テクノデリック
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テクノデリック | ||
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YMO の アルバム | ||
リリース | 1981年11月21日 | |
録音 | STUDIO "A" | |
ジャンル | テクノ | |
時間 | 43分45秒 | |
レーベル | アルファレコード | |
プロデュース | 細野晴臣+YMO | |
レビュー | ||
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チャート順位 | ||
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YMO 年表 | ||
BGM (1981年) |
テクノデリック (1981年) |
浮気なぼくら (1983年) |
テクノデリック (Technodelic) は、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)の6作目のアルバム。1981年11月21日にアルファレコードからリリースされた。
[編集] 解説
『テクノデリック』は世界最初期にサンプリングを利用したアルバムで”世界初のサンプリングミュージック”と言われることがある。しかし、実際は同時期に複数のアーティストが開発中であったサンプリングマシン(代表的なものに「Emulator」がある)をレコーディングに用いており、前後関係ははっきりしない。 ただし、他の作品と明らかに異なる点は、多くのアーティストはサンプリングマシンを「メロトロンの電子版」として使っていたのに対し、YMOはスタッフが独自開発したサンプリングマシン「LMD-649」を使い、オリジナルの音(ドアやドラム缶をたたく音、「ミョン」「チキ」「パーッ」などの人間の声、工事現場の音など)や新しい音像を作ることに注力、さらにそれがギミックでは終わらず演奏と一体化していることである。その活用法が衝撃的だったゆえに”世界初”とされることが多いのであろう。また、生演奏が強調されているのもこのアルバムの特色である。
レコーディングは前作『BGM』の発売日(1981年3月21日)から開始され、10月13日まで長期間行われている。録音に関しては「BGM」ではデジタル録音を導入したが、デジタル特有のエラーノイズの問題や編集効率の問題から「体操」を除きアナログ録音に戻した[1]。『BGM』作成中に不調だった坂本が韓国旅行をきっかけに元気になったが、逆に細野が不調に陥り、その状態が「灰色の段階」という曲名で表現されている。
またアルバム全体として、ミニマル・ミュージックが取り入れられているのも特徴であるが、後日の細野は「YMOのミニマルは完成せずして歌謡曲路線に行ってしまった」とのコメントしている。
さらに細野がこだわっていたプロデュースのクレジット名が今回は「細野晴臣+YMO」となった。
アルバムのタイトルは「テクノ+サイケデリック」の造語である。
アルバムジャケットは二種類存在し、初回ジャケットはメンバー三人の写真があしらわれたもので、これは彼らの意にそぐわないものであったといわれる(メンバーの顔が出ていないとYMOのアルバムと気づいてもらえないのではないかというレコード会社側の意向という説がある)。再生産版からはジャケットが変更され、現在の再発CDでも使われている女性の肖像のデザインとなった。
一般的リスナーは全体的に明るい曲調の初期や後期をベストとする風潮があるが、YMOファンの間ではこの『テクノデリック』を最高傑作と称する意見もある。
[編集] 曲目
- ジャム PURE JAM
(music by Yukihiro Takahashi, words by Yukihiro Takahashi, Peter Barakan)
当時アルファレコードの1階にあった喫茶店のメニューにあった、とても分厚いパンにジャムののったトーストが不細工だった(彼らはレコーディング中のスタジオから喫茶店に軽食をよく注文していた)、というのが詞の内容。細野や坂本によれば、欧米のミュージシャン達はこの他愛もない詞を深読みして「何か意味深なことを語っているのではないか」とよく質問されたそうである。なお、この曲はアルバムの一番最後に録音されたものである。 - 新舞踊 NEUE TANZ
(music & words by Haruomi Hosono, Ryuichi Sakamoto, Yukihiro Takahashi)
インドネシアのケチャをモチーフにしている。 - 階段 STAIRS
(music by Yukihiro Takahashi, words by Yukihiro Takahashi, Peter Barakan)
重々しいピアノとベースが特徴的な曲。『カルトQ』YMO編で優勝した元電気グルーヴの砂原良徳が「YMOで最も好きな曲」として挙げている。砂原の参加したYMOのリミックスCD『Technopolis2000-01』では、同曲を取り上げ、高橋幸宏に「一番好きなリミックス」と言わしめている。 - 京城音楽 SEOUL MUSIC
(music by Ryuichi Sakamoto, Yukihiro Takahashi, words by Ryuichi Sakamoto, Peter Barakan)
坂本が韓国取材をした際の印象を元にしたもので、軍政下の韓国の事情をうかがわせる。 - 灯 LIGHT IN DARKNESS
( music by Ryuichi Sakamoto, Yukihiro Takahashi)
細野のベースは、坂本と高橋の「チャック・レイニーみたいなベースを」とのリクエストに応えて弾かれたもの。 - 体操 TAISO
(music & words by Haruomi Hosono, Ryuichi Sakamoto, Yukihiro Takahashi)
坂本が細野から「ジョン・ケージの”プリペアド・ピアノ”みたいなミニマルな曲を」という発注に応えて作った曲。スティーブ・ライヒのような現代音楽のミニマルミュージック的な手法を用いつつ、ポップミュージックとして成立している。シングルカットされた。坂本によれば細野と高橋にとっての『CUE』に当たる存在らしい。また、PVも製作されトーキング・ヘッズをイメージした映像になっている。 - 灰色の段階 GRADATED GREY
(music & words by Haruomi Hosono)
細野がリズムをループ仕立てにして作った曲。また細野は歌い方を工夫し「ジョージ・ハリスン的な発声法をしてみた」と語っている。 - 手掛かり KEY
(music by Haruomi Hosono, Yukihiro Takahashi, words by Haruomi Hosono, Peter Barakan)
細野、高橋は、この曲について「CUEの続編」と語っている。シングル『体操』のB面にも納められている。 - 前奏 PROLOGUE
(music by Ryuichi Sakamoto)
エンジニアの飯尾芳文が録音してきた工場のノイズをスタジオで聴いた坂本が、その場で作りあげた曲。工場のノイズはこの曲と次の「後奏」を通して流れ続ける。 - 後奏 EPILOGUE
(music by Ryuichi Sakamoto)
[編集] 出典
- ^ サウンド&レコーディング・マガジン 1999年11月号
メンバー | |
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細野晴臣 - 高橋幸宏 - 坂本龍一 | |
サポートメンバー | |
矢野顕子 - 渡辺香津美 - 大村憲司 - 松武秀樹 - 橋本一子 - 藤本敦夫 - 鮎川誠 - デヴィッド・パーマー | |
シングル | |
テクノポリス - ライディーン - タイトゥン・アップ - キュー - マス - 体操 - 君に、胸キュン。 - 過激な淑女 - 以心電信 - ポケットが虹でいっぱい - ビー・ア・スーパーマン - RYDEEN 79/07 | |
オリジナルアルバム | |
イエロー・マジック・オーケストラ - イエロー・マジック・オーケストラ (US版) - ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー - 増殖 - BGM - テクノデリック - 浮気なぼくら - サーヴィス - テクノドン | |
ベストアルバム | |
X∞Multiplies - シールド - Y.M.O.ヒストリー - YMO BEST SELECTION - キョーレツ・ナ・リズム - テクノ・バイブル - オーヴァー・シーズ・コレクション - We Love YMO - YMO GO HOME! - UC YMO | |
リミックスアルバム | |
浮気なぼくら (インストゥルメンタル) - Y.M.O. MEGA MIX - YMO・イン・ザ・ナインティーズ・ピート・ロリマー・リミックス - ハイテック・ノークライム - NEO TECHNOPOLIS・・・・・繁殖 - YMO versus THE HUMAN LEAGUE - TECHNODON REMIXES I - TECHNODON REMIXES II - YMO HI-TECH/US.CRIME - YMO REMIXES TECHNOPOLIS 2000-01 - YMO REMIXES TECHNOPOLIS 2000-00 | |
ライブアルバム | |
パブリック・プレッシャー - アフター・サーヴィス - テクノドン・ライヴ - ライヴ・アット・武道館1980 - ライヴ・アット・紀伊国屋ホール1978 - ウィンター・ライヴ1981 - ワールド・ツアー1980 - ライヴ・アット・グリークシアター1979 - フェイカー・ホリック - コンプリート・サーヴィス - ONE MORE YMO | |
完全限定BOX | |
CUBIC - YMO CD Single BOX - L-R TRAX Live & Rare Tracks | |
関連アルバム | |
TRIBUTE TO YMO |
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