餓狼 MARK OF THE WOLVES
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ジャンル | 対戦格闘ゲーム |
対応機種 | アーケード (MVS) ネオジオ ドリームキャスト プレイステーション2 |
開発元 | SNK |
発売元 | SNK(PS2を除く) SNKプレイモア(PS2) |
人数 | 1~2人 |
メディア | カートリッジ(AC/ネオジオ) GD-ROM1枚(DC) DVD-ROM1枚(PS2) |
発売日 | 1999年(AC) 2001年9月27日(DC) 2005年6月30日(PS2) |
対象年齢 | CERO:12才以上対象(PS2) |
デバイス | 1レバー+4ボタン |
餓狼 MARK OF THE WOLVES(がろうまーくおぶざうるぶす)は1999年にSNKが発売した2D格闘ゲーム。REAL BOUT 餓狼伝説から10年後の世界が舞台となっている。その証拠に、タイトルデモには、REAL BOUT 餓狼伝説のテリーのエピローグの1シーンが再利用されている部分がある。キャラクターイラストはTONKOが担当した。MVS(1999年11月26日登場)の容量は706メガ。
2001年9月27日にドリームキャスト版が発売され、これがSNKの最後のソフトとなった。また、SNKプレイモアから2005年6月30日に「ネオジオオンラインコレクション」第一弾として、CEROレーティング12歳以上対象のプレイステーション2版が発売された(マルチマッチングBB対応)。
目次 |
[編集] 概要
餓狼伝説シリーズの顔であったギース・ハワードが死亡した『リアルバウト餓狼伝説』以降、ストーリーの大きな進展はなくゲームとしても『リアルバウト餓狼伝説』のマイナーチェンジを連発、また『ザ・キング・オブ・ファイターズ』(KOF) シリーズの人気から『餓狼』離れが進んでいく中、完全新作として本作を発表した。舞台を『リアルバウト餓狼伝説』の10年後(2005年)に置き、主人公をギース・ハワードの息子であるロック・ハワードに、テリー・ボガード以外のキャラクターを新キャラクターに変更した。
キャラクターは、前作までの主人公テリー・ボガードを分水嶺として、従来の登場キャラの子供や弟子など、これまでの流れと密接もしくは関係の深い「旧世代組」と、旧シリーズとはまったく関係の無い(もしくは極めて関連性の低い)「新世代組」とに予めほぼ半々の割合で区分けされ、これまでの流れを決して無視せずにユーザーを取り込もうという姿勢が見られる。このような「新世代」という基本設定や、ゲームとしての内容面でもブロッキングの簡易・応用版であるジャストディフェンスや滑らかなアニメーションなど『ストリートファイターIII』を意識した点が散見される。
しかし、「新キャラクターが餓狼らしくない」「アニメ調のグラフィック」「餓狼伝説で最も特徴的な要素であったラインシステムの撤廃」などの理由で、いくばくかのファンから「餓狼伝説ではないもの」と敬遠されてしまった印象が強い。その後新しい餓狼シリーズ作品こそ出ていないものの、ほとんどの新キャラは別シリーズに登場し、『KOF』シリーズのテリー・ボガードがMOWと同じ見た目になった事から、SNKプレイモアも対策は怠っていない事が垣間見える。
本作のゲーム内容は、『餓狼伝説スペシャル』で見ることが出来た「思い思いの連携による攻めの楽しさ」をハイレベルに昇華し、ブロッキングの導入によってストイックな読み合いを提示した『ストリートファイターIII』とは対極のゲームデザインとなっている。従来から『ストリートファイター』シリーズは距離を置いた読み合いを重視し、対極として『餓狼伝説』シリーズやそこから派生した『KOF』シリーズは相手に近づき攻める事を重視する傾向にあった。この視点で見れば、本作が新世代のSNK格闘の形であったという見方は難しく無い。
[編集] システム
1レバー+4ボタン(A:弱パンチ、B:弱キック、C:強パンチ、D:強キック)で操作。
- ラインシステム
- 餓狼伝説シリーズの特徴だった複ラインシステムが削除され、1ラインとなった。
- ジャストディフェンス
- 攻撃を受ける直前にガードすると硬直が少なくなり、体力が若干回復する(その時の相手の技の攻撃力に多少比例して回復量が変わる)。ストIIIのブロッキングと違いその隙に反撃することは難しいが、ジャストディフェンス中にコマンド入力することでジャストディフェンスをキャンセルして必殺技で反撃できる(ガードキャンセル)。
- T.O.P.
- 体力ゲージの3つに区切られたうちの一部分をTOPエリアとして事前に選択し、残量がTOPエリア内の間以下の特典が発生する。
- 攻撃力が上がる。
- T.O.P.アタックと呼ばれる技が使用可能になる。
- 体力が徐々に回復する。
- 対CPU戦時、T.O.P.状態中は技を相手に当てた時に入る得点が二倍になる。これにより、前述のジャストディフェンス成功時の効果「若干の体力回復」が戦略上大きな意味を持って来る。
- 家庭用では範囲を狭くする(=体力ゲージを5つや15に分けてその中から選択する)代わりに攻撃力上昇効果を上げることも可能。また、下記のようにアーケード版では設定によっては対戦で勝利を重ね続けると最終的に挑戦者側が常時T.O.P.状態になる。
- 避け攻撃
- 上段避け攻撃と下段避け攻撃があり、名前に対応した技はその部分に当たり判定がない。上段避け攻撃は旧シリーズの避け攻撃を受け継いだもので、対して下段避け攻撃は大部分のキャラクターのものがストIIIのリープアタックのような、小さく飛びながらの攻撃になっている。
- ブレーキング
- 特定の必殺技のモーションを中断する。対応技は隙の大きい対空系の必殺技が多い。
- フェイント
- 必殺技を出すフリをする。中級者向けのテクニックとして、通常技をフェイントでキャンセル、更にフェイントを通常技やダッシュでキャンセル、という連携ができる。
- キャンセル
- 本作では、KOFや餓狼伝説ではほぼ基本となっていた足払い(しゃがみ強キック)がキャンセルできない。逆にガード時限定のみで遠距離強キックがキャンセルできるなど、固めを意識しつつ技の分業がされている。
- 特殊挑発
- お遊びの要素として、対戦相手をKOしてから勝利ポーズに入るまでにレバー前か後と同時にスタートボタンを押すと専用の挑発動作が出る。
[編集] キャラクター
- ロック・ハワード[Rock Howard](声:竹本英史)
- ギース・ハワードの忘れ形見。テリーが育てたため、ギースの技とテリーの技を使う事ができる。母を見捨てたギースの事は嫌っている。
- ギースの死から10年後、ロックにキング・オブ・ファイターズの招待状が届く。そこには「優勝すれば自分の母について『ある事』を教える」と書いてあった。ロックはキング・オブ・ファイターズに出場することを決める。
- テリー・ボガード[Terry Bogard](声:橋本さとし)
- ギース亡き後の大会の裏を探るべく、キング・オブ・ファイターズに参加する。
- 『餓狼伝説』シリーズの登場人物の中で唯一の皆勤賞。
- キム・ドンファン[Kim Dong hwan](声:橋本じゅん)
- キム・カッファンの長男。真面目な父親と違い、修行をサボってナンパに行くことが趣味。そのたび父・カッファンに怒られているが、実力は既にカッファンを凌ぐとも言われている。
- 一体いつ編み出したのか、持ち技の中で雷を纏う技がほぼ半分を占める。
- 父や弟の様に、実在の人物から名前がとられているのかは不明。
- キム・ジェイフン[Kim Jae hoon](声:浅川博貴)
- キム・カッファンの次男。父に似て真面目に練習をしており、悪を許さない正義漢。
- こちらも一体いつ編み出したのか、持ち技の中で炎を纏う技がほぼ半分を占める。
- 名前は、実在の人物であるキム・ジェイフン(同じく実在の人物である金甲煥の子息)からとられている(名前の由来については、ゲーム雑誌のアルカディアでも紹介されている)。
- 双葉ほたる[Hotaru Futaba](声:堀江ゆき)
- テンのイトカツとともに行方不明の父と兄を探す中国拳法使いの少女。
- 牙刀[Gato](声:石井康嗣)
- 母を死に追いやった父を倒すべく技を磨く非情なる中国拳法使い。
- 実はほたるの兄(ただし、牙刀本人はその事実を頑なに否定している)。
- マルコ・ロドリゲス/クシュヌード・バット[Marco Rodriguez / Khushnood Butt](声:花田光)
- 極限流空手道場に道場破りとして挑み大敗したあと、極限流空手の奥深さを知り、その強さに憧れ入門。現在は師範クラス。
- 海外版では実在のマルコ・ロドリゲス氏との混同を避ける為か「Khushnood Butt」という名前に変更されている。
- 北斗丸[Hokutomaru](声:竹内順子)
- 不知火流忍術を使う元気な少年。アンディ・ボガードの弟子。
- B.ジェニー[B. Jenet](声:斉藤レイ)
- お宝を手に入れようとする海賊リーリンナイツの艦長。実はイギリスの名家バーン家の令嬢。
- ちなみに、初恋の人はテリー。
- フリーマン[Freeman](声:や乃えいじ)
- 闘いに生き、悦楽を求める自由なる男。ケビンの親友を殺した張本人。
- 持ち技のネーミングに『KOF』のマチュア・バイスと共通するものがある。また、一部の技の演出が『サムライスピリッツ』シリーズの首斬り破沙羅と酷似している。
- グリフォンマスク/ティゾック(チソク)[The Griffon / Tizoc](声:花田光)
- 子供たちのヒーローとして活躍する覆面レスラー。ある男に敗北するまでは無敵を誇っていた。
- 海外版では「Tizoc」(アステカの王に由来)という名前で登場している。
- ケビン・ライアン[Kevin Rian](声:北沢洋)
- SWATに属する警察官。親友を殺した男を捜すため、親友の息子マーキー(声:竹内順子)と一緒に旅をする。
- 持ち技に打撃で爆発を起こすものが多く、『KOF』のラルフを彷彿とさせる。
- 本編では全く触れられないが、ブルー・マリー(本名マリー・ライアン)とは親戚同士。
- グラント[Grant](声:北沢洋)
- 暗黒空手の使い手。親友カインを守るために残り少なき命を授けようとする。本名はアベル・キャメロン。
- 対CPU戦において、彼との対戦の前にある条件をクリアしておかないと勝利後ここでゲームオーバーとなる。(いわゆるバッドエンド)
- 業務用では隠しコマンドやルーレットで使用可能。隠しコマンドによる使用の場合、最後の敵・カインを倒した際、個別エンディングを見る事が出来る。
- カイン・R・ハインライン[Kain R. Heinlein](声:橋本じゅん)
- ギースの妻の弟(ロックの叔父)にあたる青年で、暗黒真空拳の使い手。ロックに母の秘密を教えるという手紙を送った。
- 対CPU戦でグラント戦前に条件がクリアされていた場合、撃破後に彼が最後の相手となる。勿論、倒せば使用キャラクター個別のエンディングを見る事が出来る。
- グラントと同様に業務用では隠しコマンドやルーレットで使用可能。以下も同じ。
- ちなみに彼とグラントのエンディングは内容はほとんど同じ。どちらともお互いの人間関係や設定に因んだものになっている。
[編集] 連勝ハンディキャップ
このゲームでは対人戦で10連勝するとハンディキャップを背負うこととなる。また10連勝ごとにハンデの負荷はアップする。内容は以下の通り。ちなみに基板設定によって無効にすることも出来る。
- 10連勝・・・チャンピオン側の挑発で相手のゲージが溜まる(挑発の持続に応じて増加)
- 20連勝・・・挑戦者側が毎ラウンド、パワーゲージがMAXでスタート
- 30連勝・・・挑戦者側のパワーゲージが自動で回復する
- 40連勝・・・挑戦者側のパワーゲージ増加量が倍になる
- 50連勝・・・挑戦者側が常にT.O.P.状態になる
[編集] 続編
本作のエンディングは続編を仄めかす形で終了しているが、続編は2007年現在出ておらず打ち切りと言われている。実は旧SNK時代に続編は企画され、しかも制作に着手し状況はかなり進んでいたが、KOF2000の開発の優先によりお蔵入りになったという話がSNKネオジオのスタッフや関係者からされている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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餓狼伝説 | 餓狼1 - 餓狼2 - 餓狼SP - 餓狼3 - RB餓狼 - 餓狼MOW - 登場人物 |
龍虎の拳 | 龍虎1 - 龍虎2 - 龍虎外伝 |
サムライスピリッツ | 初代 - 真 - 斬紅郎 - 天草 | 零 - 剣客伝 - 登場人物 |
ザ・キング・オブ・ファイターズ | '94 - '95 - '96 - '97 - '98 - '99 - 2000 | 2001 - 2002 - 2003 - NW - XI - XII - 登場人物 |
風雲黙示録 | 風雲黙示録 - 風雲スーパータッグバトル |
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