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シャア・アズナブル

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シャア・アズナブル (Char Aznable) は、「ガンダムシリーズ」のうち、アニメ機動戦士ガンダム』にはじまる宇宙世紀を舞台にした作品に登場する、架空の人物である。(池田秀一

モビルスーツパイロット・軍官・思想家として、類い希な能力を発揮した人物。宇宙世紀を舞台とした「ガンダムシリーズ」の最重要人物とも言える存在であり、自信に満ちた言葉とそれに見合う実力を持ち、戦闘での強さ、持っている信念、どれをとってもその存在感は他のキャラクターを圧倒している。日本のアニメのキャラクターでも、1、2を争うほど、シャアの人気は高い。


目次

経歴及び劇中での活躍

ガンダムシリーズには多数の派生作品があり登場人物の事蹟も異なる場合があるが、ここでは特に断りのない限り、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』、『機動戦士Ζガンダム』及びアニメーション映画機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』における事蹟を基準に記す。

一年戦争以前から一年戦争前半までの経歴は、主にテレビアニメ『機動戦士ガンダム』の企画時に作られた設定や富野由悠季著の小説『機動戦士ガンダム』による設定を整理して、アニメ版の設定に組み込んだ『モビルスーツバリエーション』 (MSV) などの書籍による。なお、小説版は完全にパラレルワールドにあたるため、そのまま参考にすることはできない。また、角川書店発行の漫画雑誌ガンダムエース」創刊号より連載されている安彦良和漫画機動戦士ガンダム THE ORIGIN』は映像作品ではないため、サンライズにおける公式設定とはいえないが、扱いとしては近年の公式設定に最も近いものとはいえる。ただし、アニメ版と設定が大きく異なる部分も多いため、注意が必要である。

一年戦争終結後(ア・バオア・クー脱出)からエゥーゴ結成時代の映像化も特にされておらず、『機動戦士Ζガンダム』にてワンカットが描かれたのみである。そのため従来は文字による設定や、小説版『機動戦士Ζガンダム』おける細部の描写で判断するしかなかったが、『THE ORIGIN』と同じくガンダムエース創刊号より連載されている北爪宏幸の漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』は初めて本格的にこの期間を描いている。これも同様にアニメ作品ではないためサンライズにおける公式設定ではないが、やはり扱いは公式設定に最も近い。その他、ゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズやプレイステーションゲーム『機動戦士Ζガンダム』などでも短いながら映像が描かれている。

第一次ネオ・ジオン抗争から第二次ネオ・ジオン抗争開戦以前においても映像化されておらず、また、準公式的な扱いをされている作品もないため、諸説入り乱れている。一応はプレイステーションゲーム『機動戦士Ζガンダム』や『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』などでも短いながら映像が描かれている。


注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。


生誕から幼少時代

宇宙世紀0059年、ジオン共和国創始者、ジオン・ズム・ダイクントア・ダイクン(『THE ORIGIN』ではアストライア・トア・ダイクン)の子として生まれる。本名はキャスバル・レム・ダイクン (Casval Rem Deikun) 。セイラ・マスことアルテイシア・ソム・ダイクンは実妹。

宇宙世紀0069年、ジオン・ズム・ダイクンの死後、ザビ家による迫害を受け地球に逃れる。この頃は、父ジオンのよき理解者であったジンバ・ラルの庇護の下、南欧のマス家に養子入り(あるいは、ジンバがマス家の名を購入して改名)し、エドワゥ・マス (Edwow Mass) と名乗る。記録上、父ジオンは病死とされているが、実際はデギン・ソド・ザビらによる暗殺と見られており(父がデギンを後継者に指名したのはダイイングメッセージだと考えている)、ザビ家への復讐を誓う。

『THE ORIGIN』では、ジオン・ズム・ダイクン急死、サスロ・ザビ暗殺などの政変により、サイド3(この作品中では当初「ムンゾ自治共和国」と称していた)に居場所を失ったキャスバルとアルテイシアの兄妹は、ランバ・ラルクラウレ・ハモンの手助けによりジンバ・ラルと共に地球へ亡命する。しかし生母アストライア・トア・ダイクンとは生き別れとなってしまう。マス家当主テアボロ・マスの元に養子入りするが、ジンバが独断でクーデターを謀ったためにキシリア・ザビの刺客に襲われジンバは死亡、テアボロも重傷を負う。彼らの窮状を見かねたシュウ・ヤシマ(ミライ・ヤシマの父)の提案で、彼が所有するサイド5のテキサスコロニーへ移住することとなる。

サイド3潜入時代

宇宙世紀0074年、シャア・アズナブルと再び名を変えサイド3に潜入、ジオン士官学校に入学。士官学校時代にガルマ・ザビと出会い親交を結ぶ。優秀な成績を修め、首席で卒業できたがガルマにそれを譲り、次席で卒業する。宇宙世紀0078年、卒業とともにキシリア・ザビ揮下の教導機動大隊に入隊。その後、ジオン公国国防軍がドズル・ザビ揮下の宇宙攻撃軍とキシリア・ザビ揮下の突撃機動軍の2軍に分裂したことに伴い、宇宙攻撃軍に入隊した。ジオン公国軍における軍籍番号は「PM0571977243S」である。

ジオン公国では正体がばれるのを隠すため、常に仮面をつけ顔を隠している。これは顔に火傷があるためと本人は説明しているが、実際にはそのような傷はない。

なお、誕生月日は11月17日とされることが多いが、9月27日とする説もある。一説によれば、11月17日がキャスバルの、9月27日が本物のシャア・アズナブルのものとされるが、キャスバルがシャアの戸籍をどのように手に入れたかは諸説入り乱れており、はっきりしない。一般的には死亡したシャア・アズナブルという人物の戸籍を不正に入手したとされるが、アズナブル家に養子に入ったなどとする説も存在する。

キャスバルがシャアを名乗った理由として『THE ORIGIN』では、シャア・アズナブルという人物が元々存在したという説を取っている。本物のシャア・アズナブルは、キャスバルがテキサスコロニーへ移住した際に出逢った、キャスバルと瓜二つの友人である。強いジオニズム賛同主義者でテキサスコロニーの学校を卒業後ジオン士官学校へ入学を希望、合格にいたる。その時キャスバルは入学の意を示しはしなかったものの、母の死を知ったこともありザビ家への復讐のためサイド3への同行を決意した。しかしキャスバルの周りにはザビ家の見張りがひそかについていることに気づいており、直にキシリアの魔の手が及ぶことを見透かしたキャスバルは旅立ちの日に空港で計略によってシャアと入れ替わる。その時キャスバルはシャアの入学許可証などを奪い取り、本来のシャアはザビ派によるシャトル爆破工作でエドワゥ・マスとして命を落とす。こうしてキャスバルは以後シャア・アズナブルを名乗り、ジオン士官学校へ入学する。
キャスバルとシャアは上記にあるように瓜二つだが瞳の色だけは違い、それを隠すために常日頃から虹彩異常を理由としてバイザーを外さず、実技訓練などはもちろん、シャワーを浴び終えた時にも同室のルームメイトに気付かれないようにかけていた。
この時期にララァ・スンと出会っており、また、史上初となるモビルスーツ同士の戦闘も体験している。

一年戦争前半

宇宙世紀0079年1月、地球連邦政府との「一年戦争」が勃発。ドズル・ザビが率いる宇宙攻撃軍に所属し、モビルスーツのエースパイロットとして活躍。愛機初期量産型ザクII(型式番号:MS-06C)をパーソナルカラーである赤に塗装し、ルウム戦役ではたった一人で5隻もの戦艦を沈め、「シャアの五艘飛び」と賞賛されるとともに赤い彗星の異名を得、その名は連邦軍の末端兵士にまで轟き恐怖の存在となる(この伝説に関しては諸説あり、彼の戦功を妬む者達はより戦果を低く見積もる傾向にある)。またこの功績により中尉から少佐に特進する。

その後はドズルがルウム戦役で旗艦としていたムサイ級旗艦型軽巡洋艦ファルメルを受領し、モビルスーツ中隊長の任に付いた。乗機も量産型ザクII(型式番号:MS-06F)、指揮官用ザクII(型式番号:MS-06S)とその時々の最新機種が与えられ、その性能を十分に引き出して「通常の三倍の速度」と恐れられた。

一年戦争後半(『機動戦士ガンダム』)

同年9月、サイド7で連邦軍が極秘にモビルスーツと新艦を開発しているとの情報をつかむ。偵察に出した部下が、ザクもろともガンダムに撃破(史上初となるモビルスーツ同士の戦闘)されると、自らコロニーに潜入しホワイトベースに避難し従軍していた妹のアルテイシア(セイラ)と再会、そして生涯のライバルとなるアムロ・レイのガンダムと初対決を繰り広げる。この時シャアは始終アムロを圧倒するものの、ガンダムの性能を真のあたりにし、「連邦のモビルスーツは化け物か」と思わず驚嘆する。その後、ホワイトベースとガンダムの奪取もしくは破壊を命じられ、サイド7を脱出したホワイトベースを追跡。ホワイトベースの逃げ込んだ連邦軍宇宙要塞ルナツーへ潜入し破壊工作を行うなど、幾度となく攻撃を仕掛けるが失敗。多数の部下とザクを失う。しかし、ホワイトベースの大気圏突入を狙った奇襲の際、友軍を壊滅させられながらもジオン勢力下に降下させることに成功する。

地球降下後シャアは幼馴染のガルマ・ザビと共にホワイトベースの撃破を目指し、共闘するがザビ家への遺恨はけっして忘れようとせず隙を見て彼を謀殺する。そのさい敵の木馬とガンダムを利用している。ガルマの死は彼を溺愛していたドズルの怒りを買い、ガルマを守れなかった責任により宇宙攻撃軍を罷免、左遷される。なお、この頃にはすでにキシリアからの使いが彼と接触している。

左遷され各地を転々としていた際、インドにてララァ・スンと出会い、ニュータイプの素質を見いだしたとされる。このことについては富野由悠季著の小説『密会 アムロとララァ』にて詳しく書かれている。シャアは、ララァの中に見出した母性に思慕の情を抱くと共に彼女を寵愛し、また優れたニュータイプである彼女を傍に置くことによって、自分の感覚を研ぎ澄ませようとした。しかし、後にシロッコに「ニュータイプのなりそこない」と言われたように(能力が劣っているという意味かどうかはわからないが)、アムロにニュータイプとしての能力に差をつけられるようになり、またララァもそのアムロとより強く惹かれ合うようになる。シャアはその事に対して嫉妬を覚え、後述するように、やがて三者は悲劇的な結末を迎えることになる。

同年11月、キシリア・ザビの手解きでキシリア率いる突撃機動軍に編入、大佐に昇進とともにマッドアングラー隊の司令に就任する。ベルファストおよび大西洋上でのホワイトベース隊との戦闘(シャア自身は攻撃には直接参加していない)の後、追尾し、連邦軍本部があるジャブローへの進入口を発見。この情報をもとにジオン軍はジャブローへ総攻撃を仕掛けるが、連邦軍とホワイトベース隊の反撃に遭い、失敗に終わる。シャア自身は潜入部隊をのせたアッガイ数機を率いて(目立つ赤いパーソナルカラーのズゴックに搭乗し、いつもの軍服のまま)ジャブローへと潜入。破壊活動を行っていた際に偶然セイラと二度目の再会を果たし、彼女に軍から離れるよう諭して別れる。この後連邦軍守備隊と交戦し彼らを圧倒するものの、アムロのガンダムとの戦闘で腕部を破壊され、バランサーに不具合が生じたため撤退。ガンダムのパイロットの成長に驚きながらジャブローを後にする。

同年12月、ホワイトベースを追ってザンジバルで地球を離脱。かつての部下ドレンの率いるキャメル艦隊と共にホワイトベースを挟撃しようとするが、同艦隊はシャアが駆けつける前に全滅。シャアのザンジバルも攻撃を開始するものの被弾し、撃破にはいたらなかった。サイド6においてアムロと初めて直接対面するが、シャアは彼がガンダムのパイロットである事に気づかなかった。12月末、テキサスコロニーでマ・クベとアムロの戦いを見る。マ・クベが敗れるのを見届けた後、アムロと交戦するも撤退する。この頃からニュータイプに覚醒しつつあるアムロに一方的にやられるようになる。またテキサスでは、セイラとも再会し、自分の形見として金塊を贈る。その後、ララァ・スンのモビルアーマーエルメスと共に出撃するがアムロには敵わず、ララァは、ガンダムのビームサーベルからシャアをかばい戦死する。この出来事はシャアとアムロの大きな遺恨となり、その後の二人の人生と、彼らの間の葛藤を決定づける。

宇宙要塞ア・バオア・クーでの決戦では、彼もニュータイプとして覚醒してきたためかモビルアーマー・ジオングでガンダムと互角に戦い、相討ちになる。そして要塞内部でアムロと生身で戦うが駆けつけたセイラの説得中に爆発に巻き込まれ、戦いは中断される。そして、やはりザビ家の人間を許せぬと判断したシャアは要塞からザンジバルにより脱出しようとする上官のキシリアを殺害。その後生死不明となる。劇場版『機動戦士ガンダムIII めぐりあい宇宙編』では、キシリア殺害後に敗残兵とともに要塞を脱出、グワジン級戦艦に乗り逃亡している。

ア・バオア・クー脱出

ア・バオア・クーからの脱出に関しては、1986年に勁文社より発売された山口宏著のゲームブック『機動戦士ガンダム 最期の赤い彗星』と、漫画『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』にて詳しく描かれているが、いずれも解釈は異なる。ア・バオア・クー攻略戦の時点におけるマ・クベの生死から、前者はテレビアニメ版を、後者は劇場版をベースにしていると考えられる。

『最期の赤い彗星』では数人の部下と共にマ・クベの旗艦アサルムを奪取しア・バオア・クーを脱出。キシリアの腹心であるトワニングの送り出すペズンモビルスーツの追撃をかわしながらグラナダを経由してアクシズに向かっている。対して、『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』では、マ・クベと協力してミネバ・ザビを警護しながらア・バオア・クーを脱出し、直接アクシズへ向かっている。
逃亡に使用したグワジン級は、『めぐりあい宇宙編』の絵コンテではグワランとされるが、『最期の赤い彗星』ではアサルムとされ、ラポート発行の書籍『機動戦士Ζガンダム大辞典』でもこちらの説を採っている。
また、岩田和久著の漫画『機動戦士Ζガンダム 宇宙を超える者』(講談社発行の漫画雑誌『ガンダムマガジン』2号に収録)によれば、ア・バオア・クー脱出の際にガンダムの破片を持ち帰っており、後にガンダリウムγの開発に寄与することとなる。

アクシズ時代

宇宙世紀0081年3月、一年戦争の終結の後に連邦に投降しなかった残軍の最大のグループであるシャア達は、火星木星の間(アステロイド・ベルト)にある、小惑星基地アクシズへ逃亡、潜伏する。ここでミネバを補佐していたニュータイプの少女ハマーン・カーンと恋仲になる。

宇宙世紀0083年頃にはアクシズが地球連邦軍による襲撃を受け、戦闘に参加している。このことは近藤和久著の漫画『JUPITER[ZEUS] IN OPERATION TITAN U.C.0083』(単行本『新MS戦記 機動戦士ガンダム短編集』に収録)や『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』にて描かれているが、いずれも解釈は異なる。

宇宙世紀0083年8月、指導者であったハマーンの父マハラジャ・カーンが死没すると、その後継者としてハマーンを推挙する。ハマーンがミネバの摂政に就任してザビ家の再興を進めるが、2人は政治的に意見が対立するようになり、ついに地球圏の偵察を名目にアクシズを離れる。

アクシズ離脱については水原賢治の漫画『機動戦士ガンダム0084 "Psi-Trailing"』(バンダイ発行の雑誌『MS SAGA』2号に収録)にて描かれているが、公式設定とは矛盾がある。『機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像』においては2006年3月の時点ではまだ描かれていないが、解釈は異なるであろう。

エゥーゴ結成時代

宇宙世紀0084年9月、アクシズで開発されたモビルスーツの新素材ガンダリウムγを携えて地球圏に帰還し、非合法にクワトロ・バジーナ (Quattro Vageena) という戸籍と連邦軍の軍籍(大尉)を取得。エゥーゴ(反地球連邦政府組織)に加わる。なお、クワトロはイタリア語で4を意味しており、キャスバル、エドワウ、シャアに次ぐ名前である事を示唆している。

高橋昌也の小説『THE FIRST STEP』(大日本絵画発行の書籍『ガンダムウォーズ プロジェクトΖ』に収録)によれば、ブレックス・フォーラと共にエゥーゴを結成したのも彼であるとされ、アクシズ離脱の時期や理由も違う。これは現在の公式設定とは解釈が大きく異なる。

エゥーゴでは、境秀樹の小説『モビルスーツコレクション・ノベルズAct.5 宿敵の幻影』(『大河原邦男コレクション』 (M-MSV) に付属する小説、バンダイ発行の雑誌『SDクラブ』12号に収録)によれば、γガンダム(リック・ディアス)の開発に関わり、また同作と小説版『機動戦士Ζガンダム』によれば、γガンダムにリック・ディアスと命名したのも彼である。

その後、最新艦アーガマに配属されモビルスーツ隊隊長となる。ただ、クワトロ=シャアであるという事は薄々感付かれていたようである。またアポリー・ベイロベルトは一年戦争時代からの部下で、彼と共にアクシズから来たともいわれている。

さらにこの時期、『機動戦士Ζガンダム 宇宙を超える者』によれば、リック・ディアスII(リック・ディアス改)にて大気圏突入の実験も行っている。

グリプス戦役(『機動戦士Ζガンダム』)

宇宙世紀0087年3月、アポリーとロベルトを率いてリック・ディアスでサイド7・グリーン・ノア1に潜入し、ティターンズの新型モビルスーツガンダムMk-IIの奪取を図る。グリーン・ノア1の民間人であるカミーユ・ビダンの協力もあり奪取に成功。この事件が引き金となりエゥーゴとティターンズとの間で本格的な武力抗争が始まる(グリプス戦役)。

その後、サイド1・30バンチで、ティターンズのやり方に疑念を抱いてアーガマへ投降したエマ・シーンに対し、ティターンズの横暴を説く。また月面都市アンマンで、部下のキグナンからアクシズが地球圏に向かっていることを知らされる。

同年5月、連邦軍本部ジャブローへの攻撃に参加するため地球に降下するが、連邦本部はすでに移動していたため、目的が果たせず作戦は失敗。作戦後は、支援組織カラバと合流し地球からの離脱を図る。その中で、7年ぶりに再会したアムロの支援によって地球を離脱する。

同年8月、ティターンズのアポロ作戦阻止に動くが作戦は失敗。その後、エゥーゴの指導者であるブレックス・フォーラと共に議会に出席するが、政府の腐敗ぶりを目の当たりにし、失望する。さらにブレックスがティターンズに暗殺され、死の間際の彼からエゥーゴを託される。

同年10月、地球圏に帰還したアクシズと結盟するため、使節団の一員としてグワダンに赴くが、ハマーンの歪んだ教育を受け、傀儡君主と化したミネバの姿に憤慨し、確執が表面化して交渉は決裂する。

同年11月、衛星軌道上からカラバによるキリマンジャロ基地へ対する攻撃を支援する予定であったが、ヤザン・ゲーブルが率いるハンブラビ隊の奇襲を受け、地球に降下させられる。降下後、アウドムラをはじめとするカラバの攻撃隊と合流し、攻略戦の指揮を託される。作戦を成功させると、世論を味方につけるためカラバ・ルオ商会の協力を得てダカールの連邦議会を占拠。全世界にテレビ中継で演説を行う。自らの正体、即ちシャア・アズナブルであるとともにジオン・ズム・ダイクンの遺児である事を明らかにする。これにより自身の発言と行動に絶対なる説得力を与え、ティターンズの実態を暴き、エゥーゴの正当性を訴えた。この演説によって、議員だけでなく地球の一般市民、さらにはティターンズ内部にまでもティターンズに対する不信感が生まれ、戦局はエゥーゴに傾く。

宇宙世紀0088年2月、エゥーゴ・ティターンズ・アクシズの三つ巴の戦いとなる。最終局面、グリプス2(コロニーレーザー)内で、ハマーンのキュベレイとシロッコのジ・Oと激戦を繰り広げるが、グリプス2を守り抜きティターンズ艦隊を撃破する。しかし、その後のハマーンとの交戦の際、乗機である百式は大破し、戦艦の爆発に巻き込まれ、行方不明となる。

第一次ネオ・ジオン抗争及びそれ以降

この時期のシャア・アズナブルは行方が知られておらず、アニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』にも登場していないため、詳細は不明である。

ただ、グリプス戦役終結時に行方不明となってからその後の第一次ネオ・ジオン抗争終結までの間に、ネオ・ジオン軍内部のダイクン派を介してミネバ・ラオ・ザビを匿ったというのが通説である。このことは、プレイステーションゲーム『機動戦士Ζガンダム』において、わずか数秒ではあるが映像化されている。

第一次ネオ・ジオン抗争終結後、宇宙世紀0090年頃にはネオ・ジオンの再興を開始しており、軍備の増強を行っていた。この時期については草野直樹および日高誠之著のゲームブック『機動戦士ガンダム シャアの帰還』、長谷川裕一著の漫画『機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス』、近藤和久著の漫画『機動戦士ガンダム ジオンの再興』などで描かれているが、いずれも公式設定とは解釈が異なるようである。

『シャアの帰還』では、宇宙世紀0090年5月、旧ジオン公国軍においてランバ・ラルと並び称されたというダンジダン・ポジドン率いるネオ・ジオン残党軍と接触し掌握。ネオ・ジオンの再興を開始する。『ジオンの再興』や『新MS戦記』では宇宙世紀0092年、フレデリック・ブラウンら率いる旧ネオ・ジオンの地上残党軍に対し、宇宙に撤退するよう命令している。

第二次ネオ・ジオン抗争(『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』)

宇宙世紀0092年12月、新生ネオ・ジオンの総帥シャア・アズナブルとして再び姿を現し、幾度にも渡る戦争を経験しながら、旧態依然としてスペースノイドに弾圧を続ける地球連邦政府に対しての攻撃を示唆する。新生ネオ・ジオンは、旧ネオ・ジオン軍の残党や、ナナイ・ミゲルギュネイ・ガス等の優秀な士官を集め、小規模であるが精鋭ともいえる戦力を保持する。そして、しばらく戦火から遠ざかっていた連邦政府に対し、自らの艦艇をもって地球圏にスウィート・ウォーターの占拠を宣言する。

宇宙世紀0093年2月末、テレビのインタビューで連邦政府に事実上の宣戦布告をする。

同年3月、艦隊を率いてスウィート・ウォーターを出発。アムロ・レイやブライト・ノアが所属する連邦軍・外郭新興部隊「ロンド・ベル」の抵抗に遭うものの、自らモビルスーツ・サザビーで出撃し、小惑星5thルナを連邦軍本部所在地であるチベットのラサに落下させることに成功する。

その後、サイド1のロンデニオンにて連邦軍高官アデナウアー・パラヤと、武装解除を条件にアクシズを譲り受けるという偽の和平交渉を行うと、直ちにルナツーを強襲し配備されていた核兵器を奪取。そして、地球を核の冬にするべく、地球へのアクシズ落としを決行する。アクシズを守るため、自分を慕うクェス・パラヤも戦わせるなどロンド・ベルと必死の激戦を繰り広げる。

宇宙世紀0093年3月12日、νガンダムを駆るアムロと最後の決着をつけるべくサザビーで戦うが敗れる。その際、脱出ポッドを捕まえられ、アクシズの落下を抑えるアムロと共にサイコフレームの光の中に消えていく。そしてアクシズは軌道を変え、作戦は失敗に終わる。その後の二人の行方は一切不明とされている。

シャアを取り巻く人々

シャアはその性格もあって真の親友といえる間柄の人物は存在しなかった。ガルマ・ザビに対しては親友であるかのように装っていたがそれはザビ家への復讐の一手段に過ぎず、シャアはガルマをむしろ見下していた感がある。そのあまりに抜きんでた技量もあって、シャアのライバルたり得た(そしてシャアもそう認めた)のは、モビルスーツパイロットとしてはアムロ・レイ、指揮官としてはブライト・ノア、ニュータイプとしてはカミーユ・ビダンぐらいであった。

一方で、そのずば抜けた実力で部下からは絶対的な信頼と畏怖を受けており、後にはその出自も加わって絶大なカリスマ性をも身につけている。これによって第二次ネオ・ジオン抗争では多くの新生ネオ・ジオン兵士を魅了した。

シャアの女性関係に後々まで多大な影響を及ぼしたのは、明らかにララァ・スンである。彼女との出会いがシャアがニュータイプ主導の世界を志すようになった原点であり、また彼女の死がアムロとの確執の原点である。単なる女性関係だけではなく、人生の方向性を決定付けたのはララァに他ならない。エゥーゴ所属中、レコア・ロンドと一時期惹かれ合いはしたが、彼女の想いを受け止めることはできなかった。ハマーン・カーンとはニュータイプ同士として惹かれ合い、共にニュータイプ主導の世界を望んだが、その方針の違いが原因で決別してしまった。第二次ネオ・ジオン抗争時の副官ナナイ・ミゲルはシャアの愛人でもあったが、シャアの心にあったのはあくまでララァであった。そしてララァの面影を感じさせたクェス・パラヤに、彼女が弱冠13才の少女であるにも関わらず愛情を抱いたが、自分に父親代わりを求める彼女を最終的には拒否した。結局これらの女性の中で、最後まで生き残った(記録には無いが)のはナナイのみである。

シャアの子孫については、その後の時代を描いた作品において明らかにそうである人物は登場しない。『機動戦士Vガンダム』の主人公ウッソ・エヴィンの母の名がミューラ・ミゲルということから、その先祖をたどるとナナイ・ミゲルとシャアに行き着くのではないかとファンの間で言われたことがあるが、監督の富野由悠季は否定している。詳しくはウッソ・エヴィンの項目を参照されたい。

シャアが消息を絶ってからも彼の影響は少なからず残り、特にスペースノイドの間にはシャアを連邦の圧政に対抗した英雄と見なす傾向もあった。これを元にした富野の小説があり、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』ではシャアの思想を受け継ぐマフティー・ナビーユ・エリンなる人物が登場する。皮肉にもその正体はブライトの息子ハサウェイ・ノアであった。またシャアの時代から100年以上も後の時代を書いた『ガイア・ギア』には、彼の記憶をコピーした「メモリー・クローン」として作られたアフランシ・シャアという人物が登場する。

主な搭乗機

機体色
いわゆる「シャア専用」のモビルスーツは、若干ピンクがかった(正確には胴体がワインレッドないし小豆色、手足がサーモンピンク)で塗装されていることで有名である。そのため放送当時の子供達の間では、赤いものといえばシャア専用というわけで、例えば「シャア専用郵便車」「シャア専用郵便ポスト」などと言ってみる遊びがはやったことがある。現在でもアニメファンにとって「赤=シャア専用」のイメージは強い。
ただし、シャアの乗った機体のカラーリングがすべて「赤」だったわけではなく、例えばジオングは(シャア専用機でない事と開発途中だったためか)グレーとダークブルーで、百式は(正体を隠していたためか)金色で塗装されていた。また逆に『Ζガンダム』以降はシャア機以外にも赤いMSが多数登場しており、あさのまさひこは当時「『ガンダム』における「赤」のシンボル性が解っていない」「シャアはダカールで正体をバラした後に百式を赤く塗り替えるべきだ」と発言している。
3倍の速度差
またシャア専用ザクは、通常のザクに比べて3倍近い速度で移動すると恐れられた。そのためシャアといえば通常の3倍、というのもファンの間でよく言われる言葉である。
「3倍の速度」を文字通りに解釈して等加速度運動の式を立てると、同じ距離の加速で3倍の速度を得る、もしくは同じ距離を3分の1の時間で移動するためには、初期状態が静止の場合、9倍の加速度が必要となる(同じ時間で3倍の速度を得る、もしくは同じ時間で3倍の距離を移動するためには3倍の加速度でよい)。初期速度が正であれば、必要な加速度はさらに大きくなる。もちろん、本当に3倍、あるいは9倍以上もの加速度にチューンされたザクでは、機体・パイロットとも耐久力が保つはずなく、実際は3割増し程度のスペックである(これは当然ながら後付け設定であるが)。『THE ORIGIN』でも、ルウムで他のパイロットがシャアの機動を見て「バーニア強化型でない普通の機体なのに何故あんなに速いんだ?」と驚く場面がある(しかもカラーリングや角をカスタマイズした彼の機体と同時期に、彼より階級の低い黒い三連星が高機動型ザクを受け取っている事から、シャアはわざと高機動型を避けて通常スペックの機体を選んだフシがある)。
また、例え同じスペックでも、操縦者の技量の差により、3倍程度の移動力・功績の差は必然的に現れるだろう。『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』の映像特典『宇宙世紀余話』では、「ルウム戦役でのシャアは、攻撃した戦艦をザクの脚で蹴る事によってその反動で驚異的な加速力を得ていた」と説明がなされている。撃破した艦体は爆散の恐れもあるから、このような加速が可能になるのもシャアの危険を見極める判断力と卓越した技量あってこそといえる。
モビルスーツ戦において重要なのは、スペック的な速度差よりも、自機の視野を確保しながら効率的に移動することである。さらに敵の視野を利用すれば、相手に3倍の速度差を感じさせる事は、十分可能であろう。そもそも、通常の戦闘においては、周囲を索敵しながら進行するため、必ずしもスペック上の最大速度で進むわけではない。この索敵能力にシャアがずば抜けている事が、3倍の速度差の要因ともされている。

機動戦士ガンダム

機動戦士Ζガンダム

機動戦士ガンダム 逆襲のシャア

その他

  • モビルスーツバリエーション (MSV) (設定のみ)
  • 機動戦士ガンダム 最期の赤い彗星(ゲームブック)
  • 機動戦士ガンダム C.D.A. 若き彗星の肖像(漫画)
  • JUPITER[ZEUS] IN OPERATION TITAN U.C.0083
    • MS-15PLUS (MS-15S) ギャンEX
  • 大河原邦男コレクション (M-MSV) (小説『モビルスーツコレクション・ノベルズAct.5 宿敵の幻影』に登場)
  • 機動戦士Ζガンダム 宇宙を超える者(漫画)
  • 機動戦士VS伝説巨神 逆襲のギガンティス(漫画)
    • スザク (S・ザク・ザクIII 改・改)

など、例を挙げればきりがない。

また、以下のようにシャア専用機として開発されたが実際に搭乗していないとされるものもある。

さらに、以下のようなif設定(架空戦記設定)も存在する。

主な搭乗艦

『機動戦士ガンダム』

『機動戦士Ζガンダム』

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』

シャアに関する知識

  • シャア・アズナブルは、テレビアニメ『機動戦士ガンダム』の企画が、『十五少年漂流記』を元にした少年宇宙戦記物『フリーダム・ファイター』からロボットアニメ『ガンボイ』に至った際に、敵キャラクターのエースとして誕生した。ライバルキャラには因縁を付ける必要があるため、仮面を付けることとなり、また、ジオン・ズム・ダイクンの遺児という設定がつけられた。
  • 仮面を付けたライバルといってサンライズの企画部デスクであった飯塚正夫がすぐに思い浮かべたのが『勇者ライディーン』のプリンス・シャーキンであった。シャアという名は人気キャラであったシャーキンにあやかって付けられたものである。それに富野由悠季が当時ファンであったというシャンソン歌手シャルル・アズナヴールの名前をもじって組み合わせ、シャア・アズナブルという名が誕生した。また、別の説として、NHK『BSアニメ夜話』において、「シャー」と言う効果音と共に現れることから「シャア」と名付けたと富野監督自身が発言している。いずれにせよ、サンライズのキャラクター名はダジャレのようなもじりでつけるのが慣習となっている。
  • 仮面をつけている理由は、企画時には正体を隠すために自ら額に傷をつけたという設定であったが、テレビのキャラクターでそれはまずいということで没となり、本人は「顔に傷があるため」と言っているものの、実際には傷がないという設定になった。しかしながら、最終話のアムロとの決闘においてしっかりと傷がつけられている。また、小説版では当初の企画どおり自ら傷をつけている。なお、『THE ORIGIN』では虹彩異常の書類を偽装し、「常にサングラスをかけねば生活できないため」という設定となっている。
  • 赤い機体を専用機とし、赤い彗星という異名で呼ばれているという設定は、第一次世界大戦で活躍したエース・パイロットマンフレート・フォン・リヒトホーフェンが元ネタである。彼は自らの機体を赤く塗装し、赤い男爵レッドバロン)の異名で呼ばれた。現在でもエース・パイロットといえば彼の異名が真っ先にあげられるほど有名な人物である。
  • 『機動戦士ガンダム』における「シャア専用」のモビルスーツは、純粋な赤ではなく若干ピンクがかった赤(正確にはワインレッドとサーモンピンク)で塗装されているが、これはガンダムの白と対比するとどうしてもこの色ではないとうまく目立たなかったという理由であった。また、『機動戦士Ζガンダム』では赤いモビルスーツが非常に多く登場しているが、これはシャア=赤という認識を崩すためだけではなく、単にサンライズ内にて赤のインクが大量に余っていたからという理由である。
  • 当然ながら本来は最終話まで登場するライバルとして設定されていたシャア・アズナブルであったが、視聴率不振によるてこ入れにより、ガルマ・ザビが戦死し、その責を問われてドズル・ザビに左遷されたことで12話以降は一切出る予定がなくなっていた。しかし、サンライズに届いた「ガンダムの一番最初のファンになってくれた(by富野監督の奥さん)」女子中学生の葉書と、プロデューサー・関岡渉の「一番人気であったシャアを殺すことなく敵役として出し続けて欲しい」という富野監督への直談判で、シャアは26話で復活を果たすこととなる。今では日本アニメ史上に残る傑作アニメとしてガンダムは名を連ねているが、シャアを甦らせるきっかけを作ったその当時の女子中学生がいなければ現在の評価はなかったかもしれない。
  • 原作者・総監督である富野由悠季が後々に書き下ろした小説『密会 アムロとララァ』によれば、ララァと初めて出会ったのはガンジス川の畔に建つ売春宿である。詳しくはララァ・スンの項にて。なお、『THE ORIGIN』では一年戦争以前にすでに出会っている。
  • 『機動戦士ガンダム』のアフレコ時、シャアの声優である池田秀一が役作りのために富野監督に「シャアはララァと寝たんですか?」と尋ねたところ、富野監督は「そう考えてもらって結構です」と答えたという。
  • クワトロ・バジーナの「クワトロ」というのはイタリア語で「4」と言う意味であり、シャアが名乗った4番目の名前という意味で付けられている。
  • クワトロ・バジーナは劇中、戦闘時以外はサングラスをしているのが特徴であるが、2005年5月に『機動戦士Ζガンダム』が映画化されたことにより、「クワトロ・バジーナ サングラス」が公式に販売された。
  • テレビアニメ版『機動戦士Ζガンダム』終了後に、ある雑誌のネタとしてアルテイシア・ソム・ダイクンが兄であるシャア・アズナブルを討つためにネオ・ジオン軍を結成、シャア・アズナブルは別に軍を編成し、一方アムロ・レイは子供が出来、赤ん坊のニュータイプが連邦軍として活躍するという話があった。
  • 上記の通りシャルル・アズナヴール (Charles Aznavour) が元ネタであるため、後にシャアの綴りはフランス語風にCharと付けられた(なお、アズナブルの綴りが固まったのは90年代後半である)。しかし富野監督はそれを知らなかったため、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』における主役モビルスーツをHi-Sガンダムと名付けようとしていた。これは「シャアを超える」という意味であったが、前述の通りシャアの頭文字はCであると指摘されたため、この案は立ち消えとなった。結局主役ガンダムの名前はもめにもめ、最終的に次回作に登場するガンダムであったため、NEWガンダムという仮称で呼ばれていたのがちょうどギリシア文字νとうまく合致したため、そのままもじってνガンダムと名付けられた。小説『機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー』というタイトルや、『CCA-MSV』に登場するHi-νガンダムの名称はここから来ている。
  • ゲーム『スーパーロボット大戦』シリーズでは原作を倣って味方だったり敵だったりと立場の変わり方が激しいため、ある時などは「今回は裏切りません」と発売前に開発者が発言した事がある。ほとんどの作品において、アムロ・レイと並び最強クラスのパラメーターを持つキャラクターとして設定されているが、「裏切る可能性があるとわかっていれば、経験を積ませてレベルアップさせるのは無駄だ」と考えて育成を放棄するユーザーが多いためである。これはアナベル・ガトーガンダムW系の多くのパイロットにも言える。
  • 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のラストでは、アムロとシャアの最期が描かれていない為「行方不明」とされているが、富野監督と古谷徹氏との対談では、富野監督が「死にましたよ」と両者の死を広言している。
  • 2006年冬、“ファーストガンダム”の洗礼を受けた世代にとっての“歴史的偉人”シャアを実在の人物になぞらえて著した上下分冊本『評伝 シャア・アズナブル』(皆川ゆか著 講談社刊)が出版された。この本にコメントを寄せた作家・福井晴敏はシャアについて「自意識過剰でマザコン、自分しか愛せなかった男」であり、反面教師とするべきと述べている。

類似したキャラクター

シャア・アズナブルというキャラクターの印象は非常に強く、後のガンダムシリーズにも彼の特徴の一部あるいは多くを併せ持ったキャラクターが多数登場している。すなわち「仮面をかぶった謎の人物」「強固な信念と冷徹さを併せ持った男」「赤いモビルスーツに乗るライバル」といったキャラクター達である。

ガンダムがシリーズ化される以前における例

  • ガンダムがシリーズ化される以前の人物で最もシャアに似ているのは、『聖戦士ダンバイン』に登場するバーン・バニングスである。バーンは当初、主人公のライバルとして活躍し、失脚後は「黒騎士」という正体を隠した仮面の男として登場した。
  • アニメ『機動戦士ガンダム』には、シャア以外にはパーソナルカラーを持つエースパイロットは存在しなかった(ランバ・ラル黒い三連星は量産機と同じカラーリング)。そのため、シャア以外にパーソナルカラーをもつ人物として初めて設定されたのは、『モビルスーツバリエーション』のジョニー・ライデンである。ジョニー・ライデンは赤い機体に乗ったためにシャアと誤認されたといわれ、その設定が人気を博した。プラモデルがアニメの登場人物である黒い三連星の機体の売り上げを超えてしまったことにより、その後も『モビルスーツバリエーション』をはじめとする各作品でパーソナルカラーをもつ人物が多数設定されるようになった。のちにグフドムも、試験機はランバ・ラルや黒い三連星のパーソナルカラーであったものを量産機に制式採用した、という設定が付け加えられている。

宇宙世紀における例

  • 機動戦士ガンダムF91』に登場した宇宙世紀でシャアの次に現れた「仮面の男」はそのものずばり「鉄仮面」の異名を持つ強化人間カロッゾ・ロナで、素手でモビルスーツのハッチをこじ開ける上ノーマルスーツなしで宇宙空間に出られる怪人物であった。クロスボーン・バンガードを率い連邦に抗した。
  • 機動戦士Vガンダム』に登場したザンスカール帝国クロノクル・アシャーも赤をパーソナルカラーとし、(地球上では)常に白いマスクを付けていた。しかし、クロノクルは地球の大気を「埃っぽい」と嫌っている描写もあることから、デザインや用途からしても、むしろキシリア・ザビのものに似ている。
  • 機動戦士クロスボーン・ガンダム』に登場した新生クロスボーン・バンガードのエースパイロットキンケドゥ・ナウ(シーブック・アノー)とトビア・アロナクスの関係はシャアとカミーユ・ビダンの関係に似ている(キンケドゥに関しては偽名を使っている事も)。ただし、キンケドゥはシャアとは違い、最後まで「大切な人を守りたい」という確固たる信念を貫き、トビアもカミーユに比べると明るく、またニュータイプ論者としては今までのニュータイプとは違う方向に道を見出した。

宇宙世紀以外における例

その他のライバルキャラ

もっとも、シャア自身についても原点としては『勇者ライディーン』に登場する同様の敵役プリンス・シャーキンや、『超電磁ロボ コン・バトラーV』の大将軍ガルーダなどが挙げられる。因みに彼らの声優は、当初シャア役にほぼ決まりかけていた、という話もある市川治である。ちなみに、上記のノリスの声優は市川治である。

ガンダムシリーズ以外の作品における例

この節は執筆の途中です この節は、書きかけです。加筆、訂正して下さる協力者を求めています。

シャアの影響はさらに、後のアニメ、漫画、特撮作品にも影響を与え、ガンダムシリーズ以外の作品にも、シャアに類似したキャラが多く見られる。

  • 忍風戦隊ハリケンジャーに登場する敵幹部、暗黒七本槍・七の槍サンダールは、担当声優がシャアと同じ池田であり、所持している刀は「赦悪彗星刀(シャークすいせいとう)」(「シャア」+(赤い)彗星)という名前である。また、その話し方もシャアと非常に似ており、本編中にはシャアの台詞をアレンジした台詞が多く登場した。他にも劇中で、同僚である五の槍サーガインを誅殺したり、上官である首領タウ・ザントを殺害した場面は、それぞれガルマ・ザビキシリア・ザビを殺害した場面と似通っていた。また、彼の登場前に、すでに死亡した二の槍・チュウズーボの最後の台詞は、ガルマのものとほとんど同じである。

書籍

関連項目

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