くす玉
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くす玉(薬球ともいう)は、香料や薬草を錦の袋に詰めて、その袋に造花などで飾り付けし、五色の糸でたらしたものである。中国ではこれを魔除けに使用する道具として端午の節句などに使用されていた。
日本でくす玉が使われる事例としては、毎年7月(仙台など旧暦の7月に当たる8月に行われる地域もある)の七夕の飾りつけや祝い事に使用される割り玉ともいわれるものが挙げられる。
- 七夕のくす玉飾りは前述した中国の方式と同じような形で、造花で飾ったくす玉の下に紙テープ(短冊)を垂れ下げたもので、吹流しともいわれる。
- 割り玉といわれる祝い事に使われるくす玉は、球形になっているものを半分に割って、その中に紙テープを貼ったり、紙吹雪、風船などを敷き詰める。割れたときくす玉の紙テープは垂れ下がる状態となる。また真ん中に垂れ幕(そのお祝い事に関連するメッセージが添えられる)を一緒に添える場合もある。
- (使用例)新幹線などの開業式、高速道路・国道などの開通式、学校の入学・卒業式、学校・企業の創立記念日、店舗・施設のオープン記念式典、造船の進水式、スポーツ大会や各種コンテストでの優勝や入賞祝い、選挙による候補者の当選祝い、結婚式祝い、運動会のくす玉割り競争(玉入れ競争で使うスポンジ製の玉をくす玉に当てあうもの)などがある。
またテレビ番組でも、特にクイズ・ゲーム番組で旅行や高額賞金を獲得した参加者や、コンテスト(オーディション)番組の優勝者などを称えたり、NHK朝の連続テレビ小説、NHK大河ドラマのクランクアップ(全収録終了)の時にも出演者・スタッフらの労をねぎらってくす玉を割って祝うこともある。
最近ではくす玉に代えて「カノン(キャノン)砲」といわれる機械式クラッカー(紙テープや紙吹雪が詰め込まれている)を使うこともある。
[編集] くす玉アラカルト
- 割り玉方式のくす玉の一般的な球形の飾りは特定の1つの色紙(いろがみ 一般には金色が多い)で貼ったものと、造花で貼り合わせたもの(写真)とがある。
- またそれは球形・二つ割れのものが一般的だが、最近市販されているものでは球形・三つ割れのもの、あるいは結婚式専用・ベル型のくす玉もある。更に2003年に阪神タイガースが優勝したとき、キャンプ会場の高知県安芸市はナスの生産地として知られることから優勝決定の瞬間にはナスをかたどった巨大なくす玉を割って祝ったという。
- 紙テープも色とりどりのカラフルなものが一般的であるが、TBSテレビで放送されたザ・ベストテンで1位になった歌手(スタジオ出演の場合)が割るくす玉の紙テープは金色一色の場合が多かった。
- 同じザ・ベストテンで松田聖子が1位になった時にはハート型のくす玉や、くす玉の中にもう一つ一回り小さなくす玉を用意した「親子くす玉」なるものも登場したことがあった。また、1982年ごろスタッフの手違いで本番中、割れた後のくす玉をスタジオの下の部分に下ろしてしまったこともある。
- 1986年ごろ放送された日本テレビの土曜グランド劇場の枠では、ドラマ本編が始まる前に番組そのもののオープニングタイトルが放送され、その時には土星を模ったくす玉(土星を囲む輪もついていた)が登場した。CGで処理されたボールが土星に当たった瞬間、突然くす玉に変身して紙テープが画面の下から上に垂れるというものだった。
- アップダウンクイズ(毎日放送)では10問正解しハワイ旅行贈呈が決まった際にくす玉割りが行われたが、当初は1つのみだった。しかし収録中の人為ミスで誤って割れてしまったことを教訓に2つ用意したが、今度はハワイ旅行獲得者が3人おり、1人分は間に合わせでザルに入れた紙吹雪を散らせたというトラブルがあった。このためくす玉は全ての解答者席に吊るされた。(詳細)
- 1964年のシンザンが中央競馬三冠馬を決定した際、表彰式会場に飾られたくす玉は前年1963年にメイズイがそれを決定した際に使われる予定だったが実現せず割られなかったものを使いまわした。
- 同じように1995年にJリーグ(現・J1相当)への昇格を決めた柏レイソルは、1994年11月の昇格決定祝賀会を柏駅で開いた時にくす玉割りをしたが、これも1993年11月に1994年のJリーグ昇格を決めた場合に使用される予定だったものを使いまわしたものだった。
- 大晦日の恒例行事である年末ジャンボ宝くじの抽選会場では、毎回1等の抽選が全て終了するとステージ上から「1等当選おめでとう」の看板と共にくす玉が吊るされ、抽選を行った女性アシスタントがくす玉を割って当選を祝う。このシーンは毎年NHKのテレビ中継でも紹介されている。但し、2006年はキャノン砲になった。