JR北海道キハ261系気動車
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キハ261系気動車(キハ261けいきどうしゃ)は、北海道旅客鉄道(JR北海道)の特急形気動車。
2000年3月11日に営業運転を開始した。正式な形式名称は261系気動車。
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[編集] 概要
2000年に完成した宗谷本線(旭川~名寄間)の高速化事業に合わせ、それまでのキハ400形・キハ480形による急行列車を特急列車に格上げし置き換えるために開発された(100番台)。最高運転速度は130km/h。
コスト低減のため、キハ281系・キハ283系のように本格的な振り子車両ではなく、キハ201系をベースに性能向上を図った車体傾斜制御装置(最大傾斜角2度)を搭載している。なお、宗谷本線の名寄~稚内間は地上設備が未改良のため、この区間は車体傾斜制御装置を停止させて走行する。
開発当初は785系との併結運転を想定していたため、高出力のN-DMF13HZHディーゼル機関(出力460PS)を2基(キハ260-100番台のみ1基)搭載。1000番台では排気ガス低減の観点から燃焼効率の上がったN-DMF13HZJ形(出力460PS)に変更された。全車2基搭載している。
また、キハ281系・キハ283系と同様に先頭車両は高運転台を採用している。車両のデザインはデンマーク国鉄(DSB)と共同製作された。
なお、高額でランニングコストもかかるキハ283系に代わるものとして、今後キハ183系の置き換えに充当される模様である。その第一弾として、2006年秋に1000番台が完成した(後述)。
100番台は苗穂運転所(札幌市東区)に、1000番台は札幌運転所(札幌市手稲区)に配置されている。
[編集] 100番台
函館本線・宗谷本線を走る特急「スーパー宗谷」で運用されている。編成記号は「SE」。
基本は4両編成であるが2両で1ユニットを組み、札幌方2両にはSE-100番台、グリーン室と普通室の合造車である先頭車(キロハ261-200番台)を含めた稚内方にはSE-200番台の編成番号が与えられている。増結時は基本の4両編成に別の2両ユニットを増結した6両編成となる。登場当初は4両基本編成が3本のみであったため、増結した際に予備車無しの状態が続いた。これを解消するため、後に札幌方100番台2両1ユニット(SE-104編成)を増備した。
しかし、6両編成時において宗谷本線の一部の駅ではホーム有効長が短いため、2両程度がホームにかからないことがある。
なお、後に増備された2両を除いて第三セクター「北海道高速鉄道開発」の所有で、JR北海道がリースするという形態で使用されている。SE-104編成はJR北海道が所有している。
[編集] SE-200番台
SE-201~SE-203の3編成6両が配置されている。
- キロハ261-200
- 基本的に1号車として使用されている。稚内方先頭車でグリーン室と普通室の合造車。車販準備室を備える。シートの色は青で、グリーン車の床は黒と白のダイヤゴナルパターンのじゅうたんである。定員はグリーン席9名、普通席28名。増結車が前方に配置されていると、21号車になる(指定席)。
- キハ260-200
- 基本的に2号車として使用されている。トイレ、洗面所、電話室を備える。シートの色は赤で定員60名(指定席)。増結車が前方に配置されると、22号車となり、自由席(時期や事情によっては指定席になる)。
[編集] SE-100番台
SE-101~SE-104の4編成8両が配置されている。SE-104編成の座席は手すりがあり、腕かけが大型である。
- キハ260-100
- 基本的に3号車として使用されている。移動制約者対応設備(座席および洗面所付きトイレ)、車掌室を備える。この車両のみ機関1基搭載。シートの色は緑で定員51名。増結時に後方に配置される5号車は自由席(時期によっては指定席になる)。
- キハ261-100
- 基本的に4号車として使用されている。札幌方先頭車。シートの色は青で定員56名。増結車が後方に配置されると4号車は指定席になる(6号車は自由席)。
[編集] 編成
- 通常
- (↑稚内方面)
- キロハ261-200(1号車・グリーン/指定)
- キハ260-200(2号車・指定)
- キハ260-100(3号車・指定)
- キハ261-100(4号車・自由)
- (↓札幌方面)
- 前方増結
- (↑稚内方面)
- キロハ261-200(21号車・グリーン/指定)
- キハ260-200(22号車・自由)
- キロハ261-200(1号車・グリーン/指定)
- キハ260-200(2号車・指定)
- キハ260-100(3号車・指定)
- キハ261-100(4号車・自由)
- (↓札幌方面)
- 後方増結
- (↑稚内方面)
- キロハ261-200(1号車・グリーン/指定)
- キハ260-200(2号車・指定)
- キハ260-100(3号車・指定)
- キハ261-100(4号車・指定)
- キハ260-100(5号車・自由)
- キハ261-100(6号車・自由)
- (↓札幌方面)
[編集] 1000番台
1000番台は、「とかち」で運用されているキハ183系の置き換えを目的に製造される車両である。投入後は全列車が「スーパーとかち」へ変更される予定である。編成記号は「ST」。
本形式は苗穂工場で機器の艤装作業を行うノックダウン生産である。そのため、川崎重工業から構体と台車を購入し、川崎重工業兵庫工場(兵庫県神戸市兵庫区)からJR北海道苗穂工場(札幌市東区)へ13両分(2005年10月に5両、2006年5月に4両、同年8月に4両)が甲種車両輸送された。内訳は、キロ261-1100(Mcs)、キハ260-1100(M1)、キハ260-1200(M2)、キハ261-1200(Mc)が各2両、増結用のキハ260-1300(M3)が5両である。
前頭デザインは789系に近いものとなっている。幌も789系と共通化し、モニタ装置の伝送方式も違うために100番台と併結することはできない。先頭車を介した増結は前提になく、自動幌は準備工事になっている。
先頭車のロゴマークは、スーパー宗谷向け車両と同じ「Tilt261 Active Air Suspension System」である。配色もスーパー宗谷向け車両を踏襲しているが、スーパー宗谷ではエゾカンゾウ(道北などに自生する初夏の花)をイメージした黄色だったドア周りのアクセントカラーをエゾスカシユリ(道東などに自生する夏の花)をイメージした橙色に変更している。
客室の窓は、最初から強化ガラスとポリカーボネートを合わせた複層構造の窓であるため、追加工事でポリカの板を取り付けた100番台やキハ283系のような外観にはなっていない。
2006年9月に第1編成4両(キロ261-1101+キハ260-1101+キハ260-1201+キハ261-1201)が落成し、2007年1月には増結用2両(キハ260-1301、キハ260-1302)が落成した。(一方、工場内には構体のままブルーシートをかけられて留置されているものもある。)
[編集] 番台別概説
- キロ261-1100(Mcs)
- 1号車で帯広方先頭になる。全室グリーン車。定員24名。札幌方に多目的室・車販準備室・業務用室がある。ほかのJR北海道の特急型列車と同様に運転台の乗務員用出入扉を省略しているので、帯広方に車掌台(戸閉スイッチ、ブザ、非常引スイッチ)を設置してある。腰掛は青色の牛革製で、床のじゅうたんは200番台と同じ、黒と白のダイヤゴナルパターンとなっている。
- キハ260-1100(M1)
- 2号車(普通車)で定員50名。腰掛の色は緑。帯広方に車椅子対応便所・男子便所・車椅子スペース(デッキ)、札幌方に車掌室・業務用室を設置。簡易運転台(札幌方)は準備工事。
- キハ260-1300(M3)
- 3号車にあたり、M1とM2の間に挿入する形で連結する。普通車で定員60名。腰掛の色は青。M2車がベースであるが、電話室は荷物置場にしてあり、簡易運転台は準備工事も行っていない。M1車の後位、M2車の前位と合わせて、M3車の前後とも密着式自動連結器になっているため、連結作業が容易に行える。
- キハ260-1200(M2)
- 4号車(普通車)で定員60名。腰掛の色は緑。帯広方に電話室、札幌方に洋式便所・男子便所を設置。こちらもM1車と同様に簡易運転台(帯広方)は準備工事である。
- キハ261-1200(Mc)
- 札幌方先頭の5号車である。普通車で定員56名。腰掛の色は青。札幌方に車掌台がある。
[編集] 備考
- 今後の状況如何では、予備編成などの必要性からさらに増備する可能性がある。
- JR北海道では、今後の技術力の向上、伝承を図るためにグループ会社によるノックダウン生産を決めた。また、自社で艤装を行うことによりメンテナンスの迅速化が予想される。なお、自社による製造はキハ282-2001以来である。
[編集] 放送チャイム
基本的には、キハ281系・キハ283系と同じものを搭載している。2006年3月18日以降は自動放送の更新に伴い、稚内行は札幌発車後、札幌行は南稚内発車後に「アルプスの牧場」、旭川到着前・発車後は「ハイケンスのセレナーデ」、稚内・札幌終着前には「鉄道唱歌」が流れるようになった。
[編集] 関連項目
- JR北海道の在来線車両 (■国鉄引継車を含む全一覧 / ■カテゴリ) ■Template ■ノート
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