帰ってきたウルトラマン
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『帰ってきたウルトラマン』(かえってきたウルトラマン)は、1971年(昭和46年)4月2日から1972年(昭和47年)3月31日にTBS系で毎週金曜日19:00 - 19:30に全51話が放送された特撮テレビ番組。ウルトラマン(但し1966年に製作された作品に登場するウルトラマンとは別人)と呼ばれる変身巨大ヒーローが活躍する。
『ウルトラQ』から続く円谷プロダクション製作による「ウルトラシリーズ」の第4作であり、「第2期ウルトラシリーズ」の幕開けとなった作品。 1970年代の日本を舞台に、自然界の異変によって目覚めた怪獣や宇宙からの侵略者などと戦うウルトラマンとMATチームの活躍を描く。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] 誕生までの経緯
本作の企画は1969年ごろに書かれた企画書「続ウルトラマン」までさかのぼる。復活した怪獣を相手にウルトラマンとMATチームが戦うという基本線はこの時点で確立している。この企画書は『ウルトラマン』の物語より数年後を舞台に初代ウルトラマンが地球に帰ってくるという物語で、すでに引退しているムラマツキャップやハヤタが登場し、ウルトラマンと一体化したバン隊員がベーターカプセルで変身するなど前作を強く意識したものであった。
なお『帰ってきたウルトラマン』の題名は、この企画の時点で円谷英二により付けられたと言われる。
[編集] 作品としての帰ってきたウルトラマン
[編集] 物語の展開
[編集] 内容
自然界の異変により眠っていた怪獣が目覚めはじめた。東京湾に現れたタッコングとザザーンの戦いに巻き込まれた青年、郷秀樹(ごう ひでき)は、少年と仔犬を助けようとして命を落としてしまう。地球を訪れていたウルトラマンは郷の勇敢な行動に感銘を受け、自分の生命と能力を彼に与えた。蘇った郷は、怪獣攻撃部隊MAT (Monster Attack Team) に入隊。普通の人間としての自分と、超人的能力を持ったウルトラマンとしての自分のギャップに悩みながら、続々と現れる怪獣や宇宙人に立ち向かっていく。
[編集] 初期の展開
『ウルトラマン』の主人公が変身前も変身後も完全無欠の万能ヒーローであったことに対し、本作では主人公は元々レーサー志望の普通の勤労青年として設定され、ウルトラマンとしての能力のために周囲と軋轢を生んだり、悩んだりを繰り返しながら困難を乗り越えていく、努力するヒーローであった。変身後のウルトラマンも万能ではなく、しばしば怪獣に対して苦戦し時には敗北している。いわゆる「人間ウルトラマン」というテーマ設定である。
『ウルトラマン』の主人公ハヤタは怪獣と戦う防衛組織の一員としてのみ描かれ、私生活や心の内面は描かれなかった。しかし本作では主人公郷秀樹の私生活がかなり事細かに描かれている。郷がMATに入隊する前の雇い主でレースの先輩でもある坂田健、その妹で郷の恋人・アキ、郷を兄のように慕う小学生の末っ子・次郎が、主人公の家族的な立場として設定され、レギュラーとして登場する。
当初は、MATチーム内の対立と友情、一青年としての郷秀樹の苦悩と成長などシリアスなドラマ性が強く打ち出された。その中で、郷の挫折と再起を描いた第2話や、当時ブームが続いていたスポーツ根性もの的要素を取り入れた第4話、二大怪獣とMATの激突を劇場怪獣映画並のスケールで描いた第5話・第6話など、新たなタイプの秀作が生まれている。このように、それ以前のシリーズにはない新たな試みが多かったが、残念ながら1クール目の視聴率は期待に沿うものではなかった。その原因としては、シリアスなドラマが子どもたちに充分受け入れられなかったこと、予算的な問題で舞台が山中や造成地になる場合が多く都市破壊の爽快さを欠いたことなどが挙げられている。『ウルトラQ』や『ウルトラマン』が画期的な特撮テレビドラマとして高視聴率をマークしていた時期に比べると、'71年当時は特撮ドラマがすでにジャンルとして定着し、競合番組が多く登場するなど状況が変わっており、期待された視聴率の水準が高すぎたとも言える。
[編集] 中盤の強化策
この状況において円谷プロダクションは、アンケート調査や学年誌の読者調査などのマーケティングを行い、ウルトラマンの強化や宇宙怪獣の登場などが求められているとの結果を得た。そこで、第18話のベムスターをはじめとした宇宙怪獣を数多く登場させた。また、ウルトラマンを救うべく、前作の主人公ウルトラセブンを登場させ、万能武器ウルトラブレスレットを与えさせる。この事により、ウルトラマンのキャラクター強化に成功している。また、第13話・第14話では大津波と竜巻による東京破壊を映像化し、その高い特撮技術をアピールした。当時人気絶頂のキックボクサーであり、本作の前番組キックの鬼のモデルでもある沢村忠を本人役でゲスト出演させた第27話や、ファンの高校生(後に同様の経緯で『ゴジラVSビオランテ』の原案も手掛けた小林晋一郎)から投稿された原案を採用した第34話など対外的な話題作りも、番組の知名度アップに貢献した。
[編集] 円熟期
数々の強化策の一方でドラマ面でも強化が図られ、隊長交代というイベントに文明批評を重ねた第22話、内気で弱い少年の目覚めと旅立ちを南隊員の過去と交錯させて描いた第25話、差別への怒りをテーマとして前面に出した第33話等、一部では評価の高い作品が送り出された。特に第31話~第34話は後に一部で『11月の傑作群』と呼ばれたほどで、この時期視聴率も20%台を順調に維持した。更に、坂田アキを演じる榊原るみが別のドラマへの出演のためスケジュール確保が困難になり、第37話・第38話で健とアキは宇宙人による暗殺という設定で退場することに決定。初代ウルトラマンとウルトラセブンの登場というイベントとあいまって、ここで内容的にも視聴率的にも一つの頂点を迎えた。
[編集] 終盤の展開とその後
以後、郷の私生活は、坂田家で一人生き残った次郎と、隣人で次郎の姉代わりとなった村野ルミ子を中心に描かれていく。シリーズ終盤では、強化策として宇宙人とその宇宙人が操る怪獣が2体セットで登場するようになり、ヒーロードラマとしてのエンタテイメント性は強化されたが、シリーズ初期のハードなドラマが影を潜めたことや、予算上の都合か着ぐるみ一体あたりの品質が低下してしまった点については、批判の声もある。最終回では、MAT基地を破壊され次郎とルミ子を拉致されるという最大の危機に陥ったウルトラマンとMATが、最強怪獣ゼットンを倒して勝利し、郷はウルトラマンとして次郎とルミ子に別れを告げ地球を去った。
この最終回の内容については、最強怪獣であるはずのゼットンの造形・演出が今ひとつであったことや、ラストを飾る言葉である「ウルトラ5つの誓い」の唐突感などを指摘するファンは多い。しかしながら「ウルトラ5つの誓い」を、ウルトラマンが主要な視聴者である幼い子供たちに向けて語ったメッセージとして肯定する意見もある。また、最強怪獣ゼットンを倒したウルトラマンが郷秀樹と一体化したまま地球を去ることで、郷秀樹とウルトラマンの成長物語が一応の完成を見たとの指摘もあり、その評価は賛否両論である。
本シリーズにおける過去のウルトラヒーロー登場の好評は「ウルトラマン最終話に登場したゾフィーを長男とするウルトラ兄弟」という雑誌上で設定された捉え方がテレビ作品に導入される一種の「逆流現象」につながった。最終回におけるバット星人の台詞に「ウルトラ兄弟」が明確なものとして用いられ、次作『ウルトラマンA』から本格的に兄弟の設定が多用されていく。
[編集] 本編終了後の展開
本作を含む第2期ウルトラシリーズは、同一時間軸上の物語と設定されているため本作の流れを引き継いだエピソードがいくつか存在する。また、その他のウルトラシリーズ作品でも、郷秀樹=ウルトラマンジャックがウルトラ兄弟やウルトラマンファミリーの一員としてゲスト出演している例も多い。ここでは、そうした作品の中から本作のドラマ的後日談になっている作品を記す。
- 『ウルトラマンA』
- 第10話「決戦! エース対郷秀樹」
- タイトルの通り郷秀樹をめぐるエピソード。坂田次郎と村野ルミ子も登場し、ゼットンとの戦いや「ウルトラ5つの誓い」が語られるなど、本作の最終回を引き継いだストーリー。「おはぎが好物」という郷秀樹のプロフィールが伏線になるなど、本作の後日談を大きく意識した続編になっている。
- 第10話「決戦! エース対郷秀樹」
- 『ウルトラマンタロウ』
- 第29話「ベムスター復活! タロウ絶体絶命!」 第30話「逆襲! 怪獣軍団」
- ベムスターが復活し、以前よりパワーアップした力でタロウを苦しめる。ベムスターがかつて新マンと戦った怪獣であることが強調され、ZATの研究データという形で本作18話の映像が披露される。
- 第33話「ウルトラの国大爆発5秒前!」 第34話「ウルトラ6兄弟最後の日!」
- 素顔の歴代ウルトラヒーローが勢揃いする前後編で、郷秀樹も登場し東光太郎=タロウを成長させるために支援し、兄弟と共にテンペラー星人と戦う。
- 第40話「ウルトラ兄弟を超えてゆけ!」
- ウルトラ兄弟たちに倒された怪獣の怨念が海王星に集まって誕生したタイラントは、太陽系の各惑星でウルトラ兄弟と戦いながら地球へ向かう。新マンは木星でタイラントと対戦するが、スペシウム光線も通用せず倒されてしまう(その戦いの中で『帰ってきたウルトラマン』における怪獣たちとの戦いが回想される)。
- 第52話「ウルトラの命を盗め!」
- ドロボンの地球侵入を許してしまった新マン=郷秀樹が、そのミスを償うため捨て身の戦いを展開する。
- 第29話「ベムスター復活! タロウ絶体絶命!」 第30話「逆襲! 怪獣軍団」
- 『ウルトラマンレオ』
- 第34話「ウルトラ兄弟永遠の誓い」
- 第38話「決闘!レオ兄弟対ウルトラ兄弟」 第39話「レオ兄弟 ウルトラ兄弟 勝利の時」
- ババルウ星人の計略にはまり、ゾフィー・初代ウルトラマン・Aと共にレオ兄弟と戦ってしまう。
- 『ウルトラマンメビウス』
- 劇場版「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」、TVシリーズ第45話「デスレムのたくらみ」、第50話「最終三部作III 心からの言葉」
- ヤプールの怨念であるUキラーザウルスを封印するために、初代マン・セブン・Aと共に力を使い果たした。その後、神戸に3人とともに残って監視を続けていた。ウルトラマンメビウスのピンチに最後の力を振り絞って変身し、メビウスを助ける。その後、TVシリーズの第45話と第50話にも登場した。
- 劇場版「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟」、TVシリーズ第45話「デスレムのたくらみ」、第50話「最終三部作III 心からの言葉」
[編集] 時代・舞台設定
具体的な年代は劇中では明示されていないが、非日常的な場所でのロケを多用し「近未来」「無国籍」を演出していた『ウルトラマン』『ウルトラセブン』と比べると、本作は生活感のある場所での映像が多い。放映年代と同じ「1970年代初頭」の日本が舞台だと考えるのが自然だろう。第44話にて登場するケンタウルス星人(広田あかね)の墓標には「昭和四十七年」の標記が認められる。また、第6話や第11話で第2次世界大戦の体験が語られていることなどからも、現実の日本と重なった舞台であることが強調されている。また、国外の描写はほとんどなく、MATの他国支部の活動もほとんど描かれていない。
ウルトラ兄弟等の設定により他のウルトラシリーズ作品とも世界観がつながっているとされているが、実作品中では『ウルトラマン』『ウルトラセブン』の世界との関係は明示されておらず、わずかにバルタン星人Jr.やゼットンの登場(最終話に「ゼットンはかつてウルトラマンを倒した強敵だ」との伊吹隊長の台詞があり既知の怪獣であったことが示唆されている)、第38話におけるハヤタとダンの登場で暗示されているのみである。
このほか第6話で使用が検討された兵器スパイナーが『ウルトラセブン』第28話の登場兵器と同一名称であること、第21話に『ウルトラセブン』第24話から地球防衛軍(TDF)パトロール機の墜落映像が流用されていることが後日談であることを推測させるとの指摘もあるが、MATの装備(宇宙に関しては地球衛星軌道上程度にまでしか到達手段を持たない)や戦術(光線兵器よりも機関砲・ミサイル・ロケット弾など通常兵器を多用)の描写を見る限り、組織として何らかの継承があったと受け止めるのは難しい。
一方、先に述べたように次作『ウルトラマンA』の第10話では後日談が語られ、『ウルトラマンタロウ』『ウルトラマンレオ』では郷秀樹本人が登場することで、第2期ウルトラシリーズの作品と同一の舞台であることが明示されている。
[編集] キャラクターとしての帰ってきたウルトラマン
- 身長:40メートル
- 体重:3万5千トン
- 年齢:1万7千歳(初期の設定では1万9千歳)
- 飛行速度:マッハ5
- 走行速度:時速600キロ
- 水中速度:180ノット
- ジャンプ力:400メートル
- 腕力:10万トンタンカーも持ち上げる
- 聴力:200キロ先の針の落ちる音も聴ける
- 頭:鉄の2千倍の硬さ
- 職業:ウルトラ道場の先生、ウルトラの星へ帰還後は宇宙警備隊地球課長。後に支部長と設定されるが具体的な支部名は不明。
- 家族構成
- 父:ウルトラ科学技術局長官
- 母:宇宙情報センターに勤めている
- スタイル
- 本作の劇中では手袋・ブーツは銀色であるが、『ウルトラマンタロウ』第52話「ウルトラの命を盗め!」にてゲスト出演した時には手袋・ブーツと共に赤色になっていた。『タロウ』第33話・第34話・第52話では胸の模様が『帰ってきたウルトラマン』の第1話撮影時のNGに近い形状になっていた。NGスーツの事については下記の『デザイン』を参考。
- 人間からウルトラマンへの影響
- 初代ウルトラマンはハヤタから変身後は万能ヒーローであったが、この作品のウルトラマンは郷秀樹からの変身後は必ずしも万能ではなく、郷の体の状態が変身後もウルトラマンに引き継がれる場面が見られた。一例として、劇中で郷が右腕を怪我したまま変身した際、ウルトラマンも右腕が使えずブレスレットを使わないという場面がある。逆に、ウルトラマンと怪獣との戦闘の終了後、郷秀樹が身体を負傷していたのに対し、仲間の隊員が「またウルトラマンと同じ所を怪我したな」と声をかける場面があり、ウルトラマンから人間(郷)への影響もあるようだと見られる。
[編集] 名称
このシリーズの主人公の「ウルトラマン」には、放送当時から正式な名前(初代ウルトラマンと区別できる名前)がなかった。これは、本シリーズ企画段階では前作の「ウルトラマン」が本当に「帰ってくる」という設定だったのが、途中で「別人」に変更されたためとされている。本作の劇中では、本作品の主人公を一貫して「ウルトラマン」と呼んでいた(第1話には彼自身の「私はウルトラマンだ」という台詞がある)。
第38話で前作のウルトラマンと本作のウルトラマンが共演し、本作と前作のウルトラマンは別人であることが明確になった。その際、ナレーションは前作のウルトラマンを「初代ウルトラマン」と呼称している。また最終回で、前作のウルトラマンが郷秀樹にゼットンの脅威についてテレパシーで警告する場面で、郷も前作のウルトラマンを「初代ウルトラマン」と呼んでいる。それ以降、前作の「ウルトラマン」は、(本作のウルトラマンと区別する必要がある際には)初代ウルトラマンと呼ばれるようになった。
一方、本作のウルトラマンは、次作『ウルトラマンA』の「銀河に散った5つの星」の回で、ヤプールと北斗星司の双方からウルトラマン2世と呼ばれている。
その後かなり長い期間、本作に登場するウルトラマンは一般に「新ウルトラマン」、「新マン」、「帰マン(きまん)」、「帰りマン(かえりまん)」等と呼ばれていた。小学館の学習誌では「新ウルトラマン」や「新マン」という呼称が多用されていた。制作した円谷プロの関係者は「帰マン(きまん)」と呼称していたと言われる。『ウルトラマンA』で使用された「ウルトラマン2世」という呼称は、一般にはあまり定着しなかったと見られる。
放送終了後10年以上経った1984年、劇場用映画『ウルトラマンZOFFY ウルトラの戦士VS大怪獣軍団』公開に先立ち劇中でウルトラファミリーを紹介する際、各々に固有名詞を付与する必要が生じた。その際、円谷プロにより「ウルトラマンジャック」の名前が与えられた。これは、命名以後に再放送、雑誌、ビデオ媒体などで本作の存在を知った新しい児童・ファンには浸透したものの、リアルタイムで視聴していた世代にはなかなか受け入れられていない状況があると見られる。リアルタイムで視聴した世代は、「ジャック」という名は知っていても、昔から慣れ親しんでいる「新マン」などを使う者が多いと言われる。よって、本作の主人公を「ジャック」と呼ぶか呼ばないかは、世代・年齢層やファン個人の好みによって分かれている。中国で放送された際には『杰克・奥特曼』(杰克はジャックと読む)とのタイトルが使われた。なおこの名を持つ別のキャラクターも存在する。詳しくはウルトラマンジャックの項を参照のこと。
『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』へのゲスト出演では「ウルトラマンジャック」に統一され「帰ってきたウルトラマン」「新マン」「ウルトラマンⅡ世」などは別名であるとされた。劇場版のエンドロールでは「帰ってきたウルトラマン」と表記される一方で、TVシリーズでは「ジャック」と呼ばれた。
ただ劇中では、メビウス等ウルトラ兄弟は「ジャック」という名を知っていても、地球の人々は、1971年当時ジャックが自身を「私はウルトラマンだ」とだけ言ったため「ウルトラマン」という名前しか知らない。そのため「ジャック」という名前は存在するが、メビウスの世界での人々は「ウルトラマン」と呼んでいる。第45話での「ウルトラマンが…帰ってきた!」という菊池英一の台詞はその裏づけとも取れる。また、これは『帰ってきたウルトラマン』第18話のオマージュでもある。
ウルトラシリーズ以外で名前が使用される場合にも名称の統一はなされていない。「新マン」の名はバスタードにおいてドミニオンシンマニフェルの名の元ネタに使用され、「ジャック」の名はこち亀において両津がクイズ荒らしの家を訪れた際出題されたクイズの正解の一部として登場しており、その活用され具合は半々といったところであろうか。
[編集] デザイン
高橋昭彦によるものと永年言われていたが、実際は営業部の末安昌美によって急遽線を増やしたという証言が近年出てきた。恐らくはそれをクリンナップしたものが、現在"デザイン画"とされているものと思われる。
基本的に初代ウルトラマン(以下「初代」と略す)に準じた形状だが、体の赤い模様を二重線で縁取っており、首から胸元と腰から膝までの模様が異なるのが大きな特徴である。また銀色の質感も初代(本放送当時)のそれとは若干違うものであった。
最初に作られた着ぐるみは、初代の模様に縁取りをつけただけであったが、スポンサーであるブルマァクの要望によりキャラクターを初代と明確に差別化する必要に迫られ、第1話の撮影やり直しを機にデザインが変更された。
顔は初代のCタイプから原型を取り、開米プロダクションとヒルマモデルクラフトが制作した。後頭部はオリジナルでは赤くなっているが、番組後半では銀色になっている事もあった。その他スーツの個体差に由来する模様や形状の差異は多い。
手足の先が腕や脚(さらには体幹)と一体化していた初代と異なり、手袋とブーツのすそが明確に露出している。これは撮影時の着ぐるみの着脱の容易さを考慮したもので、ウルトラセブン撮影時の経験を生かしたものである。ブーツと手袋のファスナーの部分が赤く塗装されているが、これはデザイン画の時点ですでに存在している。
[編集] 変身方法
初代ウルトラマンやウルトラセブンと違い変身用の道具は用いず、郷秀樹が生命の危機に陥ったときに自然に変身する。シリーズ初期においては、郷の頭上に十字状の光が降ってくると、それに呼応するように郷が両手を斜め上に挙げ、変身するというパターンが基本であった。第2話では郷秀樹が望んでも変身できないという事態があった。これは、郷が超人の力を得て慢心していたため、ウルトラマンが変身に同意しなかったためと考えられる。また、最終回では敵の挑発に乗って変身しようとする郷に対して、ウルトラの星の初代ウルトラマンがテレパシーで変身にストップをかけたことがあった。
初期のエピソードでは、郷とウルトラマンの意志は全く別であるような印象である。ウルトラマンへの変身は郷の意志ではなく、郷が人間の能力の限界まで努力し生命に危険が及んでいる状況で、光に包まれて自然に変身するというような演出になっていた。しかし中盤の第20話では、郷秀樹の意思によると思われる変身が劇中で描かれ、これ以降、郷本人の積極的意思による変身も数多く見られるようになる。このように意識的に変身する場合は右手を高く掲げることが多い。これは郷の精神的成長に伴い、ウルトラマンの判断と郷の判断が一致するようになった、あるいは郷とウルトラマンの人格融合が進んだために郷=ウルトラマンの意志で変身できるようになったと考えられる。この点について劇中で特には明言されていないが、37話で郷の心の乱れがウルトラマンに影響たこと、シリーズ終盤でウルトラマンの感情が郷のそれに同調していること、郷が異星人を相手にウルトラマンの立場で会話しているなどの演出が、人格融合の傍証として挙げられる。最終回では郷とウルトラマンが分離することなく地球を去っており(初代ウルトラマンがハヤタと分離して地球を去ったのと対照的)、後に『ウルトラマンタロウ』『ウルトラマンレオ』『ウルトラマンメビウス』『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』で郷が客演した際には完全に自由意思で変身している。
ここまで述べた郷とウルトラマンとの関係の変遷については、制作事情的には第2クール以降ウルトラマンのキャラクター性を強化する上での作風変更の一環(ウルトラマンと郷秀樹との間の葛藤を省略、単純化する)と考えられるが、結果として郷がウルトラマンと同一化しつつ成長していくというシリーズの流れと軌を一にしている。ちなみに書籍では、エネルギーの消費が変身時間に反映され、通常より早くカラータイマーが点滅することがあると書かれている。
[編集] 技
- スペシウム光線
- 初代ウルトラマンの技とまったく同じフォームからくりだされ、またその威力もほぼ同等の必殺技。ただし発射音は微妙に違い、初代に対してやや高音が強調された音である。両手を十字に組んで右手から発射される破壊光線。全編を通して使用され、序盤では決まり手として多くの怪獣を葬った。ベムスターに破られて以降、ウルトラブレスレットに決まり手の地位を譲った印象もあるが、第38話ではナックル星人の宇宙艦隊を壊滅させ、最終回でゼットンを葬るなど、シリーズ後半でもここ一番の見せ場では威力を発揮していた。『ウルトラマンメビウス』第45話ではメビュームバーストでダメージを受けたデスレムに追い撃ちの形でとどめをさしている。古い少年誌の付録では、初代のものは30万度、新マンは25万度の威力と書かれており、一部のゲームでも初代のものとは威力が異なっているが、公式設定では初代ウルトラマンと同程度。
- ウルトラスラッシュ(八つ裂き光輪)
- 左腕を水平に構え、上に掲げた右腕を振り下ろし発射する光のカッター。スペシウム光線のエネルギーをギザギザの丸い物体に変化させ、敵に投げつけ相手を切断する。これも初代ウルトラマンと同じ技でサドラとの戦いで初めて使用し、これを倒したがキングザウルス三世との戦いでバリアーにはじかれて以来、使用されなくなった。第31話で後述のウルトラブレスレットがゼラン星人にコントロールされてウルトラマンに襲いかかる際、一瞬だがブレスレットが八つ裂き光輪の形状になっていた。
- フォッグビーム
- 霧状の光線。キングザウルス三世との戦いで使われたがバリアーによって防がれる。一部の文献では冷凍光線と記載されているが、真相は不明。ゲームではよく弱めの光線ということで使われる。
- シネラマショット
- スペシウム光線以上の強さを持った必殺光線。命名の由来は映画用語のシネラマ(つまりスペシウム光線より発射範囲が広い)であると思われる。ウルトラセブンのワイドショットと同じ様に両腕をL字型に構え右腕から発射する。ワイドショットよりも強力との設定もある。キングザウルス三世との戦いで初めて使われたがバリアーによって防がれ、本作中は以来一度も使われることはなかった。しかし、『ウルトラマンタロウ』のテンペラー星人編で客演した際、5兄弟同時発射光線の時のこの光線を放っている。また、「ウルトラマンFightingEvolution0」でもヤプールが逃走する際、兄弟達が光線を一斉発射する時も使用されている。書籍によれば、エネルギーを大幅に消耗するため、一度しか使わなかったらしい。
- ウルトラショット
- 右手先から発射する光線。針状の光弾を連射するタイプと、帯状の光線を発射するタイプがある。テロチルス、メシエ星雲人、ノコギリン戦で使用。ノコギリン戦でのみ後者のタイプを使用し、ウルトラブレスレットの電撃でダメージを受けていたノコギリンにとどめをさした。又、ステゴンに対しても構えを見せたが、その際は子供達の声を聞いて構えを解いている。
- ストップ光線
- 両手の間から放射する、活動停止光線。ステゴンの動きを止めた。一部の文献では、この技もフォッグビームと記載されている。
- ウルトラロケット弾
- 飛行しながら連射する光弾。バリケーンに使用。
- ハンドビーム
- 右手先から発射する火球。ブラック星人を倒した。
- ウルトラフラッシュ
- 手先を合わせて放つ破壊閃光。ビルガモに使用。
- ウルトラ念力
- サータンを空中に浮かばせた念力。
- 透視光線
- 両目から放つ光線。姿を消した怪獣を探し、実体化させる。サータンに使用。
- ウルトラ眼光
- 両目から放つ破壊光線。メシエ星雲人を怯ませた。
- ウルトラフロスト
- 両手から冷凍液を放射する。プリズ魔に使用。
- ボディスパーク
- 全身をスパークさせて、ツインテールの首締めから逃れた。
- 流星キック
- 上空へ空高く飛び上がり急降下しながら敵に蹴りを入れる。キングザウルス三世との戦いで使用。同怪獣のバリヤーを飛び越えて、バリヤーを発生させる角を破壊した。また『ウルトラマンメビウス』第27話ではメビウスがゼットンとの戦いで使用した。
- 流星パンチ
- 主題歌「帰ってきたウルトラマン」の歌詞に登場。劇中では未使用である。
- ウルトラスピンキック
- 上空へ空高く飛び上がり後方回転しながら敵に蹴りを入れる。繋ぎ技として多用した他、モグネズンやグロンケンにとどめをさした。郷は第27話でキックボクサーの青年、東三郎にこの技を特訓した(この回では「ウルトラキック」と呼ばれている)。
- 空中回転落とし
- 空中で相手を捕らえ、高速回転しながら地面にたたき落とす。スペシウム光線が通用しないテロチルスを葬った技。
- ウルトラ霞斬り
- 初代ウルトラマンと同じく、敵目掛けて走り、すれ違いざまにチョップを決める。シュガロンを倒した。
- ウルトラ頭突き
- 上空へ空高く飛び上がり後方回転しながら敵に頭突きを入れる技で、シュガロンにダメージを与えた。
- ウルトラ急降下戦法
- 敵を羽交い絞めにして飛行し、最高速度で反転して急降下、敵を地面に叩きつける。この要領で隕石にぶつけることでザゴラスを倒した。
- ウルトラバリヤー
- 第14話でシーゴラスが強大な念力で起こした大津波を止め、逆に押し返した脅威の技。使用するとエネルギーを著しく消耗してしまう。劇中のナレーションは「ウルトラバーリヤ」と言っていた。
- ウルトラバリヤー
- 上記のウルトラバリヤーとは別の技。光の壁で攻撃を防ぐ。第31話でゼラン星人にコントロールされたウルトラブレスレットの攻撃を防いだ。光線にして放ち、人間を守る「バリヤー光線」というバリエーションもあり、第30話で墜落したマットアローを守った。
- ウルトラVバリヤー
- 両腕を交差させて、敵の攻撃を防ぐ。キングザウルス三世の光線やゴルバゴスの吐く火球、ゼットン(二代目)のメテオ火球を防いだ。『ウルトラマンメビウス』第45話では、デスレムの連続で繰り出す火球からフェニックスネストを守った。
- ウルトラスピン
- 高速スピンして突風を発生させ、シーゴラスが発生させた雷雲を吹き飛ばした。また、キングマイマイ戦でも、ボディに絡みついた糸を振り払うために使用している。
- ウルトラドリル
- 体をドリルのように高速回転させて地中に潜る。第8話で使用、体に時限爆弾をつけたゴーストロンの真下に回りこみ、持ち上げて宇宙へ運んだ。更にキングボックル戦では一度この技で地中に潜った後別の場所から浮上し、ウルトラスピンキックへ繋いだ。
- スパーク攻撃
- 敵とすれ違いざまに全身から光を放射し、敵にダメージを与える。サータンとの空中戦で使用した。
- ウルトラ十文字切り
- 相手を十字に二度切りつける技。レッドキラー戦では、奪ったブーメランを使用してレッドキラーを両断した。
- ウルトラプロペラ
- ウルトラスピンの強化技。敵の頭上で体をプロペラのように横に高速回転させ、巨大な竜巻を起こして敵を吸い上げ、宇宙へ吹き飛ばして爆発させる。バリケーンを倒した。
- スライスハンド
- 第38話にて、スペシウム光線もウルトラブレスレットも通じないブラックキングを葬った必殺技。敵を天高く放り上げ、続いて自分もジャンプしてすれ違いざまに手刀で首を切り落とす。セブンは切り裂き攻撃が得意なのでセブンから教わったと推測される。
- ウルトラ投げ
- 第38話にてナックル星人にとどめをさした技。相手を担いだままジャンプし、高空から投げ飛ばして地面へ叩きつける。ウルトラマンは投げ技が豊富であり、これや後述するウルトラハリケーンの他にも、巴投げ、背負い投げ、空中回転逆落とし、回転足投げ、ブレーンバスター、ボディ落とし、敵の尻尾を掴んで振り回すウルトラスゥイング、頭上に抱え上げて放り投げるウルトラリフターといったバリエーションがある。初代マンは投げ技が得意なので初代マンから教わったと考えられる。
- ウルトラハリケーン
- 最終話にて、ゼットン(二代目)に使用した技。敵を担ぎ上げ、高速回転させながら空中へ追放する。この直後、身動きのできない相手に対しスペシウム光線でとどめをさしている。ウルトラシリーズ史上初めてウルトラマンが技の名前を叫んで繰り出した技である。
- エネルギー解放能力(名称不明)
- 劇場版『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』にて、究極超獣Uキラーザウルスの触手に捕らえられた際に、エースと共に使用。全身を白く発光させエネルギーを解放し、触手から脱出した。エースも使用したことから、ウルトラ戦士共通の能力だと思われる。
[編集] 装備
- ウルトラブレスレット
- 第18話で、宇宙怪獣ベムスターに敗退したウルトラマンにウルトラセブン(演:望月武郎)がもたらした「如何なる宇宙怪獣とも互角に戦える」万能武器。セブンから手渡された際はウルトラスパーク(後述)の形状だったが、通常はウルトラマンの左手首にブレスレット状に装着されるようになった。局面に応じて、ブーメラン状や槍状、十字架状、盾状、巨大な光弾、鞭状等の様々な形態や大きさに変化させて使用する(個々の説明は後述)。使う際は左肘を曲げてブレスレットを示し、右手でこれを掴んではずす動作が続き、変形させたり、直接投げつけたりする。ただし、一度に複数の用途には使えず、第20話ではウルトラマンがそのジレンマに苦しむ様子も描かれた。時には武器としてだけでなく、湖を丸ごと蒸発させたり、冷凍後、バラバラにされた自分の体を復元させたりするなど、いささか御都合主義的な力も見せている。どの機能であれ、役目を果たすとウルトラマンの意思に呼応するかのように手元に戻る。第31話ではゼラン星人にコントロールされてウルトラマンに襲いかかったが、ゼラン星人が倒され、その制御が解けると再びウルトラマンの左手に収まる様が描かれた。
- ウルトラスパーク
- 小型戦闘機のような形をした武器。白熱化して飛び、敵を切り裂く。ウルトラセブンのアイスラッガー以上の威力を持つ。最も多用された武器で、ただ単に技名として「ウルトラブレスレット」と呼んだ場合、これの事を指す事が多い。手に持って、ナイフとしても使える。ビルガモ戦では、3つに分裂させた「ウルトラスパーク3段斬り」を使用した。また、ブレスレットがゼラン星人にコントロールされた時も、数発のウルトラスパークに分裂した事がある。
- ウルトラランス
- ウルトラスパークの尖った柄を伸ばした槍。ヤドカリンに投擲し、串刺しにした。ブレスレットの代表変化例としてウルトラスパークと共に紹介される事が多い。
- ウルトラクロス
- ウルトラランスの柄の先端に十字架がついた槍。ドラキュラスやバット星人に投擲し、突き倒した。ウルトラランスよりも活躍しているが、雑誌等ではウルトラランスの方が多く紹介されている。
- ウルトラディフェンダー
- 楯状に変形させたもの。スノーゴンの冷凍光線を反射し、逆に凍らせて倒している。
- ブレスレットボム
- ブレスレットを敵に飲み込ませて、体内で爆発させる。キングマイマイとロボネズを倒した。
- ウルトラ火輪
- 高熱火球に変形させたもの。炎の輪を作り出して敵に降り注ぎ、焼き尽くす。バルダック星人を倒した。
- 変光ミラー
- 丸い鏡に変形させたもの。パラゴンが発生させる蜃気楼を消し去った。
- ブレスレットニードル
- 針状に変形させたもの。バキューモンを体内から切り裂いて倒した。
- ブレスレットムチ
- 鞭状に変形させたもの。レッドキラーのブーメランを絡め取った。
- バリヤーボール
- 球状バリヤーに変形させたもの。第25話で使用、空中に放り出された南隊員と六助少年を助け出した。
- ブレスレットブーメラン
- ブーメラン状に変形させたもの。ブラックキングに使用したが、弾かれた。
- ウルトラスーパー光線
- ウルトラスパークから放つ光線。サータンを倒した。
- 磁力封じ能力
- マグネドンの磁力に捕らえられた際に使用した能力。ブレスレットから黄色い渦巻状の光線を放ち、敵の磁力を無力化した。
- 反重力光線
- マグネドンを宇宙へ運ぶために使用した能力。ブレスレットから緑の渦巻状の光線を放ち、マグネドンを空中に浮かび上がらせてから、ウルトラリフティングで宇宙へ運んだ。
- ダムせき止め能力
- マグネドンの体当たりで崩壊したダムに投げつけ、流出する水をせき止めた。その後、ブレスレットを回収すると再び水が流出した。
- エネルギー再生能力
- ビーコンとの戦いで倒れた新マンにエネルギーを与えて復活させた。スノーゴン戦では、バラバラにされた体を再生する「ウルトラ再生パワー」を使用している。
- ブレスレットチョップ
- ブレスレットの力で強化された左手チョップ。グロンケンの腕を切り落とした他、オクスターを怯ませた。
- ウルトラショット
- ブレスレットから放つ光線。2種類あり、1つはオクスターを痺れさせた電撃光線。もう1つはオクスターの死体を白骨化させる光線。
- 水蒸発能力
- オクスター戦で使用。ブレスレットの力で熱を発生させ、沼の水を蒸発させた。戦闘終了後、蒸発した水は豪雨となって降ってきた。
- スパーク電撃
- ウルトラスパークを敵にぶつけ、強力電撃を放射する。ビーコンを倒した。また、スペシウム光線の効かないノコギリンを昏倒させるほどのダメージを与えた。
- ウルトラ発光
- ブレスレットから放つ光で、敵のメカを狂わせる。ビルガモにダメージを与えた。
- ブレスレット反射能力
- 敵の光線をブレスレットに当てて反射する。ビルガモのバルタニックウェーブを反射した。
- ブレスレットフラッシュ
- ブレスレットから強烈な光を放つ。光に弱いドラキュラスを怯ませた。
- なまけエネルギー吸収能力
- ヤメタランスのなまけエネルギーを吸収して、元の小さな怪獣に戻した。
- 惑星破壊能力
- ウルトラスパークでバルダック星人の円盤群を破壊した後、エネルギーを放出して巨大な光弾になってバルダック星を破壊した。
- 針状光線
- ゼラン星人にコントロールされたブレスレットが見せた能力。光の渦巻状に変形し、針状光線を発射した。
- 光の鎖
- ゼラン星人にコントロールされたブレスレットが見せた能力。光の鎖に変形し、ウルトラマンを締め付けた。
- 八つ裂き光輪
- ゼラン星人にコントロールされたブレスレットが見せた能力。八つ裂き光輪に似た光の回転カッターとなって飛び回った。
- 本作は努力して怪獣に打ち勝つウルトラマン像を打ち出したが、それはドラマの中でウルトラマンが怪獣に何度も敗退するという結果を生みだしてしまい、力強いヒーローを求める子供達の人気を得ることが出来なかった。第1クールの視聴率が期待ほど伸びなかったことに危機感を持った円谷プロとTBSは、児童へのアンケート調査の結果を元に視聴率強化に乗り出し、番組の強化策を打ち出した。ウルトラブレスレットはその強化策の一つであった。
- 『ウルトラマンA』第14話でウルトラ4兄弟がエースキラーに各々の必殺技を奪われた際、ウルトラマン2世から奪ったのは、このブレスレットだった(余談であるが、他の兄弟は光線技をエネルギーとして奪われ、エネルギー枯渇から首をがっくりと傾ける場面がある。2世はエネルギーではないブレスレットを奪われただけなのに、まるでエネルギーが枯渇したかのように、がっくりとうなだれてしまう不思議な場面となっている)。この事からもこれが彼の代表的な必殺技と見做されていたことが分かる。その後の第2期ウルトラシリーズ客演時には、ブレスレットがなかったり、タロウブレスレットを装着していたりと、装着の状況が一定していないが、これは本作の撮影終了時にウルトラマンを演じた菊池英一に撮影用の小道具が記念に贈られ、以降の撮影には使われなくなったためで、ウルトラブレスレットを武器にするという設定自体は変わっていない。菊池英一が受け取り、保存していたブレスレットは、2002年に菊池がテレビ番組『開運!なんでも鑑定団』に登場した際に20万円の評価を受けている。
[編集] MAT
MAT(マット)とは Monster Attack Team すなわち「怪獣攻撃部隊」である。国際平和機構の地球防衛組織に属し、本部はニューヨークに置かれ、世界各国に支部がある。MAT日本支部は国家組織「地球防衛庁」に属し、東京湾の海底に原子炉を動力源とする基地をもつ。他に海岸沿いの地上発信口や地上オフィス(中央区神田錦二丁目・架空の場所)がある。また宇宙ステーションも持つ。上層部から事ある毎に解散の圧力をかけられていたため、ファンの間では「解散MAT」の異名で呼ばれる事がある。
作中ではMATにおける広報部門の描写はないが、一般市民が町で隊員服を見かけてMATの活動を察知したり、子供たちが街中でMATビハイクルに群がったり、隊員と直接面識のない人物(第27話の沢村忠)から「あなたMATの郷さんでしょ」と声をかけられたりする等の状況から、MATの任務や隊員の個人情報等も含めた活動内容はマスコミ等を通じてかなりオープンに情報公開されていると考えられる。
なお、Monster Attack Teamは英語表記として文法上意味をなさないが、その後の設定でも訂正がなされていない。この点に関しては『ウルトラマンA』でTACの正式名称がTerrible-monster Attacking Crew、『ウルトラマンレオ』でMACの正式名称がMonster Attacking Crewとされ進化が見られたものの、やはり英語として意味をなさないことは同様である。ただ、以後のウルトラシリーズに登場する防衛チームに略称の使用を定着させた功績は大きかったといえよう。
[編集] MAT日本支部の隊員
隊は実動部隊と後方支援部隊(通信・整備)からなる。少数精鋭主義を取っており、隊員数は少ない。実動部隊の隊員服はオレンジ色が基調色で胸に黒いV字型の模様が入る。この部分は伊吹隊長のみ上部に細い線が入り、おそらくは加藤隊長より上位の指揮官を示していると思われる(なお、このデザインの変更は伊吹隊長を演じた根上淳が「隊長と隊員の外見的違いを明確にするために」と発案したもの)。また実動部隊のヘルメットには額部分に番号が書かれており(1番が隊長、郷は6番)、以下番号の順に各隊員について述べる。
- 加藤勝一郎 隊長(かとう しょういちろう)
- 元は陸上自衛隊の一佐でMAT日本支部の初代隊長。郷秀樹の勇気ある行動と生命力(死亡と診断された後で蘇生したこと)に感銘を受け、MATへの入隊を薦めた。温厚な性格だが、任務に対する責任感が強い。上層部の岸田長官からの強引な命令に対し押して忍ぶ態度でよりよい解決策を進言し、部下同士の対立を解決するため単身で危険地帯に調査に赴く(第3話)など、外柔内剛の部下思いの上司。息子がいる。実兄は鉄道会社の社長。ベムスターの襲撃を受け殉職した梶キャプテン(宇宙ステーション責任者)とは親友の仲である。梶キャプテンの殉職後、後を継ぐためMATステーションへ転任となった。
- ・加藤隊長転任の経緯は「MAT隊長の交代」の項を参照
- 伊吹竜 隊長(いぶき りゅう)
- MAT日本支部の二代目隊長。加藤のニューヨーク本部勤務時代の上官で、彼がMATステーションへ転任となった後、ニューヨーク本部からやって来た。任務遂行に関しては厳しいが、人間としての根は優しい。実家に妻と一人娘の美奈子がいるが、MAT隊長の家族であるが故に宇宙人の陰謀に巻き込まれることが多い。なお、劇中では何らかの理由で郷がウルトラマンと同一人物であることに気づいていた可能性があるような行動も見せている。
- 南猛 隊員(みなみ たけし)
- MAT日本支部の副隊長格で、マットガンの名手。心優しい性格の持ち主でチームワークを大切にし、MAT入隊当初の郷の面倒を何かとよく見ていた。他の隊員より先輩だと思われるが、自分の独断で物事を判断せず、他の隊員の意見をバランスよく聞こうとする態度が目立つ(この点、独断が目立つ岸田隊員と好対照)。少年時代に弱虫で「じゃみっこ」というあだ名をつけられて苦労していた事が、その人格に影響しているらしいと見られる描写がある。柔道の実力にも優れる。
- ・設定ではオリンピックの射撃競技の金メダリストでもある。
- 岸田文夫 隊員(きしだ ふみお)
- 兵器開発を得意とする。射撃の名手でプライドが高く、少々短気なところもある。正義感と責任感が強いが、十分な調査もせずツインテールの卵を岩だと判断するなど、独断で重大な決定を下し失敗する例も見られる。初期には何かと郷隊員と意見や感情が対立し、郷が謹慎処分になるほど重大な結果になることも多かった。「主人公と仲間との深刻な対立」というそれ以前のシリーズにはあまり見られなかったシチュエーションを代表する人物である。しかし、第11話で郷に助けられたことを契機として次第に打ち解け、プライベートを話題にしたり冗談を言い合うような仲になっていった。後に超高感度レーダーの設計に携わり、その時期に事件の中で知り合った女性・広田あかね(演:茜夕子、現:井波ゆき子)との結婚を考えるが、その交際は悲劇的な結末を迎える。父は大日本帝国陸軍で化学兵器(毒ガス)開発に参画し、叔父は地球防衛庁長官というエリート軍人の家系。母が健在だが、兄は自殺している(父親が大量殺戮兵器である毒ガス開発に加担した事を悩んだ末のことと見られる)。
- 上野一平 隊員(うえの いっぺい)
- 若く直情型の熱血漢でMATのムードメーカー的存在で、戦闘中の様々な局面において感情をストレートに出している。MATに命を懸けると言う一方で、喉が渇いたからとパトロールを打ち切って基地に帰還するなど、南や岸田と対照的に気分屋の一面を感じさせる場面もある。同い年の郷隊員と仲が良く、初期には郷の意見を「ばかばかしい」と一蹴する態度も見られたが、反面チームで孤立した郷を庇う事も多かった。天涯孤独の身で親兄弟はいないが地底科学の権威、小泉博士の恩を受ける。後に博士殺害の嫌疑をかけられるが、郷らによって潔白を証明される。博士の娘千鳥は「チーちゃん」と呼ぶ幼馴染み。迷信や占いを信じる一面もある。
- 丘ユリ子 隊員(おか ゆりこ)
- MAT日本支部の紅一点。主に通信を担当するが、作戦会議では独自の優れた視点で状況打開の突破口となるヒントやアイデアをしばしば提示する。剣道四段の腕前を持ち、実戦でも男性隊員に劣ることはない。特にナックル星人戦で郷を除いた全隊員が洗脳された時もたった1人で耐え、男性隊員と格闘して打ち伏せた上、郷と2人で隊員達の洗脳を解いた事でもその実力は伺える。怪獣に憑依され心神喪失の状態から解けた際に見せた表情に普通の女性と変わらぬ一面も垣間見えた。髪型は初期は長い黒髪であったが、第5話以降は茶色のショートカットに変更されている。家族は第47話で母親(演:葦原邦子)が登場している。
- ・ニュースキャスターの父親が設定されているが、作中には未登場。
- 郷秀樹 隊員(ごう ひでき)
- 加藤隊長のスカウトにより民間から登用された新入隊員。父は彼の少年時代、登山中の遭難事故によって死亡。その後母親を故郷に残して上京し坂田自動車修理工場に勤める。母の存在については第1話で触れられているが、劇中に登場することはなく第33話では郷が天涯孤独との台詞もあり、すでに死亡しているとの見方もある。坂田健の設計・開発中のレーシングマシン「流星号」のレーサーでもあり、その完成を目前に控えていた(レーサーとしての実績は不明)。坂田アキとの仲も坂田兄弟公認と見られ、既に家族の一員のような扱いであった。タッコング襲来時に逃げ遅れた子供と仔犬を救おうとして命を落とすが、その一部始終を見ていたウルトラマンが郷の勇気に感動。ウルトラマンが郷と一体化することによって蘇生する。その後、加藤隊長にその勇気と生命力を買われMATに入隊した。少年時代から運動神経に恵まれレーサーとして鍛えていたが、ウルトラマンとの一体化によってその能力が増幅され、第2話では、先輩隊員たちの得意分野の種目において初心者でありながら全て勝利するという成績を打ち出していた。しかし、その超人的な能力に思い上がって、自らピンチを招くこともあった。また超能力を身につけたことにより、怪獣出現の前兆を他人よりも鋭敏にキャッチできることが仇となり、事件の有無をめぐって他の隊員との対立を起こすことも度々あった。しかし人間的に成長するにつれチームに融和し他の隊員とも打ち解けるようになった。甘党でおはぎが好物。趣味はギター。MAT入隊後も休暇の際は坂田の許に戻り流星2号の設計製作を共に進めていた。後に幼馴染みの水野一郎と再会するも悲劇を防ぐ事はできなかった。坂田兄妹の死後は残された次郎を自分のマンションに引き取り、次郎の兄代わりになろうとしていく。同じマンションの村野ルミ子との交流もつかの間、バット星人とゼットンを倒した後、ウルトラの星の危機を救うため、ウルトラマンと一体化したまま地球を去った。
- ・その後のシリーズでも幾度か地球に姿を見せ、人間体での客演は兄弟中最多(ウルトラマンレオでレギュラー出演したモロボシ・ダンを除く)である。
- ・MATには自分の無事と正体を告げずに去ったため、次作『ウルトラマンA』で語られるMATのファイルではゼットン戦で殉職したと記録されている。
- ・映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』では神戸の町で将来レーサー志望の子供達を指導している(着ている服にはMATのワッペンがついている)。[1]
- 岸田 長官
- 岸田文夫隊員の叔父で、MATの上部組織と言える地球防衛庁の長官。MATに対し解散を命じる事も可能な強い権限を持つ。怪獣を倒せないMATに対し、権力や世論を背景にプレッシャーをかける役回りで、その高圧的な命令にMATが背くことができないという状況は、子供向け特撮番組の中で現実社会の構図を見せ、作品世界にリアリティーを与えていた。住民にも甚大な被害を及ぼすスパイナーの使用を簡単に決断するあたり、国民の生命財産を軽視していた戦前の日本軍部への批判をこめたキャラクター設定と考えることもできる。ただし、グドン・ツインテール戦においては、MATの熱意を酌んで麻酔弾作戦に許可を出していること、シーモンス・シーゴラス戦においては東京都民の安らぎに言及してMATを叱咤している点などを評価するファンもおり、悪役とは言い切れない懐の深さを持つ人物と見る向きもある。第5,6,13,14話に登場。
- ・軍隊の司令官役では定番の藤田進は、前作『ウルトラセブン』のヤマオカ長官に続いて2度目の長官役であるが、キャラクターはかなり異なっている。
- 佐竹 参謀
- 初登場の第5,6話時は佐川参謀と呼ばれていたが、同一のキャラクター。岸田長官を補佐し、MATと地球防衛庁とのパイプ役を務めている。怪獣を東京ごと抹殺するスパイナー作戦を提案したり、MATの解散をほのめかしたりと、現場と対立する役割は岸田長官と同じであるが、対立するばかりではなく共同歩調を取っているシーンも見られる。第5,6,11,20,50話に登場。
- ・前作『ウルトラセブン』のタケナカ参謀に続く佐原健二の2度目の参謀役である。
[編集] MAT隊長の交代
第22話においてMAT隊長の途中交代がある。隊長役交代はウルトラシリーズ初の出来事だった。これは、2クールから4クールへの番組延長にあたり、加藤勝一郎隊長役の塚本信夫が舞台公演のため、以後の回に出演が不可能になったための措置である。
劇中設定としては、加藤隊長が宇宙ステーションに転任し(商業誌や公式の外伝コミックである『復讐の宇宙戦線』などでは、「第18話で殉職した旧友・梶隊長の遺志を継ぐために、加藤隊長が自ら宇宙ステーション勤務を志願した」という設定が採用されている)、かつて加藤隊長の上官であった伊吹隊長がニューヨーク本部から転任してくるというドラマで交代の事情が説明され、その交代劇がシリーズにおける一つのイベントとなっていた。
その新隊長・伊吹竜役としては、東宝特撮映画の常連で知られ『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』に出演歴もある土屋嘉男などが候補に挙がっていたが、最終的には大映映画を中心に活躍していたベテラン・根上淳に決定した。 大映の二枚目スターとして一般の視聴者にも知名度の高い根上の起用は、「子供番組」として一般のテレビドラマよりは一段低い扱われ方であった特撮テレビドラマの中で一つのイベントであり、ウルトラシリーズの存在を保護者層にもアピールするものであった。
なお、ウルトラシリーズの隊長交代劇としては『ウルトラマンタロウ』第51話において、実質隊長としてZATの指揮を執っていた荒垣修平副隊長が宇宙ステーションへ転任し、二谷一美副隊長が月基地から着任した件と、『ザ☆ウルトラマン』第26話で科学警備隊のアキヤマ徹男キャップがアメリカの司令部へ栄転し、第28話でゴンドウ大介キャップが着任した件の二例がある。
[編集] MATの装備
MATは数々の特殊な装備を持ち、状況に応じた運用を行っている。
[編集] 航空用装備
- マットアロー1号:ジェット戦闘攻撃機
- 複座戦闘機。単座での運用も可能。VTOL機能と高い攻撃性を備えた垂直離着陸が可能なMATの主力戦闘機である。隊長機は機首が黄色く塗装されている(第4話)。最大速度マッハ5。武装は主翼に搭載されている機関砲およびミサイルだが、第13話からロケット弾ポッドを各機に装備、機関砲に代わり主力武装となる。その他にも機首のピトー管らしき場所からレーザー光線を発射する。量産性は比較的高かったらしく、『メビウス』の時代においても改良型の「GUYSアローMA1型」が配備されていたが、目立った活躍のないままエンペラ星人の襲撃でその大部分が破壊された。
- マットアロー2号:ジェット戦闘攻撃機
- 単座戦闘機。半円形の翼を持つ。翼内に垂直離着陸用のファンを蔵している(劇中での描写はない)。太平洋横断も可能。隊長機には機首と垂直尾翼に黄色い2本線が入る(第22話)。最大速度マッハ4(マッハ3.8との記述もあり)。武装はアロー1号と同じだが、レーザー砲のみロケット弾ポッドの代わりに外付けする必要がある。
- マットジャイロ:ティルトローター式多用途機
- VTOL式の戦闘兼輸送機。左右の大きなプロペラと後部の小プロペラを持つ。ホバリングや低速飛行ができ、攻撃時に有利。長距離の任務には向かない。格納庫があり、車両を搭載できるほか、機外に物資、車両をぶら下げての輸送も可能。最大速度マッハ1。武装はバルカン砲とロケット弾ポッド。また、ナパーム弾(第29話ほか)をはじめ、噴霧塗料(第7話)・消化剤(第22話)散布や冷凍弾投下(第35話)といった特殊弾薬の展開にも活躍した。更にはビームを発射した事もある。ちなみに緊急脱出時は胴体下部からである(上方の場合、降下時にメインローターに巻き込まれる危険性を考慮したものと思われる)。
[編集] 陸上装備
- マットビハイクル:特捜車両
- 陸上用車両。塗装は、通常は白地に赤のラインが入ったものだが、迷彩色に塗られることもある。後に坂田健の考案によるスタビライザー(リアウイング)が付けられた。天井にはロケットランチャーや緊急車両用のパトランプが付けられることもある。「ビハイクル」は vehicle(ビークル) の別の読み方。劇用車はマツダ・コスモスポーツをベースとしている。
- マットジープ
- 野戦にマットビハイクルは向かない為、第6話から登場したジープ。対怪獣攻撃では同時に2台を運用する場合が多い。マットバズーカやレーザーガンSP70を装備することもある。
- 特殊熱線砲車
- テロチルスが東京につくった巣を焼却した。現場へはマットジャイロによってワイヤーで吊り下げられる形で運ばれた。
[編集] 水中用装備
- マットサブ:特殊潜航艇
- 潜水艇。海底基地から直接出入りする。複数の機体がある。第2話でのタッコング攻撃と、第16話で墜落機捜索のために出動している。
[編集] 宇宙用装備
- スペースアロー:マットアロー1号の機体を流用した宇宙機
- 宇宙船。単独で衛星軌道との往還が可能。アロー1号と大きさ、形状はほぼ同じ。第29話で宇宙ステーションNo.5点検のために出動したのが画面で確認できる唯一の使用例で、第38話ではナックル星人の妨害電磁波により出撃できなかった。
- 宇宙ステーションNo.5:無人宇宙ステーション
- 第29話に登場。1日一回の定時報告で船外の大気組成、気象状況等をMAT本部に送信する。ヤドカリンに乗っ取られ、一度通信が途絶した後、復旧した際の送信データの内容から東京都内に落下した事が判明。ステーションはヤドカリンに破壊されたが、後継機が打ち上げられたかどうかは不明。
- MAT宇宙ステーション:有人宇宙ステーション
- 第18話に登場。加藤隊長の親友、梶キャプテンの指揮下でベムスターに遭遇、ステーションごとベムスターに捕食され全滅。再建なったステーションの後任キャプテンには加藤隊長が指名され、MATから転任した。
宇宙ステーションV1
- 第38話に登場。ウルトラマン亡き後、MATに全面降伏を迫るナックル星人が見せしめとして破壊した。加藤隊長指揮下のステーションと同一かどうかは不明。
[編集] 銃器類
- マットシュート:隊員全員が装備
- 隊員が常時携行する拳銃。カートリッジ交換により通常弾も光線も発射できる万能銃である。巨大怪獣へとどめを刺すほどの威力はないが、怪獣の牽制やウルトラマンへの援護などでしばしば威力を発揮した。拳銃としてはカートリッジレス弾を使用しており、排莢は行わない。ゼラン星人、ズール星人を倒した。ごく初期には光線銃の能力が目立ったが、以降のストーリーでは通常弾の発射場面ばかりになっていく。これは光線を描くための光学合成にかかるコストや時間を削減するためと思われる。
- マットガン
- 連射式の銃。サブマシンガンほどの大きさで、スリングベルトが付く。弾は曳光弾が用いられる。対怪獣用の武器だが、子供でも扱える程反動が少ない。
- MN爆弾
- 第5、6話に登場する強力爆弾。マットアロー1号に搭載される。通常弾を上回る威力で地球防衛庁内での信頼度も高いが、グドンの厚い鎧状の表皮には全く効果がなかった。巨大化したツインテールの卵の破壊にも適用が検討されたが、孵化した事で以降の使用は見送られた。特定の生物学的特性を持つ怪獣に使用範囲が限定されるものと見られる。
- スパイナー
- 第6話で台詞でのみ言及される超高性能爆薬。一発で小型水爆並の威力がある。地球防衛庁の坂田長官がグドン、ツインテール殲滅のために東京都下での使用を決定し、都民を緊急避難させたが、MATの進言で投入は一時保留となり、グドン、ツインテールが結果的に撃滅された事で使用は回避された。『ウルトラセブン』第28話「700キロを突っ走れ!!」に同名の爆薬が登場している。
- レーザーガンSP-70
- 夫婦怪獣シーゴラス、シーモンスの角を破壊するために開発されたレーザーガン。シーゴラスの角を破壊した。クプクプを処分する際にも使用されたが、キングストロン出現の遠因となった。
- スペースレーザーガン
- 岸田隊員が開発した、新型レーザーガン。ノコギリンの処分に使用されたが、逆にエネルギーを吸収されて巨大化させてしまった。
- マットバズーカ
- 外見は一般軍事用のバズーカ砲と同じ。地上攻撃の主力武器。対ツインテール戦ではマットジープで至近距離まで近づいて目を攻撃する事で大きな成果を挙げた。
- スーパーカノン
- 原爆と同じ威力があるが、放射能は出さないというレーザーガン。レッドキラーに使用し、一度は撃退したが、これは敵の罠で二度目は効かなかった。
- サターンZ
- MATが開発したミサイル用液化火薬。1滴でタンカーを破壊し、タバコの箱ほどの量で富士山を吹き飛ばせる、ニトログリセリンの6千倍の威力があり放射能も無い。ダムの建設に使用される予定だった。ナックル星人に奪われたが、悪用される前にMATが奪還した。
[編集] 放映リスト
※各怪獣の詳細は帰ってきたウルトラマンの登場怪獣を参照。
放送日 | 話数 | サブタイトル | 登場怪獣・宇宙人、ゲストウルトラマン | スタッフ |
---|---|---|---|---|
1971/4/2 | 1 | 怪獣総進撃 | 凶暴怪獣アーストロン オイル怪獣タッコング ヘドロ怪獣ザザーン |
監督-本多猪四郎 特殊技術-高野宏一 脚本-上原正三 |
1971/4/9 | 2 | タッコング大逆襲 | オイル怪獣タッコング | |
1971/4/16 | 3 | 恐怖の怪獣魔境 | 岩石怪獣サドラ 地底怪獣デットン |
監督-筧正典 特殊技術-高野宏一 脚本-上原正三 |
1971/4/23 | 4 | 必殺! 流星キック | 古代怪獣キングザウルス三世 | |
1971/4/30 | 5 | 二大怪獣東京を襲撃 | 地底怪獣グドン 古代怪獣ツインテール |
監督-富田義治 特殊技術-高野宏一 脚本-上原正三 |
1971/5/7 | 6 | 決戦! 怪獣対マット | ||
1971/5/14 | 7 | 怪獣レインボー作戦 | 透明怪獣ゴルバゴス | 監督-本多猪四郎 特殊技術-高野宏一 脚本-上原正三 |
1971/5/21 | 8 | 怪獣時限爆弾 | 爆弾怪獣ゴーストロン | 監督-筧正典 特殊技術-高野宏一 脚本-田口成光 |
1971/5/28 | 9 | 怪獣島SOS | 古代怪獣ダンガー | 監督-本多猪四郎 特殊技術-高野宏一 脚本-伊上勝 |
1971/6/4 | 10 | 恐竜爆破指令 | 化石怪獣ステゴン | 監督-筧正典 特殊技術-高野宏一 脚本-上原正三 |
1971/6/11 | 11 | 毒ガス怪獣出現 | 毒ガス怪獣モグネズン | 監督-鍛冶昇 特殊技術-高野宏一 脚本-金城哲夫 |
1971/6/18 | 12 | 怪獣シュガロンの復讐 | 音波怪獣シュガロン | 監督-鍛冶昇 特殊技術-高野宏一 脚本-上原正三 |
1971/6/25 | 13 | 津波怪獣の恐怖東京大ピンチ! | 竜巻怪獣シーゴラス 津波怪獣シーモンス |
監督-富田義治 特殊技術-佐川和夫 脚本-上原正三 |
1971/7/2 | 14 | 二大怪獣の恐怖東京大竜巻 | ||
1971/7/9 | 15 | 怪獣少年の復讐 | 吸電怪獣エレドータス | 監督-山際永三 特殊技術-高野宏一 脚本-田口成光 |
1971/7/16 | 16 | 大怪鳥テロチルスの謎 | 始祖怪鳥テロチルス | 監督-山際永三 特殊技術-高野宏一 脚本-上原正三 |
1971/7/23 | 17 | 怪鳥テロチルス東京大空爆 | ||
1971/8/6 | 18 | ウルトラセブン参上! | 宇宙大怪獣ベムスター ウルトラセブン |
監督-鍛冶昇 特殊技術-佐川和夫 脚本-市川森一 |
1971/8/13 | 19 | 宇宙から来た透明大怪獣 | 忍者怪獣サータン | 監督-鍛冶昇 特殊技術-佐川和夫 脚本-上原正三 |
1971/8/20 | 20 | 怪獣は宇宙の流れ星 | 磁力怪獣マグネドン | 監督-筧正典 特殊技術-高野宏一 脚本-石堂淑朗 |
1971/8/27 | 21 | 怪獣チャンネル | 電波怪獣ビーコン | 監督-筧正典 特殊技術-高野宏一 脚本-市川森一 |
1971/9/3 | 22 | この怪獣は俺が殺る | プラスチック怪獣ゴキネズラ | 監督-山際永三 特殊技術-高野宏一 脚本-市川森一 |
1971/9/10 | 23 | 暗黒怪獣星を吐け! | 暗黒怪獣バキューモン 蟹座怪獣ザニカ |
監督-山際永三 特殊技術-高野宏一 脚本-石堂淑朗 |
1971/9/17 | 24 | 戦慄! マンション怪獣誕生 | マンション怪獣キングストロン 宇宙小怪獣クプクプ |
監督-富田義治 特殊技術-大木淳 脚本-上原正三 |
1971/9/24 | 25 | ふるさと地球を去る | 隕石怪獣ザゴラス | 監督-富田義治 特殊技術-大木淳 脚本-市川森一 |
1971/10/1 | 26 | 怪奇! 殺人甲虫事件 | 昆虫怪獣ノコギリン | 監督-筧正典 特殊技術-高野宏一 脚本-上原正三 |
1971/10/8 | 27 | この一発で地獄へ行け! | 八つ切り怪獣グロンケン | |
1971/10/15 | 28 | ウルトラ特攻大作戦 | 台風怪獣バリケーン | 監督-山際永三 特殊技術-佐川和夫 脚本-実相寺昭雄 |
1971/10/22 | 29 | 次郎くん怪獣に乗る | やどかり怪獣ヤドカリン | 監督-山際永三 特殊技術-佐川和夫 脚本-田口成光 |
1971/10/29 | 30 | 呪いの骨神オクスター | 水牛怪獣オクスター | 監督-真船禎 特殊技術-高野宏一 脚本-石堂淑朗 |
1971/11/5 | 31 | 悪魔と天使の間に・・・ | 囮怪獣プルーマ 宇宙怪人ゼラン星人 |
監督-真船禎 特殊技術-高野宏一 脚本-市川森一 |
1971/11/12 | 32 | 落日の決闘 | 変幻怪獣キングマイマイ(幼虫・成虫) | 監督・特殊技術-大木淳 脚本-千束北男 |
1971/11/19 | 33 | 怪獣使いと少年 | 巨大魚怪獣ムルチ 宇宙調査員メイツ星人 |
監督-東條昭平 特殊技術-大木淳 脚本-上原正三 |
1971/11/26 | 34 | 許されざるいのち | 合成怪獣レオゴン | 監督-山際永三 特殊技術-佐川和夫 脚本-石堂淑朗 |
1971/12/3 | 35 | 残酷! 光怪獣プリズ魔 | 光怪獣プリズ魔 | 監督-山際永三 特殊技術-佐川和夫 脚本-朱川審 |
1971/12/10 | 36 | 夜を蹴ちらせ | 吸血宇宙星人ドラキュラス | 監督-筧正典 特殊技術-佐川和夫 脚本-石堂淑朗 |
1971/12/17 | 37 | ウルトラマン夕陽に死す | 暗殺宇宙人ナックル星人 用心棒怪獣ブラックキング 宇宙大怪獣 再生ベムスター 津波怪獣 再生シーゴラス |
監督-富田義治 特殊技術-大木淳 脚本-上原正三 |
1971/12/24 | 38 | ウルトラの星光る時 | 暗殺宇宙人ナックル星人 用心棒怪獣ブラックキング 初代ウルトラマン ウルトラセブン |
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1972/1/7 | 39 | 20世紀の雪男 | 雪男星人バルダック星人 | 監督-筧正典 特殊技術-真野田陽一 脚本-田口成光 |
1972/1/14 | 40 | まぼろしの雪女 | 雪女怪獣スノーゴン 暗黒怪人ブラック星人 |
監督-筧正典 特殊技術-真野田陽一 脚本-石堂淑朗 |
1972/1/21 | 41 | バルタン星人Jr.の復讐 | 宇宙忍者バルタン星人Jr. ロボット怪獣ビルガモ |
監督-佐伯孚治 特殊技術-佐川和夫 脚本-長坂秀佳 |
1972/1/28 | 42 | 富士に立つ怪獣 | 蜃気楼怪獣パラゴン 宇宙怪人ストラ星人 |
監督-佐伯孚治 特殊技術-佐川和夫 脚本-石堂淑朗 |
1972/2/4 | 43 | 魔神月に咆える | 魔神怪獣コダイゴン 発砲怪人グロテス星人 |
監督-筧正典 特殊技術-真野田陽一 脚本-石堂淑朗 |
1972/2/11 | 44 | 星空に愛を込めて | 燐光怪獣グラナダス 宇宙牛人ケンタウルス星人 |
監督-筧正典 特殊技術-真野田陽一 脚本-田口成光 |
1972/2/18 | 45 | 郷秀樹を暗殺せよ! | 鼠怪獣ロボネズ 電磁波怪人メシエ星雲人 白鳥座61番星人エリカ |
監督-鍛冶昇 特殊技術-佐川和夫 脚本-斎藤正夫 |
1972/2/25 | 46 | この一撃に怒りをこめて! | ブーメラン怪獣レッドキラー 宇宙参謀ズール星人 |
監督-鍛冶昇 特殊技術-佐川和夫 脚本-田口成光 |
1972/3/3 | 47 | 狙われた女 | 人魂怪獣フェミゴン | 監督-佐伯孚治 特殊技術-真野田陽一 脚本-石堂淑朗 |
1972/3/10 | 48 | 地球頂きます! | なまけ怪獣ヤメタランス 宇宙怪人ササヒラー |
監督-佐伯孚治 特殊技術-真野田陽一 脚本-小山内美江子 |
1972/3/17 | 49 | 宇宙戦士その名はMAT | 銀河星人ミステラー星人(善・悪) | 監督-松林宋恵 特殊技術-真野田陽一 脚本-伊上勝 |
1972/3/24 | 50 | 地獄からの誘い | 原始地底人キングボックル | 監督-松林宋恵 特殊技術-真野田陽一 脚本-斎藤正夫 |
1972/3/31 | 51 | ウルトラ5つの誓い | 宇宙恐竜ゼットン(二代目) 触角宇宙人バット星人 初代ウルトラマン(回想) |
監督-本多猪四郎 特殊技術-真野田陽一 脚本-上原正三 |
第18話はキー局等では航空機事故の報道特番のため放映が翌週に順延され、放映に際してメインタイトル部に郷秀樹によるお詫びのナレーションが入った。
[編集] 放映当時の商業展開
- 当時、玩具メーカー等とのタイアップは近年ほど緊密ではなく、タイアップ先企業の意向が作品設定に深く関与する傾向は本作では見られない。
- 逆に当時の円谷プロの版権管理の体制が甘く、無版権ものの商品が多数流通する状況を生んだ。
[編集] 雑誌
小学館が掲載の権利を持っており、以下のような展開を見せた。
- 学年誌
- 週刊少年サンデー
[編集] 映画
『東宝チャンピオンまつり』にてテレビ版をベースにした作品が3シーズンにわたって公開された。
- 1971年7月21日公開
- 『帰ってきたウルトラマン』
- 5・6話の劇場版
- 1971年12月12日公開
- 『帰ってきたウルトラマン 竜巻怪獣の恐怖』
- 13・14話の劇場版
- 1972年3月12日公開
- 『帰ってきたウルトラマン 次郎くん怪獣にのる』
- 29話の劇場版
[編集] 書籍
- 絵本
- 怪獣図鑑
- ブロマイド
- 1枚5円~30円程で、袋とじされたものから好きなものを選んで買うくじ引きの要素も盛り込まれた仕組みだったが、購入するまで中身が分からない点を悪用され、無版権の粗悪品も多数流通していた。
[編集] 玩具
- ソフトビニール製人形(ソフビ・フィギュア)
- プラモデル
- セルロイド製お面
- 以前から流通していた初代ウルトラマン・Aタイプを模したものが継続販売される事が多かったが、本作に合せて新たに商品化されたものもあった。
- トランプ・いろはカルタ
- トランプに怪獣のイラストを配したもの、ウルトラマン、怪獣、MATを題材としたいろはカルタも発売された。
- パンチキック
- ウルトラマンヘルメット
- ウルトラマンの顔上半分(目の部分まで)を子供サイズのヘルメット状にしたプラスチック製の玩具。
- MAT隊員ヘルメット、マットシュート
- いわゆる「隊員なりきりセット」の走り。いずれも子供サイズのプラスチック製。マットシュートはホルスター兼用のベルト付。子供用の隊員服はこの当時では商品化されなかった。
- その他、ウルトラマン人形付き○○
- ブリキ製の模型自動車でウルトラマンの人形が運転席に座るもの等、多岐にわたる。
[編集] 食品(菓子)
- シスコ「ウルトラマンガム」「シスコーン」シリーズ等
- パッケージおよびガムの包み紙にウルトラマンやマットアローおよび怪獣のイラストが用いられた。また「当たり」の景品として、14話のダイジェスト(特撮シーンのみで構成)を収録した立体ビューワー「パンペット」も製作された。
[編集] 児童向け文房具・衣料品・日用品
- 筆箱
- 鞄
- ズック靴
- ハンカチ
- 水筒
- 弁当箱
- 茶碗、箸、スプーン等の食器 等々
- いずれもウルトラマンと怪獣、あるいはマットアロー等を配したイラストに番組ロゴを加えたデザインがあしらわれて商品化された。
[編集] レコード
音楽の項を参照のこと。
[編集] 登場人物·出演者
- 郷秀樹:団次郎
- 加藤勝一郎隊長:塚本信夫
- 伊吹 竜隊長:根上淳
- 南 猛隊員:池田駿介
- 岸田文夫隊員:西田健
- 上野一平隊員:三井恒
- 丘ユリ子隊員:桂木美加
- 坂田 健:岸田森
- 坂田アキ:榊原るみ
- 村野ルミ子:岩崎和子
- 坂田次郎:川口英樹
- 岸田地球防衛庁長官:藤田進
- 佐竹参謀:佐原健二
- ウルトラマン:菊池英一
- ウルトラマン(声):):中曽根雅夫(過去作品から流用):谷津勲 ※両氏共にノンクレジット
- 怪獣:遠矢孝信 他
- ナレーター:名古屋章
[編集] 解説
- 出演、ナレーターの俳優起用における同時期他作品との関連性
- 岸田森は次作『ウルトラマンA』にてナレーションを担当、また本作のナレーションの名古屋章は次々作『ウルトラマンT』にて隊長役を演じている。これに瑳川哲朗を加えると以下のような関係となる。
-
作品 出演 ナレーション 本作(1971) 岸田森 名古屋章 A(1972) 瑳川哲朗 岸田森 T(1973) 名古屋章 瑳川哲朗 - 本作では岸田森は防衛チームの隊長役ではないが『ウルトラマンタロウ』と同年(1973年)の『ファイヤーマン』においてSAFの水島三郎隊員を演じた。第1期ウルトラシリーズでは、桜井浩子が『ウルトラQ』の江戸川由利子→『ウルトラマン』のフジアキコ隊員、また石井伊吉が『ウルトラマン』のアラシ隊員→『ウルトラセブン』のフルハシ隊員、というように設定上全く無関係の別の役で連続して起用される傾向が見られたが、第2期シリーズでは上記の様な、見方によってはローテーションともとれる関係が特徴となっている。一方で、防衛チーム上層部の長官-参謀のラインは『ウルトラセブン』で同様の役を演じた藤田進と佐原健二の再度の顔合わせとなり、こちらは設定上は別人ながらも前作でのイメージを踏襲している。
- スーツアクター
- 初代ウルトラマンは古谷敏が演じたが、本作はきくち英一(当時は菊池英一)が演じている。きくちは拳法や空手などの格闘技を習得している(後に中野刑事役でレギュラー出演した電人ザボーガーではアクション監督も兼任していたくらいである)ため、細身の古谷が演じた初代に比べるとガッチリしたシルエット、そして背筋が伸びた拳法の構えやアクションが特徴的である。初代ウルトラマンがどこか茫洋としたいかにも宇宙人らしい(?)動きだったのに対し、本作のウルトラマンは怒りや焦りなどといった感情を伝えるような、非常に人間味のあるアクションなのが特徴と言える。
- 古谷と同様、きくちも普通の俳優活動を行っている。(本作でもMAT職員や船員などの役で何度か登場している。もっとも、ウルトラシリーズでスーツアクターが素面でゲスト出演するのは決して珍しいことではない)。きくちの場合、主にアクション作品での刑事役、ヤクザ役が多い。また彼が1995年著した『ウルトラマンダンディー─帰ってきたウルトラマンを演った男』は、本作の製作活動の記録の一つとなっている。
- ウルトラマンがきくちなのに対し、怪獣はきくちの大学の後輩である遠矢孝信がスーツアクターを務めた。遠矢も最終回などで、素顔の“俳優”として劇中に登場している。
- 第18話「ウルトラセブン参上!」のセブンは、当時きくちが立ち上げたアクション集団JFAの望月武郎が演じている。彼は背丈が低く悩みの種であったが、きくちの熱望で出演する事となった。撮影当日ブレスレットを向かえ合せで渡すシーンの際、きくち演ずるウルトラマンと望月演じるセブンのバランスが悪い為、その場しのぎで、望月セブンは撮影用イントレ木箱に乗ってその場を凌いだ、その時のスチールはよく媒体で見掛ける。その後、“ウルトラの星作戦”でセブンを演じたのも、望月武郎である。オクスターとバラゴンの後足も望月が熱演した。
[編集] スタッフ
[編集] 監督
- 1,2話で黒澤明や円谷英二と縁の深い東宝の本多猪四郎を監督に招き、作品のオープニングを飾った(1話のタイトルは本多の監督作と同じ「怪獣総進撃」)。本多は7,9話と51話(最終回)でも監督を務めた。
- 東宝だけでなく、他の映画会社(の出身者)からの監督招聘にも積極的であった。本作では円谷プロ生え抜きの監督は東條昭平のみ(その初監督作が33話であり、内部での反響の大きさから、以降本作での監督を担当できなかった)。
[編集] 脚本
本作の脚本陣は非常に多士多彩である。
- メインライターは上原正三で全51話中21話を担当している。東京が危機に陥る作品が目立つ。坂田兄妹死亡後の作品(最終回を除く)を担当していない。「次回作『ウルトラマンA』の企画準備のため」「円谷プロが制作した他局番組『ミラーマン』に執筆するため」「『怪獣使いと少年』の内容が過激すぎ責任を取らされた」という説がある。その『A』ではメインライターとなる市川森一は本作では5本と少ないが、セブンや新隊長の登場するターニングポイントとなる話を書いている。
- 第1期ウルトラシリーズで監督を務めた実相寺昭雄や飯島敏宏(ペンネームの千束北男を使用)、また新人時代の小山内美江子や長坂秀佳も、それぞれ1本ずつ担当している。小山内のウルトラシリーズにおける脚本執筆は『ウルトラQ』の「あけてくれ!」と本作48話の2本のみである。
- 宇宙人や宇宙に絡む話は、主に石堂淑朗が担当している。
- 35話の朱川審とは坂田健を演じていた俳優・岸田森のペンネームである。
- 11話は金城哲夫によるものだが、既に金城は故郷の沖縄に帰っており、円谷作品では最後の脚本となる。
- 第9、49話の2本は、東映を中心に活躍したヒーロードラマの巨匠伊上勝が執筆している。
- 34話の原案は当時高校生だった小林晋一郎によるもので、小林は後年の映画『ゴジラvsビオランテ』でも原案が採用されている。
- 同時期に同じTBS系で放映された『シルバー仮面』には、監督・脚本で本作のスタッフの名が見られる。
[編集] 音楽
[編集] 主題歌とその周辺
主題歌と挿入歌の作曲はすぎやまこういちが担当し、歌唱は主役・郷秀樹役の団次郎で、シリーズで初めて主役俳優が主題歌を歌った作品でもある。
「帰ってきたウルトラマン」と「MATチームの歌」をカップリングしたシングル盤は放映当時、日本コロムビアが独占的にリリース。以後、永らくそのままコロムビア独占の状態が続いたため、他のメーカーが本作関連の音盤をリリースする際は、主題歌や本作関連歌曲を未収録にするか、あるいはカヴァー・ヴァージョンを収録するかのいずれかの方法をとるしか無かった。 しかし、1999年にバップから発売された本作のサントラ盤『帰ってきたウルトラマン ミュージックファイル』(円谷プロBGMコレクション)において、オリジナルのTVサイズ主題歌と同タイプのカラオケの収録が実現して以降は、フルサイズ・レコードヴァージョンも含めて、コロムビア以外のメーカーでもオリジナル版収録が出来るようになり、現在に至っている。
なお、カヴァー・ヴァージョンには、子門真人、ボニー・ジャックス、若子内悦郎、外山浩爾、三鷹淳らによるものがある。
主題歌の候補には「帰ってきたウルトラマン」とは別に未採用となった「戦え! ウルトラマン」が存在する。歌唱は採用版と同様、団次郎で、すぎやま本人は凝った構成になっている後者の方が好みだったが、子供番組ゆえ「分りやすいメロディーの方が良い」と考え「帰ってきたウルトラマン」が主題歌に採用された、と述懐している。後年、ダイコンフィルム版『帰ってきたウルトラマン』に「戦え!ウルトラマン」が使用されていた事で、脚光を浴びた。CS/ケーブル放送局ファミリー劇場の情報番組「ウルトラ情報局」にすぎやまがゲスト出演した回に、放送分のオープニング映像と「戦え! ウルトラマン」とをミックスして、実現したかもしれない幻のオープニングとして放送された。曲はNGにはなったが、オープニングは当時並行して作られていたため、違和感ない仕上がりとなっていた。
本作関連の歌曲として、挿入歌「MATチームの歌」、「怪獣音頭」、それにコロムビアのオリジナル企画曲「怪獣ロック」がある。どれも作中での使用例はないが、放映当時の各種イベント会場でBGMとして使用されていた。「怪獣音頭」は歌詞を変更して『私が愛したウルトラセブン』で使用されたこともある。また、「MATチームの歌」には、アポロンから発売された西田敏行によるカヴァー・ヴァージョンが存在する。
BGMを担当した冬木透も「戦え!ウルトラマン」と同様の歌詞を用いたテーマ音楽を主題歌候補として作曲していたが、すぎやま版の主題歌が採用されたため、結局放映当時、歌は録音はされなかった(ただし、本作のメインテーマとして、メロディが使用されている)。このメロディによる歌入れは、1992年に、は「帰ってきたぞウルトラマン!」の曲名で水木一郎の歌唱によりリリースされた。
後にすぎやまと団はTVアニメ『ドラゴンクエスト・ダイの大冒険』の主題歌で再びタッグを組んでいる。
[編集] BGM
- 『ウルトラセブン』と曲群の構成を比べると、宇宙や異次元空間の描写曲が減り、入れ替わるように人物、特に子供の情景・心理描写曲の割合が増えている。
- MAT出撃・攻撃シーンに多用された男声スキャット入りの曲(M-3)は俗に「ワンダバ」と呼ばれ、視聴者に主題歌と同等以上の強い印象を残した。そのため後の作品でも「ワンダバ」の流れをくむ曲が使われる例が多くなった。同じく冬木作曲のウルトラセブンの挿入歌『ULTRA SEVEN』に、「ワンダバ」の萌芽が見られる(冬木自身が『ULTRA SEVEN』を「ワンダバ」の一種の原型であるとして語っている)。46話ではズール星人演じる紙芝居のテーマ曲で現実音楽としても登場した。
- 前述の冬木版主題歌は、メロディーのみがウルトラマンの優勢な戦いを描く勇壮な曲(M-13)を初め、主要BGM各曲のモチーフとして使われた。
- 主にエキストラ音楽として、冬木の本作以前の担当作品(『レモンのような女』『おかあさん』『生きる』等)の曲が流用された。
- 本作では『ウルトラセブン』のBGMからの流用も顕著だが、全てのBGM選曲を冬木自らが行い、セブンの作品世界をそのまま持ち込まないよう配慮されており、違和感は比較的小さい。次作の『ウルトラマンA』でも『ウルトラセブン』および本作のBGMが一部流用されている。
- 主題歌と劇中BGMが別々の作曲家によるものであるためか、劇中で主題歌およびそのメロディーが使用される場面は極端に少ない。しかし、第18話で太陽から戻ってきたウルトラマンが加藤隊長のマットアローを救助する場面や、第38話で、ウルトラマンが蘇生してからナックル宇宙船団を撃破するまでの場面等、シリーズ中でも重要なシーンで使用されている。
[編集] ヒット曲の印象的な使用
- 34話ではP・Y・Gの『花・太陽・雨』が、48話ではザ・ドリフターズの『誰かさんと誰かさん』が使われている。いずれも本作のためのオリジナル曲ではないが、それぞれ楽曲の特徴を生かした使い方で、そのエピソードを象徴する印象を持たせるのに成功している。
- 43話で休暇を取った伊吹隊長が家族旅行へ出かけるシーンで、娘の美奈子がカーラジオのスイッチを入れたところ、流れてきたのは伊吹隊長役を演じる根上淳の実生活の妻であり、後に『ウルトラマンタロウ』でウルトラの母の声と人間体(緑のおばさん)を演じる事となるペギー葉山の歌声であった。その際伊吹隊長は暫く、気恥ずかしそうに聞いていたが程なくスイッチを切ってしまう、というシーンがある。
[編集] 後年への影響
- 『ウルトラマンメビウス』
- 2006年4月よりCBC系列で放送されているウルトラマンシリーズ40周年記念作品。本作と世界観・時系列が直接つながっている事が明示されており、ウルトラマンジャックが第1話冒頭[2]、第45話及び劇場版『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』に登場。また劇中度々“ウルトラ5つの誓い”が登場する。
- 第32話「怪獣使いの遺産」(脚本:朱川湊人)は、本作品33話「怪獣使いと少年」の明確な後日譚として製作されており、“ドキュメントMAT”の事件記録を紹介する場面などで劇中のシーンが再現されている。詳細はこちら。
- アマチュアフィルム作品『帰ってきたウルトラマン』
- 1983年3月にDAICON FILM(ダイコンフィルム)が制作した8mm映画作品。同年夏に大阪府にて開催された日本SF大会「DAICON4」のプロモーション活動の一環として制作された。アマチュア時代の岡田斗司夫が脚本を、庵野秀明が監督を担当した。また、ウルトラマンは庵野秀明が素顔を出して演じた。TV作品との設定的なつながりはなく、MATアローはオリジナルデザイン、MAT隊員の制服はウルトラ警備隊をアレンジしたものであった。内容的には高度なミニチュアワークや、光学合成、火薬による特殊効果など、自主制作のレベルを超えた技術が投入されていた。自主上映会などでの公開の後、ビデオテープが販売されたが、円谷プロの版権を取っていない無許諾作品であったためビデオはほどなく絶版となり、ながらく幻の作品とされていた。版権への配慮から、書籍に『DAICON FILM特撮作品』とだけ記されたり、ファンの間で『帰ってきたウノレトラマソ』と称されたりしていた時期もある。しかし、DAICON FILMが制作会社GAINAXに発展しスタッフの多くも映像業界の著名人となったことで、円谷プロの正式な許諾を得、2001年にGAINAXから発売期間限定でDVD化された。
- 切通理作『怪獣使いと少年──ウルトラマンの作家たち』(1993年 宝島社)
- 33話のサブタイトルを冠したこの評論集は、切通の最初の単行本となった。上原正三、市川森一らにインタビューをしている。
- 『エコエコアザラク』での団時朗と榊原るみの夫婦役共演など
- 団と榊原は『帰ってきたウルトラマン』以降も何度か共演しているが、近しい関係でキャスティングされることが少なくない。特に1997年の円谷映像作品『エコエコアザラク』では佐伯日菜子演じる主人公・黒井ミサの両親(黒井臣夫、奈々子)役で共演した。本作との設定・ストーリー上の接点は全くないが、二人の時にコミカルな夫婦ぶりに、郷と坂田アキの「可能性の未来」を見るファンは少なくない。楽屋落ちの感は否めないが、本作での郷とアキの悲恋あってこそのキャスティングであろう。
- その作品に先だって、当作品から10年後の東映の『ロボット8ちゃん』(1981年-1982年)でも団がロボット工学者・青井博士、榊原が8ちゃんの居候する春野家の母・春野かすみとして共演した。そしてこの他社作品でも、ある回で二人がフォークダンスを踊るシチュエーションで、かすみが「昔を思い出しますね。」とまるで郷と坂田アキの関係を示唆するかのような台詞を語るシーンがある。
[編集] 脚注
- ^ しばしば「郷 秀樹というのは、アイドル歌手の郷ひろみと 西城秀樹の名を組み合わせたもの」という風に誤解されているが、これは完全な間違い。『帰ってきたウルトラマン』は1971年(昭和46年)4月2日から1972年(昭和47年)3月31日にTBS系で放送されている。郷ひろみも西城秀樹もデビューは1972年であり、郷ひろみや西城秀樹の名付け親が「郷 秀樹」を参考にすることはありえても、その逆はありえないことは明らかであろう。
- ^ 劇場版の設定では、メビウスが地球に旅立った際には既に地球に来ている事になっているので、第1話冒頭のシーンはイメージ映像であるとの説が有力である。
[編集] 外部リンク
- 帰ってきたウルトラマンファミリー劇場ウルトラシリーズ番組紹介ページ
TBS系 金曜19時台前半 (本作以降第2期ウルトラシリーズ (~1975年3月)) |
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