持統天皇
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持統天皇(じとうてんのう大化元年(645年) - 大宝2年12月22日(703年1月13日))は、日本の第41代天皇。女帝である(在位:686年 - 697年)。名は鸕野讚良(うののさらら,またはうののささら)。和風諡号は2つあり、『続日本紀』の大宝3年(703年)12月17日の火葬の際の「大倭根子天之廣野日女尊」(おほやまとねこあめのひろのひめのみこと)と、『日本書紀』の養老4年(720年)に代々の天皇とともに諡された「高天原廣野姫天皇」(たかまのはらひろのひめのすめらみこと)がある。(なお『日本書紀』において「高天原」が記述されるのは冒頭の第4の一書とこの箇所のみである。)漢風諡号、持統天皇は代々の天皇とともに淡海三船による。
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[編集] 経歴
天智天皇の娘で、母は蘇我倉山田石川麻呂の娘、遠智娘(おちのいらつめ)。同母姉の大田皇女とともに、父の同母弟である大海人皇子(のちの天武天皇)の妃となった。その正妃となり、草壁皇子をもうけた。 天智天皇の晩年には、皇位継承をめぐって夫・大海人皇子と父・天智天皇の仲が悪化。大海人皇子は東宮(皇太子)を辞し、天智の死後は大和国吉野に逃れた。持統はともに吉野へ落ち、壬申の乱の間、吉野で過ごした。持統は、のち天皇に即位してからもたびたび吉野に遊んでいる。
夫が即位するとその皇后となった。夫の没後は、姉(大田皇女)の皇子・大津皇子を退けて、自分の息子である草壁皇子を皇太子としたが、即位する前に早世。数年を経て、自身が女帝として飛鳥浄御原宮で即位した。(『扶桑略記』に、「皇后朝に臨んで称制し 丁亥の歳をもって元年となす 四年に至って即位し 大和國高市郡明日香淨御原宮藤原宅に都す」とある)天武が、生前に皇后の病気平癒を祈願して造営を始めた大和国の薬師寺を完成させ、勅願寺とした。 694年には、かねてから造営していた藤原宮に遷都した。 697年、草壁皇子の遺児、軽皇子を15歳で立太子させた。同年譲位し、自らは天皇を後見した。 初めて、譲位後に太上天皇を名乗った。
[編集] 血縁
- 兄弟姉妹の表記は第1皇子、第2皇子等の記述を基にしたが、序列的な意味合いもあるため実際の生誕順ではない事がある。
異母兄弟姉妹
- 弟:弘文天皇・川島皇子・志貴皇子
- 妹:明日香皇女(夫:忍壁皇子)・新田部皇女(夫:天武天皇)・御名部皇女(夫:高市皇子)・阿閇皇女 元明天皇(夫:草壁皇子)・山辺皇女(夫:大津皇子)・大江皇女(夫:天武天皇)・泉皇女・水主皇女
[編集] 万葉歌人
万葉歌人としても万葉集巻1雑歌28に藤原宮御宇天皇代(高天原廣野姫天皇 元年丁亥11年譲位軽太子尊号曰太上天皇])天皇御製歌として名を留めている。
- 「春過而 夏來良之 白妙能 衣乾有 天之香來山」
この歌は小倉百人一首にも選ばれている。
- 「春すぎて 夏來にけらし白妙の衣ほすてふ天のかぐ山」小倉百人一首
[編集] 陵
陵は檜隈大内陵(奈良県高市郡明日香村大字野口)、野口王墓古墳。夫天武天皇との夫婦合葬墓である。天皇としては初めて火葬された。この陵は古代の天皇陵としては珍しく間違いないとされる。天皇の遺骨は銀の骨壺に収められていたものの、1235年に盗掘にあった際に骨壺だけ奪い去られて遺骨は近くに遺棄されたという。
[編集] 在位年と西暦との対照表
持統天皇 | 元年 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 | 6年 | 7年 | 8年 | 9年 | 10年 |
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西暦 | 687年 | 688年 | 689年 | 690年 | 691年 | 692年 | 693年 | 694年 | 695年 | 696年 |
干支 | 丁亥 | 戊子 | 己丑 | 庚寅 | 辛卯 | 壬辰 | 癸巳 | 甲午 | 乙未 | 丙申 |
持統天皇 | 11年 | |||||||||
西暦 | 697年 | |||||||||
干支 | 丁酉 |
[編集] 持統天皇を題材とした作品
[編集] 漫画
[編集] 関連項目
- 神田うの - 名が持統天皇からつけられている
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歴代天皇一覧 | |||||||||
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1 神武 | 2 綏靖 | 3 安寧 | 4 懿徳 | 5 孝昭 | 6 孝安 | 7 孝霊 | 8 孝元 | 9 開化 | 10 崇神 |
11 垂仁 | 12 景行 | 13 成務 | 14 仲哀 | 15 応神 | 16 仁徳 | 17 履中 | 18 反正 | 19 允恭 | 20 安康 |
21 雄略 | 22 清寧 | 23 顕宗 | 24 仁賢 | 25 武烈 | 26 継体 | 27 安閑 | 28 宣化 | 29 欽明 | 30 敏達 |
31 用明 | 32 崇峻 | 33 推古 | 34 舒明 | 35 皇極 | 36 孝徳 | 37 斉明 | 38 天智 | 39 弘文 | 40 天武 |
41 持統 | 42 文武 | 43 元明 | 44 元正 | 45 聖武 | 46 孝謙 | 47 淳仁 | 48 称徳 | 49 光仁 | 50 桓武 |
51 平城 | 52 嵯峨 | 53 淳和 | 54 仁明 | 55 文徳 | 56 清和 | 57 陽成 | 58 光孝 | 59 宇多 | 60 醍醐 |
61 朱雀 | 62 村上 | 63 冷泉 | 64 円融 | 65 花山 | 66 一条 | 67 三条 | 68 後一条 | 69 後朱雀 | 70 後冷泉 |
71 後三条 | 72 白河 | 73 堀河 | 74 鳥羽 | 75 崇徳 | 76 近衛 | 77 後白河 | 78 二条 | 79 六条 | 80 高倉 |
81 安徳 | 82 後鳥羽 | 83 土御門 | 84 順徳 | 85 仲恭 | 86 後堀河 | 87 四条 | 88 後嵯峨 | 89 後深草 | 90 亀山 |
91 後宇多 | 92 伏見 | 93 後伏見 | 94 後二条 | 95 花園 | 96 後醍醐 | 97 後村上 | 98 長慶 | 99 後亀山 | 100 後小松 |
北朝 | 1 光厳 | 2 光明 | 3 崇光 | 4 後光厳 | 5 後円融 | 6 後小松 | |||
101 称光 | 102 後花園 | 103 後土御門 | 104 後柏原 | 105 後奈良 | 106 正親町 | 107 後陽成 | 108 後水尾 | 109 明正 | 110 後光明 |
111 後西 | 112 霊元 | 113 東山 | 114 中御門 | 115 桜町 | 116 桃園 | 117 後桜町 | 118 後桃園 | 119 光格 | 120 仁孝 |
121 孝明 | 122 明治 | 123 大正 | 124 昭和 | 125 今上 | ※赤字は女性天皇 |