ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟
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『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』(ウルトラマンメビウス アンド ウルトラきょうだい、Ultraman Mebius & Ultraman Brothers)は、2006年9月16日に全国松竹系映画館にて公開された日本の映画作品。特撮テレビ番組『ウルトラマンメビウス』の劇場版。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
ウルトラマンメビウス & ウルトラ兄弟 |
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監督 | 小中和哉 |
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脚本 | 長谷川圭一 |
出演者 | 五十嵐隼士 黒部進 森次晃嗣 団時朗 高峰圭二 いとうあいこ |
配給 | 松竹 |
公開 | 2006年9月16日 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
興行収入 | 7億円 |
目次 |
[編集] 概要
TVシリーズと同じく「ウルトラシリーズ誕生40周年記念作品」として製作された。ウルトラシリーズの映画としては2004年の『ULTRAMAN』以来1年9ヶ月ぶりとなる。TV版『ウルトラマンメビウス』とも連動しており、同作品・第24話以降は本作以降の話となっている。『ウルトラマン Fighting Evolution 0』ともストーリーが連動している。
40周年を記念し、ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック、ウルトラマンA、ウルトラマンタロウ、ゾフィーのウルトラ6兄弟が登場。さらにマン、セブン、ジャック、エースの4人は変身前の人間体(黒部進、森次晃嗣、団時朗、高峰圭二)がオリジナルのまま出演している。
敵キャラクターも『ウルトラマン』から『ウルトラマンタロウ』までの5作品から、因縁の深い5体(ザラブ星人、ガッツ星人、ナックル星人、ヤプール、テンペラー星人)が登場。ヤプールは本作公開と同日に放映されたテレビシリーズ第24話にも登場している。
また、製作に当たってTVシリーズでは明確な説明がなかったセブンやタロウの後日談を、本作に矛盾が生じないよう円谷プロが正式に設定した(TVシリーズでセブンはシルバーブルーメの襲撃によって行方不明、タロウはウルトラバッジを放棄して人間として旅立っていた)。
音楽はメビウスTVシリーズと同じ佐橋俊彦が担当。劇中音楽の中には『ウルトラマン』から『ウルトラマンタロウ』までの主題歌や『ウルトラ六兄弟』のアレンジが含まれている。
2007年1月26日、本作のDVDが発売された(通常版と、特典映像ディスク・絵コンテ・台本が同梱されたメモリアルボックスの2種)。
本作の公開終了後、TVシリーズでもヒロインのジングウジ・アヤ、ウルトラ4兄弟が登場している。
[編集] ストーリー
ヒビノ・ミライことウルトラマンメビウスが地球を訪れる20年前。初代ウルトラマン、ウルトラセブン、ウルトラマンジャック(帰ってきたウルトラマン)、そしてウルトラマンAのウルトラ4兄弟は、異次元人ヤプールが生み出した究極超獣「Uキラーザウルス」の地球侵攻を阻止すべく月面で激しい戦いを繰り広げていた。ウルトラ兄弟を付け狙うヤプールの怨念の結晶であるUキラーザウルスはウルトラ4兄弟を圧倒し、一時は全滅寸前にまで追い込んだが、ウルトラ4兄弟による決死の反撃の前についに倒される。あまりにも強大な力を持つこの超獣を復活させないため、ウルトラ4兄弟は自分たちの持つ光エネルギーのほとんどを使い切る合体技「ファイナル・クロスシールド」を使って神戸港沖へと沈んだUキラーザウルスを封印した。
それから20年後。地球防衛チームGUYSの一員として活躍していたミライは、神戸における異変の兆候を感じ取り、調査のため現地へと向かう。
同じ頃、神戸上空に巨大な円盤が出現した。人間の眼で見ることが出来ないその円盤には四人の宇宙人が乗っていた。彼らはかつてウルトラマン達によって倒された侵略宇宙人の同族で、地球侵略とUキラーザウルスの復活を企んでいた。
侵略宇宙人連合の尖兵としてウルトラマンメビウスに単身挑戦してきたテンペラー星人を倒したミライは、ほどなく現地での協力者である女性海洋学者ジングウジ・アヤの弟であるタカトと知り合う。元来タカトはウルトラマンやGUYSに憧れる元気な少年だったが、怪獣ケルビムと遭遇した際にすくみあがってしまい愛犬を助けられなかったことにショックを受け、自責の念からかつて持っていた明るさを失ないふさぎ込んでいた。自分の戦いの陰で起きていた悲劇に気づき、自らの無力さを感じるミライに、一人の初老の男が声をかける。彼こそは、かつてのUキラーザウルスとの戦いの後に地球へと留まった初代ウルトラマンであった。今の彼は、かつて共に戦った科学特捜隊のハヤタ・シン隊員の姿を借り、神戸空港で働きながらUキラーザウルスの封印を監視していたのだ。そしてミライは、初代ウルトラマン=ハヤタと同じように神戸へ留まってUキラーザウルスの封印を監視していたウルトラ兄弟たち(ウルトラセブン=モロボシ・ダン、ウルトラマンジャック=郷秀樹、ウルトラマンA=北斗星司)とも出会う。タカトの心の痛みを感じとり苦悩するミライに、ハヤタは「ウルトラマンは神ではない。全ての悲劇を防げるわけではない」と諭し、そして兄弟たちは(かつて自分たちがそうであったように)侵略宇宙人たちがメビウスの「心」の隙をつき、卑劣な手段で攻撃してくるに違いないと助言する。
だがミライは、ニセウルトラマンメビウスに化けて街を破壊するザラブ星人への怒りに冷静さを失い、エネルギーを浪費して戦ってしまう。エネルギー切れ寸前でザラブ星人を辛くも倒したメビウスだったが、その隙をついてガッツ星人とナックル星人が現れ、メビウスは十字架に囚われてしまう。
メビウスの危機を救うため、ハヤタたちは封印によって残り僅かなエネルギーを使って変身を行う。かくして、ウルトラ兄弟最後の戦いが始まった。
[編集] 登場人物
※テレビシリーズにもレギュラーで登場する人物については別項を参照。
- ウルトラマン / ハヤタ・シン
- Uキラーザウルス封印後、かつて自分が乗り移っていたハヤタの姿を借り、神戸空港の空港長として働きながら4兄弟のリーダー格として皆をまとめあげている。上着の襟には科学特捜隊のエンブレムを付けている。
- なお、映画のエンドロールや公式サイトなどのクレジットでは「ハヤタ」のみの表記であるが、劇中の小道具である神戸空港制限区域立入証では「ハヤタ シン」と表記されている。
- ウルトラセブン / モロボシ・ダン
- Uキラーザウルス封印後、再びモロボシ・ダンの姿に戻って神戸市郊外の牧場で羊の世話をしていた。ウエスタンハットを被り、ブルゾンの胸にウルトラ警備隊のエンブレムを付けている(隊長を務めていたMACのエンブレムはつけていない)。
- なお、今回の劇場版にあたってのセブンの解説において、ダンはMAC壊滅後の1975年3月にウルトラの母によってその命を救われ、ウルトラセブンとしての能力を取り戻していたことが判明した。また、レオの最後の登場時に初めて髭を生やしていたことを受け、今回の復活においても髭を生やして登場している。
- ウルトラマンジャック / 郷秀樹
- Uキラーザウルス封印後は郷秀樹の姿に戻り、神戸市内のサーキットで明日のレーサーを目指す少年達の指導をしていた(これを通し、師である坂田健とともに追っていた夢を少年達に託している)。かつてタロウの危機を救おうとした時と同様に、北斗に続いてメビウス救出を強く訴えた。ジャケットの胸にMATのエンブレムを付けている。
- なお、公式サイトその他広報資料の表記では「ウルトラマンジャック」で統一されているが、映画のエンドロールでのみ「帰ってきたウルトラマン」とクレジットされている。
- ウルトラマンエース / 北斗星司
- Uキラーザウルス封印後、北斗星司の姿に戻り神戸市内のホテルでオーナーシェフとして働いていた。宇宙人連合に捕らえられたメビウスの姿を目の当たりにして、それが自らの命を危険にさらすことを承知の上で再びウルトラマンとして戦うことの重要さを他の兄弟たちに対して激しく訴えて説得するなど、以前同様の熱血漢としての一面を見せる。
- かつて自分を苦しめ、半ば刺し違えるような形で地球を追わせた相手であるところのヤプールに対しては激しい怒りを燃やしている。昔と同様白いマフラーをまとい、上着の襟にTACのエンブレムを付けている。また、ミライが神戸を去る際にはTAC式の敬礼をして見送った。
- ジングウジ・アヤ
- 22歳。弱冠14歳でGUYSのライセンスを取得した天才海洋学者。サコミズ隊長とは旧知の間柄で、「サコっち」と呼んでいる。姓の漢字表記は「神宮寺」。
- TV版43・44話に再登場し、GUYS最高総議長タケナカの孫であることが明かされている。
- ジングウジ・タカト
- アヤの弟。GUYSやウルトラマンに憧れる少年だが、ある事件のためにひどく落ち込んでいる。
- 広川
- 水族園の学芸員。忙しいアヤの代わりにタカトの面倒を見てくれている。
- なお、映画のエンドロールやその他広報資料では「広川さん」と表記されているが、劇中の小道具である神戸海洋環境センターSTAFF CARDでは「広川 正義」と表記されている。
- 企画初期は東光太郎(ウルトラマンタロウ)が務める予定の役どころであった。
- ポートライナー助役コウダ & 神戸市長松永 & 市長秘書ミドリカワ
- ポートライナー神戸空港直通線の試運転の最中、ニセメビウスに襲われる神戸市職員三人組。3人ともどこかで見聞きしたような顔と名前だが…。
- ちなみに、市長の携帯の着メロは『ウルトラマンネクサス』のナイトレイダーのテーマ曲である。
[編集] 登場怪獣・宇宙人
[編集] ヤプール関連
- 究極超獣 Uキラーザウルス
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- 身長:79m
- 体重:8万2千t
- 20年前に現れた究極の超獣で、ヤプールの怨念の集合体。ウルトラ兄弟の最強光線を諸に受け瀕死状態のヤプールが必死にウルトラ兄弟に対抗するために作った。目の部分にはヤプールの魂が巨大ヤプールの姿をとった幽霊のような形で宿っており、一心同体に近い形で暴れまわる。月面に出現した際、4本の巨大な触手を使っての攻撃や背中のトゲミサイル、肩から放つ光弾などでウルトラ4兄弟を苦戦させた。その後、ウルトラマンとウルトラセブンの光線で両腕を切断され、ウルトラマンジャックとウルトラマンエースの光線で体を貫かれ、大気圏で燃えながら神戸沖に落下するが、それでもなお強力なマイナスエネルギーを発していたため、最後は4人のファイナル・クロスシールドで封印された。
- デザインモチーフは「ウルトラマンA」に登場した強敵エースキラーで、顔などにその面影が見られる。デザインコンセプトは「ゴツく威圧感溢れるエースキラー」で、デザイン画にも「エースキラー・ゴリラタイプ」と書かれている。また、「U」とはウルトラ(ULTRA)の意味であり、まさにウルトラ兄弟抹殺のために作られた超獣といえる。
- 究極巨大超獣 Uキラーザウルス・ネオ
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- 身長:303m
- 体重:42万9千t
- 宇宙人連合の手でマイナスに変換したウルトラ4兄弟の光エネルギーでファイナル・クロスシールドが破られ、それによって復活したUキラーザウルスが20年の間に怨念を蓄えさらに巨大化した姿(復活したばかりの時は本体以外が隠れていた)で、300メートル以上の巨体となって神戸空港に出現。無数の触手(劇中では語られていないが、この触手の一本一本が普通の超獣よりも強力な力を持っているという設定である)と破壊光線、全身の突起から発する生体ミサイルを武器としてウルトラ4兄弟とメビウスを苦しめる。その後、タロウとゾフィーの出現により1度は形勢が逆転、ウルトラ兄弟の必殺技を立て続けに喰らい触手を切断されるが、額の赤い部分に人質として捕らえたアヤを宿しており、それにより再度メビウス達を追い詰める。しかし、最後はウルトラマンメビウス・インフィニティーのコスモミラクルアタックを受け灰化して崩れ去り、アヤも無事に救出される。
- 異次元人 ヤプール(異次元超人 巨大ヤプール)
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- 身長:58m
- 体重:9万3千t
- (数値は実体化した場合の予想値)
- かつてウルトラ兄弟に滅ぼされた異次元人で、過去に様々な超獣を作り出しウルトラ兄弟を苦しめた。20年前にウルトラ兄弟抹殺を試みて失敗したが、その怨念は尽きることは無く、ウルトラ兄弟抹殺のために自らの怨念の集合体であるUキラーザウルスを作り出す。ヤプール自身は、意識集合体でもある巨大ヤプールの幽霊の姿でUキラーザウルスの眼の部分に宿り、ウルトラ兄弟を挑発する。不滅ともいうべきその怨念は月面でのウルトラ4兄弟との戦いの末、体であるUキラーザウルスと共に地球の神戸沖に封印される。しかしその20年後、自身を復活させて地球侵略に利用しようとする宇宙人連合の精神を支配し、逆利用して復活(宇宙人たちを捨て駒呼ばわりするなど、その悪辣さは相変わらずで、エースにも「本物の悪魔」と言わしめるほど)、さらにパワーアップしたUキラーザウルス・ネオを使いメビウスとウルトラ兄弟を苦しめる。しかし、メビウス・インフィニティーによってUキラーザウルス・ネオは倒され、自身も再び消滅する。
[編集] 宇宙人連合・その他
- 極悪宇宙人 テンペラー星人(二代目)
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- 身長:54m
- 体重:3万9千t
- かつてウルトラ6兄弟に倒されたテンペラー星人の同族。GUYSのドキュメントZATにデータが記録されている。Uキラーザウルスを復活させようとザラブ星人、ガッツ星人、ナックル星人と共に宇宙人連合を結成して地球に現れた。かつての同族に比べて、スマートで鋭角的な姿をしている。頭脳派な他の3人の宇宙人達と違い、真っ向から挑む力押しタイプな性格。自らの力に絶対な自信を持っていて、宇宙人連合のリーダーとなることを目論んでいる。そのためにメビウスを抹殺し、己の力を見せ付けようと連合の一番手として神戸の街に出現する。武器は両腕のハサミから出す超光熱ビームやムチ状にした光線。さらに背中のマント状の触手の間に皮膜を張って翼とし飛行することも可能(これはかつての同族には無かった能力である)。これらの能力を利用しメビウスと戦うが、最後は空中戦の末にメビュームシュートを受けて爆死した。その戦いは他の宇宙人達に分析され、メビウスのデータを収集するのに役立っている。メビウスの能力を調べてから挑むという意見に反対しての出撃だったが、図らずも自身がそれに貢献する形となってしまった。
- 凶悪宇宙人 ザラブ星人(三代目)
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- 身長:1.8~50m
- 体重:90kg~3万7千t
- かつてウルトラマンに倒されたザラブ星人の同族。外見はかつての同族とそれ程変わらないが、全体的にゴツくなっている。また、初代同様等身大時と巨大化時における耳の差異が再現されている。やはり変身能力を持っており、アヤを捕らえて彼女に化け、ミライに痺れ薬を飲ませて動けなくした(これも初代が得意としていた戦法である)。そしてニセメビウスの姿に変身して街を破壊、わざとメビウスをおびき寄せ、挑発しながら戦いを挑む。激しい格闘と、手の先から発射する破壊光線や攻撃を無力化するバリヤーでメビウスと戦い、エネルギーを消耗させるが、最後は光線の押し合いの末に怒りのメビュームシュートを受けて倒された。
- ニセウルトラマンメビウス
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- 身長:49m
- 体重:3万7千t
- ザラブ星人が変身したメビウスの偽者。ミライが動けない間に街を破壊するが、怒りに燃えるメビウスとの対決の末にメビュームスラッシュを受けて正体を現す。本物との違いは、体の各所を走る黒いラインと曲がったつま先。目つきも悪い。現地で出くわした人々の多くは本物のメビウスが現れるまで偽者であることに気付かなかったが、GUYS隊長のサコミズは偽者であることを即座に見抜き、動揺する隊員たちを鎮めた。
- 分身宇宙人 ガッツ星人(二代目)
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- 身長:51m
- 体重:3万8千t
- かつてウルトラセブンに倒されたガッツ星人の同族。今回はナックル星人のサポートに徹している。外見はかつての同族とそれ程変わらないが、腕や脚が鋭角的になっている。また、前の同族は低い叫び声のような鳴き声だったが、今回の個体は実際の鳥に近い鳴き声を発する。腕をブラブラさせたり頭をぶつけられて目を回すなど、ややコミカルな面も見せる。得意の分身能力も健在で、ザラブ星人との戦闘で疲弊しエネルギーを消耗していたメビウスを翻弄、透明な十字架の中に閉じ込めた。復活したウルトラ4兄弟との対戦でも分身能力や両腕からの金縛り光線でウルトラマンとセブンを苦しめる。その後、消耗した4兄弟を捕らえ、Uキラーザウルスの復活を早めるべくナックル星人と共に神戸の街を焼き尽くそうとするが、復活したメビウスの反撃により分身能力を破られ、メビュームシュートを受けて木っ端微塵に吹っ飛んだ。
- 暗殺宇宙人 ナックル星人(二代目)
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- 身長:52m
- 体重:3万7千t
- かつてブラックキングと共にウルトラマンジャックに倒されたナックル星人の同族。連合の参謀格にして実質上のリーダー的存在であり、メビウス抹殺やUキラーザウルス復活のための作戦の指揮を執る。外見は以前現れた同族に比べてかなり生物的で、顔付きも凶悪になっている。狡猾さに加え戦闘能力も以前の同族とは比べ物にならないほど高く、素早い動きを生かした格闘や掌から発射する光弾を駆使し、ジャックとエースの二人を相手に互角以上に渡り合う。また、ガッツ星人と共に放つ合体光線も強力な武器である。宇宙人連合の中では最後まで生き残り、巧みな作戦でメビウスや4兄弟を苦しめた末にUキラーザウルスの復活に成功、地球はおろか銀河連邦の支配も企んでいたが、その野望を実行に移す間もなくUキラーザウルスの触手から放つ光線によって爆殺されてしまう。結局、ヤプールに操られていたに過ぎなかったが故の哀れな末路であった。
- 宇宙凶険怪獣 ケルビム
- 回想シーンに登場。テレビ版の第20話の個体だがテレビ版とは何故か鳴き声が違う。メビウスと戦う直前にタカトを襲い、愛犬アルトに怪我を負わせていて以来タカトのトラウマの原因になっている。なお、台本では「タカトのトラウマ怪獣」と表記されている。
[編集] 製作・撮影エピソード
元々はTVシリーズ『メビウス』製作以前に、シリーズ40周年記念としてウルトラ兄弟を復活させる映画の企画が進められており、「地球で人間として暮らすウルトラ兄弟の子供達がその能力と使命を受け継ぐ」という内容で前述のオリジナル出演者の起用も決まっていた。その後世界観を共有するTV新作『メビウス』の製作決定に伴い、劇場版もそれにリンクした内容に変更されることとなった。
当初、東光太郎(ウルトラマンタロウ)役に篠田三郎にも出演オファーがあったが、篠田のスケジュールの都合により客演は実現しなかった。そのためタロウの人間体を登場させることができず、タロウはメビウスの教官という設定がなされた。ちなみに、当初は東光太郎が学芸員として水族館に勤務しているという設定があった。本作でタロウの声を担当した石丸博也は1984年の映画『ウルトラマン物語』でもタロウの声を演じている。
本作に登場するウルトラ6兄弟のスーツの造形は、近年使用しているものとは異なっている。とくに初代ウルトラマンの顔は原点に立ち返るということで、近年の作品で多く使われていたCタイプマスク(ゾフィーやジャックに近い整ったもの)ではなく、Aタイプマスク(『ウルトラマン』放送時初期のシワのよったもの)のような造形がなされている。ただし顔の形はCタイプと同じであり、結果的に「AタイプでもCタイプでもない」造形になっている。共演するゾフィーやジャックとの差別化という意味もあったと思われるが、一人浮いている感は否めずファンからは不満の声もあがった。その後のTV版『メビウス』客演時の初代マンのマスクはCタイプであった。
今回復活する各ウルトラ戦士の変身アイテムが新たに造られたが、郷秀樹の変身はアイテムを使用しないため、郷役の団時朗が「こんなの不公平だよ」と悔しがり、北斗役の高峰圭二に「ウルトラリング片方だけ貸してよ」とせがんだという。また、五十嵐によれば団は撮影の合間ギャグや面白い仕草を連発し、共演者を始終爆笑させていたそうである。メイキングインタビューにおいても真昼にもかかわらず「こんばんわ」と挨拶したり、「俺はウルトラ100周年記念でも釣り糸で片腕釣って上げて貰うだけでいいから出演できるよ」とジョークを飛ばす等、ムードメーカーであった。
また、ウルトラ兄弟を演じた4人は夜にホテルの森次の部屋に集まっては酒を飲み交わして昔話に花を咲かせ、朝になると酔いを覚ますために各自ジョギングをしていたという(団によると「ウルトラ以外の仕事で共演したことも何度かあったけど、こういうウルトラ関係の仕事じゃないと昔話をし辛かった」とのこと)。
歴代のウルトラ兄弟の変身・巨大化シーンにおいて点滅発光などの当時の表現では、健康状態を害する恐れもあったと思われることから(ポケモンショックを参照)新しく制作されたものになっている。公式な説明としてはセブンのみ変身過程の映像がストーリーと弊害があり(オリジナルの変身シーンは当時のモロボシも含んでいるため)、セブンだけ新撮影を使用してしまうと他の兄弟との違和感が出るため、あえてすべて作り直したと語られている。
また、当時「シュワッチ!」等のウルトラマンとしての声(一般的には「効果音」)は、メビウス役の五十嵐とセブン役の森次を除いてほとんどがそのまま使用されているが、エースの声はかつて声優を務めた納谷悟朗の音声が使われず、初代マンの声を加工したものが使用された。エースの人物像を高峰のイメージを強調して演出したかったためあえて納谷の音声を使わなかったというが、これに関してはエースファンからの苦情が多かったとも語られている。この件を受けてか、TV版『メビウス』第44話では納谷の声が使用された。
『初代マン』の宇宙人といえばバルタン星人が筆頭に挙げられるが、平成以降も多くの作品に登場したためにキャラが拡がりすぎているということでザラブ星人になったという。ザラブ星人の声を担当した青野武は、かつて『ウルトラマン』において声のみならず、実際スーツに入って演技したことでも有名。今作に登場する既存の宇宙人においてTVシリーズのオリジナルキャストとして出演しているのは青野のみである。
初期の企画段階では、敵は宇宙人連合ではなく怪獣軍団という案もあった。その場合のボスは『ウルトラマンゼアス』に登場したベンゼン星人で、怪獣には新デザインで描かれたベムスターなどがいた。神戸が舞台ということで、縁のあるキングジョーの登場も考えられていた。
神戸市全面協力の下で神戸を舞台に撮影される予定だった『ULTRAMAN2 requiem』が製作中止になったため、そのお詫びという意味も含めて本作では神戸を舞台にしている。撮影に使われた主な場所は、神戸空港、六甲山牧場、神戸ポートピアランド(2006年3月31日閉園)、須磨海浜水族園、ポートアイランド住友倉庫等。
[編集] キャスト
- ヒビノ・ミライ / ウルトラマンメビウス(声):五十嵐隼士
[編集] スーツアクター
- ウルトラマンメビウス/ウルトラマンメビウスインフィニティー:長谷川恵司
- ウルトラマン:相馬絢也
- ウルトラセブン:渡辺勝彦
- ウルトラマンジャック:梶本明志
- ウルトラマンエース:矢部敬三
- ウルトラマンタロウ:小林峻
- ゾフィー:福田大助
- ニセウルトラマンメビウス:荻野英範
- 怪獣・宇宙人:永田朋裕、中村博亮、末永博志、伊藤慎
[編集] スタッフ
[編集] 主題歌・挿入歌
- 主題歌:『未来』
- 作詞:MIKURO
- 作曲:和也
- 編曲:京田誠一
- 歌:KIYOSHI
- 挿入歌:『believe~あきらめないで~』
- 作詞:MIKURO
- 作曲:藤井宏一
- 編曲:亀山耕一郎
- 歌:KIYOSHI
[編集] キャッチコピー
- 宇宙最大の敵 復活! 迎え撃て、永遠のヒーローたち!
- 帰ってきたウルトラ兄弟!! 僕らのメビウスが映画になった!!
[編集] 漫画版
- たくま朋正版
- 角川書店の漫画雑誌特撮エースに掲載。後に増補加筆版が同じく角川書店より発売された「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟 MOVIE GUIDE BOOK」に収録された。
- 内山まもる版
- 小学館より発売された「ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟超全集」に収録。