源義経 (テレビドラマ 1991年)

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源義経（みなもとのよしつね）は、1991年 12月31日に日本テレビで放映された日本テレビ年末時代劇スペシャルの第7作である｡

[編集] 概要

日本テレビ系列の人気シリーズとして定着したユニオン映画製作の長編時代劇スペシャルの7弾目。奢れる平家の世、彗星の如く現れた軍略の天才にして悲劇の武将と謳われる源義経の生涯を描いている。本作より、2夜連続であった放送日を大晦日に一括して放送するスタイルに変え、同時に題材も大幅に転換し、前作までの幕末から明治維新期（但し、1弾目の『忠臣蔵』における江戸時代中期を除く）にいたる時代から、平安時代末期～鎌倉時代初期を扱うなど一新し国民的にも人気のある義経を主人公とするなど、リニューアル要素を持たせた。更に、5弾目『奇兵隊』、6弾目『勝海舟』あたりから、視聴率的に翳りが見えてきた同シリーズにおいて、原点回帰を目指した作品でもあり、シリーズの顔とも言える里見浩太朗を武蔵坊弁慶役で登場させたほか、同時にこれまでの作品ではそれほどメインに起用しなかったTVで活躍する若手スターやタレント陣、アイドル系の女優などを大挙して起用するなど、視聴者層を若い世代にも浸透させようと腐心したことがうかがえる。主演には、シリーズに出演した経験のある野村宏伸。前作では後半の主役を演じた田村亮も引き続き出演。義経と敵対する兄・源頼朝役には、映画『天と地と』の主役に抜擢され知名度が上がった榎木孝明を配役、フレッシュ味をもたせている。

[編集] 逸話

ラストの名場面として有名な、弁慶立ち往生シーンでは、とどめに射られた矢が里見扮する弁慶の喉に突き刺さるカットで、本物の矢を使用し、危機一髪のスタントを里見本人がこなしていた。事前に安全確認のため小道具係が体当たりでリハーサルに挑戦し、本職の弓道の殺陣師が3メートルほど離れた位置から実際に矢を放ち木製の喉輪に命中させるという危険な場面を何度もこなしていたというが、その折、体験したスタッフは恐怖のあまり足が震えたそうであった。無事に本番を撮り終えたものの、里見本人も、命中する場所が少しでもずれていたら大怪我ではすまなかっただけに、あまりの恐怖に「（出演を）引き受けなければよかった」と、述べていたという。

[編集] あらすじ

第一部「九郎登場－疾風怒涛の巻－」

京・五条大橋。夜毎現れては通りかかるものに襲い掛かる弁慶という大男。今日も獲物を求め息を潜めた。そこへ、笛の音とともにまだ幼さを残す女人らしき人影が現れ、弁慶の前を悠々と通りかかる。しかし、それは女人などではなく、後に源義経と名乗ることになる九郎の元服前の姿だった。九郎に完敗したものの、弁慶はどこか涼しげな若武者九郎に親近感を募らせてゆく。これが義経と弁慶主従の出会いであった。ほどなくして、義経は奥州平泉の招きで元服。あらたに義経に惚れた配下たちを加え武将として成長してゆく。折りしも都では栄華を極めた平清盛が死に、後白河法皇を頂点とする院の勢力が盛り返し、やがて平家討伐の兵を挙げた源頼朝に気運が傾きつつあった。義経は、後ろ盾と頼む奥州藤原氏三代当主・藤原秀衡に懇願、頼朝挙兵に自身も加わり、平家と戦う事を説く。惜しみながら藤原家は義経の出陣を認めたことで、義経は、はじめて兄と対面する。瞬く間に平家の軍勢を一蹴し、無敗を誇る義経。だが、皮肉な事に兄との関係は急速に冷えていった。そして、壇ノ浦で平家は滅亡。京へ凱旋した義経は熱狂的な歓迎の中、生涯の絶頂を味わう・・・・。

第二部「英雄流転－安心立命の巻－、エピローグ～義経伝説～」

京へ凱旋した義経であったが、待っていたのは検非違使任官という兄にも勝る優遇と、後白河法皇の巧みな魔の手であった。義経は、戦後処理として平家総帥で最後まで生き残った平宗盛を処刑。宗盛は最期に、義経に対し「兄弟仲良く。平家はそれだけが自慢であった」と言い残した。義経は、頼朝が無断で朝廷より任官を受けたことに激怒していると聞くや、弁明のために書状（腰越状）を送る。しかし、頼朝の軍師・大江広元の策謀で義経の涙の書面は兄に届く事はなかった。弁慶は、義経の書状を直接届けようと頼朝のもとへ乗り込むが、既に頼朝は義経を弟ではなく政敵としてしか見なしていなかった。頼朝は、義経邸に夜襲をかけるが、義経側の気転でこれを撃退。ついに義経と頼朝の対決のときが迫っていた・・・・。だが、義経の名声はもはや朝廷の中では過去となり、形勢は逆転。静御前とも別れ、義経は奥州を頼る事となる。平泉で再び庇護されるも、秀衡亡き後、四代当主となった藤原泰衡は手のひらを返し頼朝の謀略に加担してしまい、高舘を包囲。最期を悟った義経以下郎党は壮絶な死を遂げ、義経もまた炎の中で自刃する。次の瞬間、見た光景。それは義経と郎党たちが、駿馬にまたがり揚々と荒野を疾走している幻の姿だった。