奈良公園
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奈良公園(ならこうえん)は、奈良県奈良市の若草山麓に広がる都市公園。国の名勝。
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[編集] 概要
太政官布達により明治13年(1880年)2月14日開園。大部分が国有地で、奈良県が無償で借用し管理している。正式名称は「都市公園法」に基づくと「奈良県立都市公園 奈良公園」といい、総面積は502ha。
周辺の興福寺、東大寺、春日大社、奈良国立博物館、なども含めると総面積はおよそ660ha(東西約4km、南北約2km)に及ぶ。この広大さは東京ディズニーランドの13倍にもなる。通常はこの周辺社寺を含めたエリアを奈良公園と呼ぶことが多い。
公園内には多くの国宝指定・世界遺産登録物件が点在し、年間を通じて日本国内のみならず外国からも多くの観光客が訪れ、日本を代表する観光地の一つとなっている。奈良の大仏や鹿は国際的にも有名で、奈良観光のメインとなっており、修学旅行生の姿も多く見られる。
東大寺修二会やなら燈花会、正倉院展、春日若宮おん祭など古都ならではの見ごたえのある行事も数多い。
塀・柵・門などがなく入園料も不要なのでどこからでも、いつでも(365日・24時間)散策することができる。なお、「史蹟名勝天然記念物保存法」に基づく名称は「名勝奈良公園」である。
[編集] 公園内施設
太字は世界遺産。
- 若草山
- 東大寺(奈良の大仏)[1]
- 正倉院
- 手向山八幡宮
- 春日大社
- 春日山原生林(春日奥山道路)
- 神苑
- 鹿苑
- 興福寺
- 浮雲園地
- 奈良県新公会堂[2]
- 春日野園地
- 奈良公園シルクロード交流館[3]
- 登大路園地
- 奈良国立博物館
- 氷室神社
- 日吉館
- 依水園
- 飛鳥園
- 浅茅ヶ原園地
- 片岡梅林
- 円窓亭
- 浮御堂
- 鷺池
- 荒池園地
- 飛火野園地
- 猿沢池園地
[編集] 奈良公園と鹿
公園内の大部分は芝生に覆われ、約1200頭に上る鹿が放し飼いされている。彼らは観光客に愛嬌を振りまき、首を縦に振って鹿せんべいをねだる姿が人気を集めている。なお、この公園に鹿が放し飼いされていることには以下のような由来がある。
すなわち、鹿は春日大社の神使であり、春日大社創建の際、鹿島神宮の祭神が神鹿に乗ってやってきたと伝えられる(春日大社は鹿島含め3社の分霊)。それゆえ、奈良公園の鹿は古くから手厚く保護されてきており、不慮の事故も含め、殺めると厳しい刑罰を受けた。伝説によると誤って文鎮で鹿を殺してしまった子供が鹿の死骸とともに生き埋めとなり、その墓が奈良公園周辺に残っている。今でも地元の住民は鹿に愛着の念と共に畏敬の念を併せ持つといわれる。
この鹿は野生による繁殖で、基本的には餌付けされていない。その上神格化していたために手厚い保護の下で、個体数を増やしていった。近世~戦時の間は食糧確保のため狩られ、その結果頭数が二桁まで激減したが、その後は奈良市が「財団法人 奈良の鹿愛護会」を作り、保護に努め、その結果今日の生息数に至っている。この鹿は野生鹿として国の天然記念物に定められており、傷を付けたり悪戯したりした場合は文化財保護法違反の罪で罰せられる。
特に近年は観光客が運転する乗用車と鹿の衝突、接触事故が多発しており(鹿の死因のトップにもなっている)、奈良公園界隈の道路では、常に鹿の飛び出しに注意を払わねばならない。もっとも、明らかな故意でない限り、鹿を撥ねたからといって罰せられるわけではない。
また奈良公園では、鹿が道路を横断して交通を妨げたり、付近の家や敷地に入り込む光景がしばしば見られる。また奈良県庁の庭にも、稀に近鉄奈良駅までやってくる事もある。深夜にはかなり遠出もしているようで、JR奈良駅周辺にも出没することがある。過去にはJRの踏切で鹿が電車にはねられたこともある。
[編集] 鹿の頭数の謎
奈良の鹿については保護団体である「奈良の鹿愛護会」が毎年調査しており、2006年発表の調査によれば、全1248頭(前年比82頭増)、内オス232頭、メス797頭、小鹿219頭である。ただ不可解なことに、死亡頭数302に対し出産予測頭数は264で、死亡数が38頭も上回っているのに、生息数は82頭増えている。
[編集] 年間行事
- 若草山焼き(成人の日の前日)
- 鹿寄せ(1月29日~3月11日までの毎日)
- 春日大社節分万燈籠(2月3日 節分の日)
- 興福寺追儺会(2月3日 節分の日)
- 東大寺二月堂修二会(3月1日~3月14日)
- 若草山春の開山 (3月18日~6月18日)
- 興福寺北円堂 春の特別開扉 (4月28日~5月7日)
- 東大寺聖武天皇祭 (5月1~3日)
- 氷室神社献氷祭 (5月1日)
- 春日大社 子供の日舞楽演奏会(5月5日)
- 薪御能(5月11日・12日)
- ライトアッププロムナードなら(7月1日~10月31日)[4]
- 東大寺解除会(7月28日)
- なら燈花会(8月6日~8月15日)[5]
- 東大寺大仏様お身ぬぐい (8月7日)
- 春日大社中元万燈籠 (8月14日・15日)
- 東大寺万燈供養会(8月15日)
- 大文字送り火(8月15日)
- バサラ祭り(8月末期)[6]
- 奈良県新公会堂庭園芝能(9月10日)
- 若草山秋の開山 (9月10日~11月27日)
- 猿沢池采女祭(9月18日)
- 興福寺塔影能10月1日)
- 鹿の角きり (10月上旬の土日祝)
- 興福寺南円堂特別開扉(10月17日)
- 春日大社 文化の日 舞楽演奏会 (11月3日)
- 正倉院展 (11月下旬~12月上旬)
- 春日若宮おん祭 (12月15日~12月18日)
- 東大寺 法華堂執金剛神像特別開扉 (12月16日)
[編集] 交通アクセス
又はJR・近鉄の各奈良駅から市内循環バス外回り「氷室神社・国立博物館」・「大仏殿春日大社前」・「春日大社本殿」下車。
- 名阪国道天理インターチェンジから国道169号を北へ9km。
- 第二阪奈有料道路宝来ランプから大宮通りを東へ6km。
- 京奈和自動車道木津インターチェンジから国道24号(奈良方面)~国道369号で10km。
[編集] その他の情報
- 公園内では観光用の人力車が営業している。
- フランスの作曲家オリヴィエ・メシアンの作品「7つの俳諧」(1962年)の第2曲には「奈良公園と石灯籠」というタイトルが付けられている。この「7つの俳諧」は、メシアンが1962年に来日し奈良をはじめとする日本各地を訪れた折の印象を作品としてまとめたものである。