仮面ライダーZX
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『仮面ライダーZX』(かめんライダーゼクロス)は、10人目の仮面ライダーであり、1982年(昭和57年)~1983年(昭和58年)に主に雑誌にて展開されたヒーロー作品。
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[編集] 概要
1981年10月に『仮面ライダースーパー1』が終了した直後、仮面ライダーシリーズの終了を惜しむファングループ有志の主催で、「仮面ライダー復活祭」が二度にわたり開催された。この催しは、東映大泉撮影所の試写室を会場として、数本のテレビ作品を上映しつつ歴代シリーズの出演者や関係者と語り合う形式のものであったが、ビデオソフトが未発売で関係者とファンが交流する機会も少なかった当時としては破格の内容であり、好評を博した。その盛況に触発された原作者・石ノ森章太郎やプロデューサー・平山亨らの間で「何らかの形で10号ライダーを」という機運が盛り上がったが、実写特撮ヒーローの新番組を企画するには厳しい状況があったため、関係各社の協力を得てTV以外のメディア展開を行いながら映像化を目指すという形でのスタートとなった。後述の通り、雑誌連載を中心にラジオやイベントなど様々な形での展開が行われ、1984年1月のTVスペシャルで映像化を果たすまで約1年半のロングランとなった。また、「仮面ライダー10号制作委員会」という形でファン有志が意見を提出し、その制作や展開にファンサイドの大きな協力があったことも特徴である。TVシリーズ化が果たせなかったため広範囲な人気が得られたとは言えないが、第1作『仮面ライダー』以来のスタッフによる仮面ライダーシリーズ最終作であり、ファンと制作者の協力によって誕生した仮面ライダーであるという側面もあって、第1作世代の仮面ライダーファンの間では根強い人気を保っている。
[編集] ストーリー
ブラジルの大学に通っていた大学生・村雨 良(むらさめ りょう)は、悪の秘密結社バダンに囚われパーフェクトサイボーグとして脳以外の99%を改造される。事故により自我を取り戻した良は処刑されそうになるがからくも基地を脱出、仮面ライダーZXとして殺された姉の敵を討つ為にバダンと戦う。その戦いの最中、良は先輩の9人ライダーと出会い、仮面ライダー10号として迎え入れられる。
[編集] 主要登場人物
- 村雨良/仮面ライダーZX
- ブラジルの大学に通っていた日本人の青年。バダンの世界征服実現のために姉を殺され、自分も改造人間にされてしまう。改造後は優秀なバダンの歩兵として活動していたが、事故をきっかけに自我を取り戻し逃走、バダンに復讐を誓う。しかし先輩ライダーたちとの交流のなかで復讐のためでなく、平和のために戦わなければならないということを知り、正義の戦士・仮面ライダーZXとしてバダンに立ち向かうことを決意する。
- 海堂肇博士
- 良の大学の恩師。バダンにさらわれる。
- 一条ルミ
- 生化学研究家・一条博士の一人娘。父をバダンに殺されたため、海堂博士に育てられている。海堂博士とともにバダンにさらわれる。
[編集] 仮面ライダーZX
村雨良が変身した姿。先輩ライダーのように体術を駆使した技は少ないが、豊富な特殊能力を活かしたトリッキーな戦法を得意とする。攻撃武器を全身に数多く装備し、錯乱・秘密行動を得意とするため、忍者ライダーの異名も持つ。またライダーマン、スーパー1の2人とチェーンの引き合いをした際、互角以上の勝負をするところを見ると、かなりのパワーの持ち主であることが分かる。専用バイクはヘルダイバー。変身後のボディは赤が基調でマフラーと眼が明るい緑、マスクは上半分がレッドで、マスク顎部分や胸部から腰部、グローブとブーツ、そしてベルトがシルバーというカラーリングである(ちなみにマスクの上半分には3本のブラックラインが入っている)。またボディが左右対称ではないという、珍しいデザインである。モチーフはカミキリムシとされる。
[編集] 装備
- 十字手裏剣
- 別名「十方手裏剣」。両肘に装着されており、体内で素早く生成される為に連射も可能。射出時に伸びる刃部分はダイヤモンド以上の硬度を持つ。
- 電磁ナイフ
- 左腿のスリット内に縮められた状態で格納されている短剣。十字手裏剣同様の硬度に鋭い切れ味と発電能力を併せ持っており、刺した相手を高圧電流で更に圧倒することが可能。
- マイクロチェーン
- 両手の甲のシャッター内に格納されている鉤爪付きの細い鎖。ウインチ機能もあり、最大1tの物体を牽引することが可能。『10号誕生!仮面ライダー全員集合!!』では自分の手で引き出してから相手に投げ付けて絡ませるといった、あまり使い勝手の良くない鎖分銅だったが、『仮面ライダーSPIRITS』では相手に腕を突き出すとシャッターが開き、鉤爪がスラスターを噴射しながら飛び出していくといった、攻守共に使い易いものとなっている。また、鉤爪部分の破壊力も非常に高く、建物の壁はもちろん怪人の身体を貫いたり、更にZX本体からの高圧電流を流すことが可能。
- 衝撃集中爆弾
- 両膝に装着されている特殊爆弾。外見は十字手裏剣と同じデザインだが、刃はない。ZX本体からの司令電波で、爆発の威力や方向を自在に操作することが可能。
- 虚像投影装置
- バックルに内蔵。自らの姿を何もない空間に映し出すことが可能。何体もの自身を同時に投影することもでき、かく乱や脱出時に使うことで効力を発揮する。
- 煙幕発射装置
- 両上腕部に内蔵。相手のレーダーやアンテナをかく乱させられる煙幕を上腕部スリットから噴出する。虚像投影装置と併せて使うことで効力は倍増する。
[編集] 体術技
- ZXパンチ
- いわゆるZX版ライダーパンチ。
- ZXキック
- いわゆるZX版ライダーキック。空中で変身ポーズの最初の部分(左腕を右斜め下、右腕を右斜め上へ伸ばす)を取ることで全身が赤く発光、そのまま敵へ急降下してキックを撃ち込む必殺技。
- ZXイナズマキック
- ZXキックの強化版で、ZXの最強技。ZXキックのポーズから赤い雷と共に、破壊力の倍増したキックを撃ち込む。
[編集] 専用マシン
ヘルダイバー
- ZXの専用マシン。入手経路は不明(おそらくバダンが作成したものと思われる)。最高時速600km。
[編集] バダン
過去全ての秘密結社を裏で操っていた組織。悪霊のエネルギーの塊であるバダン総統が支配している。大幹部・暗闇大使の指揮の元、時空を操作することが可能な時空破断装置を使用し、世界を支配しようと企む。しかし、最後は集結した10人ライダーによって滅び去る運命となる。
[編集] バダン総統
バダン崩壊後、10人の仮面ライダーの前に姿を現した巨大なドクロ。 笑いながらライダー達に別れを告げると姿を消した。 その姿を目撃した海堂博士は「悪霊のエネルギー」の塊と推測するが詳細は不明。
TVスペシャルのシナリオ段階では、ショッカー以来の悪の組織を支配していた大首領を名乗っていた。
[編集] 暗闇大使
秘密結社・バダンを指揮する、地獄大使の従兄弟。その外見も似ている。海堂博士とルミを人質にとる。
[編集] バダン怪人
バダンの科学によって改造された。今までの秘密結社の怪人と比べると、メカの割合が多い。
[編集] 強化兵士・一覧
[編集] UFOサイボーグ・一覧
設定では時空魔方陣で強化されている。
[編集] コピー怪人・一覧
過去の秘密結社の怪人をコピーしたもの。
- カミソリヒトデ(仮面ライダーV3)
- 獣人大ムカデ(仮面ライダーアマゾン)
- 奇械人カメレオーン(仮面ライダーストロンガー)
- ガメレオジン(スカイライダー)
- クモンジン(スカイライダー)
- カガミトカゲ(スカイライダー)
- カマキリガン(仮面ライダースーパー1)
- カメレキング(仮面ライダースーパー1)
- 上記の怪人一覧を見ても分かるように、なぜかカメレオンをモチーフにしたものが多い。
[編集] 戦闘員
- コンバットロイド
- バダンの戦闘員。短剣を武器とする。マスクにドリルのように横に尖った耳が印象的。白衣を来た者もいる。
[編集] メディア展開
- 1982年(昭和57)~1983年(昭和58) 「テレビマガジン」「テレビランド」などの雑誌の1982年7月号にイラスト掲載によるネーミング募集。1982年8月号~1983年9月号にてグラビア写真と漫画連載による展開。 村雨 良を菅田俊、バダンの大幹部暗闇大使を潮健磁が演じた(同氏がかつて演じた地獄大使とは従兄弟という設定)。1982年9月号までは名前が決定していなかったため、「仮面ライダー10号」と紹介された。
- 1982年(昭和57)8月14日 「オールナイトニッポンスペシャル 仮面ライダー10号誕生記念・石森章太郎のオールナイトニッポン」 で、「仮面ライダーZX」と発表され、ラジオドラマが放送された。このとき、仮面ライダーZX(村雨良)を神谷明が演じた。
- 1982年(昭和57)8月15日、向ヶ丘遊園で「仮面ライダー10号ネーミング発表会」開催。このイベントは、一週間後の1982年(昭和57)8月22日、宝塚ファミリーランドでも開催された。
- 1984年(昭和59)1月3日 「10号誕生!仮面ライダー全員集合!!」で、はじめてテレビに登場した。村雨 良役は雑誌展開と同じく菅田俊、暗闇大使はやはり雑誌展開と同じく潮健磁が演じている。主題歌として、雑誌展開中に作られたイメージソング「ドラゴンロード」(唄:串田アキラ)が使用されたが、ZXの名前が決まる前に録音されていたため歌詞中に「ZX」の名前は歌われていない。バダン総統の声は岩石大首領・ネオショッカー大首領と同じであり、ネオショッカー・ドグマ・ジンドグマの3組織もショッカー以来の同系統に属することが明らかにされた。
- 1998年に風塵社から発行された「平山亨叢書 仮面ライダーZX」は、前述の雑誌展開時にバックグラウンドストーリーとして平山が考えていた物語を1冊にまとめたもの。この中の設定が後に仮面ライダーSPIRITSに生かされることになる。なお、グラビアに使われなかったカニロイドのエピソードも登場する。
- 展開終了から16年後に連載が開始された村枝賢一作の漫画仮面ライダーSPIRITSは本作の設定をベースとして構成され、第2部以降は村雨良=ZXが主役をつとめている。
[編集] 関連項目
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第1期 | 仮面ライダー - V3 - X - アマゾン - ストロンガー |
第2期 | スカイ - スーパー1 - ZX(TVSP・ラジオ) |
第3期 | BLACK - RX |
真・ZO・J | 真 - ZO - J |
平成シリーズ | クウガ - アギト - 龍騎(怪人) - 555 - 剣 - 響鬼(戦士・怪人) - カブト(人物・怪人) - 電王 |
外伝 | THE FIRST - SD - ウルトラマンVS仮面ライダー - 駈斗戦士 |
漫画 | 仮面ライダー - Black - ZO - SPIRITS - THE FIRST - つくった男たち |
小説 | 誕生1971/希望1972 - EVE - HERO SAGA |
一覧 | ライダー - 乗用マシン - 怪人 - 必殺技 |
アイテム / 玩具 | 平成の変身アイテム - S.I.C. - 装着変身 - コンパチヒーロー |
関連 | 戦隊 - メタル - すごかが - ヒーロー大集合 - ヒーロータイム |