Edy
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Edy(エディ)とは、ビットワレット株式会社が提供する電子マネーである。
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[編集] 概要
ソニーの非接触型ICカード「FeliCa」(フェリカ)を採用している。
Edy の名称はユーロ(Euro)・ドル(Dollar)・円(Yen)に次ぐ第四の基軸通貨になって欲しいとの願いから、各々の頭文字を取る形で付けられた。
[編集] 歴史
1999年から2000年秋頃まで、ソニーとソニーファイナンスインターナショナルは、さくら銀行(現三井住友銀行)・三井不動産などと合同で、ゲートシティ大崎のビル内に入居する企業の従業員(主にソニーグループ・三井不動産など)を対象に、同ビル内の売店や社員食堂・自動販売機で扱える、FeliCa を用いた電子マネーオペレーションのモニターテストを実施した。
第1フェーズは1999年7月26日から12月24日迄で、電子マネー機能の実証を実施。2000年2月10日からの第2フェーズ開始時に名称を「Edy!」に決定。ゲートシティ大崎内の取扱店を拡大した上で、一般の来訪(利用)者も対象にして「Edy!カード」の発行と「さくらキャッシュカード一体型Edy!カード」の発行も開始した。 また、Edy!に社員証・カードキー機能を搭載する実験や、さくらキャッシュカード(Edy!一体型のみ)・クレジットカード(さくらカードJCB)でのEdy!への入金(チャージ)に対応した現金自動預け払い機型の入金機の設置も行われた。
2000年12月に名称を現在の「Edy」に改め、2001年初めに運営会社「ビットワレット」を設立、ソニースタイルなどによるインターネットショッピング上の決済実証試験なども行われた。
2001年11月、am/pmやゲートシティ大崎の一部店舗・ソニースタイルなどが加盟店となり、実用サービスを開始した(これは東日本旅客鉄道(JR東日本)のSuicaの正式サービス開始の11月18日と同時期となった。ただし、SuicaはまだIC乗車券としての使用のみで、電子マネーとしての使用は2004年まで待つこととなる。)。
2002年4月にソニーファイナンスがeLIO・Edy搭載のクレジットカード「My Sony Card」の一般向け発行を開始(ソニー社員向けには2001年11月から開始)し、同年7月にam/pmの関東圏店舗で一斉に取扱が始まると、発行枚数や取扱高が大きく増えた。
同年10月にパシフィコ横浜で催された「Sony Dream World 2002」では、My Sony IDを用いたインターネットでの事前入場申込者に特別デザインのEdyカードを無料頒布し、Edy決済対応の売店や、自動販売機・現金を用いたEdyチャージャー(入金機)が多数設置された。
2003年には全日本空輸と提携、「ANAマイレージクラブEdyカード」およびクレジットカード一体型の「ANAカード(→提携カード)」を発行開始。これらのカードでEdyを使用すると、原則として200円あたり1マイルが付与され(但し、一部の加盟店やコンビニでの収納代行、金券購入はマイル付与対象外)、また逆にマイレージからEdyバリューへの交換も可となった。
2004年にはSuicaショッピングサービスが開始されるにあたって、Suicaのペンギンキャラクターと同じようにソニー・クリエイティブプロダクツによるEdyオリジナルキャラクター、「おさいふ犬」が登場している。
ビットワレットは更に提携企業・加盟店を増やし、各種のキャンペーンを催すなどして、日々利用者数・発行枚数が増大している。[要出典]
また、2006年10月には一部の高速バスでもEdyが利用できるようになっている。
[編集] 利用法
[編集] 入手方法
[編集] カード型
- プロパーカード
- am/pmでは630円でEdyカードが販売されている(かつては315円だったが、このカードは現在販売停止されている)。
- am/pmでの315円のカードの場合はいわゆるデポジットで、不要・カード返却の際は返還される。ただし、2007年12月31日以降はデポジットの返却の受付を停止する。
- prontoの場合は、クレジットカード型への切り替えの場合にのみカード返却の際に発行費用500円が返還される。しかし、それ以外の発行体では一般にデポジットのようなカード返却による返金の扱いは無い。
- 会員証一体型
- 会員証にEdy機能を付加したもの。
- 代表的なものとしては、サークルKサンクスの「KARUWAZA CLUB Edyカード」や、全日空の「ANAマイレージクラブ Edyカード」など。
- 社員証一体型
- 社員証にEdy機能を付加したもの。
- ソニー、全日空や三菱東京UFJ銀行などで導入。
- 学生証一体型
- 学生証にEdy機能を付加したもの。
- 愛知大学や神奈川工科大学や京都学園大学などで導入。
- クレジットカード一体型
- 最も多くの発行体によって発行されているタイプであり、クレジットカードにEdy機能を付加したもの。代表的なものとしては、各社発行の「eLIOカード」や全日空の「ANAカード」などがある。プロパーカードで発行費用や入会金が必要とされるような場合であっても、クレジットカード一体型の方は無料で加入できるようになっている発行体が多い。
- キャッシュカード一体型
- みずほ銀行法人口座キャッシュカードや、スルガ銀行ANA支店、大垣共立銀行、イーバンク銀行などで発行されている。
- 2006年10月からは、郵便貯金ICキャッシュカードにEdy機能が搭載されるようになった。
- キャッシュカード・クレジットカード一体型
- 三菱東京UFJ銀行では「スーパーICカード」の名称で、キャッシュカード・クレジットカード・Edy機能の3つが一枚に収まったカードを発行している。
- キャッシングカード一体型
- プロミスで発行されている。
[編集] おサイフケータイ
NTTドコモ・au・ソフトバンク各社のおサイフケータイでEdyを利用するには、電子マネー「Edy」アプリをダウンロードしてから初期設定すればよい。 おサイフケータイの機種によっては、あらかじめ電子マネー「Edy」アプリがインストールされているものもある。その場合は初期設定を行うだけでEdyとして使うことができる。
[編集] 変り種
各種キャンペーンの一環で、フィギュア型のEdyが発行されたことがある(フィギュアの台座部分にFeliCaが埋め込まれている)。使い勝手自体はカード型のものとおよそ同じである。
- ディズニー
- 2004年2月25日より、NTT東日本はパソコンと無線LANキットをセットにした「DisneyBB プレミアムパック」を300台限定で販売(25万円)。購入者は、同封の葉書を返信すれば、「Edy機能搭載 DisneyBB ICフィギュア」がプレゼントされた。
- キャラクターはミッキー、ミニー、ドナルドダック、コグ、フリッピーの5種。
- ポケモン
- 2005年8月15日より、ANAカード会員向けにピカチュウのEdyフィギュアが先着2万個限定で販売された(1,050円+送料630円=1,680円) 。
- 2006年4月15日より、ANAのオンラインショップ「astyle」にて、映画「ポケモンレンジャーと蒼海の王子マナフィ」のキャンペーンの一環として、同映画の前売り券とピカチュウ、プラスル、マイナンのEdyフィギュア3体を先着6,000セット限定(6400円)で販売された(フィギュア3体のみは4100円)。
- いずれもANAの発行であるが、マイレージクラブの機能は付帯せず、マイルは積算されない。
- 増田ジゴロウ
- 2005年1月、K-touch カードのキャンペーンで、テレビ神奈川の番組「saku saku」に登場するキャラクター「増田ジゴロウ」の「増田ジゴロウおさいふフィギュア」が抽選で1,000名に配布された。
[編集] 入金方法
Edyは前払い型のいわゆる「電子サイフ」であり、カードに通貨価値(バリュー、Edyバリュー)をチャージする必要がある。対応店舗に設置されているPOSレジやEdyチャージャー(据え置き型の入金機)から現金で、PaSoRi(FeliCaリード/ライタ)を接続したパソコンからはPaSoRiドライバと「Edy viewer」というソフトをインストールし、同ソフトで予めビットワレットへ情報を登録(サービス登録)するとネットバンキングによる振替やクレジットカードを利用したオンラインチャージが可能となる。またEdyギフトによる方法もある。
おサイフケータイの場合は更に「Edyアプリ」上(口座振替の場合は各行のモバイルバンキングアプリ)でのオンラインチャージも可能である。
なお、利用出来るクレジットカード発行会社はビットワレットと直接契約している国内の会社に限られ、JR東日本のVIEWカードは勿論のこと、イオンクレジットサービス・American Express(セゾン提携を除く)やQUICPayを発行しているJCBグループ(一部提携カードを除く)などは加盟店手数料が折り合わないとして取り扱っていない。
1枚のEdyにチャージできる最大金額は50,000円、オンラインチャージは1回の操作で25,000円迄である。なお、クレジットカードを用いた場合のチャージについて、チャージされている通貨価値を払い戻したり、換金することは規約で制限されている。
[編集] 利用方法
店頭や自動販売機での支払いや、ネット上での決済に利用できる。
- 店頭など
- 店頭で支払う際は、店員に「Edyで」と告げると、POSレジまたは決済端末に金額が表示されるので、これを確認の上、端末にEdyをかざせば決済完了となる(その際「シャリーン♪」という効果音が鳴る機器が多い)。
- 残高不足の場合は、差額を現金で支払うほか、複数のEdy(合計5つまで)を用いて残金を充当することも可能である。
- 自動販売機の場合も、同様にリーダ・ライタ部に金額が表示され、Edyをかざせば決済完了となるが、残高不足の場合、現金や複数個のEdy併用ができない機器もあるので、注意が必要である。
- ネット上
- パソコン
- 予め、PaSoRi本体と専用ソフト(Edy Viewer)のインストールが必要。
- PaSoRiにEdyを置き、Edy決済を指定すると、ソフトが起動、決済金額の画面が表示され、その確認をもって決済完了となる(ちなみにこのネット決済の方法はeLIOのそれを転用したもの)。
- Mobile Edy
- サイト上で決済に「Mobile Edy」を指定し、メールアドレスを入力すると、決済内容を記したメールが送付されてくる。これを確認・了承すると、更に「決済完了メール」が送付されてきて、完了となる。
- なお2006年10月現在、ソフトバンクモバイルでは本サービスは利用不可となっている。なおこの件に関して、ビットワレット側からは対応不可の理由など詳細は一切発表されていない。
- パソコン
ネット上では複数個のEdyによる残金充当や、クレジットカードなど、他の決済手段との併用は出来ないので、チャージ限度額の5万円以上の決済は不可能である。
[編集] カード番号
Edyカードには1枚ごとに16桁の固有番号が付与されている。
[編集] バリューイシュア
Edy は前払式証票の規制等に関する法律に定める第三者発行型前払式証票である為、同法に定める第三者型発行者が発行する。これをバリューイシュアと呼ぶ。バリューイシュアは次の通り。
- 株式会社オーエムシーカード
- 株式会社ジェーシービー
- 株式会社セントラルファイナンス
- 株式会社ソニーファイナンスインターナショナル
- 株式会社第一興商
- 株式会社ディーシーカード
- トヨタファイナンス株式会社
- 三井住友カード株式会社
- 株式会社三井住友銀行
- 株式会社三菱東京UFJ銀行
- 三菱UFJニコス株式会社
- ユーシーカード株式会社
- 株式会社ライフ
- 楽天KC株式会社 (旧 国内信販株式会社)
[編集] 提携関係など
前項の通り、複数のクレジットカードにもEdyが搭載されている。この場合、EdyバリューのオンラインチャージはそのEdyと一体のクレジットカードからのみ可能(いわゆる「自己チャージ」)である(「am/pm Earth Edy Card」(ソニーファイナンス提携)の様な、クレジット機能から半自動的(操作が必要)にEdyバリューへチャージすることが可能なものもある)。
FeliCa の特性を生かし、Edyカード一体型の社員証や学生証を発行することで、身分証明書として付加価値を高める試みも行われている。この社員証・学生証では、カードをドア脇のカードリーダーにかざすことで個人認証を行い解錠したり、食堂や売店、自動販売機での支払いにEdyを用いたりすることができる。金沢学院大学、湘北短期大学、愛知大学、東京商科学院・東京法科学院専門学校、大阪工業大学、摂南大学、京都学園大学、神奈川工科大学、東京三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)、ソニー、三菱重工、大日本印刷、ニコンなどで導入された。
東日本旅客鉄道(JR東日本)が提供するICカードSuicaや西日本旅客鉄道(JR西日本)が提供するICカードICOCAもFeliCaを採用していて、PaSoRiや業務用のリーダ・ライタ(現時点ではQUICPay対応のCATとSuica/ICOCAのカード処理機に用いられている。オムロン製)は共通の物が利用できるなど一定の互換性があるが、現時点では両サービスは接続されておらず相互利用はできない。むしろ、電子マネー付き Suica は一部のコンビニエンスストアでも採用されていて、Edyのライバルとなっており、両者の競争は「電子マネー戦争」ともいわれている。例えばサークルKおよびサンクスは全国でEdyを導入しているが、ファミリーマートにおいては2007年3月現在、関東および宮城県・山梨県の一部店舗では「Suica」、沖縄と九州の一部では「Edy」が導入されている。下位コンビニの中でもスリーエフは関東の一部店舗で「Suica」、四国では「Edy」を導入するなどの地域による色分けがある(これらは、SuicaでJRに乗車できない地域に配慮した選択だと思われる)。ちなみにファミリーマートは2007年春に全店で Edy が利用可能の予定。また、PRONTOや大丸ピーコックのように一部「Edy」「Suica」が両方利用できる店舗もある。電子マネー導入では後発となるセブンアンドアイは独自のnanacoを発表したが、セブンイレブン以外のコンビニエンスストアで利用できる可能性の無いものが果たして電子マネーと呼べるのか論議を呼んでいる。
2006年9月、JR東日本とNTTドコモが現在共同開発している、「Suica」と「iD」の共同決済インフラに対し「Edy」も「QUICPay」と共に利用できるようにすると発表された。また、最近ではJR東日本の車内でもEdyの広告が掲示されるようになった。
[編集] オンラインチャージの問題
2002年からeLIOカード向けとして開始されたクレジットカードによるオンラインチャージは、2003年からソニーファイナンスインターナショナル以外の提携クレジットカード会社にも取扱が広がったが、オンラインチャージを行うと利用額に応じて各クレジットカードのポイントが一般のショッピング利用と見なされて付加されるようになっており、これによってクレジットカードが利用ができない店でも、Edy 利用が可能な場合は実質的にクレジット購入が出来るようになった。現在においても、一部の地方税や国民健康保険料、国民年金や生命保険料や水道利用料など、クレジットカードでは現状払えない分野(多くは公金)では特に需要が大きい。
am/pm とサークルKサンクス店舗では物品の他に収納代行や公共料金の支払と、切手やプリペイドカードの購入にも現金同様扱えるため、オンラインチャージした Edy で金券類を購入し、金券ショップなどで換金するといった行為でクレジットカードのポイントを貯め、それをマイレージポイントに移行するといったいわゆる陸マイラーがポイント稼ぎに利用するケースが2004年頃から多くなった。
また、オンラインチャージ対応のクレジットカードで、コンビニの収納代行扱いでクレジット利用代金の支払いが出来るUCS(一部)やゆめカードでは、「オンラインチャージする→オンラインチャージした際の請求書でポイントが加算され、それに付帯されてる払込書をam/pmやサークルKサンクスで先にオンラインチャージしたEdyを用いて支払う→(以後繰り返し)」を行ってポイントを稼ぎ出し、主に航空会社のマイレージに移行するといった行為が横行した。このため、カード会社によってはオンラインチャージ分をポイントの対象外にするなどの規約の改変が行われた。
また、ビットワレット側は2005年からサービス登録時にクレジットカード裏面のセキュリティコード(CCV・CVC)の入力要求がなされるようになり、一時はサービス登録出来るEdyの枚数を5枚(カード・モバイルの合計)に制限したこともあるなど、幾度か規定が改正された。さらに一部のクレジットカード会社では、Edy バリューのオンラインチャージが換金性商品の購入であるとみなして、利用額や頻度によって一定のリミットを超えた場合、一時的にクレジットカードの利用をストップされるような場合がある。
[編集] 関連項目
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