いとしのエリー
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いとしのエリー | ||
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サザンオールスターズ の シングル | ||
リリース | 1979年3月25日 1988年6月25日(再発) 1997年4月23日(再発) 1998年2月11日(再発) 2005年6月25日(再発) |
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録音 | 1979年1月~2月 VICTOR STUDIO ONKIO HAUS |
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ジャンル | ロック | |
時間 | 7分2秒 | |
レーベル | ビクター音楽産業 | |
プロデュース | サザンオールスターズ | |
レビュー | ||
チャート順位 | ||
ゴールド等認定 | ||
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売上枚数 | ||
サザンオールスターズ 年表 | ||
気分しだいで責めないで (1978年) |
いとしのエリー (1979年) |
思い過ごしも恋のうち (1979年) |
『いとしのエリー』は、サザンオールスターズの3枚目のシングル。1979年3月25日に発売。発売元はビクター音楽産業。
目次 |
[編集] 解説
仮タイトルは「心に翼を持つ男」。1992年7月18日に『シュラバ★ラ★バンバ』と『涙のキッス』が同時発売されるまでサザン歴代トップの売り上げだった。ただしオリコンチャートで1位は獲得していない。
タイトルの由来は、TBS系音楽番組『ザ・ベストテン』に出演した際に、エリック・クラプトンの「エリック」を短くしたものであると発言しているが、桑田の実姉がエリコ(岩本えり子、サザンの一部の楽曲で英語補作詞としてクレジットされている)であるからという説もある。後に日本テレビ系音楽番組『速報!歌の大辞テン』でランクインした際には後者の説が紹介された。
後に4thシングルとなった「思い過ごしも恋のうち」とシングル候補として争われていたが、メンバーの「今自分たちのやりたい音楽をやろう!」という意思から当初の3枚サイクル(同じような曲を3枚連続して出す)を破ってのリリースだった。 最初は全く受けなかったが、徐々にチャートを上げて行き、ついには『ザ・ベストテン』の1位を獲得するに至った。一方、「コーセー歌謡ベストテン」 (FM東京) では1979年の年間チャート第1位になった。ちなみに当時のパーソナリティである作曲家の故・宮川泰はこの曲を「名曲中の名曲」として大絶賛していた。宮川はのちに『心を込めて花束を』(1996年のアルバム『Young Love』に収録) のアレンジを担当することになる。また、当時既に人気ミュージシャンの仲間となっていたかぐや姫の南こうせつは、早くからこの楽曲について高い評価を与え、「この人たちはいずれすごいグループになるかもしれない」と現在の活躍を既に予見していた。
オリコンチャートでは毎週高いセールスをマークしながらも、ジュディ・オングの「魅せられて」に阻まれるなどして2位が最高位となっている。
この曲からサザンオールスターズを“ロックバンド”としてみる動きが強まり、コミックバンドとしての扱いを受けつつあったバンドの転機となった曲である。
1983年、山田太一が脚本を手がけたTBS系列のテレビドラマ『ふぞろいの林檎たち』の主題歌に採用され注目を集めた。同ドラマには他にもサザンの楽曲がBGMや挿入歌として使われている。その後も同ドラマのシリーズでは一貫して主題歌として使われている。なお、完結編として放送された『ふろぞいの林檎たち IV』が放送されることに合わせて、1997年に特例の再発が行われ、この時オリコンチャートで99位に再浮上している。再発された回数は「勝手にシンドバッド」と並ぶ5回にも及ぶ。
1989年、レイ・チャールズが英語詞で『ELLIE MY LOVE(エリー・マイ・ラブ)』としてカバーし、サントリーウイスキー「ホワイト」CMソングとして放送された。オリコンでは3位(洋楽チャートでは20週連続1位)を記録するロングヒットとなり、レイ・チャールズの作品としては日本での最大の売上となっている。しかし桑田本人はこのカバー曲を、『日本語で唄った方が化粧のノリが良い』と、英語詞での本曲に対しやや否定的な発言をしている。もちろんこれは曲としての語感のみに拘った発言であり、レイ・チャールズ本人を否定したわけではなく、むしろソウル・ミュージックの神様と呼ばれるレイ・チャールズに対する謙遜であると見て取れる。1983年発表のアルバム『綺麗』の収録曲である『NEVER FALL IN LOVE AGAIN』中にレイ・チャールズの名が登場することから、元々桑田自身もレイのファンであるようである。
2005年6月25日、デビュー曲「勝手にシンドバッド」から「TSUNAMI」までの44作が12cmCDとして再発され、1970年代から2000年代の全ての年代でオリコン100位以内ランクインを果たした史上初の作品となった。
[編集] 収録曲
- いとしのエリー
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ 弦編曲:新田一郎)
現在でも広い年齢層から支持を受ける曲。2000年に「TSUNAMI」が大ヒットになるまでは、サザン1番の代表曲とされることも少なくなかった。ボーカルの桑田佳祐がキーボードの原由子との結婚式に桑田がこの曲を歌った際、歌詞の「エリー」の部分を「ユウコ」に変えたことは有名。結婚以前に、桑田が原に対して「ごめんなさい」の気持ちを込めて製作した曲であるが、現在でも桑田自身、1番と2番の歌詞は逆のほうがよかったと考えている。1998年発売のシングル『PARADISE』の間奏で、この曲が一部だけ収録されている。ちなみに収録されている箇所は、歌詞が英語で歌われているものであり、収録のためオリジナルに製作したものである。間奏に収録されている女性の笑い声は原由子の声であり、これはレコーディング中に野沢秀行が原の周りとクルクルと回って笑わせたものである。さらに2005年のアルバム『キラーストリート』に収録された「JUMP」の曲中にも、この曲の間奏に収録されている原の笑い声がサンプリングとして使用されている。漫画家の臼井儀人も自身の漫画『クレヨンしんちゃん』の中にこの曲を登場させている(臼井はサザンファンを公言している)。
この後様々なアーティストによるカヴァーが発表されている、邦楽では珍しいスタンダードナンバーとなっている楽曲である。第56回NHK紅白歌合戦の「スキウタ~紅白みんなでアンケート~」で白組41位にランクインされた。 - アブダ・カ・ダブラ (TYPE 3)
(作詞・作曲:桑田佳祐 編曲:サザンオールスターズ 弦管編曲:新田一郎)
タイトルに新曲であるにも拘らず“TYPE3”とあるが、TYPE1と2は後に発売されたアルバム「10ナンバーズ・からっと」に収録されている。ほぼ全てのベスト盤に収録されているA面と対照的に、現時点でシングル盤にのみ収録。
[編集] 参加ミュージシャン
- 桑田佳祐:Vocal, Guitar(#1,2)
- 大森隆志:Guitar, Chorus(#1,2)
- 原由子:Keyboards, Chorus(#1,2)
- 関口和之:Bass, Chorus(#1,2)
- 松田弘:Drums, Chorus(#1,2)
- 野沢秀行:Percussion, Chorus(#1,2)