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火縄銃 - Wikipedia

火縄銃

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

種子島火縄銃(愛知万博のポルトガル館展示物)
種子島火縄銃(愛知万博ポルトガル館展示物)
火縄銃(姫路城天守閣蔵)
火縄銃(姫路城天守閣蔵)

火縄銃ひなわじゅう)は、初期の鉄砲の形態のひとつ。先込め式で、黒色火薬を使用する。

火縄銃は、15世紀末にヨーロッパで発明されたと考えられ、マッチロック式銃とも言う。 引き金を引くと火をつけた火縄が火皿と呼ばれる部品に落ちる。火はそこから口薬(くちぐすり)と呼ばれる微粉末黒色火薬に引火し(胴薬)(どうぐすり)または玉薬(たまぐすり)と呼ばれる装薬に伝わり、そこで一気に燃焼(爆燃)、弾丸を射出する仕組みになっていた。方式としては瞬発式火縄銃緩発式火縄銃とがある。

火皿を覆っていたフタは火蓋と呼ばれる。慣用句「火蓋を切る」はこの火蓋を指す。(後述)

目次

[編集] 概説

それ以前の銃器は、火種(火縄など)を手で押し付ける方式(タッチホール式)であった(の「突火槍」、の「火竜槍」、1300年頃のロシアの「マドファ」など)ことから、扱いが難しく命中精度も低かった。この欠点を補うため火縄をS字型金具(サーペンタイン)ではさんで操作するサーペンタインロック式が考案され、さらに銃床など構造面の整備が進み、火縄銃が完成した。

日本には1543年種子島に伝来したことから、種子島銃あるいは単に種子島と呼ばれた(後述)。(但し厳密にはすべての火縄銃を「種子島」と云わず、比較的に太く短いものをさすことが多い)

銃の仕組みはその後、マッチロック方式の欠点(特に夜間戦で敵にこちらの位置を教えることになるなど)を克服するため、ヨーロッパでは回転する鋼輪(ホイール)に黄鉄鉱片を擦り付けて着火する方式(ホイールロック式)や、燧石火打ち石:フリント)を鉄片にぶつけて着火する方式(フリントロック式)が発明された。

博物館の中の火縄銃と、現代のライフルなどを比較すると、グリップ付近の形状が大きく異なる。これは、火縄銃は火薬の大きな反動を受け止める必要がなかったクロスボウの影響を受け、その弓部分を取り払った形態にデザインされていた為と言われる。そのため、現代のいわゆるライフル銃のように台尻を肩に当てて、脇を締めて発射することはできず、弓を番えるように肘を外に張って射撃するスタイルで使用されていた。(但しヨーロッパの火縄銃は肩当ストック型のものの方が多く短床型の方が少数派)

なお、本邦の火縄銃が頬付け形に終始し、肩付け形の銃床にならなかった理由には、戦国期においては鎧武者による射撃に適さないことや鉄砲狭間からの射掛けにおいて邪魔であるという用兵上の事情、泰平期においては流儀による形態・射法の継承による硬直化等が指摘されている。

[編集] 日本での火縄銃史

従来、『鉄炮記』の記述により日本への鉄砲伝来は1543年の種子島よりはじまるとされてきた。

しかし、近年では、東南アジアに広まっていた火器が1543年前後に倭寇勢力により日本の複数個所に持ち込まれ、伝来当初は猟銃として用いられていたとの説が有力である(宇田川説)。 また欧米の研究家には、欧州の瞬発式メカが日本に伝えられて発展したものが、オランダによって日本から買い付けられて東南アジアに輸出されたものが手本となり、日本式の機構が東南アジアに広まったとする説も少なくなく、宇田川説を否定的にみる意見もある(つくば科学万博においてポルトガル館で展示された「スリランカの火縄銃」は、日本製の銃に現地好みの木象嵌を銃床に施した「輸出仕様の堺筒」との見方が日本の古銃研究家の間で囁かれ、この説を裏付ける資料とされる)


戦国時代以降、日本では近江国友紀州根来大坂が鉄砲の三大生産地として栄えた。根来のみは織田信長豊臣秀吉による紀州攻めの影響で桃山期以降衰退したが、国友と堺はその後も鉄砲の生産地として栄え、高い技術力を誇った。

なお日本では、伝来から幕末までの永きに渡り火縄銃から進歩しなかった理由として、江戸時代に入って徳川綱吉によって諸国鉄砲改めによる百姓の狩猟及び銃の原則所持禁止、銃器の移動制限がなされたことや鎖国の影響による技術進歩の停滞という通説、フリントロック式は火縄式に比べ強力なバネが装着されており、撃鉄作動時の衝撃が大きく、引金を引いてから一瞬遅れて装薬に着火する機構のため銃身がぶれ、火縄銃に比べ命中率が悪く「一発必中」を好む日本人からか嫌われたらしいことのほかに、日本では良質の火打石が産出せず大量生産ができなかったこと、またおそらくはすべての武術と同じく鉄炮術も一種の競技的な要素を含んで流派形式で継承されたため、その結果必然的に器具類の改変は避けられた、という要素も大きく、幕末に実戦を前提として新式銃が輸入されるまでほとんどの銃器が火縄式のままであった。

但し例外として、各大名諸藩で極秘裏に様々な銃器が研究されていたことも事実であり、そのバリエーションは多岐にわたる。幕末新式銃渡来直前に海外事情も考慮して模造、試作されたものの他には、実用の可能性を想定していたものかどうかは何とも評しようがないものが多い。火皿を3つ付けたものや、銃身がリボルバーのように回転する物など三連発の火縄銃や水平二連式短銃など、様々なものが試製されていた。

学校教育で用いられる教材などで、当時の日本の輸入品として火縄銃が挙げられていることがある。これは厳密には誤りではないが、上記のように国産品が大量生産されていた事実を考え合わせると、時代の概略を掴む際に歴史認識を誤る恐れがあり、適切な記述とは言えない。

[編集] 運用方法

[編集] 使用方法

基本的な方法は

1.火縄に着火しておく。複数の着火した火縄を準備することが多い。
2.銃口へ発射薬である胴薬と弾丸を装填する(後に早合が発明されると装填の手間は大幅に軽減した)。火薬と弾丸はさく杖で銃身の奥へ押し固める。
3.火皿に点火薬である口薬を入れ、火蓋を閉じ、火の点いた火縄を打ち金に挟む。この口薬の容器は長さ5cm~8cmの水筒型が定番であり,火薬を注いだ後、手を放すと自然に腰にぶら下がりキャップがパイプに被さる仕組みになている。これを腰にぶら下げるのが典型スタイルである。
4.構えて狙いを付ける。標的の体に当る可能性を高める為に胴体の中心を狙う。距離は標的の目の白黒が見える位、とされた。
5.火蓋を開け、引き金を引き発射。
6.再装填。熟練兵士なら約20秒に一発発射したという。(昭和末期の実験では18秒程度)

[編集] 兵士の配置

火縄銃は、戦国時代中期以降、足軽の主要武器の一つとしてその比重を増していった。 日本の戦国時代~江戸時代においてはひとつに対し、鉄砲組(20~50名)を1~2組配しているのが基本である。 火縄銃は戦の開始のときや、勢いに乗り突進してくる敵兵に対し一斉射撃を浴びせ進撃を止まらせるときなどに使用された。 兵士同士が密集したか否かについては議論がある。火の粉が飛び散る中で火薬を使用するので暴発しかねず、相互に安全な距離を取ったという見解がある。    

  • 二段撃ち・・・二列横隊に並び、前列が片膝をつき、後列が直立して射撃する。佐々成政が考案したという記録が残っているが、実際に採用されていたのか、上記の議論上問題がある。
  • 三段撃ち・・・長篠の戦いで織田軍が採用したという著名な配置。これについても大議論がある。
  • 一人の射撃手に数丁の火縄銃と数人の助手が付き、射撃手が射撃している間に助手が火縄銃の装填を行う方法があり、これにより素早い連射が可能である。鉄砲傭兵集団としてその名を知られた雑賀衆、根来衆の得意スタイルである。石山合戦本願寺側に付いた彼らは、織田勢を大いに苦しめた。
この射撃手・助手を分業する射撃運用法を烏渡しの法と上杉流軍学では称したと伝えられ、また後世紀州徳川家においては薬込役という、御庭番の前身である職名にその痕跡を残している。

[編集] 西洋における火縄銃運用史

  • 火縄銃の登場による陣形の変遷
野戦隊形における集中射撃法が実用化されたのはヨーロッパにおいてであり、最も初期のものはテルシオと呼ばれた長槍密集方陣隊形の進撃に際し、四周に随伴した銃兵が、相手方方陣と至近距離まで接近し接触寸前になった時点で発砲し第一次打撃を期待するものである。
この方式は銃剣の発明以前であり、発砲を終えた銃兵は有効な戦力ではないから、退避行動を取ったとされている。実際の戦闘は槍兵が主体であった。
射撃手前後交替の発想が見られるのは、この時代においては騎兵に見られ、カラコール戦術(車懸かり交替発砲戦術)が対テルシオ戦法として用いられた。これは概ね1530年代頃からである。
装填に時間と防御上の弱点が生じることを解決する手段として、縦列で行進する銃兵の最前者が発砲し、発砲後直ちに最後尾に駆け戻って装填作業をしながら行進を続行するという方式が考え出されたが、非常な訓練を必要とした。オランダ・ナッサウ伯マウリッツがおよそこの創始者であろうと推察され、概ね1584年頃の事とされている。
今日マウリッツは軍制改革の父と呼ばれているが、その功績は射撃法ではなく、それを達成する為の猛烈且つ間断なき訓練が、寄せ集め傭兵の集合体であった当時の軍隊を一種の帰属意識に基づく団結心を持った集団に変え得る予期外の効果を持つという事を発見したという点が評価されている。
またマウリッツは個別の兵種がそれぞれ独自に機能を発揮するのではなく、歩騎砲の三兵が連動して機動戦術を採る事を発案し且つ可能にした軍事家としても評価されている。ただこの縦列交替法が大きな効果を発揮したらしい記録はなく、またこの運動方式には鈍重さが宿命的に付きまとったっためマウリッツ自身の戦死の原因をそこに求める考え方もある。この時代を火縄銃時代とするかどうかには疑問があるが、燧石式移行時代の終わり頃とも考えられる。
実際に前後交替射撃法が実用化するのは燧石式に移行してからであり、燧石式の機能改善もそれに相当の貢献をしたと考えらる。また銃剣の登場もこれに大きく寄与していると考えられるが、同時にこの時代は大砲の運用が飛躍的に改良されており、銃兵の交替射撃のみが戦線の状況を変革させたと論じるのは未だ大きな検討を要するであろう。これらは概ね17世紀末から18世紀初頭の現象である。
  • 障害物に拠る投射兵器の運用
装填その他に伴う初期銃の弱点を補う為に障壁・城壁・障害物あるいは特殊な地形等によって防御された場所から、機動してくる野戦軍を射撃しようという試みは早くから行われている。
最も著名な例は1503年第一次イタリア戦役中、スペイン軍人ゴンサロ・フェルナンデス・デ・コルドバが行った戦法で、急造の堀とその残土を利用した土手に拠った二千名と推定されるアルケブス銃兵を指揮して、押し寄せたフランス重騎兵団を粉砕し、スペインの覇権確立の重要な要因となった戦いがある。
続いて第二次イタリア戦役においても、1522年同じくスペイン軍の傭兵隊長コロンナがミラノ郊外ビコッカにおいて、地形と急造塁壁を利用したアルケブスの反復射撃戦法で、押し寄せたスイス槍兵集団を粉砕している。ちなみに種子島に火縄銃が伝来したとされるのはこの20年後の事である。
最も古い例としてドイツで発生したフス戦争(1419-1436年)において、フス派信徒が円陣配置した荷車を防壁にしてハンドガンで射撃するという戦法を採ったとされている。
何れの戦いにおいても交替に射撃したとは言われているが、号令方式などによる統制交替射撃が行われたとする根拠はない。
これら一連の戦いに共通する要素は
(1)比較的格闘戦能力に劣る部隊もしくは少数部隊が、
(2)自然もしくは人工の障害と飛び道具を利用して防戦態勢をとり、
(3)押し寄せる強力な伝統的野戦軍を破った。
がある。 
この原型は中世から近世初期にかけての軍事知識として、英仏百年戦争におけるクレシーの戦い(1346年)が著名である。この戦いは火砲の使用が初めて記録された戦いとしても有名であり、また馬防柵を急造設置したらしい痕跡が現在発掘調査で明らかになりつつあると言われているが、火砲は使用されたとしても極少数であり、使用の事実及び効果に付いてはまだ今後の研究を待つ所が大きい。
しかしながら、この戦いは丘陵地形を利用した弓兵集団の集中射撃によって、これまで無敵とされた重武装騎士の集団突撃を阻止粉砕するという戦果を残した。
さらに同戦争末期、アジャンクールの戦い(1415年)において、全く同様な事が繰り返された。この時には火砲の使用に記録はないが、馬防用の先端のとがった杭の携行については、英国王ヘンリー5世の命令が記録されている。これも弓兵集団と騎士団の戦闘で騎士団が全滅した戦いの例である。
これらの知識が新しく登場した特長と弱点を併せ持つ鉄砲の運用に応用された成功したのは、まず間違いはないであろう。我が国において、信長周辺にこれらヨーロッパ軍事知識がどのように伝わっており、長篠の戦闘などに応用されたという可能性は興味深く、今後の研究が待たれる。

[編集] 分類

日本における火縄銃の分類として弾丸重量によるものと製作地・流派によるものの二つに大別される。

[編集] 弾丸重量による分類

  • 小筒
弾丸重量が三匁半程度のものを指す。威力は低いが安価で反動が少ない為、猟銃や動員兵への支給銃として用いられた。又、防御力の薄い明・朝鮮の兵にはこれでも十分な威力を持っていた為、朝鮮の役では大量に用いられた。
  • 中筒
弾丸重量が六匁程度のものを指す。小筒に比べて威力が増大した分扱いが難しい上に高価なので、臨時雇いでなく継続して主人に仕える足軽が用いる銃とされた。当世具足や竹束などの火縄銃に対応した防御装備が広まった結果、小筒に替わり主に用いられる様になった。
  • 侍筒
弾丸重量が十匁程度のものを指す。威力は絶大だがあまりにも高価で扱いが難しい為、十分な鍛錬と財力を持つ侍のみが用いる事ができた。彼らはこの侍筒を武家奉公人に持たせ、必要に応じて用いた。
  • 短筒
馬上筒とも言う。馬上での使用や護身用に用いられていたとされる。銃身が短く、片手で扱える。
  • 大鉄砲
抱え大筒とも言う。二十匁以上の弾丸重量を有するもので百匁クラスのものも存在する。通常の弾丸の他、火矢などを用いて攻城戦海戦で構造物を破壊する為に用いられた。差火点火式・地上設置型である通常の大筒と異なり、銃床とカラクリを用いた火縄銃の体裁を持つものを指す。言うまでもなく反動は強烈であり、射手は射撃時に自ら転がる事で反動を吸収する程である。

[編集] 製作地・流派による分類

主な違いとして、銃身の外形(丸・角筒)・肉厚・長さ、銃床の形状、カラクリ(内・外カラクリ)、目当などがあげられる。 以下に記するもの以外にも多数あり。

  • 国友筒
  • 堺筒
  • 薩摩筒
以上、製作地名を冠したもの。
  • 南蛮筒
海外より伝来した火縄銃を指す。それを手本に国内で製造されたものは異風筒と呼ばれる。
  • 稲富筒
稲富流の仕様に基づいて製作された鉄砲。
  • 関流筒
関流砲術参照。

[編集] デモンストレーション

日本各地に鉄砲隊と称しイベント時に火縄銃で空砲をうつ団体が多数できた。これは伝承砲術によっているものであるが、日本では幕末維新期に兵制・武器の西欧化が急速に行われたため、流派の直接伝承はすべていったん途絶えている。現存する流派は伝来した古文書などを解読して後世再興したものである。 古式銃団体の性格は、

  • 伝書などに準拠し純歴史学的に再興したもの。(但し1,2の流派で明治以降も祭礼等で細々と伝承されたものもある)
  • 地域に伝わった鉄炮衆などの由来に基づき地域の特色ある武術の再現として研究されたもの。
  • それ以外のもの。

の三種が大まかに分類できる。

[編集] 火縄銃射撃競技

ヨーロッパ北米などでは盛んに火縄銃も含むマズルローダー射撃競技(前装銃射撃競技)がおこなわれている(日本からも世界選手権と環太平洋選手権大会に選手を派遣している)。日本国内では日本ライフル射撃協会傘下に日本前装銃射撃連盟があり、競技が行なわれている。ただし銃刀法や火薬類取締法などに基づく各種規制があるため、競技人口は極めて少ない。だが、日本製の火縄銃は極めて高精度にできているため、そんな環境ながら日本の選手は国際大会で上位入賞することが多く、欧米の多くの選手も火縄銃種目では日本製の火縄銃を使って参加している。アジア地域で国際前装銃連盟に加盟しているのは日本のみで、日本以外の加盟国はすべて欧州、北米、オセアニア、南アフリカ等の白人優位国・主流国で構成されている。このことから、江戸時代の鉄砲鍛治の技術が高水準で高命中率であったことが判る(日本の近隣国にも当然古式銃があるが、それらの銃は稚拙な工作技術で低性能のため欧米の古式銃に太刀打ちできず「国際前装銃射撃連盟」に加盟していないという説がある)。日本でおこなわれる競技は、国際ルールと同じ射距離50mで「日本公式種子島標的(黒点径40cm)」を使用する「長筒立射」「長筒膝射」。同標的で十匁玉筒(10の重さの弾を使用する銃)を使用する「侍筒」(自由姿勢)。「フリーピストル標的」を使用し50mで前装銃であれば銃種を問わない(火縄銃でなくても使用できる)「ベッテリー」も休止しているが規定上は存在する(但し、2005年より千葉県ライフル射場で開催される競技会に限って行っている)。他に同標的で25m、短筒を片手撃ちで競う「短筒」。また、日本独自の競技として、古式に則った、8寸角板に4寸黒丸の「和的(江戸時代規格の標的)」で27m(江戸時代は15)の距離で競う「古式勝ち抜き」及び、5分間に10発撃つ「早撃ち」がある。

なお法に定める範囲の古式銃の所持は、現代銃と異なり属人的な免許・許可ではなく、属物的な登録制で、登録は教育委員会文部科学省の所管である。登録は日本刀などと同じく銃に対してなされ、登録を受けた銃器は誰でも所持・所有できるが、実際に実弾・空包の発砲及び火薬の入手所持消費に関しては、その都度(実弾射撃を許可された者は、火薬購入については1年間、また消費は6ヶ月間限定の)所轄の警察署を通じて公安委員会の別途の許可を受ける必要がある。

実弾射撃は指定された射撃場でしか認められない、2005年現在、公営射撃場としては神奈川県伊勢原市の県営伊勢原射撃場、千葉市若葉区の千葉県総合スポーツセンター射撃場、和歌山県海南市の和歌山県営射場、の以上3ヶ所(但し伊勢原射撃場は工事中で使用できない、また他にも私立の射場で可能な所がある)で認められている。

古式銃とは主に前装式銃砲のことを言うが、初期の後装銃も佐賀藩の主力銃であったスペンサー銃(のちにウインチェスター銃の祖形となった)をはじめ、普仏戦争の主要銃であったシャスポー銃(後に村田式の開発の淵源となった)やドライゼ、ツンナールなど類種のものも相当数輸入されていた。 ただこれらは維新後に訓練銃などとして使用されたり、外国に売却されたりして、現在国内残存数は比較的少ない。日本の法律では現在のところ、古式銃とは1867年の時点で国内に存在したことが個別に証明できた国産または外国製の歴史遺物銃器の実物である(したがって実物に忠実に作られたものであってもレプリカは認められない、これは古式銃の登録制度が歴史史料及びその美術価値の保存を目的としていて、射撃に使用することを想定して制定されたものでないことによる)と言うことになっている。 ただし真正の古式銃であっても明治以後に新式又は現代の弾薬が使用できるように改造されたもの、あるいは現用の弾薬(装弾)が使用できる可能性のあるもの(もっとも顕著な例は坂本龍馬が使用したと言われるSW・Mk1、Mk2リボルバー)などは(現代銃に準ずる機能を有するもの)として登録審査時に排除され、したがって所有できないものがある。 真正の歴史遺物の国産火縄銃であれば、たとえ外国から里帰りしたものであってもほとんどはそれらの問題は無い。 競技用として、また空包用として使用されているものは国産火縄銃がほとんどで、すべて歴史遺物に限られる。火縄式のものを使用するもの以外の発砲許可を得るのは困難であると言われているが、実際には許可を受けて前装管打式銃を使って射撃を練習している者も3、4名ではあるが存在する。それらを使用できる競技は平成2年まで行われた後永らく休止していたが、平成17年に再び行われた。前装式銃砲には火縄式のほかに燧石式、外付け雷管式があるが、幕末史によく登場する「えんぴーる銃」(=エンフィールド社製前装ミニエー式ライフル銃で{TOWER}の刻印があるのが{トバ}と訛伝され、ために別名「鳥羽ミニエー」とも云う)や「げべーる銃」(前装滑腔銃一般を指す。オランダ語のインファントリーゲベール={歩兵小銃}の訛称)などはほとんど雷管式である(日本のゲベールはオランダ輸入の燧石式を雷管式に改造したものもあるが、主流はオランダ製をコピーして日本の鉄砲鍛冶によって国内で作られたもの)。諸外国ではこれらの競技は非常に盛んに行われ、また競技以外にも日本の鉄砲隊と同様、あるいはそれ以上無数と言ってよいほど多数のボランティアインファントリー(義勇歩兵隊)がある。アメリカでは、南北戦争を記念する行事でそれら歩兵隊等による大規模な南軍北軍の模擬戦闘が行われることがある。この場合、安全な現代ガンメーカーの手によるレプリカが多く使用される。(日本のミロク社も米国等へレプリカの古式銃を輸出している)

同時に歴史的な前装大砲も大切に保存され、毎日空包発射をするものや、青年の体育訓練として野砲を分解して運搬する障害物レースを行い最後に組み立て空包装填して先に発射した方が勝ちというイベントなどもある。

[編集] 慣用句

「火蓋を切る」は、物事を開始するという意味で用いられる。由来には以下の説がある。

  1. 射撃を始めるにあたって、火蓋を切る(=あける)ことから。[1]
  2. 装填したあと火蓋を縛っておいたこよりを戦闘の際に切る動作に由来する。


「見当をつける」 位置を見極めること。

 1. (見当=ケントウ)は照準器のうち照門や照尺の事を言った。 これを(前の目当て=メアテ)ともいう。 照準を定める動作から、位置を見極めることにひろがったと思われ、早い時期から木版印刷の複数の彫板の位置併せのマークを(見当)と呼ぶことに援用され、こちらの方が広く知られることになった。


「目当てがある」 心積もりがあること。

 2. (目当て=メアテ)は照門及び照星の銃の照準器のこと。 火縄銃では照星を(さきのめあて)照門を(まえのめあて)と呼んだ。 照準を合わせることで的に当たる期待、獲物に当たる期待が生じることから、期待できる状態を(目当てがある)(あてがある)と称するつかわれかたにひろがったと思われる。

[編集] 鉄砲隊関連人物一覧

[編集] 鉄砲隊

[編集] 砲術家

[編集] 鍛冶師(鉄砲鍛冶・銃匠・ガンスミス)

  • 国友藤兵衛能當 国友丹波大堟橘宗俊 国友善兵衛  -長浜
  • 芝辻清右衛門 (芝辻仙斎)-雑賀
  • 八板金兵衛  (八板清定)-鹿児島

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

[編集] 関連書

[編集] 脚注

  1. ^ 広辞苑第五版、成語林(旺文社)による

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