メロンパン
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メロンパンは、菓子パンの一種。日本国で主に生産されている。
パン生地の上に甘いビスケット生地をのせて焼くのが特徴である。主に紡錘形のタイプと円形のタイプとそれ以外の形のタイプに分かれる。円形のものはサンライズとも呼ばれる。
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[編集] 名称の由来
名前にメロンと付くが、メロンが原材料に使われているわけではない。名前の由来は、表面のビスケット生地に数本の筋や格子状の溝が入れてある様がメロンの模様に似ているため、との説が主流である。しかし、他にも「メレンゲパン」が訛ってメロンパンになったという説や、生地の中に実際にメロンフレーバーが加えられていたためそう呼ばれるようになったとする説もある。
[編集] 歴史
[編集] 紡錘形のメロンパン
メロンパンは、明治時代後半から第一次世界大戦後の日本で作られ始めたとされている。洋食店などで使われるライスを成型するのに用いる食型で成型して焼き上げていたため、この当時のメロンパンはアーモンドを縦に割ったような紡錘形をしていた。上に乗ったビスケット生地の表面には数本の溝が付いたが、この形がマクワウリに似ていることからメロンパンという名で呼ばれるようになった。マクワウリなのにメロンパンとは奇妙に思えるかも知れないが、マクワウリはメロンの亜種であり、当時「メロン」として売られていた事実があるからである。神戸や京都などで売られていたものは、中には白餡が入っていた。後に広島県周辺の地方などで、これを模倣する形でカスタードクリーム入りのものも作られた。
[編集] 円形のメロンパン(サンライズ)
その後、日の出の形を真似て、円形で上にビスケット生地を乗せたパン、サンライズが誕生した。それが一般化するにつれ、旧来の紡錘形のメロンパンは次第に姿が減少していった。また、大正時代に入りマスクメロンが日本に輸入されてくるようになると、「メロン」という言葉で丸いマスクメロンが連想されるようになる。サンライズとメロンパンは別物であったが、マスクメロンに形が似ているサンライズも混同されてメロンパンと呼ばれるようになった。大手の製パン業者もこれに倣い、それまでサンライズという名で製造していたものをメロンパンと改めた。近年では、自動車を使っての屋台方式で円形のメロンパンのみを実演販売する専門店が増えている。
関西(大阪地域は含まず)の一部店舗では、現在でも円形のサンライズと紡錘形のメロンパンの両方が製造・販売されている。また、神戸や京都などではサンライズを「サンライス」と音濁なしに呼ぶ人も少なくない。
広島県・山口県・愛媛県の一部では、コッペパンと呼ばれる。他の地方で言うコッペパンの事は、これらの地方では「味付けパン」「給食パン」などという名で呼ばれる。
[編集] 近年のメロンパン(その他の形)
近年、円形のものを中心としたメロンパンの変種が次々と作られる中で、中にはメロンの形とは全く無関係の長方形や楕円形などの形をしたメロンパンも登場している。また、表面にビスケット生地が乗せられてはいるものの、平行線が付けられているなどメロンの表面の模様を全くイメージしていないものも多い。
また、ヴェルデ(キユーピー系列)からは食パンなどの上に塗って、電子レンジなどで加熱するだけでメロンパンが作れるスプレッド「メロンパン風トーストスプレッド」が発売されている。
[編集] メロンパンの変種
[編集] メロン入りのメロンパン
フルーツパーラーを経営している新宿高野が、生地やクリームにメロン味を付けた丸いメロンパンを作って販売したところ、たちまち大ヒット。これを受け、競合メーカー他社も「メロン味のメロンパン」をも製造するようになった。
高野もメロンパンのヒットを受け、果汁を生地に混ぜ込みフルーツ感を重視した、同様のパン(バナナやマンゴーなど)を追加発売し、好評であった。
[編集] フルーティーメロンパン
山崎製パンの製品。丸いメロンパンの中にシロップ漬けのドライフルーツがちりばめてある。ビスケット生地の上に粉糖がふってある。ビスケット生地の模様は十文字ではなく、中心から放射状に線がでている。
[編集] パイナップルパン
香港などの中国語圏で定番となっているパン。香港では広東語で「菠蘿包」(ポーローパーウ、bo1lo4baau1)と言う。日本のサンライズよりも直径がやや小さく、高さは高めとなっているが、ビスケット生地を乗せて表面に十字の模様を入れるのは日本のものと同じ。表面がパイナップルに似ているということで、パイナップルパンを意味する呼び方が使われているのであって、パイナップル成分は入っていない。「茶餐廳」と呼ばれる軽食喫茶店では定番メニューとなっており、パン屋でも人気がある。
また、焼きたてのもの、もしくは電子レンジで温めたものの中腹に水平に切り込みを入れ、厚めにスライスしたバターを夾んだハンバーガーのような形の「菠蘿油」(ポーローヤウ、bo1lo4yau4)も茶餐廳の定番メニューである。メロンパンの甘さとバタートーストの濃厚さを同時に楽しめ、ぱさつきも少ないという秀悦な食品と言える。日本のサンライズを暖めて、バターを夾んでも類似の味を楽しめる。
最近は中国の上海・北京などでも焼かれるようになり、それらの地方では中国語で「菠蘿麺包」(ポールオミエンパオ、bōluó miànbāo)と呼ばれている。形は高さが低めのため、サンライズを小振りにしたもののように見える。
台湾のベーカリーでも「菠蘿麺包」という名で販売され、ポピュラーな存在となっている。香港や中国大陸のものと異なり、一般的に形や大きさは日本のサンライズと類似しており、比較的ぱさついた食感のものが多い。また、表面の模様は日本のサンライズよりもはっきりとついている事が多い。小豆やチーズなどを混ぜ込んだり、パイナップル、メロン、イチゴなどの香りをつけたバリエーションを焼いている店もある。メロン風味のパイナップルパンは、まさにメロンパンであるが、「哈蜜瓜菠蘿」(ハーミークワポールオ、hāmìguā bōluó)と呼ばれたりする。直訳すると「ハミウリパイナップル」である。
日本では、敷島製パンがパイナップルの粉末果汁をビスケット生地に練り込み、パン生地にパイナップルの果肉を混ぜ込んだ、パイナップルを形取った楕円形のパイナップルパンを販売している。葉っぱを形取った緑色のビスケット生地の部分があり、紙の型に乗せているのも特徴的だが、全体の食感はメロンパンの変種と言えるものである。
[編集] マーガリンメロン
メロンパンの生地を切り開いて、マーガリンを塗り、サンドイッチ状に仕上げたもの。香港の「菠蘿油」に類似している。神戸屋がファミリーマートを通じて長方形のものを2006年に販売した他、オイシスはサンライズを使った物を販売している。電子レンジで短時間温めるとマーガリンが生地に染みて、ぱさつきのない食感が楽しめる。
[編集] その他
チョコチップ、黒豆、メロンクリーム、蜂蜜、メープルシロップ、生クリームなどを入れたメロンパンを製造・販売している企業もある。
[編集] 関連項目
[編集] メロンパンにまつわるエピソードが描かれている作品
- アンパンマン(漫画・アニメ)
- この作品に登場するキャラクター・メロンパンナは、メロンパンがモチーフ。しかし、アンパンマンのように顔の部分が入れ替えられる事はない。
- えすぴー都 見参!(漫画)
- 主人公・五条都はメロンパンが大好物。収入の半分をメロンパンと牛乳の購入に割り当てている。
- 灼眼のシャナ(小説・漫画・アニメ)
- ヒロイン・シャナの好物がメロンパン。シャナ曰く、カリカリ(外側)とモフモフ(内側)を交互に食べるのが通らしい。
- ドラえもん(漫画・アニメ)
- 焼きたて!!ジャぱん(漫画・アニメ)
- 主人公・東和馬が独自のメロンパンを作製する。この創作メロンパンをモチーフにしたパンがヤマザキパンから「クッキーメロンパン」という名で市販された。
[編集] メロンパンにまつわるエピソードを持つ著名人
- 歌手。メロンパンとパンダを組み合わせた「メロンパンダ」というキャラクターをデザインした。
- 珍名を付けることで知られる馬主。「メロンパン」という牝馬を所有していた。
[編集] メロンパンが好きな著名人
[編集] 外部リンク
NIKKEI NET 食べ物新日本紀行 メロンパンとサンライズの呼称による日本地図
カテゴリ: 出典を必要とする記事 | パン