古壮字
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古壮字(こそうじ、英語 Zhuang logogram)は中国南部の広西チワン族自治区に住むチワン族(壮族)の祭祀者がチワン語の記録のために漢字をそのまま利用したり、漢字の構成方法を使って作り出した文字。形が漢字と同じく四角い枠に入るので方塊壮字(ほうかいそうじ)とも呼ばれる。チワン語では未成熟な文字という意味でsawndipと呼ばれている。
![]() 漢字 |
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漢字文化圏 | ||||||||||||||||||||
日本 韓国 ベトナム | ||||||||||||||||||||
派生文字 | ||||||||||||||||||||
国字 方言字 則天文字 | ||||||||||||||||||||
仮名 古壮字 字喃 女書 | ||||||||||||||||||||
契丹文字 女真文字 西夏文字 |
目次 |
[編集] 歴史
最初に作られた時代ははっきりしないが、隋代(7世紀)ごろではないかと考えられる。現存する最古の記録は689年(唐代)の『六合堅固大宅頌』で,少なくとも1300年以上の歴史がある。長年受け継がれてきた経文や詩歌の記録を元に1989年に編纂された『古壮字字典』には約4900の親字と,約1万の異体字が収録されている。現在のチワン語はラテン文字による表記となったため、使用されなくなっているが、広西の地名表記に使われたために、使われ続けている「岜」(bya、山の意)や「崬」(ndoeng、森の意)などの字もある。
[編集] 構成
漢字の六書と類似の構成方法が古壮字にも見られる。
[編集] 象形
- 「杖」を意味するdwngxは「h」を左右逆向きにした様な文字で漢字にはない象形字である。
- 「蝶」を意味するmbajには「9ρ」のような象形字が異体字としてある。
[編集] 指事
- 「背中」を意味するaemqは人の姿を表す「3」のような象形部品の後ろに点を打って書く。
[編集] 会意
- 「泉」を意味するmboqは水の下に口を書いて表す。
[編集] 形声
この構成の字が最も多い。
- 「山」を意味するbyaは「岜」と山の下に音を表す「巴」を書いて表す。
- 「人」を意味するvunzは「伝」と「亻」偏に音を表す「云」を書いて表す。
[編集] 仮借
漢字の音だけを借りた当て字。
- 「有」を意味するmizは、同音の漢字「眉」を用いて表す。
[編集] 訓読
漢字の意味だけを借り、別の読みをする字。形声字が作られる例が多いので、訓読の例は少ない。
- 「器」を意味するaenは漢字「器」の異体字を用いて表す。
[編集] 借用
漢字の意味と音をそのまま借りたもの。
- 「杯」を意味するboiは「盃」と書く。
[編集] 外部リンク
- Asian Character Tables - Sawndip data - Unix向け古壮字画像データ(xbm形式)及びUnicode漢字を組み合わせた文字表など