余市町
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余市町(よいちちょう)は、北海道の西部、日本海の余市湾に面し、余市川沿いに発達した町である。小樽市の西隣にある。江戸時代には鰊の漁場として栄え、明治時代以降は果樹栽培が盛んになった。
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[編集] 地理
北海道後志支庁管区の北部、日本海の余市湾に面する。町の中央を南から北に流れる余市川下流の平地を中心に、その東西の海岸と奥の山地を町域にする。余市平野の南半分は仁木町に属するので、余市町は東西に長く中央部でくびれた形をしている。余市川の東部では海岸沿いに平地がある。余市川のすぐ西側にはヌッチ川・梅川が流れ、下流が港町となっているが。それよりさらに西の海岸は険しく、断崖が迫り自然の景勝をなすところも多い。海岸部はニセコ積丹小樽海岸国定公園の一部である。
- 山: 天狗岳(872.3m)、毛無山(650.4m)、大登山(565.0m)、小登山(514.7m)など
- 河川: 余市川、ヌッチ川、梅川、登川、畚部川、湯内川、出足平川
- 湖沼・ダム: 余市ダム(ヌッチ川)
- 岬: シリパ岬、モイレ岬、畚部岬、蛸穴の岬、滝の澗岬、ワッカケ岬、烏帽子岬、オトドマリ岬
[編集] 隣接自治体
[編集] 歴史
江戸時代初期にアイヌ人と松前藩の商場知行制・場所請負制のもと、交易拠点として上ヨイチ場所(運上屋)、下ヨイチ場所(運上屋)が置かれた。この「ヨイチ」という地名については、余市川を指すアイヌ語地名「イオチi-ot-i(それ<蝮>・群棲する・もの(川流域))」を起源とし、アイヌ語地名では二重母音を忌避する性質があることから、アイヌ語では「イヨチi-y-ot-i」と、「y音」を添加したが、後に和人の入り込みに伴い、「イヨチ」が「ヨイチ」へと言い習わされるようになり、それに漢字が充てられて、「余市」という現在の表記になったと考えられる。 なお、国史跡の「下ヨイチ運上屋」が海岸部に現存するが、これは我が国唯一の「運上屋遺構」であるから、是非一見されることをお勧めしたい。 江戸中期以降は、近海を回遊するニシンの漁場として発展した。近海ニシン漁は、ニシンが少なくなり、1954年(昭和29年)を最後に途絶えたためなくなった。1871年(明治4年)から農業開拓が始まり、リンゴなどの果樹が栽培された。1920年の人口は16,809人であった。
- 1869年(明治2年) 開拓使余市詰役員が派遣される(浜中出張所)。余市町の開基。
- 1900年(明治33年) 7月1日、11町村が合併して余市町となり、一級町村制を実施した。
- 1902年(明治35年) 北海道鉄道株式会社により鉄道が敷設され、余市駅が設置される。
- 1907年(明治40年) 余市~小樽間の電話が開通する。
[編集] 経済
[編集] 産業
農業では明治時代から果樹の栽培が盛んで、北海道一のリンゴ、生食ブドウ、ワインブドウ、梨の生産量を誇る。特にリンゴは日本で最初に栽培されたことで有名である。ニシン漁が途絶えてからも漁業はなお盛んで、余市港付近には北海道立中央水産試験場が設置されている。
1934年にニッカウヰスキーが創業した地としても知られ、スコットランドの情緒あふれる余市蒸留所は今でも伝統的な製造法を守っており、町内一番の観光名所となっている。創業者の竹鶴政孝は、気候がスコッチウイスキーの王国スコットランドに似ていたことと、ウイスキーの製造に欠かせないピート(泥炭)が入手できたことから、この地を選んだと言われる。
[編集] 立地企業
[編集] 姉妹都市
イーストダンバートンシャイア(イギリス。1988年より提携)
[編集] 教育機関
- 余市町立沢町小学校
- 余市町立大川小学校
- 余市町立黒川小学校
- 余市町立栄小学校
- 余市町立登小学校
- 余市町立豊丘小学校
- 余市町立東中学校
- 余市町立西中学校
- 余市町立旭中学校
- 北海道余市高等学校
- 北星学園余市高等学校
- 余市養護学校
[編集] 交通機関
[編集] 道路
- 一般国道
- 北海道道
- 北海道道36号余市赤井川線 - 冷水峠を越えて赤井川村と結ぶ。
- 北海道道228号豊丘余市停車場線 - 町西部のヌッチ川に沿い、山側に進んでいく。
- 北海道道378号余市港線
- 北海道道753号登余市停車場線 - 余市駅付近から南進し、途中で道道36号に合流する。
- 北海道道755号然別余市線 - 国道5号が余市川の東を通るのに対し、こちらは西を通る。
- 北海道道1092号栄町温泉線 - 町東部の畚部川に沿い、山側に進んでいく。
- 道の駅
- スペース・アップルよいち
[編集] 船舶
- 海上自衛隊の第一線部隊として昭和46年7月に開隊された部隊。
[編集] 農道離着陸場
- アップルポート余市
[編集] 名所・旧跡・観光
- ニッカウヰスキー北海道工場 余市蒸留所(登録有形文化財、北海道遺産)
- 余市宇宙記念館
- 旧下ヨイチ運上屋(重要文化財)
- 旧余市福原漁場(史跡)
- フゴッペ洞窟(史跡)
- よいち水産博物館
- ジャンプ王国余市展示ホ-ル
- 円山公園
- ローソク岩・えびす岩・大黒岩
- 北海ソーラン祭り
[編集] 余市町出身の有名人
[編集] 余市町を舞台とした作品
- ヤンキー母校に帰る - 余市町にある『北星学園余市高等学校』の生徒だった一人の青年が、教師となって帰ってきて、生徒たちとの触れ合いを綴った北海道放送制作のドキュメンタリー。TBSテレビでテレビドラマ化された。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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