南海天王寺支線
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天王寺支線(てんのうじしせん)は、大阪府大阪市西成区にある南海本線の天下茶屋駅から分岐し、同市天王寺区にある天王寺駅までを結んでいた南海電気鉄道の鉄道路線。1993年に全線が廃止された。
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[編集] 路線データ
[編集] 運行形態
部分廃止前は7000系などの2両編成で運行されていたが、1984年11月18日の部分廃止後は1521系の単行運転での往復運転となった。この時、天王寺支線に閉じ込められたのは1524と1526の2両で、路線廃止後現地解体されるものと思われていたが、結局は運び出された。
1965年の時刻表によると、10~15分間隔の運転形態をとっていた。また、部分廃止後の1988年では15~20分間隔の運転となっていた。
[編集] 歴史
当線は1900年(明治33年)、南海が関西鉄道(現在のJR関西本線名古屋~木津間などの前身にあたる鉄道会社)や大阪鉄道(関西本線湊町~奈良間を敷設・運営した鉄道会社で、当線の開通前に関西鉄道に吸収合併された。なお現在の近鉄南大阪線の前身の「大阪鉄道」とは無関係)との相互乗り入れを目的に天王寺~天下茶屋間を開通させたもので、開通後大阪~住吉(現在の住吉大社)間の乗り入れ旅客列車や貨物列車を運行し、南海線方面から大阪駅への貴重な足となっていた。なお、天王寺~大阪間は、大阪鉄道が1895年に開通させていた。
戦後も南海と国鉄の中継路線として重要な線区であったが、1961年に国鉄大阪環状線が開業後、1964年に南海線の交差付近へ新今宮駅が設置され、次いで1966年に南海本線も同所に新今宮駅を開業して国鉄との連絡が可能になると、天王寺線の利用者は激減することになった。
大阪市営地下鉄堺筋線の天下茶屋駅延伸と南海電鉄の天下茶屋駅の高架化との関連で、まず天下茶屋~今池町間を1984年に廃止し、天王寺支線は他の南海線と接続しない孤立路線となった。このことで同線の今池町駅は萩ノ茶屋駅との接続運輸上、同一駅扱いされることになった。その一方で飛田本通という新駅を設けるなど乗客の掘り起しも図られたが、結局堺筋線工事の進展で1993年に全廃された。
- 1900年(明治33年)10月26日 天下茶屋~天王寺間が開業。
- 1907年(明治40年)11月11日 天下茶屋~天王寺間が電化。
- 1931年(昭和6年)8月20日 天下茶屋~天王寺間が複線化。
- 1933年(昭和8年)2月16日 城東線の電化に伴い、当線列車増発。
- 1944年(昭和19年)6月1日 会社合併により近畿日本鉄道の路線となる。
- 1947年(昭和22年)6月1日 路線譲渡により南海電気鉄道の路線となる。
- 1949年(昭和24年)6月20日 天下茶屋~天王寺間の曳舟駅、大門通駅を廃止し、今池町駅開業。
- 1984年(昭和59年)11月18日 天下茶屋~今池町間1.1kmが廃止。今池町~天王寺間が単線化。南海天王寺駅移転により路線距離が0.1km短縮。今池町駅と南海線(高野線)萩ノ茶屋駅間が徒歩連絡となった。
- 1984年(昭和59年)12月10日 今池町~天王寺間に飛田本通駅開業。元の複線線路上に開設。
- 1993年(平成5年)4月1日 今池町~天王寺間1.2kmが廃止され、全線廃止。
[編集] その他
- かつて南紀方面に設定されていた急行「きのくに」が、南海天王寺駅を発し、当路線を通って天下茶屋駅で待機し、同駅で難波方面から来た車両と併結されて運行していた時期があった。
- 線路には駅周辺以外砂利が敷かれていなかった。理由は、この周囲の事情から投石されるなど危険であり、それをあらかじめ防ぐためといわれる。
- 貨物兼用路線時は、深夜まで騒音がひどく沿線住民の悩みの種だったが、最終的には、当路線の存在が国道の渋滞の引き金になるなど言われて廃線になったのは一種の皮肉と言える。
- 1984年の部分廃止後は、天王寺支線内のみ乗車する旅客は乗車時もしくは降車時に天王寺駅で運賃を支払うようにしていた。天王寺駅から今池町駅・萩ノ茶屋駅を介して南海本線・高野線の駅へ向かう旅客には天王寺駅で切符が発行されていた。
[編集] 駅一覧
天下茶屋駅 - (曳舟駅) - 今池町駅 - 飛田本通駅 - 天王寺駅
[編集] 接続路線
- 天下茶屋駅:南海本線・南海高野線
- 今池町駅:阪堺電気軌道阪堺線・平野線(今池駅)・南海本線(萩ノ茶屋駅・天下茶屋~今池町間廃止後の徒歩連絡)
- 天王寺駅:大阪環状線・関西本線(大和路線)・阪和線・大阪市営地下鉄御堂筋線・谷町線・近鉄南大阪線(大阪阿部野橋駅)
[編集] 廃線後の現状
- 天下茶屋駅~今池町駅間が廃止されたのは、大阪市営地下鉄堺筋線延伸の際に線路用地を供出するためであったこともあり、ほぼ同区間の線路真下に堺筋線が通っている。ただ、複線トンネルとしてはスペースが不足していたため、同区間は上下2層式トンネルとなっている。
- ほとんどの通路・道路からはバリヤーにより遮断されているが、駐車場になっている地点や、(出入り口は閉鎖されているが)花壇つきの遊歩道になっている地点、ホームレス対策としての無料宿泊施設が建っている地点などがある。
- 旧今池町駅跡には、アパートが建っている。
- 天王寺駅付近は架線柱や線路も残されているが、半ば放置状態で、今のところ再開発等は予定されていない。部分廃止後の仮設ホームがどうなっているかは不明だが、部分廃止前の天王寺支線のりばであった天王寺駅19・20番線は同線廃止後に天王寺MIOがこの辺りに建てられたため現存していない。しかし、外部リンクにある、一部で「魔境」と言われた天王寺駅は、部分廃止時に約100m営業距離が短縮されたため阿部野橋のほぼ真下(それゆえいつも暗く、「魔境」という評が存在する)にあり、一部のホーム等残存の可能性は否定できない。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 魔境!南海天王寺支線 (個人による1990年の乗車レポート)
- 南海天王寺線跡 今池町~天王寺を歩く (廃線跡の様子)