室蘭本線
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室蘭本線(むろらんほんせん)は、北海道旅客鉄道(JR北海道)が運営する鉄道路線(幹線)である。
北海道渡島支庁管内の山越郡長万部町の長万部駅から、胆振支庁管内の室蘭市、苫小牧市等を経て空知支庁管内の岩見沢市の岩見沢駅までを結ぶ本線と、室蘭市の東室蘭駅から室蘭駅までを結ぶ支線からなる。
線内の白老駅~沼ノ端駅間、28.736kmの区間は日本最長の鉄道直線区間として知られる。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別)・区間(営業キロ)
- 駅数:47(うち貨物駅1、他に信号場1、起終点駅を含む)
- 軌間:1067mm
- 複線区間:総計176.7km (単線・複線の別は駅一覧も参照)
- 長万部~洞爺 41.5km
- 有珠~長和 4.9km
- 稀府~三川 118.2km
- 由仁~栗山 5.1km
- 室蘭~東室蘭 7.0km
- 電化区間:室蘭~沼ノ端 74.9km(交流20,000V・50Hz)
- 閉塞方式:自動閉塞式
廃止区間
- 室蘭~西室蘭 (1.4km・貨物線) - 1960年5月10日開業 - 1985年3月14日廃止
[編集] 歴史
室蘭本線は、歴史的に北海道炭礦鉄道によって建設され、鉄道国有法により国有化された室蘭~岩見沢間と、その後国有鉄道長輪線(おさわせん・ちょうりんせん)として建設された長万部~東室蘭間に分かれる。
[編集] 室蘭~岩見沢間
[編集] 北海道炭礦鉄道
- 1892年8月1日 【開業】室蘭~岩見沢 【駅新設】室蘭(初代)、幌別、登別、白老、苫小牧、追分、由仁
- 1893年7月1日 【駅新設】栗山
- 1894年8月1日 【駅新設】早来
- 1894年10月1日 【駅新設】清真布
- 1897年2月16日 【駅新設】敷生、三川
- 1897年7月1日 【駅名改称】室蘭(初代)→輪西 【延伸開業】室蘭(2代)~輪西 【駅新設】室蘭(2代)
- 1898年2月1日 【駅新設】錦多峰、沼ノ端
- 1901年12月1日 【駅新設】鷲別
- 1902年8月1日 【駅新設】(貨)志文
- 1902年9月21日 【駅新設】遠浅
- 1902年10月11日 【駅新設】安平
- 1903年4月21日 【貨物駅→一般駅】志文
- 1905年6月21日 【駅新設】(貨)御崎
[編集] 国有鉄道(官設鉄道)
- 1906年10月1日 【買収・国有化】北海道炭礦鉄道買収。室蘭~岩見沢間が官設線となる
- 1907年12月25日 【信号所新設】知床、社台
- 1909年10月12日 【国有鉄道線路名称設定】室蘭本線 室蘭~岩見沢
- 1909年10月15日 【信号所→駅】(貨)知床、(貨)社台
- 1910年12月29日 【複線化】室蘭~輪西
- 1912年4月1日 【貨物駅→一般駅】知床
- 1917年6月1日 【信号所新設】小糸魚、一本松 【貨物駅→一般駅】社台
- 1920年8月7日 【信号所廃止】一本松
- 1920年9月1日 【複線化】苫小牧~遠浅
- 1921年10月4日 【複線化】遠浅~追分
- 1922年4月1日 【信号所→信号場】小糸魚
- 1922年6月1日 【貨物駅→一般駅】御崎
- 1926年6月25日 【複線化】登別~敷生
- 1926年7月10日 【複線化】幌別~登別
- 1928年8月5日 【駅新設】虎杖浜
- 1928年9月10日 【駅名改称】輪西(初代)→東輪西 【駅新設】輪西(2代)
[編集] 長万部~東室蘭間(長輪線)
- 1923年12月10日 【開業】長輪線 長万部~静狩(10.6km) 【駅新設】静狩
- 1925年8月20日 【開業】長輪東線 輪西~伊達紋別 【駅新設】伊達紋別、稀府、黄金蘂、本輪西 【線名改称】長輪線→長輪西線 長万部~静狩(長輪東線開業により)
- 1928年9月10日 【延伸開業・全通】静狩~伊達紋別 【駅新設】礼文、小鉾岸、弁辺、虻田、有珠、長流 【線名改称】長輪西線・長輪東線→長輪線 長万部~東輪西(長輪西線に長輪東線を編入)
[編集] 統合後
- 1931年4月1日 【区間統合】室蘭本線 長万部~岩見沢、東輪西~室蘭(長輪線を室蘭本線に編入し、東輪西~室蘭間を支線とする。)
- 1931年9月1日 【駅名改称】東輪西→東室蘭
- 1935年4月1日 【駅名改称】小鉾岸→大岸、弁辺→豊浦
- 1935年12月29日 【駅新設】母恋
- 1942年4月1日 【駅名改称】敷生→竹浦、知床→萩野
- 1943年7月1日 【複線化】東室蘭~幌別
- 1943年9月25日 【信号場新設】旭浜、古山、栗丘
- 1943年9月30日 【信号場新設】小幌
- 1944年7月5日 【複線化】追分~三川
- 1944年10月1日 【複線化】本輪西~東室蘭 【信号場新設】豊住、伊達舟岡、陣屋町
- 1945年4月20日 【信号場新設】鳥伏
- 1945年8月1日 【信号場新設】北入江
- 1946年4月1日 【信号場→駅】古山、栗丘
- 1947年11月1日 【信号場廃止】鳥伏
- 1948年7月1日 【信号場→仮乗降場】北入江 【信号場廃止】伊達舟岡
- 1949年9月1日 【駅名改称】清真布→栗沢
- 1949年9月15日 【信号場→仮乗降場】豊住
- 1950年9月10日 【駅名改称】錦多峰→錦岡
- 1952年11月15日 【駅名改称】黄金蘂→黄金
- 1953年7月15日 【信号場→駅】陣屋町
- 1953年11月20日 【複線化】小糸魚~苫小牧
- 1953年12月20日 【駅新設】富浦
- 1954年9月26日 【複線化】錦岡~小糸魚
- 1955年11月1日 【仮乗降場新設】崎守町
- 1956年4月1日 【信号場→駅・改称】小糸魚→糸井
- 1957年9月30日 【複線化】白老~錦岡
- 1957年11月30日 【複線化】萩野~白老
- 1958年11月10日 【複線化】竹浦~萩野
- 1959年10月1日 【駅名改称】長流→長和
- 1960年5月10日 【貨物支線開業】室蘭~西室蘭(1.4km) 【駅新設】(貨)西室蘭
- 1960年10月1日 【仮乗降場→駅・改称】豊住→豊泉
- 1961年10月1日 【複線化】志文~岩見沢 【仮信号場新設】一本松
- 1962年11月1日 【駅名改称】虻田→洞爺
- 1963年?月?日 【仮信号場廃止】一本松
- 1963年9月30日 【信号場新設】北舟岡
- 1964年7月5日 【複線化】静狩~小幌
- 1964年9月29日 【複線化】小幌~礼文
- 1964年9月30日 【仮乗降場→信号場】北入江
- 1965年11月1日 【駅新設】北吉原
- 1967年10月1日 【信号場→仮乗降場】小幌
- 1968年5月15日 【駅廃止】豊泉
- 1968年9月5日 【複線化】有珠~長和
- 1968年9月15日 【複線化】由仁~栗山
- 1968年9月19日 【複線化】黄金~陣屋町 【駅新設】崎守 【仮乗降場廃止】崎守町
- 1968年9月25日 【複線化】大岸~豊浦
- 1968年11月15日 【複線化】稀府~黄金
- 1969年9月19日 【複線化】長万部~静狩
- 1969年9月20日 【信号場→仮乗降場】旭浜
- 1969年9月22日 【複線化】栗山~栗丘
- 1970年6月30日 【複線化】大岸~洞爺
- 1970年8月1日 【旅客駅→貨物駅】陣屋町
- 1975年10月22日 【複線化】礼文~大岸
- 1978年10月3日 【複線化】陣屋町~本輪西
- 1980年10月1日 【電化】室蘭~東室蘭~沼ノ端(74.9km)
- 1985年3月14日 【貨物支線廃止】室蘭~西室蘭(1.4km) 【駅廃止】(貨)西室蘭 【貨物営業廃止】御崎~室蘭
- 1986年11月1日 東室蘭~御崎間貨物営業廃止 【信号場廃止】北入江
- 1987年4月1日 【承継】北海道旅客鉄道(第1種)・日本貨物鉄道(第2種) 【仮乗降場→駅】旭浜、小幌 【信号場→駅】北舟岡
- 1988年11月3日 【駅新設】青葉
- 1990年4月23日 【単線化】栗山~栗丘 栗山トンネル崩壊により旧下り線を廃止
- 1994年3月16日 【信号場新設】北入江(2代)
- 1994年11月1日 【改キロ】志文~岩見沢(+1.7km)(休止していた旧貨物線ルートの復活改良に伴う線路付け替えにより)
- 1997年10月1日 【改キロ】母恋~室蘭(-1.1km)(室蘭駅移設により)
- 2006年3月18日 【駅廃止】旭浜
[編集] 運転
[編集] 広域輸送
長万部駅~東室蘭駅~沼ノ端駅間では、函館からの函館本線、札幌への千歳線とともに、函館駅~札幌駅間をつなぐ幹線ルートとして多くの特急列車、急行列車や貨物列車が運転されている。また東室蘭駅~室蘭駅間では札幌への特急「すずらん」が同区間に普通列車として乗り入れている。この区間と千歳線を合わせた区間は、函館本線の長万部駅~小樽駅間の通称「山線」に対する呼称として「海線」と呼ばれることがある。
[編集] 地域輸送
おおむね、「長万部~東室蘭」「東室蘭~室蘭」「東室蘭~苫小牧」「苫小牧~岩見沢」に運行系統が分かれている。また1日1往復、苫小牧駅~長万部駅間を通して運行する便もある。
- 長万部駅~東室蘭駅間では、この区間通しの列車のほか、豊浦駅・洞爺駅・伊達紋別駅~東室蘭駅・室蘭駅間の区間列車がある。小幌駅については、一部の列車が通過する。特急街道ではあるが、北海道新幹線の計画(室蘭本線は北海道新幹線の並行在来線ではないが)を口実に、1980年の沼ノ端駅~室蘭駅の電化以降も非電化、一部区間で単線のままである。
- 東室蘭駅~室蘭駅間では、この区間のみの運転の他、長万部方面や苫小牧方面の列車が乗り入れてくることも多い。また「すずらん」もこの区間では普通列車の体系を補完する役も果たしている。この区間は電化区間であるが、列車は半数以上が気動車である。変わった運用としては、東室蘭駅~室蘭駅間の早朝の一部の便が「すずらん」用の781系電車を間合い運用している。
- 東室蘭駅~苫小牧駅間では、この区間通しの列車の他、室蘭駅・東室蘭駅~登別駅間や、糸井駅~苫小牧駅間で区間列車がある。この区間の普通列車は電車(711系電車)が中心だが、気動車で運転される場合はワンマン運転となる。1日1往復、手稲駅・札幌駅~東室蘭駅で運転される長距離普通列車がある。
- 苫小牧~岩見沢間は、かつては内陸部の産炭地から太平洋岸の港まで石炭を運び出すための路線として重要視されていたが、石炭産業が衰退した現在では札幌を通らないことや、栗山駅で接続していた北海道炭礦汽船夕張鉄道線の廃線が致命的な弱点となって、千歳線乗り入れのある苫小牧駅~沼ノ端駅間を除けば、ローカル輸送のための普通列車が運転されているほかは、本州から道北・道東に直通する貨物列車がわずかに通過するのみである。特記すべき列車としては、1日1往復ある糸井駅までの乗り入れや、1日1便(下り便のみ)の石勝線乗り入れの列車(苫小牧駅→追分駅→夕張駅)がある。
[編集] 使用される車両
[編集] 特急・急行列車
- 特急 スーパー北斗:キハ281系・キハ283系
- 特急 北斗:キハ183系
- L特急 すずらん:781系
- 特急 北斗星:24系客車
- 特急 トワイライトエクスプレス:24系客車
- 特急 カシオペア:E26系客車
- 急行 はまなす:14系客車
[編集] 普通列車
- 711系電車
- 室蘭駅~東室蘭駅~苫小牧駅間の普通列車に使用される(1日1往復が千歳線へ直通するため苫小牧駅~沼ノ端駅でも運転があることになる)。
- 781系電車
- 室蘭駅~東室蘭駅では特急すずらんが普通列車扱いとなる。また室蘭駅~東室蘭駅間のみの普通列車にも間合い運用で使用されている便がある。
- キハ40形気動車
- 全区間で使用されている。
- キハ150形気動車
- 苫小牧駅~岩見沢駅を除く全区間で使用されている。
- キハ160形気動車
- 苫小牧駅~追分駅間の1往復のみ(キハ40系のこともある)。通常日高本線で使っている車両を間合い運用している物。
- 721系電車、731系電車
- これらは苫小牧駅~沼ノ端駅間の千歳線直通便のみで使用される。
[編集] 駅一覧・接続路線
- |:単線区間 ∧:これより下は複線 ∥:複線区間 ∨:これより下は単線
- 取り消し線が引かれている駅は、廃止となった駅。
駅名 | 営業キロ | 接続路線 | 単線/複線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
本線 | |||||
長万部駅 | 0.0 | 北海道旅客鉄道:函館本線 | ∥ | 北海道 | 山越郡長万部町 |
5.3 | ∥ | ||||
静狩駅 | 10.6 | ∥ | |||
小幌駅 | 17.5 | ∥ | 虻田郡豊浦町 | ||
礼文駅 | 23.6 | ∥ | |||
大岸駅 | 27.7 | ∥ | |||
豊浦駅 | 36.1 | ∥ | |||
洞爺駅 | 41.5 | ∨ | 虻田郡洞爺湖町 | ||
北入江信号場 | (44.5) | | | |||
有珠駅 | 46.6 | ∧ | 伊達市 | ||
長和駅 | 51.5 | ∨ | |||
伊達紋別駅 | 54.5 | | | |||
北舟岡駅 | 57.4 | | | |||
稀府駅 | 60.6 | ∧ | |||
黄金駅 | 65.1 | ∥ | |||
崎守駅 | 67.3 | ∥ | 室蘭市 | ||
(貨)陣屋町駅 | 69.7 | ∥ | |||
本輪西駅 | 72.7 | ∥ | |||
東室蘭駅 | 77.2 | 北海道旅客鉄道:室蘭本線(室蘭方面) | ∥ | ||
(貨)東室蘭駅 | 78.2 | ∥ | |||
鷲別駅 | 79.1 | ∥ | 登別市 | ||
幌別駅 | 86.8 | ∥ | |||
富浦駅 | 92.3 | ∥ | |||
登別駅 | 94.7 | ∥ | |||
虎杖浜駅 | 98.1 | ∥ | 白老郡白老町 | ||
竹浦駅 | 102.9 | ∥ | |||
北吉原駅 | 105.7 | ∥ | |||
萩野駅 | 107.8 | ∥ | |||
白老駅 | 113.6 | ∥ | |||
社台駅 | 119.1 | ∥ | |||
錦岡駅 | 125.4 | ∥ | 苫小牧市 | ||
糸井駅 | 130.6 | ∥ | |||
青葉駅 | 132.8 | ∥ | |||
苫小牧駅 | 135.2 | 北海道旅客鉄道:日高本線 | ∥ | ||
(貨)苫小牧駅 | 138.6 | ∥ | |||
沼ノ端駅 | 144.0 | 北海道旅客鉄道:千歳線 | ∥ | ||
遠浅駅 | 152.9 | ∥ | 勇払郡安平町 | ||
早来駅 | 158.3 | ∥ | |||
安平駅 | 164.0 | ∥ | |||
追分駅 | 170.8 | 北海道旅客鉄道:石勝線 | ∥ | ||
三川駅 | 178.8 | ∨ | 夕張郡由仁町 | ||
古山駅 | 182.2 | | | |||
由仁駅 | 186.4 | ∧ | |||
栗山駅 | 191.5 | ∨ | 夕張郡栗山町 | ||
栗丘駅 | 195.7 | | | 岩見沢市 | ||
栗沢駅 | 199.6 | | | |||
志文駅 | 203.9 | | | |||
岩見沢駅 | 211.0 | 北海道旅客鉄道:函館本線 | | | ||
支線 | |||||
東室蘭駅 | 0.0 | ∥ | 北海道 | 室蘭市 | |
輪西駅 | 2.3 | ∥ | |||
御崎駅 | 4.2 | ∥ | |||
母恋駅 | 5.9 | ∥ | |||
室蘭駅 | 7.0 | ∥ |
[編集] 廃止区間
- 貨物支線
- 室蘭駅 - 西室蘭駅
[編集] 過去の接続路線
- 虻田駅(現洞爺駅):洞爺湖電気鉄道 - 1941年5月29日廃止
- 伊達紋別駅:胆振線 - 1986年11月1日廃止
- 登別駅:登別温泉軌道 - 1933年9月1日廃止
- 沼ノ端駅:富内線(旧線) - 1943年11月1日休止(実質廃止)
- 早来駅:早来鉄道線 - 1951年3月27日廃止認可
- 栗山駅:北海道炭礦汽船夕張鉄道線 - 1975年4月1日廃止
- 志文駅:万字線 - 1985年4月1日廃止
- 岩見沢駅:幌内線 - 1987年7月13日廃止