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ホワイトカラーエグゼンプション - Wikipedia

ホワイトカラーエグゼンプション

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ホワイトカラーエグゼンプション(または、ホワイトカラーイグゼンプション、white collar exemption、ホワイトカラー労働時間規制適用免除制度)は、いわゆるホワイトカラー労働者(主に事務に従事する人々を指す職種・労働層)に対する労働時間規制を適用免除(exempt)すること、またはその制度。なお、JavaC++などのプログラミング言語で使われるexception(例外)との混同かホワイトカラーエグゼプションと書かれる場合も度々あるが、これは誤りである。

目次

[編集] 概要

日本においては現状導入されていない制度であるが、2005年6月日本経済団体連合会が提言を行い、2006年6月に厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会)が素案を示した。早ければ2008年度にも立法・施行される可能性がある。

しかし、民主党「残業代ピンハネ法案」と主張し、マスコミでは「残業代ゼロ法案」と呼ばれ、全労連(全国労働組合総連合)、連合(日本労働組合総連合会)、全労協(全国労働組合連絡協議会)なども猛烈に反発している。与党内では、2007年4月の統一地方選挙や、7月参議院議員通常選挙への影響を懸念し2007年の国会への提出を先送りするべきとの意見が出、同国会での法案可決を断念した。厚生労働省側は提出に前向きではあるが、今後の情勢は依然不透明である。2006年12月27日厚生労働省が示した原案では、適用対象者の基準年収額については「相当程度高い」とし、具体的な年収額は明示されていない。また、民主党も、この制度への対案として、「格差是正緊急措置法案」を衆議院に提出した。

同法案がすっかり浸透している米国ではともかく、少なくとも日本においては実質長時間労働による労働者の過労死を促進させる法案と言われている。 個人主義の浸透している米国では労働時間を自己でコントロールできても、個人主義を忌避する日本の実情では職場の求めるままに長時間労働せざるを得ない(「周囲が残っているのに自分だけ帰る訳にはいかない」という風潮が厳然としてある)。この制度を導入する土壌ができていないといえる。(職場側からすれば、いくら残業させてもタダなのだから、長時間労働を求める事は至極当然の流れである。)

なお、厚生労働省が検討している制度は「自律的労働時間制度」と呼ばれる。以下、日本における状況について記載する。

[編集] 背景

日経連(当時、現日本経団連)は、1995年に「新時代の『日本的経営』」という報告書において将来的な雇用関係のあり方について提案した。「ホワイトカラー」は、その働き方に裁量性が高く、労働時間の長さと成果が必ずしも比例しない部分があるとしており、このため、労働時間に対して賃金を支払うのではなく、成果に対して賃金を支払う仕組みが必要、というのが提案の要旨である。

しかし、「成果に対して賃金を支払う」とはいっても、成果の基準は事業者側が一方的に決めているのが実情であり、そういった点で不公平な制度だといえる。(標準成果の設定次第で実質賃下げにもなり、長時間労働を実質義務付けられることにもなる。)

この提案には様々な団体や個人が反対を表明しており、「労働時間の長時間化、サービス残業の合法化を招き、特に中小零細企業での悪用が懸念される」といった趣旨の主張をしている。

また、過重労働やサービス残業に対する行政の監督強化に反対し、規制緩和をいっそう推し進めたいという財界側の意向もあると言われている[1]

また2006年6月に発行された日米投資イニシアチブ報告書[1]には、アメリカ政府が世界的に進めるグローバル資本主義導入の一環として日本国政府に対し「労働者の能力育成の観点から、管理、経営業務に就く従業員に関し、労働基準法による現在の労働時間制度の代わりに、ホワイトカラーエグゼンプション制度を導入するよう要請した」と記載されており、アメリカからの要請という側面も持つ。アメリカ政府は日本における外資企業(自国企業)の収益性・効率性を上げるために、日本の親米保守派に圧力をかけたと考えられている。

提言の背景としては他にも森永卓郎が独自の分析をしており、その中で「非正規雇用の活用増による人件費抑制」というビジネスモデルが限界に達しており、今以上の人件費抑制を進めるために、使用者側がホワイトカラーエグゼンプションを考えているのではないか、と発言している[2]

[編集] 現在の厚生労働省の調整内容

  • 適用対象者(年収条件は例示)
    • 部長や課長など「管理職の平均的な年収水準」

[編集] 日本経団連の提言内容

2005年6月21日付けで公表された日本経団連の提言するホワイトカラーエグゼンプション制度の内容は以下の通り(概要[3]・本文[4])。

  • 適用対象者(年収条件は例示)
    • 現行の専門業務型裁量労働制の対象業務従事者(賃金要件を問わない)
    • 法令で定めた業務の従事者で、月給制か年俸制、年収が400万円か全労働者の平均給与所得以上の者
    • 労使委員会の決議により定めた業務で、月給制か年俸制、年収が400万円か全労働者の平均給与所得以上の者
    • 労使協定により定めた業務の従事者で、月給制か年俸制、年収が700万円か全労働者の給与所得上位20%以上の者
  • 除外内容
    • 労働時間・休憩・休日・深夜業の規制からの除外
  • 届出義務
    • 労使合意により対象業務とされた場合には、所轄の労働基準監督署に届出が必要
  • 賃金控除
    • 遅刻・早退・休憩時間に関する賃金控除は行わない。欠勤は賃金控除の対象
  • 労働者の健康への配慮
    • 企業の業種・業務・職種内容に応じ、産業医の活用方法・取り組みなどを自主的に労使で決定
  • 規定方法

[編集] 分科会素案・提出資料など

2006年6月13日に開催された厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会の会議には「労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(案)」と題する資料[5]が提出された。その中では「自律的労働にふさわしい制度の創設」としてホワイトカラーエグゼンプション制度の創設について触れられた。また同年11月10日には、「今後の労働時間法制について検討すべき具体的論点(素案)」と題する資料[6]が提出され、「自由度の高い働き方にふさわしい制度の創設」としてホワイトカラーエグゼンプション制度に関する論点がまとめられている。

また、同会議には、同年9月29日「ホワイトカラー労働者の働き方について」と題する調査資料[7]が、同年10月5日「労働時間について」と題する調査資料[8]がそれぞれ提出された。

2007年1月25日、厚生労働省は労働政策審議会労働条件分科会に「ホワイトカラー・エグゼンプション」を盛り込んだ労働法改正案と労働契約法の法案要綱を諮問した。労働者委員からは「削除すべき」との意見や使用者委員からは「議論が尽くされてない」などの意見が出された。2月2日、労働政策審議会は、「ホワイトカラー・エグゼンプション」などを盛り込んだ労働基準法改定案と労働契約法の法案要綱を了承する答申を出した。

[編集] 導入を肯定する意見

企業側としては残業や休日出勤の割増賃金どころか賃金自体を支払わなくて済み、試算では11兆5,851億円もの人件費が削減できるので競争が激化するグローバル資本主義化が進む未来においても国際競争力を維持することが可能になる。また達成すべき成果をもとに時間という概念を考えないで人員配置などの経営計画をたてやすくなるという点が挙げられる。残業の多寡による給与変動がなくなることも指摘できる。対象従業員の健康管理義務が無くなることも挙げられる。

厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会に提出された資料[9]では、使用者側からのものとして、

  • 広い裁量が認められるホワイトカラーは、労働時間が長いことではなく、成果による評価・処遇を行うべき
  • 労働者間の公平・意欲創出・生産性向上・企業の国際競争力の確保という効果がある

といった意見が紹介されている。

また、平成19年の第1回経済財政諮問会議にて、伊藤忠商事取締役会長である丹羽宇一郎が、スキル向上のために残業代なしで土日も出社したいという若い人が沢山居るが、ホワイトカラーエグゼンプション制度がないために出社許可が出せない、という旨の発言をしている(議事録(PDF))。(「スキル向上のために出社したい」と言えば自発的意思のように聞こえるが、そのスキルを求めているのが事業者側である事にも注意が必要である。言い換えれば、沢山の若い人を賃金なしで土日も出社させたいと言っているに過ぎない。)

[編集] 導入を不要とする意見

[編集] 同趣旨の法制度が既に存在している

厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会に提出された資料[10]によれば、

という点が導入を不要とする意見として取り上げられている。

前者に関する反論としては、日本経団連の提言の概要[11]において、

  • フレックスタイムは、柔軟な運用が1か月の範囲内に限られる。
  • 変形労働時間制は、労働者側の裁量で労働時間を弾力的に運用できる制度ではない。
  • 裁量労働制は、対象業務の範囲が限られており、導入の要件が厳格に過ぎる。また、あくまでみなし労働時間制であり、労働時間そのものの制限適用除外ではない。

という点が指摘されている。

[編集] 個別事例として司法の場で解決が可能である

ホワイトカラーエグゼンプションの導入論議が起きるかなり前から、在日の外資系コンサルティング会社や外資系証券会社では、基幹業務に携わる社員については管理職でなくとも残業代を支払わない給与体系を有しているところが多いが、それが実務上問題化した例は極めて少ない。2006年に在日の大手外資系証券会社であるモルガン・スタンレーの中堅社員が、日本の法律上の管理職には厳密には該当しないことを理由に退職後に残業手当を請求し、司法の場で争う事件が起きたが、当該社員が既にサラリーマンの平均給与の数倍の年俸を得ていたことを理由に労働者側が敗訴している。よって、わざわざホワイトカラーエグゼンプションの法制度を包括的に日本に導入するまでもなく、常識の範囲で企業が年俸の充分高い労働者には残業手当を支払わなければよいのであり、もしそれで争いになれば、個別事例ベースで司法の場で解決すればよいだけである。

[編集] 労働者の圧倒的多数が導入を望んでいない

厚生労働省の旧労働省職員による労組「全労働省労働組合」は2006年12月13日、組合員(労働基準監督官の95%がこの労組の組合員である)に実施したアンケート調査の結果を発表した。それによると有効回答数は1319人で組合員の80%に当たり、そのうちこの制度に反対する意見は60%、賛成17.9%、どちらとも言えない21.8%であったとされる(毎日新聞2006年12月14日、3面)。この記事では組合員の意見として「残業代ばかりか命まで奪う、過労死促進法だ。しかも、過労死でも労災認定を取ることすら難しくなる」というものが紹介されている。

他の一般人向けアンケートにおいても、制度への反対意見が賛成意見を大きく上回り、TV局が行ったアンケートでは、複数の民放局のアンケートで反対が70%前後、NHKが行ったアンケートにおいても反対が44%(賛成は14%)という結果が出ている。また、産経新聞が同社のWebサイト上で行ったアンケートでは、導入反対意見が94%にも達した[12]

[編集] 少子化対策に悪影響を与える

厚生労働省の少子化問題を担当している部署内においても、本制度導入による長時間労働促進のために(除外対象となった会社員が)家庭で過ごせる時間がますます減ってしまう、という反対意見があり[13]、法案担当である厚生労働省内部においてもコンセンサスが得られているとは言いがたい状況である。

しかし、これらの反対意見を押し切る形で、労働政策審議会は2006年12月27日にホワイトカラー・エグゼンプションは「導入を適当」とする報告書をまとめた。

[編集] 諸外国の場合

労働政策研究・研修機構による2005年6月に発表された「諸外国のホワイトカラー労働者に係る労働時間法制に関する調査研究」等によると、アメリカ・ドイツ・イギリス・フランスの「労働時間制度の適用除外制度」の概要は以下のとおり。

[編集] アメリカ

労働時間に関する規制としては、週40時間以上の時間外労働に対する割増賃金(1.5倍)の支払義務のみを課している。この割増賃金支払義務からの適用除外要件としては、「ホワイトカラー要件」「俸給要件」「職務要件」の3つの要件を満たすことが必要とされ、職務要件としては、部下が存在する管理職、自由裁量が大きい運営業務、または、高度な専門職であることなどが要件として挙げられている。教師や法律業務・診察業務開設のライセンスを有する者は俸給の額を問わず原則として適用除外対象者となる。俸給要件と職務要件には一部連動があり、週給455ドル相当以上の賃金を受けている場合には、以下の各要件を満たした場合に適用除外対象者となるが、年間賃金総額が10万ドル以上の場合には緩和された要件を満たせば適用除外対象者となる。

ホワイトカラー要件

腕力・身体的技能及び能力を用いて、主として反復的労働に従事する労働者でないこと。

俸給要件

原則、週給455ドル以上の固定額の支払いがなされること

職務要件

  • 管理職の場合
  1. 主たる職務が、勤務先企業ないしはその部門の管理(指揮命令・従業員管理など)にあること
  2. 常勤従業員2人分に相当する以上の従業員の労働を人事権を含んで指揮管理していること
  3. 他の従業員を採用解雇する権限があるか、その提案勧告に特別な比重が置かれていること
の3つ全てを満たすか、あるいは年間賃金総額が10万ドル以上で上記いずれか1つを満たすことが必要
  • 運営職の場合
  1. 主たる職務が、勤務先企業または顧客の財務、経理、監査、品質管理、調達、宣伝、販売、人事管理、福利厚生、法務、コンピュータネットワーク、データベース運営その他の管理等のオフィス・非肉体的業務であること
  2. 主たる職務に、重要事項に関する自由裁量・独立した判断を含むこと
の2つをいずれも満たすか、あるいは年間賃金総額が10万ドル以上で上記いずれか1つを満たすことが必要
  • 専門職の場合
    • 法学・医学・経理学・保険統計学・工学・建築学・物理化学生物関連学などの長期専門的知識教育による高度な知識を必要とする労働であること
    • 音楽・文筆・演劇・グラフィックアートなどの芸術的創作的能力を要する分野で、発明力・想像力・独創性または才能が要求される労働であること
    • ハードウェア・ソフトウェア又はシステムの機能仕様決定、設計・開発・テスト・修正、マシン・オペレーティングシステム関連システムの設計・テストなどが主たる職務であること
のいずれかを満たす場合。

アメリカの労働省のガイドラインによれば、同制度を適用させるには専門的な教育を受けたという事実などの客観的な根拠が求められ、その要件を満たさないと労働関連の裁判で極めて不利となる。専門教育修了資格の例としては、管理職だと経営学修士、経理専門職では公認会計士、法務部門の管理職では法曹などが挙げられる。その他専門職の場合も、職歴かそれに類する教育を受けたという証明が必要とされる。

しかし、アメリカでは制度を悪用した違法な適用除外のケースが多発し、多くの集団訴訟が起きている[14]

[編集] 欧州各国

  • ドイツ:適用除外要件として、管理職であり、労働者の解雇採用権を持っていることを挙げている。
  • フランス:適用除外要件としては、管理職であること、のみである。また労働時間や日数を法律で制限している。
  • イギリス:適用除外要件は細かくは規定されていないが、基本的に自由裁量権があり幹部クラス、高度な専門職である事が要求されている。また、適用除外労働者であっても法定労働時間に関する規制は適用される。

上記のように諸外国のホワイトカラーエグゼンプション制度は、日本の裁量労働制と比して、適用除外要件面ではやや緩やかであり、法定労働時間面ではやや厳しい制度となっているものが多い。また、日本のホワイトカラーエグゼンプション制度の法案内容と比べると、適用除外要件面、法定労働時間面ともにかなり厳しい制度となっているものが多い。なお、上記で上げたドイツの適用除外対象者は全労働者の2%であるという。 [15]

[編集] 制度上の問題点

日本経団連の提案では、労働時間という基準をなくした中で、給与はどう支払われるべきかといった点について法案化を含めた具体的な対策が示されていない。また、超過労働への対処策については基本的に個々の企業の問題としている。そのため、短時間で成果を上げた労働者に賃金はそのままで次々に仕事を与えるだけ(労働強化)ではないか、無賃金残業を合法化しようとするだけ(労働時間強化)ではないか、労働者の健康管理コストを削減したいだけではないか、といった批判が当制度に反対する人々からなされている。以下にそれらの代表的見解を挙げる。

[編集] サービス残業の合法化・長時間労働の常態化

これまでは、時間外労働に対して「割増賃金を支払う義務」が存在しており、また、形骸化されているとはいえ、「時間外・休日労働に関する協定(三六協定)」の存在もあったことから、労働時間が過剰に増えることに対する一定の歯止めがあったが、ホワイトカラーエグゼンプションの導入が実現すると、それらの歯止めが無くなる。

過労死弁護団全国連絡会議によれば、ホワイトカラーエグゼンプションを導入しているアメリカでは、同制度の適用を受ける労働者のほうが労働時間が長くなる傾向にあるという[16]

また、経団連の提言では、仕事と賃金の関係についても具体的な規定を想定していないので、企業によっては、仕事を増やすだけ増やして賃金は増やさない、処理しきれなかった仕事の分は減給という事にもなりかねない。「欠勤は減給とする」という提案とあわせると、休日労働の常態化の危険も指摘される(欠勤と休日労働)。

実際、近年の労働基準監督署のサービス残業指導強化に対し、日本経団連は「企業の労使自治や企業の国際競争力の強化を阻害しかねないような動きが顕著」と非難している。言うまでも無くサービス残業は違法であるがあえて非難発言したことからも、推進側はサービス残業を既に存在する必要なものと認識しており、その合法化を志向していると推察される。また推進論のどれもサービス残業が存在する事実について、言及していないか説明できていない。

[編集] 実質的な労働者全体の賃金カット

本来、ホワイトカラーエグゼンプションは成果主義に基づき、労働者間の賃金の再配分を行い、効率的な賃金体系を達成するものであるので、総人件費の抑制を目指したものではないはずだが、単に残業代を不払いとしてその分が賞与として実力のある労働者に再配分されることがなされず、企業による実質的な人件費カットのツールとして使われるだけの可能性がある。

「労働者個々の成果の総和=総収益又は総利益」という論理で、総人件費を総収益又は総利益に対し一定の割合に抑えるツールとして使用される危険性もある。使用者の中には適用対象を全労働者にしたいと考えたりしていることや、春闘等におけるボーナスの成果連動性に対する固執、総利益が安定しやすくなる≒株価も安定しやすくなることなどからも、既に使用者がこういった志向をしている懸念がある。

[編集] 誰が残業をするのか

業務上、残業が必要な事態が生じた場合、残業代をもらうことが残業の動機づけになっている労働者も多い。残業代が支払われなくなると、誰の仕事かが明確ではない仕事については、引受け手がいなくなってしまう可能性がある。このことから制度を成り立たせるには、対象となる管理者について、雇用主が業務内容を明確に示し契約をかわすこと、対象となる管理者に解雇・採用権を与えることが必要となる。もしも対象者が派遣社員やパートなどを効率的に使う裁量権を与えられるなら、ワークシェアリングが実現する可能性がある一方、正規雇用社員から非正規雇用員への切り替えが一層進む危険性もある(そもそも成果主義的な対象者の仕事が派遣社員やパートで置き換え可能なのかという疑問もある)。いっぽう、対象者に業務契約や人事裁量権が与えられない場合は、対象者の労働負担が著しく増加したり、上層部から対象者への一種のいじめツールとなったり、上層部による対象者の恣意的な解雇が行われる危険性もある。

[編集] 労働者の健康管理に関しての懸念

ホワイトカラーエグゼンプションにより労働時間は経営者の管理対象から外れるので、万が一従業員が過労死した場合も、従業員の自己責任で片付けられる可能性が出てくる(奥谷禮子など、すでにそう公言している経営者も多い。奥谷の発言は「06/10/24 労働政策審議会労働条件分科会 第66回(議事録)」。ちなみに同氏が他に週刊東洋経済で行った発言は国会でも取り上げられた。)。労災にも問われなくなるので労災保険料(労災が出ると保険料が上がる、100%会社負担の保険料)が抑制でき、過労死裁判などで従業員の遺族に多額の賠償金を支払う、という可能性も減少する。

日本経団連では、労働者の最大拘束時間を定めたり、一定時間勤務したものに休暇を付与したり、一定期間毎の健康診断を行ったりといった対策を提言しているが、いずれも労使で「自主的に取り決めるべき」としており、経営体力の弱い零細・中小企業等でこれらの規定を免罪符として悪用される可能性もある。もっとも、大企業でもこれが悪用される可能性も捨てきれず、これらの含みを持たせるため「あくまで個別の会社(と組合)の問題」とし制度自体に盛り込まないようにしているとも見れる。

これらの懸念に対して、厚労省は2006年11月に示した修正案で、「週休二日以上の確保の義務付け」と「適正に運営しない企業に罰則を科す」旨を盛り込んでいる[17]。しかし、草案に反対する論者からは、現在でも「出勤簿には有給休暇や代休と記載したが、実際は出勤している“ただ働き”」という状況が散見されており、まだまだ対策が不十分であるとの指摘がなされている。また現状でもサービス残業・激務による鬱などの精神疾患・過労死などが横行しているのに、更に経営者によって恣意的に用いられかねない制度は導入すべきでない、そもそも経営者の管理能力と信頼性・法令順守意識が足りていないから現状ですら問題があるのに、制度導入でそれらが更に増幅されかねないという指摘もされている。

また、上節の「誰が残業をするのか」と同様に、従業員いじめのツールとして悪用される可能性がある。経営側が、その意にそぐわない従業員に対して、過重労働を強いて退職・休職に追い込むケースや、その従業員を亡き者にして(殺すことまで含む)、「過労で倒れた」事にして片付けてしまうケースなどが具体例と考えられる。この場合は、経営側の責任を問えなくなってしまう可能性が高く、最悪の場合「過労死しました。自己責任です」の一言で全て片付けられてしまう可能性もある。

[編集] 適用除外対象者の将来的な拡大

経団連の提言では「労使委員会の決議で定めた業務で、かつ年収400万円以上」となっていたが、厚生労働省が2006年末にまとめた最終報告書では、新たに対象労働者は管理監督者の一歩手前に位置する者」とし、年収要件を、「管理監督者一般の平均的な年収水準を勘案しつつ、労働者の保護に欠けないよう、適切な水準を定める」としている。

しかしながら、反対論者を中心に「一度導入したら、少しずつなし崩し的に適用除外水準が緩和されていき、最終的にはほとんどの労働者が対象になるのではないか」との危惧が多い。インターネットの掲示板やSNSコミュニティ上においてこのような懸念が多く言われているだけでなく、asahi.comのbeモニターを対象としたアンケートでは、「いずれ対象が広がるからホワイトカラーエグゼンプション制度に反対」という回答が30%に達している[18]。 実際、労働者派遣法では当初は厳格な基準が定められていたが、なし崩し的な基準の緩和により、現在では一部の例外を除いて事実上派遣が自由化されてしまったという歴史がある。

また先述の丹羽宇一郎の発言のように、年収・職位面で本来は適用除外要件を満たさない「若手」の労働者にまで適用除外範囲を広げたい、という意図が推進側に存在している。

[編集] 影響範囲

2006年の厚生労働省案では、当制度の影響を受けるのは年収額は明示されていない。運用によっては、エグゼンプション対象者以外にも影響が出る場合がある。以下にそのケースを示す。(例えば基準額が年収800万円の場合)

ケースA)

A氏(リーダー) B氏(部下) C氏(非正規雇用)
  • 労働時間:10時間/日
  • 休日:週2日
  • 年収:1000万円(残業代含む)
  • 労働時間:8時間/日
  • 休日:週2日
  • 年収:400万円
  • 労働時間:6時間/日
  • 休日:週3日
  • 年収:160万円(時給1,250円)
    ※時間外含む
↓ 制度施行後 ↓
A氏(制度対象) B氏 C氏
  • 労働時間:16時間/日
  • 休日:週1日
  • 年収:800万円
解雇
(退職金あり)
解雇
(退職金なし)

上記は、企業側がA氏を適用除外対象として、B氏やC氏の仕事をA氏に押し付けるケースである。企業側としては、B氏C氏の人件費をカットした上、A氏の残業代もカットできるので、A氏のチームの人件費を半分以下に抑制できる。

なお、この場合のA氏の年間労働時間は約5,000時間にも及ぶが、企業側はA氏の労働時間を管理対象とする法的義務がない。仮に、激務に耐えられずにA氏が過労自殺をしようが、それはA氏の自己責任で済んでしまう可能性がある。

経団連案のように、年収の比較的低い非管理職従業員も制度対象とした場合、以下のように退職金などの一時金が不要な雇用契約者のみを解雇するケースも想定される。

ケースB)

A氏(制度対象) B氏(制度対象) C氏
  • 労働時間:12時間/日
  • 休日:週2日
  • 年収:800万円
  • 労働時間:10.5時間/日
  • 休日:週2日
  • 年収:400万円
解雇
(退職金なし)

このケースでは、A氏は給料が下がった上に労働時間が増え、B氏も給料こそ維持されているものの労働時間が増えているため、時給換算では約25%の給与低下となる。結果として、このケースではチーム内の人件費を約25%削減出来ることになる。退職金の額によっては、ケースAよりも実現する可能性が高いと考えられる。

[編集] 上記の問題点から考えられる影響

労働者の(時間あたりで見た場合の実質的な)年収ダウンや、過労死や「心の病」(うつ病など)にかかってしまう従業員の増加、有給休暇の未消化、厚生年金の財政悪化など様々な問題が発生する可能性がある。また、ホワイトカラーエグゼンプションに反対する論者からは、仕事が一部の人間に集中することによって失業率が上昇したり、労働時間の延長によって少子化に拍車がかかったり、低所得者層の増加により格差社会を更に助長する、さらには自殺を増加させる、などと既存の社会問題を悪化させるのではという懸念も出されている。

また、労働運動総合研究所は、ホワイトカラーエグゼンプションを導入した場合、11兆5,851億円(一人あたり、114万3,965円)の残業代を労働者が失うと試算している(参考)。また、これにより内需が大きく冷え込む事になるため、雇用状況が内需状況に依存しやすい非正規雇用者の雇用状況も大きく悪化する懸念や、日本の貿易黒字が肥大化する事による貿易摩擦の再発の懸念など、間接的な懸念は数多い。

[編集] その他の問題点

[編集] 雇用者側の意見不統一

ホワイトカラーエグゼンプション制度に関しては、雇用者側でも意見が分かれていて統一的な見解が出されていないのが現状である。各種経済団体においては、日本経団連は導入に全面賛成しているものの、経済同友会は「仕事の質・量やスケジュール(納期)にまで裁量のある労働者は多くないのが現実であり、また仕事の質や種類によって労働時間は決定されるべきであるため、まずは現行の裁量労働制の制度の活用を更に推進して仕事の進め方の改革を進める方が先」と今回の制度導入には反対の立場をとっている(参考)。

なお、日本商工会議所は労働時間規制の強化そのものに反対であり、当制度に関しては「中小企業の実態に即した制度を望む」という立場である。中小企業の実態に即すると言うのは、同報告書によると「管理監督者の範囲は実態に即して決めるべきで、範囲を狭めてはならない」とのことのようである(付属資料17ページ)。また、個人的な見解を発表している経営者でもワコール社長の塚本能交のように「そもそも時間内に仕事を行うことが評価されず評価も出来ない日本の労働環境下では、導入しても過重労働を招いて生産性の低下を招くだけ」と反対している経営者もいる。

[編集] 日本にはなじまない?

ホワイトカラーエグゼンプション制度は「日本にはなじまない」という主張がある。主張の要点は以下の通りである。

  • 日本人労働者は個人ではなくチームで仕事を行う傾向にあるため[19]
  • ホワイトカラーエグゼンプションによって成果主義色がより強くなる事になるが、日本では成果主義の運用が上手く行っていないため、単なる賃下げで終わってしまう可能性が高い
  • 「自律的労働制度」の先駆けとも言えるフレックスタイム制が業務遂行上の問題多発などで失敗に終わっている事例が多く、そのような状況でホワイトカラーエグゼンプションを導入しても、長時間労働につながるだけである(なお、日本経団連会長の御手洗冨士夫が会長を務めているキヤノンでは、一時期フレックスタイム制を導入していたが、御手洗の社長在任期間中に廃止している)。

[編集] 議論が不十分

上項「導入を不要とする意見」において記載したが、労働政策審議会は内外の反対意見を押し切る形で報告書をまとめてしまっている。報告書をまとめるにあたり、労働者側だけでなく使用者側の反対意見まで押し切ってしまっている[20]。この事は象徴的な出来事であるが、「まず導入ありき」になっており、全体的に議論が不十分であるとの指摘が多い(一例)

[編集] メディア報道が不十分

ホワイトカラーエグゼンプションに関するニュースなどの報道や情報提供は、十分に行われているとは言いがたい状況である。報道内容も、単なる残業代ゼロ制度として紹介するケースが多い。各新聞や雑誌等の紙媒体メディアはそれでも、時折特集記事を掲載するなど、ある程度の報道量があったが、TVメディアにおいては、2006年12月まではこの事についてほとんど報道がなされなかった。その結果、労働政策審議会が報告書をまとめる直前の時期であった2006年12月時点においても、連合が行ったアンケートによると、ホワイトカラーエグゼンプション法案について「全く知らない」という回答が73%にも達するという結果が出ている[21]

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

[編集] 脚注

  1. ^ 森岡孝二『働きすぎの時代』(岩波新書、2005年)

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