国鉄14系客車
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国鉄14系客車(こくてつ14けいきゃくしゃ)とは、日本国有鉄道(国鉄)が1971年(昭和46年)より設計・製造した客車の形式。
目次 |
[編集] 概要
客車のサービス電源(冷暖房用の電源)を床下のディーゼル発電機でまかなう「分散電源方式」を初めて採用した12系客車をベースとし、同じく分散電源方式を採用しつつ、特急列車としての使用を前提とした車内設備を持たせた客車がこの14系である。昼行特急列車や座席夜行列車に使用する座席車と、寝台特急列車に使用する寝台車があり、さらに寝台車は製造時期や仕様の違いにより、14形と15形に分かれているが、いずれも機器などは基本的に同一である。
[編集] 寝台車
20系客車は寝台列車として大成功を収めたが、列車内でのサービス電源を電源車から供給する「集中電源方式」を採用していたことから、多層建て列車として運行する際には分割された編成に給電するための電源車を余分に必要とした。
これによる運用上の制約を排除するため、客車のサービス電源を床下のディーゼル発電機でまかなう「分散電源方式」を採用して増備していた12系客車を基本とした寝台車として、設計・製作された形式が14系寝台車である。製作年度によりB寝台車室の違い等から14形・15形と2種類に分類される。
14系と15形では定員や消火装置の有無などが異なるが、元々12系客車をベースとした共通の給電方式であり、その後24系25形寝台車の編入車が増えてきたこと、15形自体の両数が減少している等の理由から、現在では14系・15形を区分することに意味がなくなりつつある。
また、ともに個室寝台に改造されたケースもある。この最初の事例は1984年(昭和59年)に登場した「さくら」・「みずほ」に連結されたオハネ14形700番台4人個室寝台「カルテット」である。
一部の車両については、座席車同様、北海道で使用していた旧型客車を廃車にする際の代替車両用として耐寒対策改造が実施された。この車両は折戸を引戸に改修するなどの措置が取られており、500番台の車両番号が与えられている。これらは14系500番台座席車同様、急行列車に使用されたが、急行が特急格上げ・気動車化されたのち、一部は気動車連結の為に改造されている。
[編集] 14形寝台車
車両の概要としては、上記にある通りであるが、特徴としては、B寝台車の内装が、それ以前の寝台車を踏襲した20系客車と異なり、B寝台車のベッド幅を581・583系電車で採用した70cmと大型化し、またユニット方式で内装を製造して車内に取り付ける形を初めて採用した。また、寝台車のベッドの収納等を省力化するため、中段寝台の自動昇降装置を初めて取り付けた。
形式はB寝台車のオハネ14形・スハネフ14形、A寝台車のオロネ14形、食堂車のオシ14形が用意された。A寝台車については、「プルマンタイプ」の開放式寝台車のみが製造された。
特急への運用開始は1972年3月ダイヤ改正での「さくら」・「みずほ」・「あさかぜ」(3往復中の1往復のみ)が最初であるが、B寝台車はそれに先だって1971年に製造されたものがあり、急行「瀬戸」に連結して試験的に運用されていた。「瀬戸」の他の在来型客車と連結する必要から、このときの車両(オハネ14 1~7、スハネフ14 1~3)には蒸気暖房(SG)管が設置されていた。後に特急用編成に組み込まれる際に撤去されている。
1972年に発生した北陸トンネル火災事故を機に、火元となる可能性のある電源エンジンを客室の直下に置く分散電源方式は防火安全対策上問題があるとされ、本形式の製造は中止された。
1980年代から1990年代にかけてB寝台車の2段寝台化が行われたが、需給関係との兼ね合いもあり、全車には及ばなかった。その一方で、JR西日本管轄であった「出雲」3・2号に廉価サービスの一環として、1989年(平成元年)から1両連結する措置がとられている。これは、同列車が1998年に電車化されるまで続けられた。
[編集] 15形寝台車
14系14形の製造が中止された後に、防火安全対策を見直してB寝台車のみであるが、1978年より製造された形式。
電源システムなどは14系と同じだが、24系25形寝台車に準じた車体形状を持ち、寝台も2段ベッドとなっている。オハネ15形・スハネフ15形が与えられた。
当初は寝台特急「明星」・「あかつき」に使用された。サービスの多様化などによって24系からの編入車両が多くなった。
[編集] 改造車
[編集] 国鉄時代
車体構造が共通である24系客車への転出、あるいは同系からの改造編入は、登場直後から行なわれている。系列内改造では、北海道への転用改造が質量ともに大規模なものとしてあげられる。
[編集] オシ14形のオシ24形への改造
1975年3月のダイヤ改正により、24系24形が品川客車区に転属して「はやぶさ」・「富士」・「出雲」(→「出雲」1・2号)を受け持つこととなった際に、不足する食堂車5両を補うため、オシ14形の難燃化、電気系統の改造によりオシ24形(100番台)に編入したものである。
番号の新旧対照は次のとおりである。国鉄分割民営化に際しては、全車がJR九州に引き継がれたが、1999年(平成11年)をもって運用から外され全車廃車となった。
- オシ14 5・6・10・11・14 → オシ24 101~105
[編集] オハネフ24形のスハネフ14形への改造
1977年(昭和52年)に系列間の需給調整のため、24系客車のB寝台緩急車オハネフ24形に電源用ディーゼル発電機を取り付け14系化した車両。3両(101~103)が製作された。もともと、24系客車自体が当系列を基本に製作された系列のため、外観上の差異はほとんどなく、前位車端部の手すりの取付け方が異なる程度である。
番号の新旧対照は次のとおりである。102は、1982年3月15日に名古屋駅構内で発生したDD51形ディーゼル機関車との衝突事故により廃車となり、101がJR九州、103が東日本旅客鉄道(JR東日本)に引き継がれたが、のちに103も廃車となり、現在は101のみがJR九州熊本運輸センターに配置、「はやぶさ」「富士」に充当されている。
- オハネフ24 16~18 → スハネフ14 101~103
[編集] オロネ14形のオロネ24形への改造
1982年11月のダイヤ改正により、24系24形寝台車が秋田運転所に集められ、「あけぼの」・「ゆうづる」・「出羽」に運用する際に不足するA寝台車を補うため、オロネ14形1両の電気系統を変更して、オロネ24形(100番台)に編入したものである。1986年には、急行「銀河」24系置換えの際に不足する2両が追加改造されている。
番号の新旧対照は次のとおりである。国鉄分割民営化に際しては、101がJR東日本、102・103がJR西日本に引き継がれた。
1991年に101がスロネ24形に改造されたため、現在は102・103の2両がJR西日本宮原総合運転所に配置されている。
- オロネ14 11・9・10 → オロネ24 101~103
[編集] 北海道向け改造車(500番台)
1983年、北海道内の急行列車「まりも」・「大雪」・「利尻」で使われていた10系寝台車の置き換えのため、後述の座席車に引き続き、本系列に暖房強化、冬季の着雪・凍結対策として折戸であった客用扉の引戸化など道内向け改造を施したものである。在来客車との併結および暖房強化のため、蒸気暖房管が引き通された。台車はブレーキシリンダを台車装備とし、鋳鉄製制輪子を使用したTR217FとTR217Gに変更されている。台車の変更により、最高速度が95km/hに抑えられたため、区別のため車体側面の形式番号標記の前に「○ホ(○の中にホ)」マークが加えられた。
オハネ14形は17両(501~517)、スハネフ14形は8両(501~508)が改造により製作された。番号の新旧対照は次のとおりである。
- オハネ14 66・84・85・68・69・73・74・79・65・72・75・78・81・83・55・70・71 → オハネ14 501~517
- スハネフ14 42・43・53・41・46・51・52・54 → スハネフ14 501~508
これらは、主に寝台車を連結した夜行急行列車に用いられたが、車両設備の更新の為、一時期宗谷本線の昼行急行列車である「宗谷」・「天北」にも座席車代用としても用いられた。寝台車の一部は使用列車の気動車化に伴い、塗色変更の上気動車との併結改造をされたものの他、座席車も含め「北斗星」増発に伴い、24系に改造編入されたものも存在する。現存する車両は、全て気動車併結改造された車両(オハネ14 501・502・504、スハネフ14 501~508)である。
- グリーンシート改装車
- 1985年3月に、五稜郭車両所でオハネ14形(501~503)の寝台1区画をソファシートに改装し、昼行運用時のみグリーン席としたもの。なお、夜行運用時は2段式B寝台(4席のみ)として発売された。
- 14系客車置換え前の気動車時代に連結されていたグリーン車のサービスを受け継ぐもので、急行「宗谷」「天北」で運用されたが、現地でしか購入できないなど発売方法に問題があり利用が振わず、1986年10月までに原型に戻された。
[編集] オハネ14形の4人用個室化改造(オハネ14形700番台)
1984年、高速バスや航空機の台頭に伴う夜行列車の利用率低下を打開するため、B寝台車では初めて登場した4人用個室「カルテット」を配置した寝台車である。種車の寝台レイアウトはそのままに通路との仕切りを設け、昼間利用時の居住性向上のため、下段寝台を折りたたみ式のソファーベット化するなどシンプルな内容であった。原状への復元が容易に行える構造であったが、登場当初はグループ利用者を中心に人気を集めた。
オハネ14 701~706の6両が製作され、「さくら」・「みずほ」に使用された。番号の新旧対照は次のとおりである。
- オハネ14 32・22・29・51・36・88 → オハネ14 701~706
国鉄分割民営化に際しては全車がJR九州に引き継がれたが、夜行需要自体の減少のみならず、上段が3段式時代のままであったことや、個室の少人数指向が進んだことで利用率が低下したことから、1997年に定期運用を離脱。その後個室のドアを撤去し、通常の2段式B寝台として「シュプール大山」号に充当されたこともあるが、結局翌1998年までに全車廃車されている。
[編集] 「ホリデーパル」サロンカーへの改造(オハ14形701)
広島鉄道管理局において、1984年に20系寝台車の改造によって製作された簡易個室式のジョイフルトレイン「ホリデーパル」のサロンカーとして、オシ14形1両(1)を幡生車両所で改造したもので、改造後はオハ14 701に改番された。車内は、食堂設備をすべて撤去してカーペット敷きとされたが、外観上は厨房部の窓を固定化したのが目立つ程度で、あまり変更はない。
電気系統は20系のシステム(三相交流60Hz/600V)に適合するように改造されたが、回路の切替えにより従来どおり14系や12系に組み込んで使用することも可能であった。国鉄分割民営化によってJR西日本に引き継がれ、1990年には白を基調とした新塗装に塗り替えられたが、1997年に20系側の老朽化により廃車された。
[編集] 「はやぶさ」「富士」用ロビーカーへの改造(オハ24形700番台)
1985年3月、東京対九州ブルートレインの設備改善のため、ホテルのロビーのような機能を持つフリースペースとしてロビーカーを「はやぶさ」に連結することとなり、製作されたのがオハ24形700番台である。本グループの種車は、当時余剰となっていたオシ14形およびオハネ14形が充てられた。両車の外観は大きく異なるが、種車の設備は完全に撤去され、中央部にソファと1人用の回転椅子を設けたロビーコーナー、前位寄りに飲料の自動販売機を備えたサービスコーナー、後位寄りにPRコーナーが設けられた。外観は、銀色のメタリックテープで翼を広げたようなデザインが行なわれ、ロビーカーであることをアピールした。
「はやぶさ」用には、オシ14形改造車2両、オハネ14形改造車1両が用意されたが、1986年11月から連結が開始された「富士」用には、オハネ14形改造車2両が増備された。両グループは区別されることなく連番が付番されている。番号の新旧対照は次のとおり。
- オシ14 9・4, オハネ14 67・2・4 → オハ24 701~705
国鉄分割民営化に際しては、全車がJR九州に引き継がれたが、2005年の「はやぶさ」「富士」併結運転化にともなって編成から外され、同年に全車が廃車となった。
[編集] JR北海道
北海道旅客鉄道(JR北海道)へは、オハネ14形(500番台)17両、スハネフ14形(500番台)8両の計25両が引き継がれた。「北斗星」3・4号の定期列車化にともない、オハネ14形が24系への改造種車とされて減少し、残存車も夜行列車の気動車置換えにともない、気動車との併結改造が行なわれている。
[編集] 「北斗星」3・4号定期列車化用改造車
1988年(昭和63年)3月、青函トンネルの開通にともなって上野~札幌間で運行が開始された寝台特急「北斗星」は、その豪華な設備が好評を博した。1・2号をJR北海道、5・6号をJR東日本が担当し、3・4号はモノクラスの季節列車として設定されたが、豪華編成の1・2・5・6号の好評を受け、3・4号にもハイグレード客車を連結して1989年3月から定期列車化することとなった。その際、JR北海道とJR東日本が1本ずつ編成を製作して両社が隔日運行するすることとなったが、JR北海道では種車となる24系が払底していたため、宗谷本線急行「宗谷」「天北」のキハ400系気動車へ置換えによって捻出したオハネ14形10両が種車とされた。本節では、新旧番号対照を掲げるにとどめ、詳細は国鉄24系客車の該当節を参照されたい。
- オハネ14 514 → オロネ25 551(ニューシングルDX/1・2号用)
- オハネ14 513 → オロハネ25 554(ロイヤル・デュエット)
- オハネ14 512 → オロハネ25 555(ロイヤル・ソロ)
- オハネ14 505・509・511・516 → オハネ24 501~504
- オハネ14 508・507 → オハネフ24 501・502
- オハネ14 515 → スハネ25 503(ソロ・ロビー/1・2号用の予備車増備)
- オハネ14 517 → オハ25 551(ロビーカー)
[編集] 北斗星「ロイヤル」増結用改造車
「北斗星」のA個室「ロイヤル」が好評で、寝台券がプラチナチケットとなっていたことから、「ロイヤル」の室数を増やすため、「ロイヤル・ソロ」を1両、1990年から全列車に増結することとなった。JR北海道では前節と同じ事情でオハネ14形3両が種車となった。
- オハネ14 503・506・510 → オロハネ25 556~558
[編集] スハネフ14形(550番台)
1991年の急行「はまなす」への寝台車連結に伴い、当時14系寝台車が不足していたことから、「北斗星」1・2号の個室化推進に伴い余剰になったオハネフ25形の床下に、スハフ14形500番台から捻出した電源装置を取り付け、14系化したものである。種車がオハネフ25形200番台のため、外観は帯が白帯になっている(改造時に変更)以外は上述のスハネフ15形に準じている。
- オハネフ25 218・220 → スハネフ14 551・552
[編集] 気動車併結化改造
1991年3月、宗谷本線の夜行急行「利尻」をキハ400系気動車に置換えることとなったが、寝台車の連結を続行するため、スハネフ14形3両(501・505・508)を気動車の編成に組み込んで運転することとした。併結のための給電や放送、戸閉回路など引通し関係、ブレーキ管の改造が行なわれ、車内設備についても寝台モケットの張り替えや、トイレ・洗面所のグレードアップが行なわれた。外板塗色は、併結する気動車に準じた灰白色ベースに変更(当初はキハ400系気動車に準じたものだったが、特急化されてからはキハ183系に合わせた塗色に変更)され、幌受け座が気動車タイプのものに交換された。前位側には、従来からの電気連結栓も存置されたため、客車列車に組み込んで使用することも可能であるが、気動車用引通しの関係から後位(車掌室)側を稚内向きに固定している。
その後、1992年の石北本線夜行急行「大雪」の特急「オホーツク」への格上げ、1993年の根室本線夜行急行「まりも」の特急「おおぞら」への格上げによるキハ183系気動車化により、残存していたオハネ14 501・502・504、スハネフ14 502~504・506・507が、キハ183系気動車との併結対応に改造された。こちらの改造内容も「利尻」用とほぼ同様であるが、外板塗色は併結するキハ183系に合わせたものとなっている。また、オハネ14の車掌室跡には飲料水の自動販売機も設置されている。
[編集] JR東日本
- 「北陸」用改造車
- オロネ14形700番台
- 1989年に、比較的少人数のビジネス利用の多い「北陸」を個室化することになり、後述のスハネ14形とともに オロネ14形を1人用A個室寝台(シングルDX)化し登場した車両である。1人用個室をまくらぎ方向に11室備えた。個室には収納式の洗面台やAV装置をそなえるが、シャワー室はない。
- オロネ14 701~703の3両が在籍。
- オロネ14 12~14→オロネ14 701~703
- スハネ14形700番台
- 上述のオロネ14形700番台と同じく「北陸」の個室化に伴い登場した登場した、1人用B個室寝台(ソロ)車両。
- 1人用個室14室とシャワー室を備えた700番台(701~703)の3両と、1人用個室20室を備える750番台(751~759)の9両の計12両が登場した。
- 現在も上記オロネ14形700番台とともJR東日本尾久車両センターに配置され、「北陸」に運用されているが、750番台は1999年に「北陸」の編成両数が見直された際に751・753・754・757の4両が余剰となり、2000年から2003年にかけて廃車された。
[編集] JR西日本
- オロ14形850番台
- オロネ14形300番台
- 1991年、「出雲」3・2号用にオロネ14形の改造により登場した、1人用A個室寝台(シングルDX)車両。
- 車両構造は1989年に登場した「あさかぜ」「瀬戸」用のオロネ25形300番台に準じる。
- オロネ14 301~303の3両が在籍。
- オハネ14 16・35、オロネ14 6→オロネ14 301~303
- オハネ14形300番台
- 上記のオロネ14形300番台と同じく「出雲」3・2号用にオハネ14形の改造により登場した、1人用B個室寝台(シングルツイン)、2人用B個室寝台(ツイン)合造車。
- 「トワイライトエクスプレス」用に製作されたオハネ25形520番台に準じたエキストラベットを備えた1人用個室6室と、同じくオハネ25形510番台に準じた4人利用も可能な2人用個室7室を備える。
- 1998年に「出雲」3・2号が285系電車化(→「サンライズ出雲」)されたことに伴い、上述のオロネ14形300番台とともに「あかつき」に転用され、2006年現在も運用中である。
- オハネ14 301~303の3両が在籍。
- オハネ14 15・17、オロネ14 7→オハネ14 301~303
- オハネ15形350番台
- 1992年、「あかつき」用にオハネ15形の改造により登場した、1人用B個室寝台(ソロ)車両。
- 定員確保のため通路を車両中央に設け、その両側に1人用個室を合計28室設けている。
- 2000年、「あかつき」の「彗星」との併結化に伴い、同車は一旦、「彗星」の編成に移されたが、2005年には「彗星」の廃止に伴い、再び「あかつき」で使用されている。
[編集] JR九州
- オハネ15形1100番台
1997年、「さくら」に使用されていたオハネ14の老朽化に伴い、「はやぶさ」の運転区間短縮によって余剰になった24系のオハネ25形100番台車を14系に編入した番台区分である。車両番号は種車の番号に+1000化されている。
改造内容は、引通し線を変更した程度で外観については種車と変わっておらず、オハネ15形はもともとオハネ25形100番台を基本に製作された車両であるため、オハネ15形新製車との差もほとんどない。
「さくら」廃止で2両が廃車された他は、JR九州熊本運輸センターに配置の上、「はやぶさ」・「富士」に使用されている。
- オハネ15形2000番台
国鉄24系客車 オハネ25形1000番台の項を参照。
- オロネ15形3000番台
国鉄24系客車 オロネ25形の項を参照。
[編集] 運用
[編集] 座席車
1969年、国鉄は波動輸送(臨時列車)用として12系客車を開発し、これを量産していた。しかし、12系は急行用として製造されていることから座席は向かい合わせの固定式クロスシート(いわゆるボックスシート)である。冷房装置を完備した唯一の昼行用客車ということもあり、当初は臨時特急列車にも12系を使用していたが、特急料金の割引を行っても利用者の評判は芳しくなかった。
そこで12系客車の設計を基本とし、183系電車と共通の車内設備をもつ特急形車両として1972年より設計・製造された形式が14系座席車である。波動輸送(臨時列車)用として増備されたことから、普通車のみが製造された。
客室は上記の通り、座席、冷房装置、窓框の高さなど183系電車の普通車とほぼ同一である。車体の屋根高さは12系客車よりも10cm低い。また、同じ特急形でも電車・気動車と異なり、窓部の側構は内傾しておらず垂直である。
[編集] 形式
スハフ14形・オハ14形・オハフ15形がある。このうち、スハフ14形にDMF15HS-G形ディーゼルエンジン駆動の発電機を搭載し、スハフ14形1両当たり6両(自車を含む。食堂車オシ14形連結の場合は5両)に給電できる。
[編集] 改造車
※ジョイフルトレインへの改造車については、その項を参照のこと。
[編集] 国鉄時代
-
- スハフ14形400番台
- 1983年に、座席車のジョイフルトレインへの改造に伴い不足していた電源車を補う目的で、オハフ15形に電源用ディーゼル発電機を取り付けスハフ14形化した車両。スハフ14 401,402の2両が存在。
- 同車は長らく尾久客車区(現・尾久車両センター)において、急行列車や団体専用列車などに用いられたが、急行列車の廃止や団体専用列車の電車化に伴い、2003年までに2両とも廃車され区分消滅している。
- 500番台
- 1983年、北海道の急行列車で使われていた旧型客車の置き換えのため、本州内の急行列車廃止で余剰になっていた本系列に暖房強化(これに伴い、スハフ14形1両当たり4両給電に変更)、冬季の着雪・凍結対策として折戸であった客用扉の引戸化など道内向け改造を施した番台区分。当初、座席車のみ落成したが、後に寝台車も改造(前述)され投入された。500番台寝台車と同様の台車のため、最高速度が95km/hに抑えられていたが、青函トンネル内に限り再度110km/h走行が可能となった。
- 荷物車、郵便車、寝台車(当初は10系寝台車と混結されていた)などの旧型客車との併結の際、機関車からの暖房用蒸気を旧型客車に送るため、12系客車と同じく暖房用蒸気の引通し管も取り付けられているのも特徴である。
- オハ14 501~539、スハフ14 501~509が改造により登場している。
- 500番台は現在までに改造種車となるものが多く、残存しているのはオハ14形が11両、スハフ14形が5両となっている。
- 550番台
- 上記の改造において電源装置の給電両数が不足することから車両需給の関係でオハフ15形を電源車改造する必要が生じ、上記の道内向け改造に加え、電源用ディーゼルエンジンを取り付け、スハフ14形化した番台区分。
- 1983年にスハフ14 551~562の11両が改造により誕生しているが、2006年までに7両が廃車となり、残る4両がJR北海道札幌運転所に配置されている。
[編集] JR北海道
- ドリームカー
- 急行「まりも」の座席指定席車のグレードアップを目的として改造された車両。5両が改造されたが、改造後の番号変更はない。座席は、キロ182形のグレードアップにより発生したグリーン車用リクライニングシートに交換された。現在は、急行「はまなす」の指定席車として使用されている。
- カーペットカー
- 1997年に急行「はまなす」・快速「海峡」用に改造された車両。車内は2段式のカーペット敷きとなり、上段は線路方向、下段は枕木方向に横になるレイアウトである。オハ14 512・515の2両が改造され、現在も急行「はまなす」に連結されている。
- また1998年には東青森駅~白石駅間に運転された「カートレインさっぽろ」用にオハ14 513がカーペット車に改造された。こちらは「はまなす」用と異なり上段が無く、仕様も「海峡」用50系の「ゆったりカーペット車」に近いものであったが、既に廃車された。
- 「北斗星」用寝台車
- 「北斗星」増発にともない所要となる車両について、一部はオハ14形が種車となった。寝台車仕様の車体を新規に製作し、外観は種車から大きく変化した。
- 詳細は国鉄24系客車の該当節を参照されたい。
- オハ14 502・538→オハネ25 551・552
- オハ14 527・537→オハネ25 561・562
- SL列車用
- 1999年に「SLすずらん号」用に用意された。ぶどう色赤帯に塗色変更されたオハ14 519・526とスハフ14 505の3両で、竣工直後は青20号一色という出で立ちであったが、出場後3日でぶどう色に赤帯に変更されるというハプニング的事例が発生している。青20号での運転は本線試運転の一回のみである。改装当初は室内にドラフト音を流す客室へのBGM用スピーカー、ワイヤレスマイク用回路の設置のみであったが、1季節終えた後、座席を4人がけボックスシートに改造したほか、ダルマストーブの設置等が行なわれている。2003年にスハフ14 507を追加で改造している。
[編集] JR東海
- 700番台
- 「ユーロライナー」にあわせ、外板塗色を変更した他、車内は簡易リクライングシートから、シートピッチを拡大した背面テーブル付回転リクライニングシートに変更されている。そのため窓割と座席の位置があわない席がある。
- オハ14 701~704、 スハフ14 701 、オハフ15 701の6両が存在したが、現在は全車が廃車された。
- ちなみにオハ14 701という車両番号は、ジョイフルトレイン「ホリデーパル」のロビーカー(オシ14形改造 すでに廃車)にも存在し、ホリデーパルの廃車まで重複車号となっていた。同様のケースは現在でも24系客車に見られる。
[編集] JR西日本
- 200番台
- 1988年、JR西日本において主として「シュプール」号に用いることを目的に改造。下記は「リゾート白馬」号などに用いられたため「リゾート&シュプール」車とも呼ばれる。車体塗装の変更の他、車内は種車の簡易リクライニングシートから、背面テーブル付のリクライニングシートを備え、リクライニング角度の大きい座席に改造。ただし「ユーロピア」と異なり、シートピッチはそのままである。車端部の1窓(8席)をつぶし、スキー用の大型荷物置場を備える。
- オハ14 201~208、251~258、スハフ14 201~204、オハフ15 201~203,251の24両が在籍(オハ14の250番台車は更衣室付)。
- オハフ15形はその後、車端部に「あすか」に準じた展望室を取付ける改造が施されている。但し251号車は便所・洗面台の位置にラウンジが設けられたのみで、展望構造とはなっていない。
なおオハ14は合計202両が製造されていたため、末期に製造された201,202号車は本番台区分との重複車号となっていたが、その後オリジナル車(最後は尾久客車区所属)の廃車により、現在「重複車号」は解消されている。
- 300番台
- 1990年、夜行高速バスとの競争力強化のため「あかつき」佐世保編成に組み込まれていた座席車オハ14形を、長崎編成に組換えのうえ夜行高速バス並みの独立3列シート化改造した車両である。オハ14 301~303の3両が在籍する。愛称は「レガートシート」。車両後部に女性専用席を設け、車内の通り抜けを少なくするため編成端部に連結することなった。そのため、最後部には女性専用の化粧室、更衣室が設けられ、種車にあった貫通扉は端部側が埋められ、列車愛称表示器が取り付けらている。
- オハ14 19・29・32→オハ14 301~303
[編集] 運用
製造当初より定期列車での特急列車運用はなく、臨時特急「しおじ」・「つばさ」・「踊り子」など、もっぱら臨時列車用として使用された。
1970年代後半より、夜行急行列車を中心に使用していた旧型客車を廃車にする際の代替車両として使用することが多くなった。これは、単なる置換えではなく、簡易とはいえリクライニングシートを使用していることや、冷房化されている事により利用者へのサービス向上を計ったものとされている。
しかし、1980年代以降、急行列車の特急格上げや廃止が進み、1999年には定期列車として使用される急行列車はJR北海道が運行する「はまなす」が唯一となった。
また、12系客車と共にジョイフルトレイン等に改造されているものもある。
14系各寝台車とは車体断面は大きく違うが、システム上は完全な互換性がある。そもそも寝台車のほうが先に作られ、のちに座席車が増備されている。この互換性を生かし、北陸トンネル火災事故後のスハネフ14形防火対策施工中、14系寝台車に電源確保のためスハフ14形を連結してしのいだ。その後、1983年から1984年にかけて14系B寝台車を3段寝台から2段寝台に改造する際には、スハフ14形とオハ14形が同様の役割を担っている。
こういった座席車と寝台車の混結は1980年代以降の夜行急行列車のうち、寝台車を連結していた列車を10系客車やそれ以前の客車(俗に言う旧型客車)から置換える際に多く見られるようになった。
それが深化した形として夜行高速バスとの競争力を要求されていた新大阪発着の九州方面寝台特急の内、1986年より「あかつき」の佐世保編成中にオハ14形1両を挿入していた。1990年にはグリーン車並みの座席を、3列独立配置とした「レガートシート」が登場。長崎編成に組換えのうえ編成位置も端に寄せられた。この車両は従来の「ブルートレイン」の配色とはまったく異なる塗色で、その特異な構造とともにファンの間では賛否両論となった。
1987年のJR分社後は、それ以前に配置がされなかった四国旅客鉄道(JR四国)を除く各社に承継された。また第三セクター鉄道の樽見鉄道にもJR東海が所有していた車両の譲渡を受けて5両が移籍、通学や花見輸送などに用いられた。現在は使用休止となり本巣駅構内に2両、北方真桑駅構内に3両留置されている。(2007年1月現在)
しかし、1994年にJR九州の車両がすべて廃車となり、2002年にJR東日本では保有していたジョイフルトレイン以外の14系座席車を全て廃車している。一方、配置がなかったJR四国には2005年5月にJR東海が所有していた車両(スハフ14 1・5、オハ14 1、オハフ15 1の合計4両)の譲渡を受けて高松運転所に配属した。これにより14系座席車はJR旅客6社全てに配置されたことになる。このうち、スハフ14 5は「ユーロライナー」塗装のままで使用されていなかったが、塗装変更を受け、2006年11月に土讃線で運転された、「SL急行“土佐二十四万石博 一豊&千代号”」において始めて使用された。
2006年現在では、定期列車としては夜行急行「はまなす」で運用されるのみで、他にJR西日本・JR四国が主に運行する「ムーンライト」の冠の付いた臨時夜行快速列車や団体専用列車などの限られた列車でしか運用されていない。
[編集] 参考文献
- 交友社『鉄道ファン』2005年10月号 No.534 特集:ブルートレイン・ノート「14系・24系寝台客車カタログ」(岡田誠一)
[編集] 外部リンク
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