宗谷本線
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宗谷本線(そうやほんせん)は、北海道上川支庁の旭川駅(旭川市)から名寄駅(名寄市)を経て、宗谷支庁の稚内駅(稚内市)を結ぶ北海道旅客鉄道(JR北海道)が運営する鉄道路線(地方交通線)である。
日本最北の地に至る鉄道である。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別)・区間(営業キロ)
- 駅数:54駅(起終点駅・貨物駅含む)
- 軌間:1067mm
- 複線区間:
- 旭川~新旭川 3.7km
- 電化区間
- 閉塞方式
- 交換可能な駅は駅一覧を参照。
- 最高速度:130km/h(旭川~名寄間)
[編集] 歴史
当時日本領(現在はロシア領)だった樺太(サハリン)への連絡鉄道として、建設が進められたものである。終点の稚内からは、大泊(コルサコフ)への鉄道連絡船(稚泊航路)が太平洋戦争終戦時まで就航していた。 この為、全国的に列車本数の削減がたびたび行われた太平洋戦争当時にあって、北海道内で最後まで急行列車が運行されていた。
建設は、1898年の旭川~永山間が北海道官設鉄道によって開業したのに始まり、1903年には名寄に到達。以降は官設鉄道によって建設が進められ、1922年に稚内まで全通した。この時に開業したのは、後に天北線となる浜頓別経由のルートであった。現在の幌延経由のルートは1922年から1926年にかけて天塩線(てしおせん)として建設されたもので、1930年に幌延経由の天塩線が宗谷線に編入され、浜頓別経由のルートは北見線(天北線)として分離された。
太平洋戦争敗後は、樺太連絡の使命は失ったものの、道北に向かう主要幹線で、一貫して優等列車が運転され続けている。2000年3月には、旭川~名寄間の高速化改良が完成し、特急の運転が開始された。
現在は、接続する支線を全て失い、稚内に至る唯一の鉄道となっている。
[編集] 年表
[編集] 北海道官設鉄道天塩線
- 1898年8月12日 【開業】北海道官設鉄道天塩線 旭川~永山 【駅新設】永山
- 1898年11月25日 【延伸開業】永山~蘭留 【駅新設】比布、蘭留
- 1899年11月15日 【延伸開業】蘭留~和寒 【駅新設】和寒
- 1900年8月5日 【延伸開業】和寒~士別 【駅新設】剣淵、士別
- 1903年9月3日 【延伸開業】士別~名寄 【駅新設】多寄、風連、名寄
[編集] 官設鉄道宗谷線
- 1905年4月1日 【移管】官設鉄道
- 1909年10月12日 【国有鉄道線路名称設定】 天塩線
- 1911年11月3日 【延伸開業】名寄~恩根内 【駅新設】智恵文、美深、紋穂内、恩根内
- 1912年9月21日 【線名改称】宗谷線
- 1912年11月5日 【延伸開業】恩根内~音威子府 【駅新設】咲来、音威子府
- 1914年11月7日 【延伸開業】音威子府~小頓別 【駅新設】上音威子府、小頓別
- 1916年9月5日 【信号所新設】塩狩
- 1916年10月1日 【延伸開業】小頓別~中頓別 【駅新設】上頓別、敏音知、松音知、中頓別
- 1918年8月25日 【延伸開業】中頓別~浜頓別 【駅新設】下頓別、浜頓別
- 1919年10月20日 【線名改称】宗谷本線
- 1919年11月1日 【延伸開業】浜頓別~浅茅野 【駅新設】山軽、浅茅野
- 1920年11月1日 【延長開業】浅茅野~鬼志別 【駅新設】猿払、芦野、鬼志別
- 1921年10月5日 【線名改称】 宗谷線
- 1922年4月1日 【信号所→信号場】塩狩
- 1922年11月1日 【延伸開業】鬼志別~稚内 【駅新設】小石、曲淵、沼川、樺岡、幕別、声問、稚内
- 1922年11月4日 【線名改称】 宗谷本線 【駅新設】新旭川
- 1924年6月1日 【駅新設】智東
- 1924年11月25日 【信号場→駅】塩狩
- 1928年12月26日 【延伸開業】稚内~稚内港 【駅新設】稚内港
[編集] 音威子府~幌延~南稚内間
[編集] 天塩南線
- 1922年11月8日 【開業】天塩線音威子府~誉平 【駅新設】筬島、神路、誉平
- 1923年11月10日 【延伸開業】誉平~問寒別 【駅新設】宇戸内、問寒別
- 1924年6月25日 【線名改称】天塩線→天塩南線
- 1925年7月20日 【延伸開業】天塩南線問寒別~幌延 【駅新設】雄信内、安牛、上幌延、幌延
[編集] 天塩北線
[編集] 天塩線全通以後
[編集] 天塩線編入以後
- 1930年4月1日 天塩線を宗谷本線に編入。宗谷本線旭川~幌延~稚内港 (258.9km)。同時に音威子府~浜頓別~稚内間 (149.9km) を分離し、北見線(後の天北線)に改称
- 1938年10月1日 【駅新設】稚内桟橋(稚内駅構内の仮乗降場扱い)
- 1939年2月1日 【駅名改称】稚内→南稚内 稚内港→稚内
- 1945年8月25日 稚泊航路運航停止(稚内桟橋駅実質廃止)
- 1946年10月10日 【仮乗降場新設】豊清水
- 1947年12月?日 【仮乗降場新設】北永山
- 1948年6月?日 【仮乗降場新設】初野
- 1950年1月15日 【仮乗降場→駅】豊清水
- 1951年7月20日 【駅名改称】誉平→天塩中川、宇戸内→歌内
- 1952年11月6日 【改キロ】抜海~南稚内~稚内(+0.5km) 南稚内駅、稚内駅移転
- 1955年12月2日 【仮乗降場新設】西永山、南比布、北比布、下士別、琴平、下中川、糠南
- 1956年1月?日 【仮乗降場新設】東六線
- 1956年5月1日 【仮乗降場新設】上雄信内
- 1956年7月1日 【仮乗降場新設】南美深、南咲来
- 1956年9月1日 【仮乗降場新設】瑞穂
- 1956年9月20日 【駅新設】東風連
- 1957年2月1日 【仮乗降場新設】南下沼
- 1959年11月1日 【駅新設】日進、北星、南幌延 【仮乗降場新設】北剣淵、智北 【仮乗降場→駅】西永山、北永山、南比布、北比布、東六線、下士別、南美深、初野、下中川
- 1967年11月1日 【駅廃止】西永山
- 1968年10月1日 【駅新設】(貨)北旭川
- 1971年??月??日 【複線化】旭川~新旭川
- 1973年9月29日 【仮乗降場→駅】旭川四条(仮乗降場としての設置日は不明)
- 1977年5月25日 【駅→信号場】神路
- 1981年7月?日 【仮乗降場名改称】南咲来→天塩川温泉
- 1984年2月1日 【貨物営業廃止】名寄~稚内間
- 1984年11月10日 【無人化】通票閉塞廃止に伴い永山、士別、名寄、美深、音威子府、幌延、南稚内、稚内の各駅を除くすべての29駅で出札・改札業務を停止し無人化され運転要員のみとなる
- 1985年3月14日 【信号場廃止】神路
- 1986年11月1日 【完全無人化】CTC化に伴い上記29駅すべて駅員無配置となる
- 1987年4月1日 【承継】北海道旅客鉄道(第1種)・日本貨物鉄道(第2種・旭川~名寄) 【駅→臨時駅】智東 【仮乗降場→駅】北剣淵、瑞穂、智北、天塩川温泉、琴平、糠南、上雄信内、南下沼
- 1990年9月1日 【駅廃止】琴平
- 2001年7月1日 【駅廃止】下中川、上雄信内、芦川
- 2002年11月4日 【複線化】新旭川~旭川運転所
- 2003年5月10日 【電化】旭川~旭川運転所
- 2006年3月18日 【駅廃止】智東、南下沼
[編集] 運転
[編集] 広域輸送
札幌~稚内間を直通する特急が3往復運転されている。うち、2往復は車体傾斜機能を備えた261系気動車を使用した最速達列車「スーパー宗谷」、1往復は183系気動車を使用した「サロベツ」である。このほか臨時列車として同じく183系気動車で、中間に14系寝台客車(B寝台)1両を組み込んだ夜行列車の「はなたび利尻」がある。この列車は、2006年春のダイヤ改正まで「利尻」の名で定期列車として運転されていたが、同改正時より夏季のみ運転の季節列車となった。
[編集] 地域輸送
名寄を境に南北に運転系統が分かれており、旭川~名寄間は4往復の快速「なよろ」のほか、同区間の普通列車に旭川~永山・比布間の区間列車が加わり、概ね1~2時間に1本の運行になっている。1日1往復、旭川と稚内を結ぶ普通列車が設定されている。
名寄以北は、1991年に設置された宗谷北線運輸営業所が管轄する区間で、運転本数は半減し、3~4時間に1本程度となる。一部に名寄以南に直通する列車もある。名寄以南は旭川運転所の運転士が担当する。
車両は、旭川~名寄間にはキハ40系気動車・キハ54形気動車が、名寄~稚内間にはキハ54形気動車が使われているが、名寄~音威子府間は回送を含む上下各2本には旭川からの直通でキハ40系気動車も使われている。また、旭川~永山・比布間には富良野線用のキハ150形気動車が使われていることもある。全てワンマン運転であり、ドアは前側のみ開く。旭川駅、稚内駅は終日改札を行うため最終列車まで全てのドアが開くが永山駅、士別駅、名寄駅、美深駅、音威子府駅、幌延駅、南稚内駅は終日改札は行わないため、みどりの窓口の営業終了時間以降に発着する列車は前側のドアのみ開く。(特急列車は除く)
そのほか、旭川駅~北旭川貨物駅・旭川運転所間に貨物列車(DD51形、DF200形牽引)・回送列車(気動車・電車)も数多く運転されている。そのうち、旭川駅~新旭川駅間は前述の列車に加えて石北本線の列車(普通列車、特別快速「きたみ」、特急「オホーツク」)も運転されていてこの区間では運転本数が多い。
[編集] 駅一覧及び接続路線
駅名 | 営業キロ | 快速 | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
旭川駅* | 0.0 | ● | 北海道旅客鉄道:函館本線、富良野線 | 北海道 | 旭川市 |
旭川四条駅 | 1.8 | ▲ | |||
新旭川駅 | 3.7 | | | 北海道旅客鉄道:石北本線 | ||
(貨)北旭川駅 | 6.6 | | | |||
| | |||||
#永山駅* | 9.3 | ● | |||
北永山駅 | 11.4 | | | |||
南比布駅 | 14.7 | | | 上川郡比布町 | ||
#比布駅 | 17.1 | ● | |||
北比布駅 | 20.2 | | | |||
#蘭留駅 | 22.8 | ▲ | |||
#塩狩駅 | 28.4 | ▲ | 上川郡和寒町 | ||
#和寒駅 | 36.3 | ● | |||
東六線駅 | 41.4 | | | 上川郡剣淵町 | ||
#剣淵駅 | 45.2 | ● | |||
北剣淵駅 | 50.2 | | | |||
#士別駅* | 53.9 | ● | 士別市 | ||
下士別駅 | 58.3 | | | |||
多寄駅 | 61.7 | ▲ | |||
瑞穂駅 | 64.5 | | | |||
#風連駅 | 68.1 | ▲ | 名寄市 | ||
東風連駅 | 72.6 | | | |||
#名寄駅* | 76.2 | ● | |||
日進駅 | 80.2 | ||||
84.9 | |||||
北星駅 | 89.3 | ||||
智恵文駅 | 91.2 | ||||
智北駅 | 93.3 | ||||
南美深駅 | 95.6 | 中川郡美深町 | |||
#美深駅* | 98.3 | ||||
初野駅 | 101.9 | ||||
紋穂内駅 | 105.0 | ||||
恩根内駅 | 112.1 | ||||
#豊清水駅 | 117.9 | ||||
天塩川温泉駅 | 121.5 | 中川郡音威子府村 | |||
咲来駅 | 124.7 | ||||
#音威子府駅* | 129.3 | ||||
筬島駅 | 135.6 | ||||
(143.1) | 中川郡中川町 | ||||
#佐久駅 | 153.6 | ||||
#天塩中川駅 | 161.9 | ||||
165.8 | |||||
歌内駅 | 170.3 | ||||
問寒別駅 | 175.8 | 天塩郡幌延町 | |||
糠南駅 | 178.0 | ||||
181.5 | |||||
#雄信内駅 | 183.7 | ||||
安牛駅 | 189.7 | ||||
南幌延駅 | 191.6 | ||||
上幌延駅 | 194.6 | ||||
#幌延駅* | 199.4 | ||||
205.6 | |||||
下沼駅 | 207.2 | ||||
#豊富駅 | 215.9 | 天塩郡豊富町 | |||
徳満駅 | 220.9 | ||||
226.6 | |||||
#兜沼駅 | 230.9 | ||||
勇知駅 | 236.7 | 稚内市 | |||
#抜海駅 | 245.0 | ||||
#南稚内駅* | 256.7 | ||||
稚内駅* | 259.4 |
- 旭川~新旭川間は複線、新旭川~稚内間は単線。
- #印の駅は、単線区間(新旭川~稚内間)で列車の交換可能な駅。
- *印の駅は、駅員配置駅(みどりの窓口設置駅)。但し、早朝・夕方・夜間は無配置駅となる場合あり。
- ●:すべての列車が停車 ▲:一部の列車のみ停車 |:通過
[編集] 過去の接続路線
- 旭川四条駅:旭川電気軌道 東旭川線・東川線 - 1973年(昭和48年)1月1日廃止
- 名寄駅:
- 美深駅:美幸線 - 1985年(昭和60年)9月17日廃止
- 音威子府駅:天北線 - 1989年(平成元年)5月1日廃止
- 幌延駅:羽幌線 - 1987年(昭和62年)3月30日廃止
- 南稚内駅:天北線