JR北海道キハ150形気動車
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キハ150形気動車(キハ150がたきどうしゃ)は、北海道旅客鉄道(JR北海道)が1993年(平成5年)に導入した一般形気動車である。
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[編集] 概要
JR北海道発足後、キハ22形・キハ56系などの老朽化した国鉄形車両の置き換えやワンマン運転拡大のために製造された。勾配多雪区間での単行運転を考慮し、高出力機関装備の両運転台車である。なお、製造当初よりワンマン運転用設備が装備されている。
1996年頃に、キハ201系開発のため、当形式に空気バネ圧制御式車体傾斜装置を装備し試運転を行いデータを収集した。試験終了後は元に戻されている。
[編集] 車体・設備
20m級の普通鋼製両運転台・片開き2扉車体である。塗装はキハ40形400番台と同じ(青と黄緑のライン、ドア部分は黄緑)ものとなっている。豪雪時の視界確保のため前照灯が4灯化されている。警笛は、電子警笛と空気式ホイッスルが併用されている。
座席配置はクロスシート部が2列+1列のセミクロスシートとなっている。客室とデッキの間には仕切りが無いため、出入り口寄りのロングシート端部には、風除けのための透明樹脂製の袖仕切りが設けられている。出入口は冬季の保温性確保のため、押ボタン式半自動ドアとなっているが、実際には使用されていない。これらのスペックは東日本旅客鉄道(JR東日本)のキハ110形と共通している部分がある。
トイレは、循環式汚物処理装置付の和式トイレが出入口付近に1箇所設けられている。
[編集] 走行装置
1基を搭載するディーゼルエンジンはコマツ製のN-KDMF15HZ(SA6D140-H・定格出力450PS/2000rpm・最大トルク173kgm/1400rpm 水平直列6気筒・総排気量15240cc)で、過給器(ターボチャージャー)および吸気冷却器(インタークーラー(もしくはアフタークーラー))を装備する。
液体変速機は、湿式多板クラッチつき、3段6要素コンバータで、コンバータブレーキによる抑速ブレーキ機能付きの変速1段・直結2段式N-DW14C形を装備している。台車は、軸ばねにロールゴムを使用したボルスタレス台車であるN-DT150形(動台車)とN-TR150形(付随台車)である。動台車側は、機関が高出力のため、牽引力確保のために2軸駆動を行っている。なお、これらの走行機器類は後にオハフ51形客車をキハ143形気動車に改造する際にも採用された。
基礎ブレーキ装置はユニット式ではなく、キハ40形同様のブレーキシリンダ台車装架、自動隙間調整機構付きのてこ式である。空気ブレーキはキハ40形等の在来型気動車との併結も考慮し、CLE空気ブレーキ装置(3圧式制御弁・応荷重装置付電磁自動空気ブレーキ)が採用された。
出力向上とブレーキ改良により、最高速度は110km/hに向上した。
酷寒地仕様として機関始動および暖房用の機関予熱器を装備(容量は30000kcal/h)しているほか、燃料タンクは500リットルを2個装備と大容量であるのも特徴である。
なお、現時点では操作回路の車間における接続方法が片渡り(操作回路の車両間の連結線の差込口が進行方向に向かって右か左かの片側のみに設置されている)のため、車両の向きを変えてのキハ150形同士の併結運転は不可能である。
[編集] 番台区分
キハ150形には0番台と100番台がある。
[編集] 0番台
富士重工業で1993年(平成5年)に10両、1995年(平成7年)に7両が製造された。JR北海道の一般形気動車としては初の冷房を装備している。また側窓は固定窓となっている。定員117名・自重33.3t。1-10までの10両は旭川運転所、11-17は苗穂運転所に配置されており、前者は富良野線(一部区間のみ宗谷本線、石北本線、根室本線でも運用)、後者は函館本線(長万部駅-札幌駅間)で使用される。旭川運転所配置車の塗装はラベンダーをイメージしたライトパープルのラインが特徴である。0番台車の中には、バーベキュー列車として、キハ142形とナハ29000形を併結して運用されたものもある。
[編集] 100番台
富士重工業で1993年(平成5年)に10両が製造された。0番台との違いは、運用線区の気候条件上、冷房が付いていないことや、定員が2名少ないこと、0番台に比べ空気ホイッスルが高音なこと、側窓の上部が開閉可能であることである。全車苫小牧運転所に配置され室蘭本線(長万部駅-苫小牧駅、室蘭駅-東室蘭駅)で運用されている。旭川駅から滝川駅行きの普通(ワンマン)列車にも使われた。
函館線の長万部駅-倶知安駅-小樽駅間は勾配区間で冬期は排雪抵抗も伴うため、定刻運行を確保する目的で非力なキハ40系気動車700番台の代わりに2005年11月から運用されていた。しかし、融雪が進み排雪抵抗がなくなったため夏季は再びキハ40が配車され、元の苫小牧運転所を中心とする運行に戻された。なお、同年12月末現在、同線の積雪期を迎え再び100番台の一部が運用に回されている。
この運用は、排雪走行が目的であり、0番台と100番台が連結された光景が冬期間は日常的に見ることができ、さらにはキハ40との連結も見られる。
長万部-小樽間を中心に走るが、早朝と夜間に小樽~札幌間を走行する(回送で苗穂運転所に入る)。 小樽~札幌間を走るキハ150の該当列車は、冬期間は0番台 2両と100番台 2両の計4両であり、さらにキハ40が加わった計6両の編成を見られることもある。
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