HOTEL PACIFIC
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HOTEL PACIFIC | ||
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サザンオールスターズ の シングル | ||
リリース | 2000年7月19日 | |
録音 | 2000年4月~7月 猫に小判STUDIO VICTOR STUDIO |
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ジャンル | ロック | |
時間 | 9分38秒 | |
レーベル | ビクタータイシタ | |
プロデュース | サザンオールスターズ | |
レビュー | ||
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チャート順位 | ||
ゴールド等認定 | ||
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売上枚数 | ||
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サザンオールスターズ 年表 | ||
TSUNAMI (2000年) |
HOTEL PACIFIC (2000年) |
この青い空、みどり ~BLUE IN GREEN~ (2000年) |
『HOTEL PACIFIC』(ホテル・パシフィック)は、サザンオールスターズの45枚目のシングル。2000年7月19日に発売。発売元はビクターTAISHITAレーベル。
目次 |
[編集] 解説
前作「TSUNAMI」のヒットの余韻が覚めやらぬ中で発売された。冬に発売された王道バラード前作とは正反対とも言える真夏のロックの印象が強い作品になっている。
本作発売週では当時人気の高かったGLAYの「MERMAID」、L'Arc~en~Cielの「STAY AWAY」と同発となる。サザンは前作には及ばないものの、初動で30万枚を売り上げた。結果的に週間チャートではGLAYは52万枚で1位、L'Arc~en~Cielは50万枚を売り上げて2位となり、大きく差を開けられ登場週は3位に終わった。しかし登場2週目には3組の中で最も高いセールスとなり3位をキープ。翌週には他の2組は順位を落とし続ける中2位に浮上し、最高位を記録。累計売上ではGLAYが77万枚、L'Arc~en~Cielは73万枚だったのに対し、82万枚を売り上げ、最終的に最も高い売り上げとなる。
本作発売と前後してそれまでに無かった程あらゆる音楽番組に出演した。メンバーは派手な衣装に身を包み、ダンサーを大量に起用した、前作とは180度違う三枚目路線が視聴者に強烈なインパクトを与え、成功したと言える。
特に先陣を切る形で出演した日本テレビ系『THE夜もヒッパレ』は、登場の瞬間まで他の出演者には一切知らされる事なくシークレット扱いだった為、出演者一同驚愕していた。そもそもこの番組は最新のヒット曲等をタレントがカラオケ風に唄う番組であり、サザンのような一線で活躍するバンドが自らの発売前の持ち歌をフルコーラスで披露するのは極めて異例であった。また、この番組で顔を合わせた小川直也は桑田と同じ神奈川県茅ヶ崎市生まれでありサザンのファンであった為、プロレスファンの桑田とは後に交流を深めることとなる。
ちなみに同じ週に発売したシングルの中で最も売上はが多いのは初動15位の中島みゆきの「地上の星/ヘッドライト・テールライト」であり、発売から2年半経ってオリコンチャート1位を獲得するなどの超ロングヒットは有名である。
本作はサザン初のマキシシングルである。前作「TSUNAMI」は初回盤がケースのみ12cmサイズ、Z団名義の『江ノ島 ~Southern All Stars Golden Hits Medley』がオリコンの集計上でマキシシングルであったという例はあるが、本格的なマキシとなったのはこのシングルからとなる。2005年に再発された際は8cm盤のみだった前作までが対象であり、本作はオリジナルシングル盤のみが存在している。オリジナルアルバムの発売は1998年の『さくら』から途絶えていたが、その後2005年に7年ぶりに発売されたオリジナルアルバム『キラーストリート』には発売から5年が経過した本作は収録されなかった。そのため本作はc/wも含めてシングル盤にのみ収録されている。
本作はマキシシングルになったこともあり、初めてCD-EXTRA仕様でアンケートやサザンの公式サイト、応援団へのアクセスメニューを使用することが出来た。同時に“ホテパシORIGINAL PLAYER”というソフトも期間限定でダウンロードできた。初回盤にはケース入りオリジナルジャケットが付属。これは次作「この青い空、みどり~BLUE IN GREEN~」や2004年のシングルでも行われている。また、ペアタトゥーシールと題して特製のシールも付属されていた。
[編集] 収録曲
- HOTEL PACIFIC
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ 管編曲:山本拓夫)
前作とは曲調が大きく異なるラテン歌謡ロックに仕上がり、昭和の時代を感じさせる歌詞がふんだんに登場する。WOWOWCMソングとなり、桑田佳祐の同CMでのコスチューム(小川ローザが出演した丸善石油のCMのパロディ)や、サザンの曲としては初めて本格的にダンスを取り入れ、そのダンスや演出は注目を集めた。ダンスはわざと“ダサさ”を強調し、盆踊りの要素も取り入れたという。また桑田の提案で、ビートたけしのギャグ「コマネチ!」も加えられた。
PVはヒール(悪役)であるサザンのメンバーが、パシフィックホテルのプールサイドで開かれていたアマチュアバンドのライブに突然乱入し、ホテルごと乗っ取ってしまうという内容。ラストで大森隆志が撮影中のプールに飛び込むシーンは、全くのアドリブだったとのこと。
本作はヒット曲にも拘らず、シングル盤にのみ収録。なお、本作のPVは2004年発売のPV集『ベストヒットUSAS (Ultra Southern All Stars)』に収録されているが、同DVD発売に先駆けて公式サイトでファンを対象にもう一度観たいPVのアンケート調査を行った際、見事1位に輝いたためである。
桑田はこの曲に関してアレンジ面では何度も不安を訴えており、最終マスタリングが終わった段階で、既にプレスが始まっていたにも関わらず再三に渡り手直しをしたという逸話が残っている。そのことから桑田自身アレンジ面は同2000年に行われた伝説の『茅ヶ崎ライブ ~あなただけの茅ヶ崎~』で初めて完成版を披露できたと語っている。しかしその後メンバーの大森が脱退しサザンが一旦活動を休止し、『さくら』リリース以降のサザン名義のシングル(休止前の3枚および、大森を除く5人での再結成後の1枚)の収録曲は、その"完成版"などのバージョン違いも含めて、再結成後のサザン名義オリジナルアルバム『キラーストリート』には収録されなかった。結果的にHOTEL PACIFICの“完成版”は茅ヶ崎ライブでの3ステージきりのお目見えとなってしまった。(3ステージのうち1回は、リハーサルをファンクラブ限定で公開したもの。また、茅ヶ崎ライブ終了後、活動休止前に2000年~2001年の年越しライブ『ゴン太くんのつどい』も公演されたが、この頃には既に大森が脱退状態にあり、ライブも斎藤誠が代役をつとめているため含めない。)
タイトルの由来はかつて故・上原謙氏が茅ヶ崎に建てた実在の“パシフィック・ホテル”から来ており、この曲が持つラテン歌謡テイストや、CMでの小川ローザのパロディーなどは全て、桑田が少年期を過ごしパシフィックホテルが全盛を誇った昭和40年代を表現している。このホテルの名称は1982年のアルバム『NUDE MAN』収録曲「夏をあきらめて」にも登場していた。
なお、このホテルは20年近く廃墟状態であったのち、ついに1998年に取り壊され跡地にはマンションが建てられた。
東京・品川にあるホテルパシフィック東京とは関係がないが、PVは系列の観音崎京急ホテルで撮影された。また、この作品をモデルとしたフリーのパソコンゲームも開発されている。 - 虫歯のブルース ~ インディアン狂想曲 [MEDLEY]
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ)
アルバムでは多数存在するが、シングルでは唯一のメドレー形式の曲。タイトルの『~』はサブタイトルでは無くメドレーを意味している。当初は「インディアン狂想曲」の部分のみが作られたが、シンプル過ぎるとの理由で、冒頭の「虫歯のブルース」の部分が後から作られ、「インディアン狂想曲」の間奏に、虫歯のブルースへのアンサーの意味で桑田らのコント仕立てのセリフが追加されメドレー形式となった。インディアンとは、バックに聴こえるインディアンの声のサンプリング音から来ている。
[編集] 参加ミュージシャン
- 桑田佳祐:Vocal, Guitars(#1,2)
- 大森隆志:Guitars(#1,2)
- 関口和之:Bass(#1,2)
- 松田弘:Drums(#1,2)
- 原由子:Keyboards, Vocal(#1.2)
- 野沢秀行:Percussion(#1,2)
- HOTEL PACIFIC
- 虫歯のブルース ~ インディアン狂想曲 [MEDLEY]
- 角谷仁宣:Computer Programming
[編集] 関連項目
- 本作と同じく、7月の同時期にGLAY(GLAY×EXILE)、L'Arc~en~Cielとの同時リリースとなった。