司令となり、グラナダを発する。救援の途上、脱出してきたゼナ夫人(ソロモン基地司令ドズル・ザビの正妻)、ミネバ・ラオ・ザビ(同長女)を見捨てようとして、同乗していたバロムの諫言で渋々救出するも、ソロモンの救援という本来の目的はタイミングを逸して果たせずに終わる。しかしこの時既にホワイトベースが掃討作戦に参加することを見越していたのかバロムをグラナダへ戻るグワジンに残して自らはチベに移り、ソロモン撤退兵力の吸収任務に就く。そこには後述されるシャア・アズナブルへの対抗意識と、中央アジア以来のガンダムとの因縁にケリをつけんとする彼なりの意地もあった。
そして第37話にて、テキサスコロニー近辺で専用の試作モビルスーツ・ギャンに搭乗。ニュータイプの片鱗を見せ始めていたアムロ・レイの搭乗するガンダムとの一騎打ちをした。この時マ・クベは小惑星を爆破したり、ガンダムを誘い込んだコロニーのエアロックに爆弾を仕掛けたり、コロニー内に浮遊機雷をばらまいたりと例によって策を弄したが、例によって詰めが甘く失敗、かえってアムロを怒らせ闘志を高めてしまった。そしてこの時、ゲルググにてコロニー内の戦闘に馳せ参じたシャアから加勢の申し出もあったが、キシリアに重用され始めていた彼を快く思っていなかったことから、これを断っている。
ギャンは善戦したが徐々にパワー負けし始め、近接戦闘によるビームサーベル二刀流で左右から機体を切り裂かれて撃破され、マ・クベは戦死した。その際、「あれはいいものだ」と寵愛していた白磁の壷をキシリアへ献上するようウラガンに託したが、その後行われた周辺宙域での戦闘によってウラガンがデラミン艦隊ごと戦死したため、この望みは果たされなかった。
シャアはマ・クベの戦死を「付け焼き刃に何が出来ると言うのだ」と嘲笑し、またキシリアも、かつては重用した彼の死を少しでも気に掛けたような描写は一切無く、テキサスコロニーでの彼の行動は全て無駄に終わってしまった。
[編集] アニメ映画版
アニメ映画版『機動戦士ガンダムII 哀・戦士編』ではオデッサの司令として登場したが、ランバ・ラル隊へのドム補給を握り潰す程度の描写で、アッザムにも搭乗せず、エルランとの内通も無く、核ミサイルによる恫喝の場面も省かれており、戦況の悪化に伴いマダカスカルで脱出したという描写に留まっている。また、『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』では、宇宙要塞ソロモンの救援に向かう途上、ソロモンから脱出してきたゼナ夫人とミネバ・ラオ・ザビを救出したシーンの後、ララァ・スンのコンペイトウ襲撃の戦果をシャアがキシリアに報告する際にキシリアの横に随伴していたのが彼の登場する最後の場面となり、ギャンも登場しないし戦死もしていない。つまりマ・クベにとって映画版は、良くも悪くもTV版での己の見せ場を悉くカットされてしまった形となっている(結果的に悪印象も少なくなってはいる)。
[編集] 漫画
漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』では、地球連邦軍による星一号作戦(ア・バオア・クー攻略戦)の最中、ドズルの未亡人ゼナとその遺児ミネバと共に陥落寸前のア・バオア・クー要塞を脱出。ギャンに搭乗し、シャアと共にゼナらを護ろうとするが、連邦軍の戦艦が撃った主砲が直撃、戦死している。テレビアニメ版ではア・バオア・クー攻略戦の前に戦死しているため、戦死したという描写がない映画版の設定を元に、同作品が描かれている事が読み取れる。そのため、シャアとの関係もTV版とは異なっており、彼に対して多少の対抗心を持っているようだが(当然ではあるが、マ・クベはキシリアがシャアに殺された事には気付いていない)、シャアの提案が正しい事を認めて受け入れているため、TV版ほどの対立はないと思われる。また、自らギャンに乗ってゼナらを護ろうとするなど、TV版のマ・クベに比べて狡猾というよりも潔い人物になっている。
『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、描かれた職務内容に見合うよう、アニメ版より階級の高い少将として設定されている。キャラクターとしての背景もアニメ版における美術品収集家の設定から、美術・芸能等の文化史全般に造詣の深いインテリ型軍人へと修正されている。その思想から、人類の今後の文化活動の中心を地球から宇宙に移動させようという理想を持っており、その為に地球の文化財を獲得するため連邦との戦争継続を願っている。開戦初頭、ジオン軍の中でも地球寄りであったがために連邦との講和を全権委任されており、それを利用しようとするキシリア・ザビなどとの駆け引きも描かれている。尚、講和の際には中将となっている。
SDガンダムシリーズでは、彼のTV版での言動を受け、ギャンのキャラクターが、作品を問わず一貫して「陰険で狡猾な策士で、有利なうちは冷徹ぶっていても、不利になると逆ギレして暴れだす小者」として描かれている
小説版では、テキサスコロニーでペガサスと相打ちになって乗艦チベと共に戦死している なお、シャアとのライバル関係と敵対心がさらに強調され、「いい尻をしている(その尻を上官に掘らせて出世した)」などと陰険な噂を流したという記述がある
[編集] その他
『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』で設定として登場した統合整備計画は、マ・クベが提案したものである。提案時期はU.C.0079年2月で、その当時のマ・クベの階級は中佐であった(アニメ版初登場は同年10月)。
[編集] 搭乗機
- MAX-03 アッザム
- YMS-15 ギャン
- MS-07B グフ(専用機、モビルスーツバリエーションに登場)
[編集] 関連項目
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