火の鳥 (ストラヴィンスキー)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
![]() |
クラシック音楽 |
---|
作曲家 |
ア-カ-サ-タ-ナ |
ハ-マ-ヤ-ラ-ワ |
音楽史 |
古代 - 中世 |
ルネサンス - バロック |
古典派 - ロマン派 |
近代 - 現代 |
楽器 |
鍵盤楽器 - 弦楽器 |
木管楽器 - 金管楽器 |
打楽器 - 声楽 |
一覧 |
作曲家 - 曲名 |
指揮者 - 演奏家 |
オーケストラ - 室内楽団 |
音楽理論/用語 |
音楽理論 - 演奏記号 |
演奏形態 |
器楽 - 声楽 |
宗教音楽 |
メタ |
ポータル - プロジェクト |
カテゴリ |
火の鳥(ひのとり、L'Oiseau de Feu、1910年6月25日パリオペラ座初演)はイーゴリ・ストラヴィンスキーが作曲した、ロシアの民話に基づく1幕2場のバレエ音楽。リムスキー=コルサコフに献呈された。
オリジナルのバレエ音楽と、3種類の組曲があり、オーケストレーションが大幅に異なる。組曲版では一部曲名が異なる部分もある。
目次 |
[編集] 編成
- 組曲(1911年版)
- 全曲版においてオーケストラピット外で演奏するバンダが省かれている。
- 組曲(1919年版)
- 一般的な2管編成。打楽器が減らされている。なおチェレスタは必須ではなく、「子守歌」のピアノパートに「またはチェレスタ」の注釈が添えられているものである。
- 組曲(1945年版)
- 編成は、現在出版されているスコアでは1919年版とほぼ同一である。相違点は、スネアドラムが追加されていることと、ピアノ・パートの一部の「またはチェレスタ」の注釈がない点だけである。もっともチェレスタについては、ストラヴィンスキー自身が1959年にNHK交響楽団を指揮してこの版を演奏した際には、チェレスタを加えていた(余談であるが、この時のチェレスタは特別参加の黛敏郎が演奏した)。
- 編成は1919年版とほぼ同一とは言え、オーケストレーションが異なる箇所が散見される。特に「凶悪な踊り」は、1919年版の「魔王カスチェイの凶悪な踊り」に比べると金管楽器や打楽器が分厚くなっている部分が多い。
全曲版(1910年) / 組曲(1911年版) | 組曲(1919年版 / 1945年版) |
---|---|
|
[編集] 1910年原典版(全曲版)
[編集] 構成
- 1 導入部
- 2 カスチェイの魔法の庭園
- 3 イワンに追われた火の鳥の出現
- 4 火の鳥の踊り
- 5 イワンに捕らえられた火の鳥
- 6 火の鳥の嘆願
- 7 魔法にかけられた13人の王女たちの出現
- 8 金のリンゴと戯れる王女たち
- 9 イワン王子の突然の出現
- 10 王女たちのロンド
- 11 夜明け
- 12 魔法のカリヨン、カスチェイの番兵の怪物たちの登場、イワンの捕獲
- 13 不死の魔王カスチェイの登場
- 14 カスチェイとイワンの対話
- 15 王女たちのとりなし
- 16 火の鳥の出現
- 17 火の鳥の魔法にかかったカスチェイの手下たちの踊り
- 18 カスチェイ一党の凶悪な踊り
- 19 火の鳥の子守歌
- 20 カスチェイの目覚め
- 21 カスチェイの死、深い闇
- 22 カスチェイの城と魔法の消滅、石にされていた騎士たちの復活、大団円
[編集] 組曲(1911年版)
この版は最も演奏の機会が少ない。他の組曲と異なり「カスチェイ一党の凶悪な踊り」で組曲が閉じられる(そのため、演奏者独自の判断により、他の版と合成して「子守歌」「終曲」を付け加えて演奏する指揮者もいる)。
[編集] 構成
数字は全曲版での該当部分を表す。
- 1~4 導入部~火の鳥の踊り
- 1 導入部
- 2 カスチェイの魔法の庭園
- 3 イワンに追われた火の鳥の出現
- 4 火の鳥の踊り
- 6 火の鳥の嘆願
- 8 金のリンゴと戯れる王女たち
- 10 王女たちのロンド
- 18 カスチェイ一党の凶悪な踊り
[編集] 組曲(1919年版)
実演では最も演奏機会の多い版である。「魔王カスチェイの凶悪な踊り」での有名なトロンボーンのグリッサンドはこのバージョンで導入された。
[編集] 構成
数字は全曲版での該当部分を表すが、曲の長さが違う部分もある。
- 1・2 序奏
- 3 火の鳥の踊り
- 4 火の鳥のヴァリアシオン
- 10 王女たちのロンド(ホロヴォード)
- 18 魔王カスチェイの凶悪な踊り
- 19 子守歌
- 22 終曲
「序奏」から「火の鳥のヴァリアシオン」までは切れ目無く演奏される。
「魔王カスチェイの凶悪な踊り」と「子守歌」の間は、切れ目無く演奏する方法と、「魔王カスチェイの凶悪な踊り」で一旦終止させる方法とがあり、どちらの方法もスコアに印刷されている。一般的には切れ目無く演奏する事例が多い。
「子守歌」と「終曲」の間は切れ目無く演奏される。
[編集] 組曲(1945年版)
指揮者によってはこの版を非常に好むが、全曲版や1919年版組曲に比べると、演奏機会が多いとは言えない。ストラヴィンスキーは後年大きく作風を変えたが、そのような作風の変化が如実に反映されている版となっている。顕著な特徴の1つが、「終曲の賛歌」の最後Maestosoの部分に見られる。全管弦楽が終曲の主題を繰り返す箇所、全曲版・1919年版組曲では4分音符の動きで朗々と旋律を奏でているところだが、この1945年版では、「8分音符(または16分音符2つ)+8分休符」という、とぎれとぎれのドライな響きで旋律が奏でられる。組曲全体の後味を大きく変える相違点であり、この版の評価を分ける1つの要因になっていると思われる。
なお、前記の理由により、この1945年版を用いながらも、「終曲の賛歌」のみ1919年版の「終曲」に差し替えて演奏する指揮者もいる(演奏者独自の判断により)。
[編集] 構成
数字は全曲版での該当部分を表すが、曲の長さが違う部分もある(特に「パントマイムI」「パントマイムII」は極端に短い)。
「パ・ド・ドゥ」「スケルツォ」とパントマイム3曲以外は1919年版と同じ部分に該当するが、スコア上の各曲の題名は違っている。
- 1・2 序奏
- 3 火の鳥の前奏と踊り
- 4 ヴァリアシオン(火の鳥)
- 5 パントマイムI
- 6 パ・ド・ドゥ(火の鳥とイワン・ツァーレヴィチ)
- 7 パントマイムII
- 8 スケルツォ(王女の踊り)
- 9 パントマイムIII
- 10 ロンド(ホロヴォード)
- 18 凶悪な踊り
- 19 子守歌(火の鳥)
- 22 終曲の賛歌
「序奏」から「ヴァリアシオン」までは切れ目無く演奏される。
「ヴァリアシオン」から「ロンド」までは、切れ目無く演奏する方法と、「パントマイムI~III」を省略して区切って演奏する方法とがあり、どちらの方法もスコアに印刷されている。
「凶悪な踊り」から「終曲の賛歌」までは、切れ目無く演奏する方法と、1曲ずつ区切って演奏する方法とがあり、どちらの方法もスコアに印刷されている。
[編集] 作曲者以外による編曲
作曲者以外により、さまざまな編曲譜が作成され演奏されている。以下はその数例である。
カテゴリ: バレエ作品 | 管弦楽曲 | ストラヴィンスキーの楽曲