和歌山工業高等専門学校
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国立和歌山工業高等専門学校(こくりつ わかやまこうぎょう こうとうせんもんがっこう)は、和歌山県御坊市にある高等専門学校である。英語表記はWakayama National College Of Technology、略称はWNCT。
通称和歌山高専だが、地元(御坊市、日高郡)では、和高専(わこうせん)と略されることが多い。また、この略称の漢字は"和高専"と"和工専"の両方が存在するが、学内では前者が有力である。また、御坊高専と呼ばれる事もある。これは、和歌山高専が和高専略されるが和歌山市内でなく御坊市内にあるので区別するためと、いう説が一番有力である。
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[編集] 本科
和歌山高専は、5年間の一貫教育で卒業すると短期大学卒業資格を得られ、また、和歌山高専の就職率、進学率は毎年ともに100%であり、和歌山高専が日本技術者教育認定機構の認定を受ければ(まだ受けていない)、和歌山高専専攻科に進学してさらに2年間より専門的な技術を学び、専攻科を卒業することで技術士の一次試験を免除される。
[編集] 本科の設置学科
学科は学科が設立された順に「機械工学科(A組)」「電気情報工学科(B組)」「物質工学科(C組)」「環境都市工学科(D組)」の4つの学科ある。
[編集] 機械工学科
[編集] 概要
「材料とその強さ」「運動と振動」「熱と流体の流れ」「情報と制御」「設計と工作」の基礎知識が身につけられるようなカリキュラムになっている。
[編集] 学力
学力偏差値が58~62の間(調べる方法等で誤差がある)といわれているが、最近の傾向を見ると成績上位の生徒の学力は他の学科に比べて高めであるが、入学してしばらくすると成績が中位~下位の生徒の学力が低くなる傾向にあるので、入学当時の学力は和歌山高専の学科の中で2番目ぐらいであるが、入学後半年が過ぎると3番目になることが多い。
[編集] 進学・就職
大学への編入割合は25%程度で全学科中最も少なく、和歌山高専の専攻科や豊橋技術科学大学への進学が主であり、就職に関してはさまざまな分野の大企業に就職している。就職の求人率は全学科中2番目によい。
[編集] その他
最近、物理の教師がこの学科に集められている傾向がある。
[編集] 電気情報工学科
[編集] 概要
「電子情報」「電気システム」の基礎知識が身につけられるようなカリキュラムとなっている。
[編集] 学力
学力偏差値は機械工学科と同じように58~62の間であると言われていて、この学科は和歌山高専の全学科中最高の学力を持つ学科であるといわれている。また、全学科中最も学力の高い生徒はこの学科に属している確率が最も高い。しかしながらまれに、学力が低い年があり、その年は和歌山高専で学力が2番目になることがある。
[編集] 進学・就職
大学への編入割合は40%弱で和歌山高専の専攻科への進学が主であり、主な就職先は関西電力、中部電力、シャープなどである。就職の求人数は全学科中最もよい。
[編集] その他
最近、数学の教師がこの学科に集められている傾向がある。また、比較的自由な時間を多くとることのできる学科である。
[編集] 物質工学科
[編集] 概要
「化学系」「生物系」の基礎知識が身につけられるようなカリキュラムとなっていて、4年生からは化学系の高度な技術を専門科目として主に習う物質工学コースと生物系の高度な技術を専門科目として主に習う生物工学コースを選んで履修することができる。特に希望がない学生は学力が高ければ物質工学コースそうでなければ生物工学コースを履修させられる傾向がある。
[編集] 学力
学力偏差値は56~60の間であるといわれていて、入学時の学力は3番目であるといわれているがこの学科の特徴である実験のレポートの難しさと量から他の教科の勉強ができず、入学後半年たつと学力が最も低い学科になっていることが多い。
[編集] 進学・就職
大学への編入割合は30~50%で全学科中最も高くなる年もあり、和歌山高専の専攻科が主な進学先である。主な就職先は旭化成や花王などである。就職の求人数は全学科中3番目である。
[編集] その他
生物・化学の授業においてこの学科の教師が教鞭をとることもある。また、先に述べたとおりこの学科には山のような量のレポートがあるため最も自由がない学科であるといえる。
[編集] 環境都市工学科
[編集] 概要
「構造系」「材料系」「土質と水理」「測量」「環境」の基礎知識が身につけられるカリキュラムとなっている。
[編集] 学力
学力偏差値は56~60の間であるといわれていて、入学時の学力は4番目であるといわれている。しかし、最近の傾向では上位の生徒の学力は他の学科の生徒と比べて高くはないものの中位の生徒の学力が他の学科と比べて高いため、入学後半年すると学力は2番目もしくは1番目になる。
[編集] 進学・就職
大学への編入割合は40%弱で和歌山高専の専攻科や豊橋技術科学大学、長岡技術科学大学が主な進学先であるが最近では和歌山大学への進学も増えてきている。主な就職先は西日本旅客鉄道(JR西日本)など鉄道関係の会社が多く、国家公務員及び地方公務員になる生徒も多い。就職の求人数は全学科中最も低い。
[編集] その他
最も自由時間が多い学科である。
[編集] 専攻科設置専攻
専攻科は、2002年に設立された2年生の教育課程で、高専本科卒業生およびこれと同等の資格を有する社会人等を対象として、さらに深く、幅広く教育研究を行う。 和歌山高専の専攻科では、 ①持続可能な社会の形成に活かせる創造力 ②多面的に問題を発見し、解決する能力 ③豊かな人間性と国際性 を備えた人材の育成を目的としいる。また、本科の4、5学年と合わせて「地域環境デザイン工学」教育プログラムを設定し、国際的に通用する技術者の育成を目指している。
[編集] メカトロニクス工学専攻
[編集] 概要
メカトロニクス工学とは機械工学(メカニクス)と電気工学(エレクトロニクス)が融合したものである。 メカトロニクス工学専攻では本校の機械工学科と電気情報工学科の卒業生、およびそれと同等な資格を有する社会人等を受け入れており、「計測・制御」、「電子・情報」、「材料」、「設計・加工」の高度な技術を学ぶことのできるカリキュラムとなっている。
[編集] 進学・就職
大学院への進学割合は20~30%程度で豊橋技術科学大学大学院、長岡技術科学大学大学院が主な進学先である。主な就職先はシャープなどであるが、機械工学、電気情報工学の両方の知識を持っている技術者は少ないため大変重宝されており、さまざまな分野のさまざまな企業で採用されている。就職の求人数も大変多い。
[編集] エコシステム工学専攻
[編集] 沿革
- 1964年4月1日 開校 設置学科は、機械工学科、電気工学科、工業化学科の3学科
- 1969年4月1日 土木工学科設置
- 1993年4月1日 工業化学科を物質工学科に改組
- 1994年4月1日 土木工学科を環境都市工学科に改組
- 2002年4月1日 専攻科(メカトロニクス工学専攻・エコシステム工学専攻)を設置
- 2004年4月1日 独立行政法人化・電気工学科を電気情報工学科に改組
- 2006年夏休み 和歌山高専 学寮(柑紀寮)1号館改装工事開始
- 2006年11月22日和歌山高専内実験室等からアスベスト検出
- 2007年1月10日 和歌山高専 学寮(柑紀寮)1号館改装工事 竣工式
[編集] 周辺
周囲に幼稚園、小学校、中学校、老人ホームが密集している。学校の背後には海があるが、綺麗な砂浜というわけではなく、ゴツゴツした岩場である。そんなに綺麗な海ではないが、夏は泳いだり、釣りを楽しめる。 周囲に特に遊べるようなスポットは存在せず、国道を挟んで少し離れた位置に木造のローソンがある程度である。 書店や飲食店がある御坊市街までは相当の距離があり、通常、学生がそこにいくまでの交通手段は一時間に一本のバスのみである。
[編集] 学生寮
柑紀寮(こうきりょう)と呼ばれる学生寮が、学校の敷地内に全部で7館存在する。約500人の学生がこの寮で生活を営んでいる。 和歌山市内から果ては大阪、新宮といった遠隔地に自宅があり、通学が不可能な学生が多いため、毎年多くの学生が入寮を希望する。 基本的に1,2年生は全寮制で、容易に通学可能な距離で無い限りは寮に入らなければいけない。が、近年あまりの入寮希望者数の多さ からかこのシステムは排除され、寮に入りたくない新入生や、在寮を希望しない学生はどんどん退寮させ、本当に通学不可能な学生を 入寮させるようになったようだ。入寮することのメリットは、学校が近くて遅くまで寝てられることや、食費がかからないこと、さらに 友達が近くクラブ活動や勉強面でも何かと便利であることなどがあげられる。現在女子寮が改装中であるがその寮の綺麗さから、男子寮生と女子寮生の待遇の差に不満を漏らす寮生が増えてきた。
[編集] 寮について
寮の玄関はカードキーで制御されており、寮生は各自自分のカードキーを入寮の際に受け取る。カードキーが無いと、内側から開けて もらわないと寮に入れない。ここまで厳重なのは、2000年に過去に外部の者が寮内に進入して寮生に暴行したという事件が主な原因である。ちなみにこの事件の被害にあった学生は前歯を2本折るなどの怪我を負った。しかしながら、学生の深夜徘徊、及び通学生の入寮の常態化など寮生の生活態度によるものもひとつの原因であった。 土足厳禁で、寮内では男子寮生は指定された青いスリッパ、女子寮生は自ら購入したお気に入りのスリッパを履くことが原則である。 各館、各フロアは数台の洗濯機と乾燥機を備え、寮生は洗濯を自分でする。多くの人数が使用するため、洗濯物の紛失などは頻繁に起る。また、通常の使用頻度、使用限界重量を超えて使用されることが多く、故障が絶えない。 さらに補食室なるキッチンもあり、コンロと流し、電子レンジが備えられている。 当然トイレは共同、風呂は共同の浴場が寮外にある。 まず、3年生までは基本的に一部屋に2人で共同生活しなければいけない。各寮、各フロアにはそれぞれ指導寮生という寮生を指導する立場の寮生(基本的に3年以上の上級生)が必ず1人いて寮生の生活を見守る。 朝と夜に点呼があり、特別な用でない限り寮生は点呼時に自室前に立たなければいけない。先にあげた指導寮生が点呼をとり、寮務へ報告する形式になっている。 最終門限は夜の1時で、これを過ぎるとカードキーが朝の6時になるまで機能しなくなり、寮に入れなくなる。(中からの鍵は開く) また、指導寮生のカードキーは24時間いつでも使用することが出来、 たまに寮の玄関の扉のカードキー認証システムが壊れ、 いつでも玄関の扉が開いているという状況がある。
週に2回の定期掃除と、月一回の大掃除があり、これらも寮生はきちんと出席しなければいけない。 食事は1日3食、寮食堂でとることが可能。その日のメニューは1ヶ月分の献立として決まっており、変わることは無い。食費は毎月支払う 寮費に含まており、1日分に換算するとわずか665円である。味やボリュームは賛否両論だが、基本的に食堂無くして寮生は生きていくこと は難しい。
[編集] 関連項目
[編集] 外部データ
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