近鉄1600系電車

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1600系電車（1600けいでんしゃ）とは、近畿日本鉄道の保有していた通勤形電車の一系列。

本項では派生系列である1800系電車、1810系電車もまとめて紹介する。

目次 1 1600系 1.1 改造・廃車 2 1800系 2.1 改造・廃車 3 1810系 3.1 改造・廃車 4 関連商品 5 関連項目

[編集] 1600系

1959年に製造された名古屋線初の高性能車。車体は南大阪線6800系ラビットカーの近鉄標準スタイルを踏襲し、名古屋線初の片側4扉車となっている。

編成は伊勢中川寄りからcM+Tcの2両編成で、三菱電機製の主電動機MB-3020D形125kW×4を装備し、主制御器は日立製作所製超多段式VMC-HTB10による4個モーター永久直列制御であった。補助電源装置はHG-583、集電装置はPT-42Q1、通風装置は、1次車ではファンデリアと扇風機が併用されていたが、2次車以降では扇風機のみとなった。制動装置はHSC、空気圧縮機はD-3-FRKである。運転台側連結器は密着形であるが、当初、電気連結器は搭載されていなかった。

台車については、1次車はMc車に短リンクのKD-36A形、T車にはKD-36B形を採用。1961年増備の2次車は10100系の台車変更によって捻出された台車をコイルバネに変更したKD-30B形をMc車に、KD-30C形をTc車に採用している。1963年製造の3次車の台車はMc車にKD-51B、Tc車(1710～1713)はKD-30C、Tc車(1714,1715)はKD-51Cを採用している。登場時はモ1600形とク1600形を名乗り5編成10両が投入されたが、3次車に合わせて1963年にク1600形はク1700形に改番された。

また、1963年から1964年には増結用の単独Mcモ1650形・単独Tcク1750形が製造された。また、長距離や団体運用に対応するために、1967年に大阪線よりトイレ付きの1480系ク1580形を改番し、ク1780形となったが、1973年に運転台を撤去しT化されてサ1780形となった。また1974年には長編成化のためモ1601~モ1603の運転台が撤去された。

[編集] 改造・廃車

肌色･青帯で登場した初・中期車は1965年からマルーンレッド1色に塗り替えられた。また、1次車のファンデリアが撤去されている。

1982年に京都線急行の朝ラッシュ時5連化（新田辺－京都間）に伴い、増結用単独Mc車が必要となったためモ1651~1654が連結面簡易運転台取付け・連結器高さ変更などの改造を受け、京都線に転属した。その後京都線での奇数編成の需要減（大久保駅のホーム長の制約が高架化で解消された）から、モ1651・1652は救援車モワ51・モワ52に、モ1653は廃車のうえ五位堂検修車庫の入替車に、1654は高安作業場の入替車にそれぞれ改造された。しかしモワ51・52は既に廃車となった。

また、1982年から1964年製3次車1610F以降の冷房改造と車体更新が行われ車体内外装張り替えや行先表示器設置等が行われた。1次車、2次車1601F~1609Fは冷房改造対象外となり1988年より順次廃車となった。また1615F・モ1650形・ク1750形は狭軌化改造の上、養老線に転出した。現在1600系は系列消滅している。

[編集] 1800系

1966年登場。名古屋線用として製造された車両。大阪線2400系と同じMB-3110-A形155kWの主電動機を装備。1600系の出力を増強した系列である。主制御器も一般的な直並列制御の多段式MMC-HT10Eとなっている。編成はMc，Tc4編成8両と、1M2T編成を当初から想定していたため増結用ク1950形2両があった。台車はMc車にKD-60B形、Tc車にKD-60C形を採用。塗装はマルーンレッド一色を採用している。

2400系との主な相違点は発電ブレーキの有無である。これは抑速用のみならず、停止用も装備されていなかった。

[編集] 改造・廃車

増結用のク1950形は非冷房のままであったが、冷房改造の際1600系モ1650形と固定編成化された。さらに、停止用電気制動が設置され、主制御器が制動転換器付のMMC-HTB10Eに変更された。

後に1800系は養老線車両高性能化のため、狭軌化の上600系・610系に編入されて全車両養老線に移った。これにより現在1800系は系列消滅している。

[編集] 1810系

名古屋線で使用されている2両編成の車両である。

1800系をベースにラインデリアを装備して1967年登場。1800系の限界設計を更に進め1M2T固定編成を標準とした。もとより平坦線の名古屋線は当時まだ旧型車が主流で、急行でも最高速度は100km/hだったため、1M2Tで充分であった。製造当初1811F~1815FはMc+T+Tcの3連、1816F~1827FはMc+Tcの2連であったが1968年にサ1966が、1969年にサ1967が製造され1816F・1817Fがそれぞれ3連となった。1970年製の1823Fからは側面に列車種別表示灯がつけられた。1979年には1826F・1827FのT車サ1970形（当初より冷房装置付き）が製造され冷房化とともにそれぞれ3連となりMcのパンタグラフは下枠交差形のPT-48形が2基搭載された。また、他編成も同じく冷房化が進められた。

[編集] 改造・廃車

1984年に1000系の高性能化の際にク1900形とク1100形を番号交換の上振替え、サ1960形は1961号を除くすべてが電装されモ1050形として1000系2連車の中間に収まった。また1961号及びサ1970形は2430系の4連化により、改番されずに同系列に組み込まれた。そのため現在は全編成2両編成である。1991年から車体更新工事が行われ、内外装材張り替えや行先表示装置の取付け、停止用発電ブレーキの付加などが行われた。しかし、抑速ブレーキが無いため運用が限定されていることや、養老線に転出しても使える期間が短いことなどから、現在、廃車が進んでいる。廃車されたのは末尾12～19・21・24・25編成（編成略号H）と2430系2443Fに組み込まれていたサ1961であり、旧ク1100形と番号交換・振替えされた車両は全て廃車となっている。

なお、この次世代の車両として、大阪線の2800系や奈良線の8600系に相当する新製当初より冷房装置を搭載した系列は、1810系ベースでは登場しなかった。強いて言うならサ1970形のみである。

大阪線との車両の転配をスムーズにするため、抑速ブレーキ付きの2800系が名古屋線にも配備され、2800系が2430系のみならず「1810系の新製冷房車版」の役割を兼ねる形となった。同時期に製造された2410系、2430系にはほとんど廃車が出ていないのに対し1810系で多く発生しているのは、この抑速ブレーキの有無が大きな理由と考えられる。

[編集] 関連商品

1810系としての商品名ではないが、グリーンマックスよりNゲージ鉄道模型で製品化されている2410系より1810系が製作可能である。

[編集] 関連項目

• 近畿日本鉄道の車両形式