信長の野望 (初代)
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信長の野望(のぶながのやぼう)は1983年に株式会社光栄(現コーエー)が発売した日本の戦国時代をテーマとした歴史シミュレーションゲーム。日本のゲーム市場において「歴史シミュレーション」というゲームジャンルを確立した。信長の野望シリーズの第1作である。
1996年にWindowsおよびプレイステーション用にリメイクされた、「信長の野望 リターンズ」についても本項で述べる。
コーエーが携帯電話向けに行っている対戦型ウェブゲームサービスも、サブタイトルは付かない点は初代と共通するが、両者は全く違うゲームシステムである。
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[編集] 内容
[編集] 概要
大名家の当主となり、内政で自国を富ませて軍事力を蓄え、他の勢力を合戦で討ち滅ぼすことで全国統一を果たして戦国の世を終わらせるのが最終的な目的となる。
同盟を含め外交手段は存在しないため、全ての国を支配下に入れる必要がある。
[編集] 経営型シミュレーションゲームという発明
当時「信長の野望」が画期的だったのは、合戦型シミュレーションに、経済と経営の概念を取り入れたことである。 従来の戦争シミュレーションというと、将棋のような戦術レベルでの駒の取り合いか、囲碁のような戦略レベルの陣地の取り合いのどちらかで、あくまで盤面で遊ばれるボードゲーム類の延長でしかなく、極めて一元的なものであった。 ところが本作は、「領国経営 - 戦略地図 - 戦術地図(合戦マップ)」という3つのフェイズが連続して存在し、それぞれのデーターの連動性と複雑さは、コンピューター時代のシミュレーションゲーム(以下SLG)の幕開けともいえる奥行きを感じさせた。
ここで特筆すべきは領国経営フェイズであろう。 プレイヤーである織田信長は、領国に対し様々な政策を施すことによって、領内の経済を発展させ、軍資金と兵糧を確保する。敵国に打ち勝つためには、豊富な経済力を背景にした多数の兵力が必要不可欠であり、まさに富国強兵をシミュレートした先駆け的ゲームでもある。現代の会社経営にも通ずるこうした経済的な概念は、一般プレイヤーの歴史に対する親しみと理解と深めることにも成功し、「信長の野望」は大ヒットをもって迎えられた。なかでもこの初代「信長の野望」は、当時の様々なパソコン機種に登場し、オフィスコンピューターでも遊ぶことが出来た。
システムの都合もあって、すべての大名が完璧な兵農分離を信長に先んじて行っていたり、大名と国人・家臣の主従関係が絶対だったりするなど、史実と異なる面も多々あるが、わかった上でそれらの相違を見比べる楽しみもある。
経営型SLGという大きな発明は、三國志シリーズを始めとして、後々の多くの作品に引き継がれることになり、歴史SLG=経営型SLGという認識を植え付け、光栄というソフトメーカーをこの分野の最大のブランドに押し上げる原動力になった。
余談であるが、光栄は本作の成功に手応えを感じたのか、会社経営そのもののシミュレート化にも意欲をみせ、「トップマネジメント」(1984年)「トップマネジメント・産能大編」(1989年)という、法人向けの研修用ソフトの開発も行っている。
[編集] 初代「信長の野望」の特徴
ジャンル | 歴史シミュレーション |
対応機種 | PC-8801 PC-6001 FM-7 X1 MSX |
開発元 | コーエー |
発売元 | コーエー |
人数 | 1~2人 |
- ゲーム開始画面は「シンプルな中にも味のある毛筆の題字」。「兜の簡素なイラストが戦国乱世の無常さを彷彿とさせる。」(この2つは信長の野望・烈風伝同梱の「信長の野望シリーズの足跡」から引用。)
- プレイヤーが担当する大名は織田信長のみ。
- 関東から近畿までの17ヶ国を制覇することが最終目的。
- 2人までのマルチプレイ(対戦プレイ)が可能。
- 2人目のプレイヤーは武田信玄を担当。
- ゲーム画面は、ほぼ線画と文字と数字だけで構成されており、ゲーム中は織田信長の顔すら表示されない(大名それぞれに顔グラフィックが用意されたのは、続編の「信長の野望・全国版」から)。
- 戦争画面では、兵力を分割された五つの部隊を操作して戦う。第一部隊が全滅すると負けになる。続編の「信長の野望・全国版」では、それぞれの部隊比率の編成が可能になった。
- パッケージのイラストは、有名な織田信長の肖像画をモチーフにしたもの。
- プログラムはBASICで作成されていた。そのため、多くの機種において、プログラムの閲覧が安易で、簡単に内容を書き換えることができた。発売当時は画期的な内容だったが、今の視点でみると、非常に荒っぽい計算で成り立っており、バグ的な要素も多数見受けられる。
- 後の作品では定番となった「イベント」がいくつか隠されており、プレイヤーの中ではこれを見つけることが密かに流行していたようである。たとえば、夏に民に施しを行うと、その年の秋に通常の生産量以上の米の収入があるというもの(機種によってはない場合があったようだ)。
- 大名死亡による領土分割:大名が寿命で死ぬと、隣国の大名に領土が分割される。高齢の「百地」が隣国にある場合によく見られた。
[編集] 「信長の野望 リターンズ」の特徴
ジャンル | 歴史シミュレーション |
対応機種 | Windows95~XP プレイステーション |
開発元 | コーエー |
発売元 | コーエー |
人数 | 1~2人 |
メディア | CD-ROM |
基本的なゲームシステムはオリジナル版と同じだが、主な相違点を述べる。
- ポリゴンで表現された大名の顔グラフィックが常に表示されている。(ただし1995年発売の作品であるため、グラフィックは現在から見ると粗い)
- 大名顔グラフィックは別売のコーエー製の3DCGソフト・サイクロンシリーズで変更可能とマニュアルには記述。
- 音楽はCD-DAによるオーケストラ演奏とMIDIから選択可能。
- オープニング~ゲーム開始まで:「覇王序曲」
- 戦略時の音楽(信長):「天魔鬼神 上の巻」
- 戦略時の音楽(信玄):「甲斐の虎 上の巻」
- 戦争画面の音楽:「破軍」
- ゲームオーバー時の音楽:「陰雨蕭々」
- セーブは5か所まで可能。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 信長の野望リターンズ 公式サイト
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