原子力発電所
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原子力発電所(げんしりょくはつでんしょ)とは、原子炉におけるウランやプルトニウムの核分裂反応の際、発生する熱エネルギーを利用して蒸気タービンを動かし発電する発電所。又、原子力発電を行う場所そのものを指す。
2002年現在、世界における総発電量(163215億kWh)の16.2%が原子力発電所によるものであり、これは火力発電所の66.6%、水力発電所の16.5%に次ぐ。世界でもっとも原子力発電所に依存しているのはフランス (78%)、次いでスウェーデン (46.3%)、ウクライナ (44.9%)、大韓民国 (35.4%)である。2004年現在、日本における発電電力量の約30%、発電設備容量の約20%を担っている。
目次 |
[編集] 歴史
1942年、原子力発電の原理となっている核分裂の連鎖反応を実験炉で成功させたのはシカゴのエンリコ・フェルミである。1946年、原子炉はまず原子力潜水艦に利用された。原子力発電は1951年のEBR-1から始まる。当時の発電容量は100kWhであった。1953年からは民間による原子力発電所の構想が起こり、5カ年計画に基づいて5つの原子炉を建設する方針が固まった。1963年には発電方式の全く異なる5種類の原子炉が完成する。同年、原子力発電の発電コストが実際に石炭火力発電よりも安価であることが実証され、商用原子力発電所の時代が始まった。
原子力発電所はアメリカ合衆国以外でも建設されている。草創期にあたる1950年代において、すでに、イギリス、カナダ、ソビエト連邦、フランス、ノルウェーにおいて、20基以上の原子炉が運転されており、なかでもソ連は1954年の段階で5000kWhの原子力発電所の運転を開始している。したがって、初期の原子力発電においてはアメリカ合衆国よりもソビエト連邦の方が、進んでいたとも言える。一方、イギリスは1956年から商用原子力発電を開始しており、「商用」という点ではイギリスが世界初である。
[編集] 世界の原子力発電所の一覧
以下では、世界各地の原子力発電所を紹介する。
なお、原子力発電所は発電に際していくつかの問題を抱えているため(原子力発電#問題点を参照)、原子力撤廃の流れがあったが、原油の価格高騰と地球温暖化防止を背景として、原子力発電所の建設を推進する動きが出てきている(2006年11月2日フジサンケイビジネスアイより)。
- グライフスバルド原子力発電所 - (旧東ドイツ)
- チェルノブイリ原子力発電所 -(ソビエト連邦(現ウクライナ)、2000年に閉鎖)
- ブラウンズフェリー原子力発電所 -(アメリカ)
- ボフニチェ原子力発電所 -(旧チェコスロバキア(現スロバキア))
- ミュルハイム・ケールリッヒ原子力発電所 -(ドイツ、廃止)
- カラチ原子力発電所
- チャシュマ原子力発電所
- 月城原子力発電所
- 古里原子力発電所
- 蔚珍原子力発電所
- 霊光原子力発電所
- 新古里原子力発電所
- コールダーホール原子力発電所
- ヒンクリーポイント原子力発電所
- チャペルクロス原子力発電所
- ブラッドウェル原子力発電所
- サイズウェル原子力発電所
- ウィルファ原子力発電所
- オーゲスタ原子力発電所
- オスカーシャム原子力発電所
- バーゼベック原子力発電所
- フォルスマルク原子力発電所
- リングハルス原子力発電所
- カットノン原子力発電所
- グラブリーヌ原子力発電所
- クリュアス原子力発電所
- ゴルフェッシュ原子力発電所
- サンアルパン・サンモーリス原子力発電所
- サンローラン・デゾー原子力発電所(1990年4月 A1、1992年5月 A2廃止)
- シノン原子力発電所(1973年6月 A1、1973年7月 A2、1990年6月 A3廃止)
- シボー原子力発電所
- ショー原子力発電所
- スーパーフェニックス原子力発電所(1998年12月廃止)
- セナ原子力発電所(1991年10月廃止)
- ダンピエール原子力発電所
- トリカスタン原子力発電所
- ノジャンシュールセーヌ原子力発電所
- パリュエル原子力発電所
- バンリー原子力発電所
- ビュジェイ原子力発電所(1994年5月 1号機廃止)
- フェッセンハイム原子力発電所
- フェニックス原子力発電所
- フラマンビル原子力発電所
- ベルビル原子力発電所
- ビュジェイ原子力発電所
- マルクール原子力発電所(1980年2月 G2、1984年7月 G3廃止)
- モンダレー原子力発電所(1985年7月 EL-4廃止)
- ルブレイエ原子力発電所
- 秦山原子力発電所(5炉)
- 大亜湾原子力発電所(2炉)
- 嶺澳原子力発電所(2炉)
- 田湾原子力発電所(1炉)
[編集] 日本の原子力発電所の一覧
- 泊発電所 -(泊村/北海道後志支庁、北海道電力)
- 東通原子力発電所 -(東通村/青森県下北半島、東北電力)
- 女川原子力発電所 -(女川町/宮城県南三陸沿岸、東北電力)
- 福島第一原子力発電所 -(双葉町/福島県浜通り、東京電力)
- 福島第二原子力発電所 -(富岡町/福島県浜通り、東京電力)
- 東海第二発電所 -(東海村/茨城県北部、日本原子力発電)
- 柏崎刈羽原子力発電所 - (柏崎市/新潟県中越地方、東京電力)
- 浜岡原子力発電所 -(御前崎市/静岡県西部、中部電力)
- 志賀原子力発電所 -(志賀町/石川県能登半島、北陸電力)
- 敦賀発電所 -(敦賀市/福井県若狭地方、日本原子力発電)
- 美浜発電所 -(美浜町/福井県若狭地方、関西電力)
- 大飯発電所 -(おおい町/福井県若狭地方、関西電力)
- 高浜発電所 -(高浜町/福井県若狭地方、関西電力)
- 島根原子力発電所 -(旧鹿島町、現松江市/島根県東部、中国電力)
- 伊方発電所 -(伊方町、愛媛県南予地方、四国電力)
- 玄海原子力発電所 -(玄海町/佐賀県、九州電力)
- 川内原子力発電所 -(薩摩川内市/鹿児島県西部、九州電力)
[編集] 日本の稼動していない発電所
- 芦浜原子力発電所 -(三重県南部、中部電力、2000年に計画断念)
- 大間原子力発電所 -(大間町/青森県下北半島、電源開発、計画中)
- 上関原子力発電所 -(上関町/山口県周南地方、中国電力、計画中)
- 串間原子力発電所 -(串間市/宮崎県南部、九州電力、1997年に計画断念)
- 珠洲原子力発電所 -(珠洲市/石川県能登半島、関西電力、中部電力、北陸電力、2003年に計画凍結)
- 浪江・小高原子力発電所 -(浪江町/福島県浜通り、東北電力、計画中)
- 豊北原子力発電所 -(旧豊北町、現下関市/山口県西部、中国電力、1994年に白紙撤回)
- 巻原子力発電所 -(旧巻町、現新潟市/新潟県下越地方、東北電力、2003年に計画断念)
- もんじゅ(敦賀市)
- 東海発電所 -(東海村/茨城県北部、日本原子力発電、運転終了解体中)
[編集] 日本の主な原子炉の種類
[編集] 加圧水型原子炉(PWR)
[編集] 改良型加圧水型軽水炉(APWR)
- 敦賀発電所:三、四号機(建設準備中)
[編集] 沸騰水型原子炉(BWR)
- 東北電力の全原子炉
- 福島第一原子力発電所:一~六号機
- 福島第二原子力発電所:一~四号機
- 柏崎刈羽原子力発電所:一~五号機
- 浜岡原子力発電所:一~四号機
- 志賀原子力発電所:一号機
- 中国電力の全原子炉
- 東海第二発電所
- 敦賀発電所:一号機
[編集] 改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)
- 柏崎刈羽原子力発電所:六、七号機
- 浜岡原子力発電所:五号機
- 志賀原子力発電所:二号機
- 島根原子力発電所:三号機(建設中)
[編集] 高速増殖炉(FBR)
[編集] 新型転換炉(ATR)
[編集] 黒鉛減速炭酸ガス冷却型原子炉(GCR)
- 東海発電所(運転終了)
[編集] 日本における原子力発電所の立地の流れ
原子力発電所の立地の決定と、その建設・運用は次のような流れで行われる。
- 環境影響審査を行う。
- 第1次公開ヒアリングにより地元の賛同を得る。
- 電源開発調整審議会より電源開発基本計画に採択される。
- 原子炉設置許可を申請し許可される。
- 第二次公開ヒアリングにより地元の最終的な賛同を得る。
- 電気工作物変更許可を申請し許可される。
- 工事を着工する。
- 工事が完成する。
- 試運転を行い、問題点を改修する。
- 電気工作物の完成検査を受け使用許可を受ける。
- 商用運転を開始する。
[編集] 原子力発電所と地域経済
「電源立地地域対策交付金」などが、立地する市町村の地方公共団体に交付される。
発電所の建設工事・定期点検・運転などでの雇用も多い。地域産業との結び付きが弱いという指摘もあるが、現実には職員や労働者の8割以上が県内在住者で占められているケースが殆どである。又、地元商工会と協力して地元企業の技術力の向上、雇用促進を計っている発電所や、排熱を利用した農産物の早期栽培などを農家と共同で行っている発電所もある。
実際、多数の定住者や数百とも数千とも言われる雇用効果、固定資産税や定住者の所得税などの税収、各種交付金、それらのもたらす商業の活性化や道路・体育館・防災無線など公共施設の充実等という非常に大きな効果がある。さらに原発の見学者による観光収入も見込むことができる。これといった産業もなく、特に若者が働ける職場に乏しいジリ貧感の強い市町村にとっては、これほどの影響と安定性があるものは、最早他に無いとも言える。
反面、原発の持つネガティブなイメージから、海産物や農産物の売れ行きが悪くなる風評被害の懸念もある。
なお、県レベルで核燃料税などの独自の税金を課す場合もある。財政の厳しい地方自治体にとっては「取りやすく取れる」所であり、特定業の更に一分野に限られた税金というのは税の公平性から疑問が呈されるものの、立地促進や地元協力という観点から受け入れられる事もある。しかし、取りやすいからと更に税額を増加させようとしたり新税を設置しようとして、国や電力会社と揉める場合も少なくない。
また、日本の原子力発電所は茨城県北部、若狭地方、福島県浜通り(太平洋岸)に多く立地しており、これらの3地域は「原発銀座」とも呼ばれている。
[編集] 原子力発電所の税金
固定資産税・事業所税・法人税・法人住民税などを一般事業者と同じように納めるほか、電力会社として、次のような特別税が科せられている。
- 核燃料税
- 電源開発促進税
また、地方公共団体によっては、法定外普通税として次のような課税がある。
- 青森県の核燃料物質等取扱税
- 茨城県の核燃料等取扱税
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 原子力図書館
- 原子力安全・保安院
- 全国原子力発電所所在市町村協議会
- 原子力のページ - 調べる - 原子力開発の現状 - 原子力発電の現状と今後の見通し(原子力のページ@経済産業省)
- 原子力施設情報公開ライブラリーNUCIA
- Yahoo!ニュース - 原子力
- (株)原子力運転訓練センター
- (株)BWR運転訓練センター