行先票
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行先票(いきさきひょう)は、鉄道の列車やバスに掲出される行き先を示した板。
[編集] 概要
列車やバスなど、交通機関に乗車する場合には必ず、自分がどこに向かうのかを確認し、乗車する列車などを確認しなければならないが、そのときに列車であれば車体側面と先頭部に大抵ぶら下がっていたり、表示されていたりする行先票を見て行き先を確認する。
列車の場合、専門用語で「サボ」や「側サボ(そくさぼ)」と呼ばれる。これは、「サイドボード」を略したものである。
列車側面に表示されるサボの設置方式(「サボ受け」の形状)には差込式、落し込み式、吊り下げ式の3種類があり、また、サボ受けの設置場所も車両により様々で、国鉄車両については、電車の場合は側扉横上部の差込式、一般型気動車は車体中央窓下の落し込み式、特急・急行型気動車は側扉横上部の差込式、10系客車以前のいわゆる旧型客車は車体中央窓下の吊り下げ式が標準となっている(一部の急行型電車は車体中央窓下の落し込み式を取り付けたものもあった)。
サイドボードは、琺瑯引きの鉄板が多かったが、重く取り扱いが大変である(5両分10枚くらいになると、両手でないと持てないくらい重い)のと、琺瑯の剥げや腐食等の問題があったので、後にプラスチック製のものが主流となった。終着地での折り返しの際などに、全ての車両のサボを次の行き先のものに交換する作業をしていたが、以下の問題があり、行先表示をビニール幕やLED(発光ダイオード)などで表示する方法に変わりつつある。
- 夜間は見えにくい
- サボの交換に時間や人手がかかる
- 1両で2枚必要であるため自ずと大量になり、折り返し駅や始発駅等では専用の保管場所が必要
- ダイヤ改正などで列車の行先パターンが変わった場合に修正に多大な手間と時間と資源を使う
- 最終的には、車両運用以上にサボの運用が複雑になる
西日本旅客鉄道(JR西日本)岡山支社では1998年(平成10年)にサボを廃止したが、廃止直前のサボはなるべく交換回数を減らすため、いくつもの駅名と矢印が書かれた複雑怪奇なものが使用されていた。初めて見る者には全く理解できず、もはや行先案内の意味をなしていなかった。また、岡山支社においては赤穂線を経由する場合は駅名や矢印を赤色にする独自の表記が用いられていた。
廃止後も115系電車やキハ40・47形気動車に側面行先表示器を装備しなかった上、当時岡山駅の在来線ホームには宇野・瀬戸大橋線列車が発着する11~13番のりばを除いて発車案内表示器が設置されていなかったため、それによる案内レベルの低下が発生し利用者が戸惑う場面が見られた。地元マスコミから「毎日がミステリー列車」と揶揄されたことから、同支社は急遽115系にLED式行先表示器を装備する事態となった。
また、東日本旅客鉄道(JR東日本)仙台支社でも、サボの使用を段階的に廃止している関係で、同じ現象が起こっている。
[編集] 号車札・種別札・愛称札
行先票と同様の素材を用い、車両の順序を示すものとして号車札(ごうしゃふだ)、列車種別・列車愛称を示すものに種別札(しゅべつふだ)・愛称札(あいしょうふだ)がある。
号車札の方は主に車両の順序を表すものであり、座席指定席・座席定員制での車両の仕分けのための便に供するものである。また、運行案内の便に供する為のものであるため、増解結を行う多層建て列車には必要なものでもあった。
例えば、東海道新幹線開業当時には運行本数が少ない為、行先票に号車・運行時間を記載したものがあったとされるが、早い段階で分離されている。それと共に、号車札は0系車両こそ存在したが、高速運行を行うにあたり支障が出ることから、200系車両・100系車両以降ではシールによる標記に変わっている。また、E1系車両以降の東日本旅客鉄道の新幹線車両では主にLEDによる標記がなされている。
また、種別札・愛称札はそれぞれ列車種別・愛称を記載したものであるが、近年では方向幕で代替されている事例もままみられる。
変わったところでは、種別札については1980年代より主に485系・489系電車や183系・189系電車等で種別札設置場所に「特急LTD. EXP.」の標記がなされ種別札の代替がされた事例がある。
なお、愛称札については列車愛称の標記がなされるため、ヘッドマークと同様に扱われる事例もある。但し、ヘッドマークのそれとことなり大きさが大きくないため、模造のものを記念として配布する事例もある。
[編集] 関連項目
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