指定金融機関
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指定金融機関(していきんゆうきかん)とは、日本において地方公共団体が、公金の収納、支払の事務を取り扱わせるために指定する金融機関である。(地方自治法第235条)
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[編集] 概要
都道府県は必ず指定しなければならず、市町村(特別区を含む)は必要に応じて指定することができる。また1行単独の場合と、複数行が1年ないし2年交替で指定される場合がある。
指定金融機関となった金融機関は、別途、自治体の意向を元に指定代理金融機関を指名することが出来る。さらに、当該自治体に支店を持つ金融機関(郵便局含む)などを収納代理金融機関として収納業務を行わせることが出来る。指定金融機関を指定しなかった自治体は、収納代理金融機関を自ら指名することで住民サービスを低下させないようにするケースが多い。
かつては、地方公共団体の指定金融機関になることは、地域における信用力を補完し、またコストをかけずとも、巨額の公金を預金として確保できることなどから、各銀行とも指定獲得競争を展開した。現在でも岐阜県のように指定金融機関を巡って地域銀行間が競争をする事例もある。
しかし、1990年代以降の金融自由化の流れの中、指定金融機関業務はかつてほどの利益的な旨みをもたらさず、収納業務等でコストばかり掛かるとして、各銀行で業務見直しが進められている。例えば都道府県の9割・全地方公共団体の6割にて指定金融機関を受託している地方銀行は、収納代行・出納事務で全64行合計で年間1000億円の支出を余儀なくされており完全な赤字である。このため、全国地方銀行協会は年度毎に地方公共団体5団体に対して手数料等の見直しを要求している。
もっとも、収納業務(基本的に指定金融機関は地方公共団体の本局に行員等を派遣しなければならない)等で、地方公共団体より手数料を徴求する動きはあるものの、実際に銀行が都道府県及び政令指定都市レベルの指定金融機関返上を行った事例は無い(平成の大合併において、旧市町村の指定金融機関がその獲得に動かず、結果的に返上となった事例は多々ある)。
[編集] 指定金融機関の一覧
[編集] 都道府県
北海道 | 北洋銀行 |
---|---|
青森県 | 青森銀行 |
岩手県 | 岩手銀行 |
宮城県 | 七十七銀行 |
秋田県 | 秋田銀行 |
山形県 | 山形銀行 |
福島県 | 東邦銀行 |
茨城県 | 常陽銀行 |
栃木県 | 足利銀行 |
群馬県 | 群馬銀行 |
埼玉県 | 埼玉りそな銀行 |
千葉県 | 千葉銀行 |
東京都 | みずほ銀行 |
神奈川県 | 横浜銀行 |
新潟県 | 第四銀行 |
富山県 | 北陸銀行 |
石川県 | 北國銀行 |
福井県 | 福井銀行 |
山梨県 | 山梨中央銀行 |
長野県 | 八十二銀行 |
岐阜県 | 十六銀行 |
静岡県 | 静岡銀行 |
愛知県 | 三菱東京UFJ銀行 |
三重県 | 百五銀行 |
滋賀県 | 滋賀銀行 |
京都府 | 京都銀行 |
大阪府 | りそな銀行 |
兵庫県 | 三井住友銀行 |
奈良県 | 南都銀行 |
和歌山県 | 紀陽銀行 |
鳥取県 | 山陰合同銀行 |
島根県 | 山陰合同銀行 |
岡山県 | 中国銀行 |
広島県 | 広島銀行 |
山口県 | 山口銀行 |
徳島県 | 阿波銀行 |
香川県 | 百十四銀行 |
愛媛県 | 伊予銀行 |
高知県 | 四国銀行 |
福岡県 | 福岡銀行 |
佐賀県 | 佐賀銀行 |
長崎県 | 十八銀行 |
親和銀行 | |
熊本県 | 肥後銀行 |
大分県 | 大分銀行 |
宮崎県 | 宮崎銀行 |
鹿児島県 | 鹿児島銀行 |
沖縄県 | 沖縄銀行 |
[編集] 政令指定都市
札幌市 | 北洋銀行 |
---|---|
仙台市 | 七十七銀行 |
さいたま市 | 埼玉りそな銀行 |
千葉市 | 千葉銀行 |
横浜市 | 横浜銀行 |
川崎市 | 横浜銀行 |
新潟市 | 第四銀行 |
静岡市 | 静岡銀行(西暦の奇数年度) |
清水銀行(西暦の偶数年度) | |
浜松市 | 静岡銀行 |
名古屋市 | 三菱東京UFJ銀行 |
京都市 | 三菱東京UFJ銀行 |
大阪市 | みずほ銀行 |
三菱東京UFJ銀行 | |
三井住友銀行 | |
りそな銀行 | |
堺市 | 三菱東京UFJ銀行 |
神戸市 | 三井住友銀行 |
広島市 | 広島銀行 |
北九州市 | みずほ銀行 |
福岡銀行 | |
福岡市 | 福岡銀行 |