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近鉄680系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

680系電車(680けいでんしゃ)とは、近畿日本鉄道(近鉄)が1964年京都線特急専用車として旧奈良電(奈良電気鉄道)引継車両を改造した電車の総称である。

本稿では、予備特急車として改造された683系電車も含めて述べることとする。

目次

[編集] 680系

[編集] 概要

モ680(Mc)+ク580(Tc)の2両編成2本が在籍した。

モ680形は奈良電最初で最後のWN駆動車であったモ680形681・682[1]を、ク580形はデハボ1200形と車体が共通設計ながら旧型車からの機器流用による吊り掛け駆動車であったモ690形691・692[2]を、それぞれ改造したものである。

1964年10月1日に開業が予定された東海道新幹線は、名阪間を徐行運転を実施する開業時でさえ1時間31分、徐行解除後は1時間8分で運行する計画となっており、当時最速でも2時間13分を要していた近鉄の名阪ノンストップ特急に対して大打撃を与える事が予測された。

これは、名阪ノンストップ特急からの特急料金を大きな収入源としていた近鉄にとって極めて深刻な事態であったが、名阪間のルートとしては元々迂回線に近い形態を持つ近鉄大阪線・名古屋線では、直線主体のショートカットルート上を最高で210km/hに達する超高速運転を実施する新幹線に速度面で対抗することは事実上不可能であり、実際に名阪ノンストップ特急は新幹線開業後長期に渡って需要が低迷することとなった。

そこで、近鉄首脳陣はこれまでの名阪連絡特急最優先の方針を捨て、発想の転換を図って新幹線を自社線の培養線とする、つまり自社エリア内に点在する観光地と最寄の新幹線駅を結ぶことによる新規観光客の獲得を目的とする緻密な特急ネットワークの構築へと方針を転換した。

これを受けて、新構想に基づく特急ネットワーク構築の第一陣として、新幹線とダイレクトに乗り換え可能でしかも有数の観光地が沿線に点在する京都・橿原線系統(京都大和西大寺橿原神宮前)に有料特急を設定することが決定された。

この時点では京都・橿原線系統は大阪電気軌道創業以来の小断面建築限界のままであり、しかも架線電圧も開業以来の直流600Vのまま、と旧態依然としていた。これらについてはいずれも近い将来の規格変更が計画されており、この段階で新規設計による特急車両の新造を行った場合、規格変更が実施された際にその特殊設計が無駄になってしまうことが危惧された。また、この京橿特急の構想自体にも試行的な意味合いが含まれていたことから、この段階ではひとまず在来車からの改造によって所要の特急車を準備することとなった。

この際、要求される走行性能や車内設備等から、改造候補として奈良線800820系と奈良電由来のモ680形・モ690形が挙げられ、それぞれについての改造コスト等についての検討が実施された。その結果、基本的に通勤車である前者と異なり、元々特急・急行用で固定クロスシートを装備する2扉セミクロスシート車として建造されており、より改造すべき点が少ないことなどを勘案して、後者が改造種車とされた。

この格上げ工事に際しては、固定窓化・冷房化・片運転台化、尾灯の標識灯一体型(奈良線900系などと共通のタイプ)への交換、そしてモ690形の電装解除および旧式なイコライザー台車のシュリーレン式台車への交換といった大規模な改造が実施され、座席もオール転換クロスシートに変更された。

こうして改造が施された本形式は、10100系以後の特急車と同様に塗装され、前面には10100系貫通型先頭車から車体更新前の11400系16000系までの近鉄特急車に取り付けられていたのと同じ特急標識を設置し、京都-橿原神宮前・京都-近鉄奈良の2系統で特急車として運行が開始された。

[編集] 車体

種車となった奈良電デハボ1200・1350形の基本設計を継承する、車体幅2600mm(最大幅2650mm)の18m級(車体長17500mm)車である。

これは先行する京阪神急行電鉄(現・阪急電鉄神戸線1000形の準張殻構造車体の開発時に得られた成果が反映された、1950年代中盤のナニワ工機が手がけた標準設計品の一つで、下津井電鉄モハ102+クハ22や遠州鉄道モハ21+クハ61、あるいは栗原電鉄(現・くりはら田園鉄道)M151など、各地の地方私鉄に基本設計が共通する車両が供給されている。

本来は上段Hゴム固定、下段上昇式のいわゆる「バス窓」スタイルの側窓を備えた両運転台式車体、窓配置はd1D6D1d、座席は客用扉間を対面配置の固定クロスシートとして、主電動機の点検蓋が開いているためにクロスシート化が難しい客用扉と乗務員扉の間がロングシートという構成で、ロングシート部分の窓を戸袋窓として客用扉間に障害物が無い様にレイアウトされており、この部分についてかなり思い切った構体設計の簡略化と軽量化が実現している。

特急車改造に当たっては側窓全てが1枚固定窓化され、連結面側運転台撤去による乗務員扉の埋め込み、分散式冷房装置搭載[3]に伴う構体の大幅な補強、屋根雨樋位置の変更による張り上げ屋根化、車販基地とトイレの新設[4]、それに車内座席の固定クロスシートとロングシートの撤去と2250系の格下げに伴う発生品を整備の上で流用した転換クロスシートの設置などが実施され、面目を一新している。

なお、本形式の車体は鋼製車としては異例の軽量設計で、スイス国鉄向け軽量客車に由来するシュリーレン式の軽量車体を持つ800系と比べても大胆な軽量化が図られており、特急車改造工事を担当した近畿車輛のスタッフが驚嘆したと伝えられている。

[編集] 台車・電装品

モ680形は種車の近畿車輛KD-10台車をはじめとする主要機器がほぼそのまま流用された。

本台車はWN駆動のシュリーレン(Schlieren)式台車[5]としては近鉄モ1450形のKD-7に続く最初期の例で、試作目的ではない量産品[6]としては第1号であった。

この台車は、装架された主電動機三菱電機MB-3020A[7]ともども、翌年に建造された奈良線800系やこれに続く大阪線10000系など近鉄の初期高性能車群に貴重な実働データを提供した。

元々奈良電は開業以来、大株主であった京阪電気鉄道と縁の深い東洋電機製造製の電動カム軸式自動加速制御機構を備えた、いわゆる「デッカー・システム」で電装品を統一しており、このためデハボ1200形の併結相手に選ばれたクハボ600形602・603は主幹制御器を東洋電機製のままでデハボ1200形の三菱電機ABFM-154-6EDA単位スイッチ式制御器の進段指令を行えるように内部結線を変更し、スイッチを追加する工事を実施していた。

当時の奈良電が財政悪化で悩んでいたことや、増備車であるデハボ1350形が旧型車の機器流用車にグレードダウンしてしまったこと、そして以後近鉄がMB-3020系電動機やKD-10を基本とするシュリーレン式台車を大量採用したことなどを合わせて考えると、奈良電側の思惑はともかくとして、結果的にデハボ1200形は近鉄向け各種機器のテストベッドとしての役割を担わされていたことになる。

このKD-10は本形式の台車として長年に渡って使用されたが、シュリーレン式台車としては初期製品であるために保守面で不利であったらしく、後に10100系廃車発生品であるKD-41Uに交換されている。

ちなみに本形式に採用されたMB-3020Aに始まるMB-3020系主電動機は、近鉄においては10000系から10400系までの大阪線特急車や1480系大阪線通勤車、1600系名古屋線通勤車、それに前述の奈良線800・820系に採用されるなど初期の標準軌間線区向け高性能車のほぼ全てに採用され、その後廃車発生品が改造の上で名古屋線を中心とする近鉄標準軌各線の通勤車用として転用を重ねるなど、2006年現在にいたるまで使用され続けている125kW級標準軌間用カルダンモーターの初期の傑作の1つである。

また、このMB-3020系は線形などの条件が近鉄名古屋線に類似する山陽電気鉄道でも1964年の3000系第1次車から1995年の5000系第5次車まで小改良を加えつつ実に30年以上に渡って新造車に採用[8]されるなど、その完成度の高さから採用各社で異例の長期間に渡って新製・運用が続けられている。

これに対し、ク580形は本来のボールドウィン系イコライザー台車や電装品を捨て、近畿車輛KD-54Aシュリーレン式金属バネ台車を新造の上で履き替え、ブレーキ弁もM弁からA弁に交換され、ACA-Rブレーキとなった。特急車であるのに空気バネ台車としなかったのは相棒であるモ680形に合わせたためであるが、建築限界拡幅工事および架線電圧昇圧工事完了後に来るべき新造特急車の投入をにらんで、早期に格下げられることを前提としていたためでもあった。

また、ク580形の運転台に据えられた主幹制御器については、モ680形の連結面側運転台撤去で捻出された三菱電機製マスコンを流用して賄われている。

また、冷房化に伴い大容量の電動発電機を搭載したことから、モ680形の橿原神宮前寄り(運転台側)に搭載されたパンタグラフ1基では架線電圧600V時に集電容量が不足したため、もう1基の追加搭載が求められたが、18m級車であり、しかも分散式冷房装置を5基搭載した本形式の場合、屋根上スペースと各冷房機の冷凍能力の関係上もう1基のパンタグラフの追加搭載は不可能であり、ク580形の電装解除時に撤去されなかったパンタグラフ1基[9]をこれに充てている。

[編集] 改造・転属

1964年10月の運転開始後、当初の予想を大幅に超える需要の伸びに合わせて京都・橿原線特急は急ピッチで増発を重ね、同年12月の京都-奈良間特急の追加などもあって遂に定期3運用体制となり、本来は680系の検査予備を目的とする予備特急車である筈の683系が定期運用に充当され、果ては予備特急の検査予備として当時残存していた未改造の旧奈良電セミクロスシート車[10]を再整備の上でもっぱら新田辺に待機させる[11]という深刻な状況に陥った。

ここに至って近鉄本社は、特急設定時に一度検討しながら断念していた縮小車両限界に基づく小車体断面・600V専用仕様の京都・橿原線用特急車の新造をようやく決断し、奈良線モ600形からの機器流用による吊り掛け駆動車ではあったが、大阪線11400系に準じた構造の車体を持つ正規の特急車である18000系2連2本を1965・1966年に順次新製投入した。

当然ながらこの間、京都・橿原線系統では特に問題の多い橿原線を中心に建築限界の拡大と曲線緩和、それに架線電圧の1500Vへの昇圧工事が急ピッチで進められていたが、変電所等の自社施設と車両の改造工事で事足りる1500V昇圧工事は大阪万博開幕直前の1969年9月に実施された[12]ものの、建築限界拡大は京都線については1968年という比較的早期に完了した一方で、開業が古く様々な事情から用地買収等が難航していた橿原線の改良工事完成は、実に1973年までずれ込んでしまっている。

このため、京都・橿原特急運行開始後、京都から伊勢方面へ乗り換え無しで特急を利用したい、という声が予想以上に大きかったことから、18000系に準じた小断面車体に、当時の0系新幹線電車にも匹敵する180kW級大出力電動機や発電制動の為の巨大抵抗器などを詰め込んだ、MT比1:1の経済編成で青山峠越えを実現する強力な複電圧車である18200系(1966年)や、1970年の大阪万博開幕を控えて投入され、小断面ながら橿原線の曲線緩和工事の完了で20m級にストレッチされ、大阪線12200系「スナックカー」に準じた設備を備える「ミニ・スナックカー」こと18400系(1969年)といった京都・橿原線仕様での新製特急車の増備は実に改良工事完了直前の1972年まで続けられた。

もっとも、京都・伊勢特急というこれまで考えられなかった新規市場の開拓成功により、これらの新造車はことごとく増発や増結に振り向けられたため、橿原線の改良工事が完了し、12200系を筆頭とする大阪線用20m級特急車がそのまま乗り入れ可能になった1973年9月まで、680系は京都・橿原線特急の主力車としての運用を続けた。

但し、カルダン駆動の高性能車ではあるものの、ブレーキがAMA-RD(ARDブレーキ)で電気制動は備えるものの抑速電制を備えていないことと,その出力から連続急勾配が存在する大阪線での運用には難があり、運用区間が京都・橿原・天理・奈良(大和西大寺~近鉄奈良のみ)の各線に限定された。また、抑速電制付きHSC-Dブレーキ装備の他形式との併結にも大きな制約がある[13]本形式は、同じく電制を装備していない18000系と共に、昇圧後はダイヤ編成上限定運用を組まざるを得ず、次第に厄介者扱いされるようになり、前面に貫通幌を装備の上でそれぞれ同一系列の2連2本で4連を組んで検査予備として運用される機会が多くなっていった。更に、10400系以降の標準特急車デザインに準じる18000系と異なり、本形式の場合は奈良電引継車がベースであるためにアコモデーション面で明らかに見劣りすることと、一般車からの改造車故に客用扉幅が広くデッドスペースが多いため、座席定員が18000系以降と比べてやや少なくコンピュータ予約発券システムの運用上不便であったことが営業政策上問題視され、このため1974年には特急車仕様のまま抑速電制の必要がない名古屋線に転属し、主として湯の山線系統などを中心に団体専用車として使用された。

しかし、その期間も短く、1975年には一般車に格下げされ、マルーンレッド1色の一般車塗装に変更された。

もっとも、格下げに当たってKM式集中冷房装置を撤去した2250系等と異なり固定窓化されていたことと、搭載された冷房装置が11400系などと同一仕様の汎用品で保守上問題が無かったこと、それに普通車の冷房化が始まっていたことから、冷房装置は存続された。また、内装も車内販売設備ならびにトイレこそ撤去されたが転換クロスシートのままで、窓の開閉可能化や客用扉の増設などの一般車化改造も、軽量化を徹底した車体構造故に施工が困難で、最後まで実施されなかった。

格下げ後は2連2本となって、主に、観光ニーズの高い志摩線ローカルとして重用され、途中でク580のパンタグラフが撤去されるなど細部の変更が実施されたが、転換クロスシートとはいえ特急仕様のままということで乗客からは好評を博した。

以後10年以上に渡って志摩線で運用を続けたが、ブレーキがA動作弁装備で保守が困難になり、しかもHSC-D電磁直通ブレーキへの改造も床下スペースの関係上不可能であったことと、車体そのものの老朽化から、1986年にさよなら運転を実施後、塩浜工場にて廃車解体された。

なお、廃車直前には681Fのみが現在の一般車の塗装であるマルーンレッドとシルキーホワイトのツートンカラーに変更されていた。

[編集] 683系

[編集] 概要

モ683(Mc)+ク583(Tc)+モ684(Mc)の3連として改造された。

1964年の京都・橿原線特急創設に際し、正規特急車として改造された680系の検査予備及び多客期増発用を目的として、680系改造時に余ったモ690形(旧デハボ1350形)ラストナンバーであるモ693(モ683へ改造)と、本来デハボ1200形とペアを組んで運用されていたク580形581・582[14]を種車としており、680系と異なり冷房化とオール転換クロスシート化は見送られるなど、改造は最低限に留められた。

[編集] 車体

全車共に種車ほぼそのままで、屋根の雨樋が位置変更されて張り上げ屋根とされ、モ684の京都寄りに車内販売設備が、ク583の京都寄りに便所が設置された程度に留まっている。

[編集] 台車・電装品

モ683・684については台車が新造され、680系のク580が履いたKD-54Aと基本設計が共通[15]のシュリーレン式台車である近畿車輛KD-54が奢られた。これに対しク583は本来のD16に代えてモ683が装着していた住友金属工業KS-33Lの流用で済まされ、乗り心地の点で見劣りした。

電装品はモ683は種車であるデハボ1350が機器流用による吊り掛け駆動車であったため、制御器が東洋電機ES-155、主電動機は東洋電機TDK-520/1B、つまり機器を提供したデハボ1000形と同時期に、奈良電のもう一方の親会社であった京阪電鉄が標準採用していた機器群の同等品が搭載されていた。また、モ684についても680系改造時に捻出された旧デハボ1350形1352のものが流用されており、同じ東洋電機製で足並みが揃えられていた。もっとも、近鉄では旧伊勢電からの引継車を含め伝統的にデッカーシステム搭載車は冷遇される傾向が強く、結果的にこれが683系のその後の命運を決定することになったともいえる。

なお、モ683については改造当初は種車の両運転台がそのまま維持されており、単行運転も可能であった。

但し、1M1Tを可能とする大出力カルダンモーター装備の680系と比べるとこの機器構成は明らかに非力で、座席が扉間のみクロスシートとされたこともあって、正規の680系が2連であるのに対し、本形式は2M1Tの3連とならざるを得なかった。

[編集] 昇圧工事・その後

1969年に実施された京都・橿原線の架線電圧1500Vへの昇圧に当たっては、吊り掛け駆動車である本形式について全面的な機器更新が実施された。

具体的には、主電動機の絶縁強化や1C8M方式の三菱電機製AB電動カム軸式制御器の新製を実施して、単純な1C4M制御であった2両の電動車をMM'方式のユニット構成に変更するというもので、これに伴い編成がモ683+ク583+モ684からモ683+モ684+ク583に組み替えられ、モ684は京都寄り運転台を撤去して完全に中間電動車化し、パンタグラフ2基搭載で主制御器を持つM車となった。これに対し、モ683はモ684と分離不能になった事から京都寄り運転台を撤去して片運転台化され、パンタグラフも撤去し、空制系などの補機を集約搭載するM'c車となった。

この改造は当時奈良・京都・橿原線系統に在籍していた600V用小型吊り掛け駆動車の内、昇圧後も使用される事が決定していた3連を組む各車に対して標準的に施工されていたもので、2連ではあったがMc-Mc編成の18000系についても同様の工事が実施されている。

この結果、これまで編成の中間にあってほとんど使用される機会がなかったク583の運転台が久々に使用されるようになった。もっとも、この時期には最後の京都・橿原線用特急車となった18400系の新造がスタートしており、あまりに接客設備の格差が大きい本編成が定期運行の特急車として運用される可能性は最早残されていなかったが、万博を控えた時期であったことと、その車内設備から団体客輸送を考慮して特急塗装が維持されていた。

この様な状況から、本形式は昇圧改造後はもっぱら団体列車用とされたが稼働率は著しく低く、1972年3月には一般車への格下げが決定し、マルーンレッドの一般車塗装への塗り替えが実施された。但し床のタイル張りとトイレは残され、異彩を放っていた。

この後も沿線に天理教本部が存在する関係で、団体列車などのニーズがあったことから転換クロスを基調とする車内設備は温存されたが、橿原線の限界拡大工事が竣工した1973年9月以降、680系4連や18000系4連を「天理臨」に用いる運用の余裕が出てきたこと、冷房を持たないことから次第に敬遠されるようになり、1974年頃の一時期、京都-橿原神宮間の急行に平日日中1運用に限定して運用された[16]程度で、最低限の運用にとどまっていた。

そのような状況も長くは続かず、実質的にこれ以降は新田辺車庫に終日滞留という状態で、ほとんど動かないまま1976年3月19日付でモ684とク583は廃車され、そのまま解体されている。

これに対してモ683のみは、車体の経年が新しかったことから同年10月に大阪線の鮮魚列車用への転用が実施され、電装解除の上ク1322[17]として2250系等と組んで運用された。こちらの廃車は1989年3月31日で、解体処分されている。

[編集] 脚注

  1. ^ 旧奈良電デハボ1200形1201・1202。1954年ナニワ工機製。
  2. ^ 旧奈良電デハボ1350形1351・1352。1957年ナニワ工機製。
  3. ^ 11400系と同じ東芝製RPU-1103(冷凍能力4500kcal/h)を各車5基搭載。
  4. ^ それぞれモ680形とク580形の旧運転台跡に設置された。
  5. ^ 近畿車輛とSwiss Car and Elevator Manufacturing Co.の提携により開発された円筒案内式軸箱支持装置を備える台車。
  6. ^ ただし、2両分しか生産されていない。
  7. ^ 端子電圧300V時定格出力110kw/1,600rpm・420A、許容最大回転数4,000rpm・最弱界磁率50%。基本設計の段階では端子電圧340V時定格出力125kW/1,800rpmの1500V線区向け電動機であり、このシリーズの電動機はデハボ1200形が初採用例である。もっとも、2両分しかない初期型のMB-3020Aは保守上不都合であったのか、後に800系と同じMB-3020B4(特性は同等)に交換されている。
  8. ^ 但し、遅くとも1990年代初頭までには最終型となったMB-3020S4の新規製造が打ち切られている。
  9. ^ 特に方向転換は行われておらず、原型と同じく橿原神宮前寄りに搭載した。これは、2編成併結時のパンタグラフ隣接に伴う押し上げ力過大への対策という意味合いもあった。
  10. ^ 元デハボ1100形。近鉄での形式は670系
  11. ^ 実際にも一般車塗装の同車が大型の特急標識を掲げて特急運用に充当される例が何回か見られた。
  12. ^ 1969年の昇圧に際しては主制御器の交換が実施されてABFMから弱め界磁無しで制御段数の少ないABとなり、主電動機の定格出力が本来の設計通りの125kWにアップしている。
  13. ^ A弁が有効な状態のHSC-D搭載車との併結は可能であるが、その場合、HSC系ブレーキ本来のセルフラップ弁としての機能が使用できず、また電空同期の問題から電制が機能させられないなど、双方のブレーキ機能の多くを殺すことになる。
  14. ^ 初代。旧クハボ600形602・603。1940年梅鉢鉄工所製。モ684・ク583へ改造。
  15. ^ ただし、吊り掛けモーター装架のため、端梁部の構造が相違する。
  16. ^ 820系2連の急行運用の積み残し対策であったという。なお、この運用ではトイレは鎖錠されていた。
  17. ^ 後にク502へ改番された。

[編集] 関連商品

680系についてはグリーンマックス系列のクロスポイントよりNゲージ鉄道模型真鍮キット形式で発売されている。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

近鉄特急の車両
現有車両
12200系, 12400・12410・12600系, 30000系
21000系, 22000系, 23000系, 21020系
16000・16010系, 26000系, 16400系
過去の車両
2200・2227系, 6301形, 6471形, 6401形
2250系, 6421系, 6431系
10000系, 10100系, 10400・11400系, 12000系
680・683系, 18000系, 18200・18400系
5820形
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