電子マネー
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電子マネー(でんしまねー)とは、貨幣価値の交換(決済)をコンピュータ上で実現する技術・規格・実装の総称である。ポストペイ(クレジット)式のものも便宜上広義の電子マネーに含める場合がある。
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[編集] 概説
従来から、銀行振り込みやクレジットカードによる決済システムはオンライン化が進められてきており、電子的な決済手段というものがなかったわけではない。しかし、1980年代前半に提案があり、1990年代後半から一般に提唱されてきた電子マネーはこれらとは異なるもので、従来の決済方法の欠点を解消し、インターネット時代に対応可能な技術を指す。
従来の決済手段としては、
- クレジットカードは小売店で使用できるものの、百貨店や大型スーパーなど一部に限られ、使用時に署名も必要であるなど煩雑だった。また、インターネットショッピングではカード番号をネットワーク越しに販売業者に渡す必要があり、盗聴されたり販売業者によって不正使用されたりする危険性がある。
- 振り込みは、口座番号のみで不正使用される恐れは少ないものの、小売店では使用できない上、売買の際に振り込み確認の段階が必要でより煩雑。
などの欠点があった。
これらを解消し、ネット上でも日常でも小銭入れ代わりに使用できるような決済手段、すなわち貨幣価値の移動を消費者側から提供者側へ「その場で」「簡便な操作で」「電子的に」完結することを目指したものが電子マネーであるといえる。
具体的には、ICカードを利用して暗号技術を駆使することで、貨幣価値の捏造・偽造、複製、窃盗を防止したものである。
[編集] 現況
電子マネーは2007年現在において普及したとは言い難い状況であるが、徐々に普及を見せている。
am/pmとサークルKサンクスの対応店舗の増加が顕著なのが、ビットワレット株式会社の提供するEdyである。(利用可能店舗はEdyのホームページを参考されたい)
また、東日本旅客鉄道(JR東日本)の乗車カードであるSuicaもプリペイド式電子マネーとしての利用が可能となり、発行枚数の多さから将来が有望視されている。2007年現在、JR東日本の駅にあるコンビニエンスストアNEWDAYS等や、JR東日本のグループ企業で利用できる他、Suicaが利用可能なエリア内一部のファミリーマート等、利用できる店舗が増えてきている(利用可能店舗はJR東日本・Suicaのホームページを参照)。 さらに2007年3月18日からサービスが開始された、首都圏の私鉄・地下鉄・バス事業者の乗車カードであるPASMOは、開始当初から乗車券機能と共に電子マネーサービスもSuicaとの相互利用が開始され、JR駅構内などのSuica利用可能店舗で、Suicaと共にプリペイド式電子マネーとしての利用が可能である。
西日本旅客鉄道(JR西日本)でも2005年10月からICOCAでの電子マネーサービスが開始されている。スルッとKANSAI協議会のPiTaPaは電子マネーに似ているが決済方法が後払いなので、クレジットカードに近い性格を持っている。
流通業者2強であるセブン&アイ・ホールディングスではnanacoを、イオンではWAONを発行する。両者ともショッピングの際のポイント付与などで両サービスが開始される2007年は流通業界を巻き込んでの顧客囲い込みが激しさを増す勢いだ。
電子マネーの普及において難点と1つとされていたのが、上記の様に各社で規格が乱立してる為、加盟店舗においては規格ごとに決済端末を導入しなければならない点であった。しかし2006年9月27日、2007年2月にイオンで導入を開始する予定で開発中であったSuicaとiDの共用決済端末にQUICPayとEdyも対応させる事が発表され、今後電子マネーの更なる普及が期待される。
今後は電子マネーの普及において不可欠な「小額決済」をメインとしているコンビニや駅売店(キオスク)等の小売業態、ファーストフードやファミリーレストランなどの外食(もしくは持ち帰り弁当を中心とした中食)産業、CDやDVD等のレンタル業態に早く広く浸透する事が、電子マネー普及の大きな鍵を握ると考えられている。
[編集] 広義の電子マネー
現在、上記であげられたもの以外でも、クレジットカードの非接触型決済サービスも電子マネーと呼ばれることがある。
その理由として挙げられるのが、PiTaPaのように実質的にはクレジットカードであるものやモバイルSuicaなどクレジットカードに依存している電子マネーが存在すること、日本では上記のカード型電子マネーと同じくFeliCaが使われていること、ターゲット(小額決済など)が重なっていることなどがある。
[編集] 年齢認証
記名式の電子マネー(おサイフケータイ、等)には生年月日を入れることが可能なので、これを利用して酒・煙草・アダルトビデオの販売機や居酒屋・成人映画館への入場時の年齢認証に使われることに期待される。
[編集] 実装例
[編集] 国内
ICカード型
- プリペイド
- ポストペイ
仮想マネー
- ビーポイントBeePoint
- WebMoney(株式会社ウェブマネー)
- Digi-Coin(UFJニコス株式会社)
- NET CASH(NTTカードソリューション)カードタイプも存在
- 電子マネーちょコム(NTTコミュニケーションズ)
- オフラインデビット(J-Debit)
- BitCash(ビットキャッシュ株式会社)
- G-MONEY(グレートインフォメーション株式会社)
- セキュリティーマネー(グレートインフォメーション株式会社)
- 注…()内は電子マネーサービスの提供会社
[編集] 海外
ICカード型
- ポストペイ
- 米国・VISACash(ビザ・インターナショナル)
- 英国・MONDEX(ナショナル・ウエストミンスター銀行他)
- 注…()内は電子マネーサービスの提供会社
[編集] 関連項目
- ビーポイントBeePoint
- おサイフケータイ
- iD
- DCMX
- Edy
- デビットカード
- プリペイドカード
- Suicaショッピングサービス
- ICOCA電子マネー
- 自由貨幣
- FeliCa
- 自動販売機
- コインロッカー
- コインパーキング
- コインランドリー
- 企業通貨
[編集] 参考文献
- David Chaum, "Blind Signatures for Untraceable Payments", Advances in Cryptology: Proceedings of CRYPTO '82, pp.199-203, 1982.