行進曲
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行進曲（こうしんきょく）は、歩速をそろえて行進をするために演奏される楽曲、ないし、行進を描写した楽曲。「マーチ」とも呼ばれる。単独の作品の場合と、大規模な楽曲の一曲として作られたものの両方がある。
[編集] 歴史
行進のための楽曲は古くからあり、軍楽や儀式などで使われてきたようである。
17世紀の終わりごろ、トルコの軍楽隊が中央ヨーロッパに来て、当時のヨーロッパ人に強烈な印象を与えた。この軍楽隊は、管楽器と太鼓とシンバルとから成り、舞いながら行軍した。トルコの軍隊が強かったこともあり、これが非常にヨーロッパに流行して、模した作品が数多く書かれた。トルコ行進曲と言われ、合奏ならば大太鼓、シンバル、トライアングルを含んだ。また、それら楽器を含む音楽が「トルコ風」としてトルコを表すものとして使われたこともある（モーツァルト：歌劇『後宮からの誘拐』序曲など）。
吹奏楽のために作曲されることが多い。おおむね、複合三部形式で書かれ、中間部（トリオ）は、下属調（調号に♭が1つ多い調）であることが多い。中間部の後の主部を欠くものもあり、「星条旗よ永遠なれ」で有名なスーザの行進曲によくみられる。また、トリオの終わりにD.C.（ダ・カーポ）と指定されている楽曲でも、主部に戻らないでトリオで終わらせることもある。
[編集] 形式
既に述べたように、現代の一般的な行進曲は、主に複合三部形式で、中間部を下属調とするものが多い。
[編集] 主な行進曲
- モーツァルト：ピアノソナタ第11番 - 第3楽章（トルコ行進曲）
- ベートーヴェン：交響曲第3番『英雄』 - 第2楽章（葬送行進曲）
- ベートーヴェン：交響曲第7番 - 第2楽章（葬送行進曲）
- ベートーヴェン：劇音楽『アテネの廃墟』 - トルコ行進曲
- シューベルト：軍隊行進曲
- ショパン：ピアノソナタ第2番 - 第3楽章（葬送行進曲）
- メンデルスゾーン：劇音楽『夏の夜の夢』 - 結婚行進曲
- ワーグナー：歌劇『タンホイザー』 - 大行進曲「歌の殿堂を称えよう」、歌劇『ローエングリン』 - 結婚行進曲（婚礼の合唱）
- ヴェルディ - 歌劇『アイーダ』 - 凱旋行進曲
- ヨハン・シュトラウス1世：ラデツキー行進曲
- チャイコフスキー：スラヴ行進曲、バレエ音楽『くるみ割り人形』 - 行進曲
- H・シュタルケ：剣と槍
- J.F.ワーグナー：双頭の鷲の旗の下に
- ゲオルク・フュルスト：バーデンヴァイラー行進曲
- ゾンターク：ニーベルンゲン行進曲
- タイケ：旧友、ツェッペリン伯爵
- J.シュタルケ：ウィーンはウィーン
- フチーク：フィレンツェ行進曲、剣闘士の入場
- ルイ・ガンヌ：勝利の父、ロレーヌ行進曲
- C.ツィマーマン：錨を上げて
- アルフォード：ボギー大佐（クワイ河マーチ、映画『戦場にかける橋』テーマ曲）、ナイルの守り、砲声（銃声、映画『アラビアのロレンス』で使用）
- スーザ：星条旗よ永遠なれ、ワシントン・ポスト、士官候補生、雷神、忠誠、海を越える握手、キング・コットン・美中の美、マンハッタンの岸、カピタン行進曲（オペレッタ『エル・カピタン』から行進曲に編曲）
- ゴールドマン：木陰の散歩道
- エルガー：『威風堂々』第1番～第5番
- ウォルトン：戴冠式行進曲『王冠』『宝玉と勺杖』
- マッコイ：ライツ・アウト（消灯）※1985年までのフジテレビ系スポーツ・競馬番組テーマ曲
- ポール・アンカ：史上最大の作戦（映画『史上最大の作戦』主題歌）
- 吉本光藏：君が代行進曲
- 大沼哲：立派な兵隊（戦後『立派な青年』に改題）
- 山田耕筰：連合艦隊行進曲、第三艦隊行進曲
- 瀬戸口藤吉：軍艦行進曲、愛国行進曲、体育大行進、敷島艦行進曲
- 斉藤丑松：太平洋、大行進曲『大日本』
- 江口夜詩：千代田城を仰ぎて、観艦式
- 須摩洋朔：大空、鬨の声（戦後『歓声』に改題）、祝典ギャロップ
- 片山正見：のばせ山口、ハワイ大海戦、祝勝
- レイモンド服部：コバルトの空
- 團伊玖磨：祝典行進曲、新・祝典行進曲、希望、行進曲『べっぷ』
- 黛敏郎：スポーツ行進曲、祖国
- 山本直純：白銀の栄光
- 古関裕而：スポーツショー行進曲、オリンピック・マーチ
- 兼田敏：陽気な高校生
- 川崎優：万国博マーチ（のち『進歩と調和』に改題）、希望
- 神津善行：朝日に栄光あれ
- E.バーンスタイン：大脱走マーチ（映画『大脱走』テーマ曲）
- ジョン・ウィリアムズ：レイダース・マーチ（映画『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』テーマ曲）、帝国のマーチ（映画『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』から）、スーパーマン・マーチ（映画『スーパーマン』メインテーマ）
