立ち食いそば・うどん店
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立ち食いそば・うどん店(たちぐいそば・うどんてん)は、主にそばやうどんなどを供し、客が店内のカウンターで立ったまま食べるスタイルの営業形態(立ち食い)を基本とした飲食店である。日本の都市圏の鉄道駅などでよく見かける。
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[編集] 概要
手早い食事を可能とすることを基本的なコンセプトとしており、移動途中に簡単に食事をすませたい場合等に重宝されている。日本特有のファーストフードとも言える。戦後、鉄道駅の構内営業が発祥とも言われ、現在も鉄道駅の構内や近隣に多く立地しているため、俗に駅そばや駅うどんとも呼ばれる。また、大都市圏を中心に市街地・商業地域で営業をする店も多々ある。
高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、一般道路の道の駅などにある立食スタイルの軽食コーナーにも、そば・うどんのメニューがあるので、広義にはこれらを含むこともできる。
2006年現在の相場で、具が葱のみである「かけそば」「かけうどん」で200~300円程度であり、外食の中では安価に提供されることも特徴とされる。
店舗の看板が「そば・うどん」、メニューも「かけそば・うどん」や「天ぷらそば・うどん」など、店舗内には「そばまたはうどん」ということを「そば・うどん」と示している。そのシステムがわからない人が「そばうどん!」と注文するという創作話がある。
そば・うどんを知らない外国人や、地域によるメニューの違いを考慮して、メニューや看板に丼の写真を掲載している店もある。
[編集] 営業形態
基本的に客は店内のカウンター越しに厨房内にいる従業員へ料理を直接注文し、カウンター越しに出来上がった料理を直接受け取る。
かつては出来上がった料理と引き換えに従業員へ代金の現金を手渡しするスタイルが標準的であったが、近年では立ち食いそばチェーンの普及による金銭管理の徹底化、および保健所からの衛生上の観点による指導により、食券販売機を使用する店舗が増えている。ただし、トッピングの追加のみ現金可の場合も多いほか、今でも手渡しで全商品の代金収受を行っている店も少なくない。長距離列車の発着するホームでは、車内持込用の容器を用意しているところもあり(地域によっては通勤電車の発着ホームの店舗にもある)、その代金はおよそ20円程度である。
[編集] 商品形態
[編集] 麺
立ち食い店では商品を短時間に提供することが売り物のひとつであるため、市中のそば・うどん店とは異なり、あらかじめ製麺所で茹で上げられた麺を注文後再度短時間湯通しし、かつ熱めのつゆをかけて提供される。これは、生麺から茹でていては客の「短時間で食事を済ませたい」要求に対応できない事ことから生まれたものである。また、この方法では調理が短時間かつ簡単なため、店員数が少なくて済み、コスト削減の効果もある。
最近では茹で麺に加えて、冷凍麺も増えてきている。茹で麺は消費期限が製造から3日程度で毎日納品する必要があるが、冷凍麺は消費期限が1年と長持ちすることで週1回程度での納品で済むなどの利点があり、茹で麺で提供するには客が少ない店で導入されている。逆に、冷凍庫を設置しなければならないことや、茹で麺に対して2分程度の茹で時間がかかるという欠点がある。
現在では味への要求から、市街地に立地する店を中心に生麺を用意し、注文後生麺から茹で上げる店も増えてきている。だがこのような店でも、茹で上げる手間を減らし提供の早さを維持するため、一定量の麺を一度に茹で上げておくパターンが多い。そのため、客の回転の悪い時間帯には麺が伸びてしまい、予め製麺所で茹でられた麺とさほど変わらない状態で提供されることもままある。
関東では概ね「そば・うどん」と表記されるように、そばがメインの商品として扱われてるが、これが関西になると「うどん・そば」との表記が増え、うどんがメイン商品として扱われている。
[編集] つゆ
一般のそば・うどんがそうであるように、立ち食いそば・うどんでもつゆは、東日本では濃口醤油を用いた黒い色の関東風、西日本では薄口醤油の風味を生かした透き通った関西風が主流である。
日本海側での味付けの境界は概ね、直江津駅と富山駅とされる。しかし、富山駅のものにしても完全に関西風とは言い難い。金沢駅では汁が関西風になることや、富山県内の高速道路サービスエリア・パーキングエリアにおいては西進するにつれ徐々に味が関西風に近づいている(新潟テレビ21「小野沢裕子のいきいきワイド」取材に基づく)ことなどを鑑みると、立ち食いにおいては富山県内が境界である可能性が高い。
太平洋側では、静岡県が全県で関東風、三重県は名古屋の影響の強い東部でも薄口醤油による関西風のつゆが主流であるため、愛知県が境界とする説が濃厚である。同じ愛知でも、豊橋など三河地方では、静岡県と同様の「鰹出汁に濃口醤油」の関東風そのものだが、名古屋や岐阜など尾張地方・美濃地方では味醂等の甘味が効いた独特な「名古屋風」のつゆである。ただしそれも濃口醤油ベースのため、広義では関東風に含めることが多い。
内陸部の米原駅の立ち食い店は、薄口醤油の風味を生かした、明らかに関西風のつゆの立ち食い店である。東海道本線沿線で米原の東隣に位置する立ち食い店設置駅はかつては大垣駅、2006年現在では岐阜駅で、いずれも関東風ベースの名古屋風つゆの店である。この事から立ち食いそば・うどん店のつゆもまた、「関ヶ原」が東西の境目になっていると言える。
但し例外的に関東でも関西風のつゆを出す店はある。関東の駅で主流の日本レストランエンタプライズ(NRE)の店では、うどんには関西風のつゆを、そばには関東風のつゆを掛ける特徴がある(逆も可能)。ただし、ネギはすべて関東で主流の白ネギを用いており、青ネギを用いる関西風のうどんとは厳密には異なるため、つゆのみが変わる事で「関西風」とされる事には異論もある。
[編集] 種物・薬味
- 立ち食い店における天ぷらとは基本的に掻き揚げの事を指すが、この由来は立ち食いそば発祥の頃にまで遡る。当時はつゆにあまりコストを掛けられなかったため出汁が薄く醤油味の濃いつゆが多かった。しかしそのままでは塩辛くて食べ難いため、種物の中でも油分の多い掻き揚げを載せる事でつゆと麺を油分の甘味で結びつけ、食べ易くしたことによる。また、立ち食いでない店に比べて薄利多売であるため、廉価で供するために天ぷらを掻き揚げにする事情もある。掻き揚げは、東日本では柔らかめな揚げ加減で、牛蒡など野菜が多く用いられるのに対し、西日本では小エビをメインにしてサクサクとした食感の物が供される傾向にある。
- 一般のそば・うどん店と同様、天かす(揚げ玉)や油揚げも種物として一般的。関東では天かすが乗れば「たぬきそば・うどん」、具が油揚げに変われば「きつねそば・うどん」となるが、関西(主に大阪)では、うどんに油揚げが乗れば「きつね」、そばに油揚げでは「たぬき」と呼ぶのもやはり同様である。関西では揚げ玉が乗ったものを「ハイカラうどん」「ハイカラそば」などとも称する。
- 一般のそば・うどん店よりも種物のバラエティに富む店もある。箱根そばチェーンが元祖である夏季限定メニュー「冷やし豆腐一丁」は、冷やし麺に絹ごし豆腐を一丁そのまま載せたもの(他に揚げ玉、わかめ、おろし生姜、葱等が添えられる)でそれまで一般の店には全く見られなかった種物である。その一方で、利用者が多くない店舗では、極端に種物を絞る店も多い。たとえば、種物として卵と掻き揚げしか用意せず、かけ・天ぷら・月見・天玉の4つしかメニューがない店もある。これらの種物は冷蔵庫で保管すれば複数日に渡って保存可能で、コスト削減の一環である。
- 立ち食い店においてコロッケを種物として採用したのは神奈川県内の駅の店とされる。このコロッケそば・うどんは首都圏各地へと広まったが、これが浸透している地域には限りがある。そのため、他地域に在住している人間からは、うどんやそばにコロッケをトッピングする事が信じられないと言われることが多い。駅そばで提供されるコロッケはそば・うどん用に衣が厚く硬く作られており、イモ部分も水分が少なく、じっくり汁に浸してからでないと箸を通せないようにできている。
- 首都圏では「肉うどん」に豚肉を使用、牛肉を使用したものは「牛肉そば」としている店舗もあり、「肉=牛肉」と考える関西以西の出身者は驚く事がある。これは、関東では関西と比較すると養豚が盛んであったことが要因とされ、関東と関西の文化の違いを窺わせる。
- 以前はサービスの一形態として、カウンター上に葱や天かす(揚げ玉)が盛られた容器があり、客が自分で好きなだけ入れられる店も多く存在したが、最近は減少している。
[編集] 冷やし
一般的なそば・うどん店では普通に供される冷やしメニューは、置かないか、置いても夏季限定とする店が多い。これは、一度暖めた麺をもう一度流水で冷やす手間がかかり、客回転の点からも好ましくないからである。価格も高めに設定されている。常備メニューにあっても多くは「冷やしたぬき」か「冷やしきつね」が一般的だが、これは「ざる」・「もり」は麺を冷やす手間に加え、蒸籠(せいろ)とつゆを入れる容器を用意する煩雑さを嫌われる事と、他のメニューと具材が共用できないためである。
[編集] 飯物
いくつかの店舗では、ご飯物も供している。多くの店では、白米のライス・かしわめしなどの炊き込みご飯系・少し凝ったものではとろろ飯などの茶碗に盛るだけのもの、カレーライス・かきあげ天丼などの麺類と具が共通のもの、または稲荷寿司、おにぎりなどのその場で調理の必要のないものに限られるが、通常の蕎麦屋のメニューのようにカツ丼・牛丼・季節限定で夏季に鰻丼などの丼物を置く店もある。駅弁販売業者が運営する駅内にある店舗では駅弁を扱うところもあるが、あくまでも持ち帰り用である。
[編集] その他の麺類
定常メニューとしてラーメンがある店舗もある。味噌・塩など味のバリエーションは少ないが、そば・うどんと同じネタをトッピングすることが可能である場合が多い。きしめんなどの地域性に富むものや、季節限定で夏季に素麺・冷麦を出すところもある。
また、そば・うどんを全く置かないため本項で語るべき範疇からは外れるが、ラーメン専門の立ち食い店も、館林駅・西新井駅・西国分寺駅・小倉駅・博多駅など各地に存在する。かつては「ホームラーメン」の名称で秋葉原駅・浜松町駅・川崎駅などの構内に立ち食いラーメン店があったが、現在は存在しない。
[編集] 各地の特徴
[編集] 北海道・東北
- 北海道の立ち食い店における天ぷらは、揚げ玉を円盤状に固め、表面に乾燥小海老がついたものが多く見受けられる。ナルトは、外側の波型の部分が赤色で、中の渦巻きの絵柄が緑色をしたものがほとんどである。
- 音威子府駅の濃い黒色をした蕎麦はテレビや雑誌などでも取り上げられ、有名である。ただし営業時間、営業日は不定。駅前右側の商店においても販売されている。
- 新得駅のそばは、音威子府駅のものと同様に手打そばであり、定評がある。昼食時には旅行者だけでなく地元民にも食されている。
- 遠軽駅では、定番メニューのきつねそば・うどんはない代わりに、合鴨そばやスペシャル(卵、かきあげ、山菜、あいがも入り)というオリジナルメニューがある。
- 東北地方の鉄道駅における立ち食い店で大きなシェアを占めているのが、日本レストランエンタプライズである。同社は伯養軒の販売部門を分社化したエヌアールイーみちのく(旧・エヌアールイー伯養軒)を吸収合併したことに大きなシェアを占めることになった。
- 鹿角花輪駅では、うどん・そばの他に秋田県の郷土料理であるきりたんぽ鍋を味わうことができる。
- 原ノ町駅で立ち食いそば店を運営しているのは、同駅でざるそばの駅弁などを製造・販売している業者である。駅前の食堂から、およそバット1枚分ずつ、茹で上げられたそばが運び込まれており、その味には定評がある。
[編集] 関東
- JRでは以前は各駅毎に様々な業者が入り営業していたが、1990年代半ば頃から東日本旅客鉄道(JR東日本)の連結子会社であるNREとへと統合され、味の画一化が進んだ。これにより仕入れを共通化でき原価を低減できるが、旧来からの顧客には批判的に受け止められた。なお、NREではこの批判の声を受け、近年は各地へ出店の際に、独自メニューが含まれたり、具の内容が異なる店も出現している(品川店のみの「しながわ」、西船橋店では他店と異なるかき揚げを使用)。また、多くは「あじさい茶屋」の名称であるが、最近では別の名称で出店している駅(錦糸町駅の「本所そば」、品川駅の「しながわそば」など)もあり、東京近辺を中心に様々な駅に出店している。その一方で同じJR東日本系列のジェイアール東日本フードビジネス(JEFB)も独自に「あずみ」を展開しており、同じ駅にNREの「あじさい茶屋」や後述する讃岐うどん店が共存することがある。また、路線によっては偏りがあり、都心に乗り入れる路線でも例えば常磐線には、山手線等と重複する上野駅と日暮里駅を除けば、NREの立ち食いそば・うどん店は1店も存在しない。
- 品川駅構内の立ち食いそばはホームや場所ごとに内容が全て異なる。駅弁業者でもある常盤軒が営業する東海道本線下りホーム10号車付近の立ち食いそばには、かけそばが無い代わりに「お好みそば」がある。注文すると葱さえも盛られていない「そば・うどん」(2006年現在、生卵もしくはゆで卵は無料サービス)が提供され、そこに刻みネギ・わかめ・鰹節・揚げ玉・きつね・フライドポテト等複数種類(2006年5月現在9種類)用意された種物を好きなだけ載せて食べることができる。なお、1杯380円のため、全く種物を載せずに食べると他の立ち食い店に比べて割高となるので、客は皆かなり多めに種物を入れる傾向にある。
- 立川駅ホームの立ち食い店(奥多摩そば)には「おでんそば・うどん」がある。甘辛く煮た薩摩揚げが種物として載せられている。
- 全国的な讃岐うどんブームが起こった2002年(平成14年)より、NREが四国旅客鉄道(JR四国)系列の「めりけんや」と業務提携を行い、恵比寿駅・上野駅・新橋駅など一部の駅で讃岐うどんの専門店を営業している。
- 常磐線我孫子駅では鶏のから揚げが載った「から揚げそば」が有名である。営んでいる弥生軒はかつては駅弁業者で、過去に画家の山下清が働いていた。
- また、水戸駅や石岡駅など茨城県の主要駅では納豆そば(うどん)が食べられる。また、水戸駅のけんちんそば(うどん)は、冬季メニューとして伝統がある。
- 宇都宮駅の「野州そば」では餃子そばが食べられる。
- 民鉄の場合、その鉄道会社の系列の店が出店する傾向が強い。小田急電鉄の「箱根そば」などが代表格である。無論、鉄道会社とは直接関係のない業者が出店する場合も多々ある。また、京浜急行電鉄の「えきめんや」は店の屋号が統一されているだけであり、実際は各駅様々な業者が運営している。このほかに、東京急行電鉄の「田園そば」、京王電鉄の「高幡そば」、西武鉄道の「狭山そば」、「東京地下鉄」(東京メトロ)の「ちかてつそば」(主に駅敷地内の地上で展開、運営はメトロフードサービス)、関東鉄道の関鉄プラザなどがある。
- 立ち食い店で初めて生麺を使用したとされるのが「小諸そば」チェーンである。
- また首都圏の主な駅周辺には「富士そば」チェーンや「梅もと」の店舗がよく見られる。
[編集] 甲信越
- 新潟県の直江津駅、燕三条駅にあるNREの店舗には、鹹水を使った黄色い中華風の麺が濃い口の和風つゆに入っている一風変わった「和風中華」がある。また直江津駅南口近くにあるセルフ形式の「塚田そば店」にはそば・うどんの他、前述の和風中華と同様の「中か」がある。この他新潟駅万代口、長岡駅の「やなぎ庵」には、中華麺とチャーシュー、メンマなどラーメンの具材を冷やした和風つゆで食べる「冷しラーメン」がある。
- 新潟市中央区の万代シテイバスセンター構内にある立ち食いそばコーナーは、前身のバスステーションビル以来約50年の歴史を有する老舗。特にカレーライスが名物として知られ、昼のうちに売り切れとなる日もあるなど人気が高い。持ち帰り容器を各自で用意すれば、カレーソースだけの持ち帰りも可能。なお、そば・うどんには刻み焼き海苔をトッピングして供される。
- 同じく新潟県の国道7号新新バイパス・道の駅豊栄には、甘辛く煮付けた厚揚げが半個入った「ジャンボ狐そば・うどん」が、北陸自動車道・栄パーキングエリアには、近隣の長岡市栃尾地区の名物・ジャンボあぶらげが入った「大ぎつねそば・うどん」がある。
- 長野県の軽井沢駅しなの鉄道改札前の待合室に併設されているおぎのやが経営する駅そばは、注文毎に生麺からゆでるタイプのものである。
[編集] 北陸
- 富山駅にある「立山そば」(「ますのすし」で知られる株式会社源が運営)のホーム内店舗では車内持込用の容器を用意していない代わりに持ち込み料金を払うことで丼ごと販売されている。
- 富山県の高岡駅にある「今庄そば」(今庄は経営者の姓)ではそばとうどんを一緒に盛り付けたメニューを「チャンポン」と称して供する。また、副食として供されるおにぎりは、主にこの地域でしか見られない、とろろ昆布巻きのおにぎりも売られており、人気も高い。
- 福井駅のうどん・そばは、鰹節を散らすのが特徴。
[編集] 東海
- 静岡県では、鉄道駅での営業もさることながら、市街地や国道沿いなどさまざまな場所に立ち食いそば・うどん店が存在する。静岡がサクラエビやシラスの産地であることから、サクラエビやシラスの掻き揚げ天ぷらを乗せたそば・うどんが普通である。なお、静岡県内全域で立ち食い店のつゆは関東風にいりこだしを加えた甘めのものである。
- 豊橋駅の「壷屋」ではすべてのメニューにきざんだ油揚げがのっている。これは豊川稲荷にちなんだもので、同弁当部でも稲荷寿司を販売している。
- 名古屋駅といえばホーム上の立ち食いきしめんが有名である。中でも新幹線ホーム(4号車付近)の店舗が美味と好評である。この店舗は、他と異なり、店舗内で出汁を取っているのが旨さの秘訣とされる。但し駅構内全ての店できしめんを扱っている訳ではない。
[編集] 関西
- JR姫路駅構内の「えきそば」(店名)は、前述の直江津駅、燕三条駅と同様に中華麺が濃い口の和風つゆに入っているものがあり、同駅の名物となっている。駅そばの話(まねき食品株式会社)
- 関西の私鉄駅構内の立ち食いそば・うどん店は、メニューはうどんが先に記されている場合がほとんどであるにも関わらず、阪急電鉄の「阪急そば」、阪神電気鉄道の「阪神そば」、南海電気鉄道の「南海そば」、山陽電気鉄道の「山陽そば」、神戸高速鉄道の「高速そば」など、蕎麦が無いと誤解されない為に店名が「○○そば」の例が多い。なお、京阪電気鉄道では「比叡」で、店名に「そば」も「うどん」もつかない。いずれの店でも提供されるのは、当然ながら純然たる関西風のつゆによるそば・うどんである。
- その他、京阪神地区には駅のそばに「都そば」という立ち食いそば・うどん店がある。素うどん(かけうどん)を180~200円と安価で提供しているのが特徴。同系列店が、秋葉原にも1店舗存在している。
- 「天ぷらそば」は、店員に「天そ」と略されることが多い。
[編集] 中国
- ほぼ関西と同様の昆布と鰹節で出汁を取り、薄口醤油の風味を生かしたつゆの立ち食い店が多い。
- うどん、そばとも供されているが、ややうどんの比率が高い傾向が覗える。
- 出雲そばで名高い島根県にあるJR木次線の亀嵩駅は簡易委託駅で、駅舎内の蕎麦店「扇屋そば」の店主が駅業務を兼業している。扇屋そばは立ち食いではないが、中国地方の駅蕎麦として代表的なものの一つである。事前に電話予約(トロッコ列車のみ予約不要)をすることで亀嵩駅に到着する列車に出前をする「弁当そば」(500円)も販売している。
- 広島駅では、駅弁業者の広島駅弁当が1番ホーム、4・5番ホーム、7・8・9番ホーム及び新幹線ホームで営業しているが、地元民の噂によると1番ホームが最も美味しいとの評判が出ている。しかし、実際はどのホームも全く同じメニューやスープを供している。
- 徳山駅の肉うどんは、肉の出汁がスープに染みて、美味しいと高評価である。
- 下関駅では、名産のふぐを用いたふく天(使っている魚はしろさばふぐ)うどんが人気であり、東京発九州方面行きブルートレインが機関車の付け替えで長時間停車している時には、朝食代わりに多数買い求める客が多い。また、かやくうどんも一部の愛好者には評価が高い。しかし下関駅・新下関駅、長府駅舎内のうどん店には並うどん(すうどん)があるが、下関駅ホームには並うどん・そばはなく、ふくてん、かやく、てんぷらを選択しなければならない。
[編集] 四国
- 讃岐うどんの文化が根強くうどんのみの店(そばがある場合でもうどんの金額+50円~100円の追加が必要な場合もある)が多く、店内には椅子席が中心のため立食い式も少ない。しかし阿波池田駅の祖谷そばなど例外もある。
- 高松駅の構内では、かつて宇高連絡船の甲板で営業していたうどん店が立ち食いで営業しており、連絡船時代の味を残している。但し、当時の味を再現したものであり、麺だけはJR四国グループのうどん店「めりけんや」が作ったものである。そのため、雰囲気を重視するか、味を重視するかで賛否が分かれるが、連絡船のうどんを知らない観光客には、おしなべて好評の様子。
- 松山駅の構内では、愛媛県名物のじゃこ天うどん(そば)が好評。
[編集] 九州
- うどん中心の地域であり、うどん麺は常にすぐ出せるように準備されているが、蕎麦はすぐ出せないという店が多い。
- 福岡県を中心とした北部九州地区では柔らかい食感とやや平たい断面が特徴的である「博多うどん」が提供される。また、北部九州の代表的な駅弁である「かしわめし」を販売する業者が駅のうどん店を営業している場合が多く、葱以外に具のない「かけ」を注文した場合でも、「かしわ」(鶏肉の細切れを甘辛く煮たもの)が入っている場合が多い。また、博多駅では、葱を客が好きなだけトッピングするシステムとなっている。かしわと葱のトッピングは、ホームによって異なる。
- 鳥栖駅の立ち食い店でも、かけうどん(かけそば)の状態で、かしわが載っている。5・6番ホームが美味しいと評判だが経営している業者は全て同一である。
- かしわうどんは小倉駅「ぷらっとぴっと」も人気がある。漫画『クッキングパパ』でも紹介された。
- 熊本駅0番ホームではかつて、阿蘇名物の高菜を載せた、「高菜うどん(そば)」が味わえたが、現存しない。また、九州新幹線建設のあおりを受けて、ホームが改装・整備され、立ち食いうどん店その物がない。
- 九州地方の立ち食い店で特徴的な種物に「ごぼう天(「ごぼ天」とも言う)」と「丸天」が挙げられる。「ごぼう天」とは、主にゴボウの掻き揚げを指すが、斜め切り又は拍子木切りにして個別に揚げたものを用いる地域もあり、シャキシャキとした食感が好まれる。また「丸天」とは薩摩揚げに似た大判の蒲鉾天ぷらの事である。甘みは薩摩揚げほどではなく、また前述の立川駅で見られる「おでん」とは異なり、特に味付はなされていない。
- 九州地方の立ち食い店では、大抵プラスチック製の丼で供され、わずかな容器代を追加すれば車内に持ち込む事も可能である。