信長の野望・武将風雲録
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ジャンル | 歴史シミュレーション |
対応機種 | PC-98 PC-88 MSX2 X68000 FM TOWNS DOS/V Windows95~XP ファミリーコンピュータ スーパーファミコン メガドライブ PCエンジン プレイステーション 携帯電話 |
開発元 | コーエー |
発売元 | コーエー |
人数 | 1~8人 |
信長の野望・武将風雲録(のぶながのやぼうぶしょうふううんろく)は1990年光栄(現コーエー)からパソコンPC-9800シリーズ用に発売された歴史シミュレーションゲーム・信長の野望シリーズの第4作である。「武将風雲禄」は誤り。「風雲録」と略されることもある。
その後PC-8800シリーズ、MSX2、X68000、FM TOWNS、ファミリーコンピュータ、スーパーファミコン、メガドライブ、プレイステーション、Windows、ドコモ携帯FOMA等多くの機種に移植された。特に8ビット機パソコン向けとしてはシリーズ最終作となった。また、ゲームボーイアドバンス(GBA)版の「信長の野望」は、サブタイトルは付いていないが内容的には本作のリメイクである。本項ではGBA版についても相違点も含め述べる。
なおWindows版については、コーエー定番シリーズとして発売されているものとコーエー25周年記念パックVol.7に収録されているものは異なる。前者はWindowsでのリメイク版であり、後者はPC-98版をエミュレータ上で動かしているものと考えられる。
目次 |
[編集] 内容
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 概要
機種により違いはあるが、最大8人対戦が可能。基本的には国を奪って全国統一を目指すのが目的である。
前作の「戦国群雄伝」をベースに改良が加えられ、内容は充実している。たとえば、前作に存在しなかった九州・東北が加わった。
武将と兵士には、税収月(1月は金、7月は米)に俸禄を支払う。武将や兵士を雇いすぎると赤字になり、支払い切れなかった分の兵士は逃亡し、武将の忠誠度は下がってしまう。
本作では戦闘が野戦と籠城戦が分かれ、攻められた大名は戦闘開始時に選択する形になった。籠城戦に限り守備側は援軍を呼べるため、攻撃する際には野戦に持ち込むための駆け引きが要求されるようになった(攻撃側は他大名と連合軍で攻めることができる)。
ただし、コンピュータの思考ルーチンはそれほど優秀ではなく、姉小路家でも序盤を乗り切れば勝てる難易度(機種によりある程度差はある)である。一方で、コンピュータのみの進行では天下を統一する勢力はまず現れない。オートのまま放っておくと最後の武将、たいていは毛利秀就[1]が亡くなると「戦国武将がいなくなり平和になりました」と表示される。
[編集] パラメータ
武将の能力パラメータは隠しパラメータも含めて「政治」「戦闘」「教養」「魅力」「野望」「義理」「相性」「寿命」。さらに本作から誕生年・登場年も設定された。評価の項で後述する竹中半兵衛の能力値の奇妙さは、次作の覇王伝から新設される「智謀」にあたるものが本作にはなかったことからきていた。
[編集] 戦国時代の文化面を表現
武将の能力を高めるために作られた「茶会」や「教育」などのコマンドを新たに追加、鉄砲や鉄甲船の開発、また海戦(シリーズ初導入)で圧倒的な力を発揮する鉄甲船等の導入など、大幅にパワーアップした(茶会や鉄砲・鉄甲船は、史実で織田信長が戦略的に利用していた)。
このほか商人と仲良くなって茶道道具「茶器」を購入したり、歴史上の事件を再現するなどのイベントを増やしたりなどの変更が加えられた。
[編集] ゲームモード
難易度は初級・中級・上級の入門モード、そして実力モードの4つに分かれ、歴史イベントの多くは実力モードにしか発生しない。また、実力モードは一人プレイ専用。この他、コンピュータの進行を見守るだけの観戦モードも存在し、コンピュータの思考は実力モードとなった。
- 入門モード
- 好戦的で、守りを考えない。
- 取ったり取られたりの消耗戦となり、結局大勢力に育たないケースがほとんどである。
- 前線と後方の区別も行わず、後方に武将や兵士が大量に溜まっていることもしばしばある。
- 戦争では、他国に攻め込む際多くの武将を出陣させる傾向にある。そのため、各個撃破がたやすい。
- 「初級」「中級」「上級」の差は、ほぼチートの差と見てよい。この順番にコンピュータ有利となり、逆にプレイヤー担当勢力のコマンド効率は悪くなる。
- 実力モード
- あまり戦争を起こさない(一度起こすと、連続して攻め込むこともある)。
- 前線と後方の区別は行い、最前線に武将と兵士を集中させてくる。
- 戦争を起こすと、攻撃側ならば最小限の武将に兵士を集中させてくる。
入門モードの序盤では実力モードより手強く感じることもある。
シリーズを通しても本作のコンピュータは戦争を起こしにくい方で、機種によってはゲーム開始から10年以上経っても勢力図が変わらないこともある。またプレイヤー担当勢力とコンピュータ担当勢力のコマンド効率の差は(機種により差はあるが)かなり大きく、コンピュータ担当勢力は急速に内政を進め、10から20年程度で鉄砲・鉄甲船の建造を行える技術力を身につける。また、兵士数も勢力によっては急速に増加する。収入もコンピュータ勢力が多くなる。ただしプレイヤー担当勢力と収入差が小さい機種では、兵士や武将への俸禄をまかないきれず、自滅することも多い。
[編集] 特徴的な武将
本作での飛騨(現在の岐阜県北部)の大名・姉小路家は弱くすぐに攻められ滅ぼされることが、ファンの間では有名になった(なお前作では山脈の概念がなかったことから飛騨山脈の先の武田家に攻められていた)。また上杉謙信の戦闘力が見た目の数値以上に高いことも話題となった(彼の異常なまでの戦闘能力は、これ以降のシリーズでもほぼ共通している)。
すぐに謀反を起こし大名になる三好家の松永久秀も有名だった。(実力モードでは大内家の陶晴賢や斎藤家の斎藤義龍も。なお、陶晴賢はゲームでは大内義長を殺して謀反を起こすことがあるが、実際は先代の大内義隆を討っているので、史実とは微妙に異なっている)。
[編集] シナリオ
シナリオとしては信長が尾張を統一した頃(1555年「戦国の動乱」)と室町幕府第15代将軍足利義昭が反信長勢力として暗躍していた頃(1571年「信長包囲網」)の2つが用意されており、ある一定の条件を段階的にクリアすると、シナリオ3が登場し本能寺の変直後の状態でプレーできるようになった。織田信長死後のシナリオは、シリーズ初であった(タイトルは違うが、ゲームボーイアドバンス版は、初めから本能寺の変シナリオが存在する。また、ファミコン版・スーパーファミコン版などは、このシナリオはない)。
[編集] 裏技
代表的なものを挙げる。特に茶器回しは「武将風雲録と言えば茶器回し」とも言えるくらい有名である。
- 茶器回しで武将の忠誠度を少ない出費で簡単に上げる
- 条件は武将が茶器を1個以上所持していること、国を2カ国以上支配していること。
- 武将に茶器を与える。
- その国の城主を茶器を与えた武将にする。
- 次のターンで城主の茶器を家臣に与える。
- 茶器を所持している家臣を新たな城主にする。
- ※以降は3番目と4番目を繰り返せばよい。
- 脅迫に屈しない大名を配下に
- 本作では大名を滅亡させると「逃がす」という選択肢はなく、大名は有無を言わさず自害してしまう。よって外交コマンドの「脅迫」は敵大名を配下にする唯一の手段であるが、政治、戦闘、教養の合計が240以上の大名などは決して屈さない(織田信長や武田信玄など)。そんな大名を配下に加える裏技である。ただし敵援軍が必要。
- 大名を一国だけに追い詰め、篭城戦を選択させる
- その際出陣元の国を空白国にする(その国の全武将で攻め込む)
- 敵援軍、敵軍の武将を全て捕らえる
- 戦後処理で敵援軍の将を解放する(この武将は空白国に必ず逃がされる)
- 大名の処遇時にはなぜか「逃がす」が選択肢にあるのでこれを選択。
- 大名は一般の浪人と同じ扱いとなるので登用の機会が生まれる。
- ※なお、本願寺光佐でも可能だが友好度によっては滅亡しているにも関わらず一向一揆が起こるのでその点を留意。
- 他国の情報探索を一発で成功させる
- 「鬼島津」で機動力と攻撃力アップ
- 島津家を選択していることが前提条件。
- 金山を複数回掘れる
- 金山を掘ったら、セーブしていったん終了する。
- データをロードすると、また金山が掘れる。
- ※これを繰り返すと、1ターンで最大4回金山が掘れる。
[編集] ゲームボーイアドバンス版「信長の野望」の特徴
ジャンル | 歴史シミュレーション |
対応機種 | ゲームボーイアドバンス |
開発元 | コーエー |
発売元 | コーエー |
人数 | 1~8人 |
発売日 | 2001年9月28日 |
価格 | \6,800 |
2001年9月28日に発売されたゲームボーイアドバンス用ソフト。サブタイトルは付いていないが、 「武将風雲録」をリメイクしたものである。
オリジナルと比較すると、次の点が異なる。
- 登場人物の顔グラフィックが烈風伝などの風雲録以降の作品から流用している
- 従来は隠れシナリオだった「本能寺の変」が初めから選択可能
- 全6本のショートシナリオで最大4人までの通信対戦プレイが可能
- 対戦用シナリオ
- 宿敵を倒せ
- 金を貯めろ
- 兵を集めろ
- 領国を盗れ
- 京を目指せ
- 信長を討て
- 後の作品に準じて、名義が変更された武将がいる(金上遠江守→金上盛備など)
- ごく一部の武将が、別人に差し替えられている(高力清長→本多正純など)
- 武将の略歴を見られる「列伝」の追加(ほとんどが烈風伝などからの流用、風雲録にしか登場しない人物については文章がやや稚拙)
それ以外はこれといった変化はなく、リニューアルバージョンとしてみていい。
[編集] 評価
本作は既にレトロゲームの範疇に属するが、素朴かつ高いゲーム性であることに今も根強いファンがいる。だが合戦中に本陣に居座る鉄砲隊や海戦における鉄甲船の異常な強さ、上杉謙信の合戦における異常な強さ、竹中半兵衛の能力が戦闘力重視の能力配分であるアンバランスさなど、気になる点も多い。更には仏に仕えるはずの本願寺光佐のところに宣教師が来訪する、CPUの武田信玄などがスタートから10年足らずで鉄砲隊をフル装備にする、東北地方は「陸奥」「出羽」でまとめられていて東北の大名分布の多彩さが表現されていない、など歴史的におかしい部分のある作品でもある。
またタイトルが変更されたものも含めれば多数のハードに移植されたが、初期のものにあった、「オープニングの大名紹介」、「大名によっては特殊なエンディングになる」など、後期のものでは削られている要素もある。
[編集] 外部リンク
- 信長の野望・武将風雲録 公式サイト
- 携帯版公式サイト
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