デスノート (映画)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
『デスノート』は、漫画『DEATH NOTE』を原作とした2006年の日本映画。
2部構成で製作され、同上の前編は2006年6月17日に公開、後編『デスノート the Last name』は同年11月3日公開。
目次 |
[編集] 概要
原作は週刊少年ジャンプに連載された同名の漫画作品。現在単行本は初版100万部[1]、12巻までの累計発行部数が2530万部を突破する人気のコミックである[2]。また、本作は原作の第一部(単行本1巻~7巻)をベースにしている。
邦画史上初の前編・後編の連続上映というプロジェクトとなった。目標興行はそれぞれ50億円、2作合計100億円と発表された。また主題歌はグラミー賞4冠を果たしている。
実写作品では邪道とされるモノローグや過剰な説明文は大幅にカットされている。
作中人物Lが主人公のスピンオフ映画の製作が決定。クランクインは2007年8月、公開は2008年初頭。仮題は『L』。監督は中田秀夫。出演は松山ケンイチ、戸田恵梨香。
[編集] 人気・評価
前編は観客動員数223万人、興行収入28億円を記録し、2週連続で映画興行ランキング1位となり、後編は観客動員数430万人、興行収入52億円を記録し、映画興行ランキング4週連続で1位となった。後編の大幅な動員増には、後述の前編のテレビ放送が大きく影響していると映画評論誌等では分析されている。目標には届かなかったが前後編合わせ興行収入80億円の大ヒットを記録した。
後編公開直前の2006年10月27日、日本テレビ系映画番組『金曜ロードショー』20周年特別企画として、本作監督・金子修介が前編をテレビ用に編集した“ディレクターズカット特別篇”がロードショー公開後異例のスピード[3]でテレビ初放送され、24.5%の高視聴率を記録した。 なおこの時に限って番組放送中常に右上に「金曜ロードショー」のロゴが表示されていた[4]。
[編集] 製作エピソード
当初の予定では、上映時間・約2時間の1作のみが制作されるはずであったが、監督である金子修介が2作にすることに変更した。そのため脚本は大幅に変更されることになり、脚本家の大石哲也は早急にそれを直したが、結局撮影中に金子が次々と脚本を変えてしまった。そのこと自体はどの映画でもよくあることだが、それによる批判の多くが大石のもとに届いたため、第2作で大石は出来上がった脚本を金子にだけ先に見せ、金子からの変更を全く聞き入れず、ぎりぎりまで脚本を渡さなかった。金子はその脚本をほとんど変更できずに撮影を終えたらしいが、それでも「2作目の方がいい形で終わった」と語っている。
[編集] その他
製作委員会を構成する主要会社であるワーナーブラザーズ、日本テレビ放送網は2004年に映画『キューティーハニー』のロードショー公開をもって解散した映画制作会社・トワーニの主要出資会社であった。
2006年12月29日、亀山千広映画事業局長はじめフジテレビが日本テレビに対し、抗議をしていると日刊ゲンダイにて報じられる。本来映画は公開の半年後にDVD化し、更に半年後にテレビ放送するというのが暗黙の鉄則となっており、日本テレビはこの鉄則に反しているという主張である。本作の成功により、他の映画会社も同様の戦略をとる可能性が高く、それまで成立していた邦画全体の映画興行、DVD売上、テレビ放映視聴率のバランスが崩れる危険性がある。日本テレビ側は「本作は邦画初の2作連続公開など、異例尽くめなので特例としてほしい」と弁明していると報じられた。
[編集] 前編『デスノート』
デスノート | |
監督 | 金子修介 |
---|---|
脚本 | 大石哲也 |
出演者 | 藤原竜也 松山ケンイチ 瀬戸朝香 香椎由宇 細川茂樹 戸田恵梨香 中村獅童 藤村俊二 鹿賀丈史 |
音楽 | 川井憲次 |
撮影 | 高瀬比呂志 |
編集 | 矢船陽介 |
配給 | ワーナー・ブラザーズ |
公開 | 2006年6月17日 |
上映時間 | 126分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
制作費 | 20億円(2作合計) |
興行収入 | 28億円 |
次作 | デスノート the Last name |
allcinema | |
IMDb | |
[編集] ストーリー
このノートに名前を書かれた人間は 死ぬ。
死神のノート「デスノート」を、将来を期待されるひとりの天才・夜神月が入手する。 そして、その日を境に、世界の犯罪状況は一変してしまう。 犯罪者を裁く法に限界を感じた月は、世の中を変えるため、謎の殺人犯キラとして、ノートの力で凶悪犯を次々と粛正していく。
その一方で、この奇妙な連続殺人事件を調査する警察が注目する人物がいた。 警察を裏から指揮し、数々の難事件を解決してきた世界的名探偵Lである。 Lはキラが日本にいると断定し、偽の生放送を流してキラが関東地方にいることまでを特定する。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 原作との相違点
- 本作中、主人公・夜神月は「東応大学生の司法試験初受験合格者」という設定になっている。
- 本作中、L(エル)は「ICPOが東京に送り込んだ謎の人物」という設定になっている[5]。
- 日系アメリカ人FBI捜査官であるレイ・ペンバーの名前がレイ・イワマツになっている。また、レギュラーの登場人物は全て日本人俳優が演じている。[6][7]
- 映画オリジナルキャラクターで、月の幼馴染で東応大学同学年の秋野詩織、キラ捜査本部の女性刑事の佐波が登場する。また、原作に出てきた刑事伊出は登場しない。
- デスノートに最初から書かれている使い方が、原作のものよりも詳しい。
以上で、作品の核心的な内容についての記述は終わりです。
[編集] キャスト
登場人物については、DEATH NOTEの登場人物を参照。
- 夜神月:藤原竜也
- L/竜崎:松山ケンイチ
- 南空ナオミ:瀬戸朝香
- 秋野詩織:香椎由宇
- FBI捜査官レイ:細川茂樹
- 夜神幸子:五大路子
- 夜神粧裕:満島ひかり
- 宇生田:中村育二
- 松田:青山草太
- 模木:清水伸
- 相沢:奥田達士
- 佐波:小松みゆき
- 松原:中原丈雄
- 佐伯警察庁長官:津川雅彦
- リューク(声):中村獅童(特別出演)
- 弥海砂:戸田恵梨香
- ワタリ:藤村俊二
- 夜神総一郎:鹿賀丈史
[編集] スタッフ
[編集] 主題歌
- 挿入歌
-
- スガシカオ 「真夏の夜のユメ」
[編集] キャッチコピー
- 捕まえてみろ/殺してみろ
- 頭脳戦を制する者が、新世界を制す
- 天才VS天才
- 日常に退屈するすべての人々へ。
[編集] ロケ地
[編集] 後編『デスノート the Last name』
デスノート the Last name |
|
監督 | 金子修介 |
---|---|
脚本 | 大石哲也 金子修介 |
出演者 | 藤原竜也 松山ケンイチ 戸田恵梨香 片瀬那奈 マギー 上原さくら 中村獅童 池畑慎之介 藤村俊二 鹿賀丈史 |
音楽 | 川井憲次 |
撮影監督 | 高間賢治 |
撮影 | 石山稔 |
編集 | 矢船陽介 |
配給 | ワーナー・ブラザーズ |
公開 | 2006年11月3日 |
上映時間 | 140分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
制作費 | 20億円(2作合計) |
興行収入 | 52億円 |
前作 | デスノート |
allcinema | |
IMDb | |
[編集] ストーリー
月はキラ対策本部に加入することに成功する。そして、月とL、2人が対峙し壮絶な頭脳戦が始まった。一方、月もリュークも知らないところで、もう一匹の死神レムによりデスノートを手に入れた弥海砂は顔を見るだけで相手の名前と寿命が見える死神の目を持ち、さくらTVを利用し、自身を「第2のキラ」と称して、キラを否定する者を殺していく。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 原作との相違点
- 高田清美の所属するTV局がNHNではなく、さくらTVになっている。
- 月と高田清美は原作では大学での同級生だが、本作では面識が無く、高田のほうが年上になっている。
- 映画オリジナルキャラクターとして、さくらTVのトップキャスターの西山冴子、社員の1人の吉野綾子が登場する。
- 原作に登場したヨツバグループ、アイバーとウエディなどは登場しない。
- 出目川の名前は仁ではなく、裕志。
- 宇生田と模木の役どころが入れ替わっている。
- 夜神総一郎の肩書は、警察庁刑事局局長ではなく、警視庁刑事部部長。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] キャスト
- 夜神月:藤原竜也
- L/竜崎:松山ケンイチ
- 弥海砂:戸田恵梨香
- 高田清美:片瀬那奈
- 出目川裕志:マギー
- 西山冴子:上原さくら
- 夜神幸子:五大路子
- 夜神粧裕:満島ひかり
- 宇生田:中村育二
- 松田:青山草太
- 模木:清水伸
- 相沢:奥田達士
- 佐波:小松みゆき
- 吉野綾子:前田愛
- 日々間数彦:板尾創路
- 佐伯警察庁長官:津川雅彦
- リューク(声):中村獅童(特別出演)
- レム(声):池畑慎之介
- ワタリ:藤村俊二
- 夜神総一郎:鹿賀丈史
[編集] スタッフ
- 原作:大場つぐみ、小畑健
- 監督:金子修介
- 脚本:大石哲也、金子修介
- 撮影監督:高間賢治
- 音楽:川井憲次
- 撮影:石山稔
- 編集:矢船陽介
- 製作:日本テレビ放送網、札幌テレビ放送、読売テレビ放送、中京テレビ放送、福岡放送、宮城テレビ放送、集英社、松竹、ホリプロ、バップ、コナミ、日活
- 配給:ワーナー・ブラザーズ
- 制作プロダクション:日活撮影所
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ
- 主題歌
-
- レッド・ホット・チリ・ペッパーズ「スノー」(ワーナーミュージック・ジャパン)
- Special Trailer Music
-
- ブンブンサテライツ「Girl」(Gr8! Records)
[編集] キャッチコピー
- 誰も知らない結末へ
- 2冊のデスノート。衝撃は加速する。
- 最後に名前を書かれるのは、誰だ。
- 誰が死に、誰が生き残るのか。
- 月は[新世界]を照らすことができたのか?
[編集] ロケ地
- さくらTV - よみうりテレビ社屋
- さくらTV内の特別報道番組のスタジオセット - 関西ローカルネットニュース番組『ニューススクランブル』のセット
- 太陽テレビ - 日本テレビスタジオ
- 最後、夜神総一郎を迎えた、粧裕がいた駅 - 西武豊島園線豊島園駅
[編集] DVD
- ナビゲートDVD
- 『DEATH NOTE 証言 ~Beginning of the Movie~』レンタル専用
- 『DEATH NOTE the Last Name プロファイル・リポート・フロム・L』レンタル専用
- 『DEATH NOTEDEAD OR ALIVE』 価格:1,500(税込み)
- 本編DVD3月14日発売
- 『DEATH NOTE デスノート』価格:3,570(税込み)
- 『DEATH NOTE デスノート the Last name』価格:3,570(税込み)
- 『DEATH NOTE デスノート the Last name complete set』価格:7,140(税込み)
[編集] 受賞歴
- TOKYO FM エンタマアワード2006日本映画部門第一位
- オリコン読者が選ぶ『エンタメ・オブ・ザ・イヤー』日本映画部門第一位
- 日刊スポーツ映画読者ファン賞日本映画部門第一位
- 第31回報知映画賞最優秀新人賞:松山ケンイチ
- ヨコハマ映画祭最優秀新人賞:松山ケンイチ
- 第30回日本アカデミー賞優秀助演男優賞:松山ケンイチ
[編集] トリビュートアルバム
- DEATH NOTE TRIBUTE(2006年6月21日)
- 前編のトリビュートアルバム
- The songs for DEATH NOTE the movie~the Last name TRIBUTE~(2006年12月20日)
- 後編のトリビュートアルバム
[編集] 注釈
- ^ 漫画単行本最速記録
- ^ 本作の公開も売り上げに貢献している
- ^ 約3ヶ月半
- ^ DVD発売前であったため、海賊版対策である
- ^ 実際には、ICPOが逮捕、拘束などを行うことはほとんどない
- ^ なお、脚本家のインタビューでは、「初期の設定(2時間で完結)では、本名はレイ・ペンバーで、(Lからの指示により)偽名としてレイ・イワマツと名乗ることで月を追い込む一因となり、その後月に殺されるという役割であったが、監督の意向で映画を前後編とすることとなり、多くの設定がプラスされたが逆に月を追い込むという当初のレイの設定は減ってしまった」と明かしている。
- ^ このイワマツとは、海外で活躍する俳優のマコ岩松から取ったもの。
[編集] 外部リンク
DEATH NOTE (カテゴリ) | |
---|---|
作者: | 小畑健(作画) - 大場つぐみ(原作) |
登場人物: | 一覧 - 夜神月 - L - 弥海砂 - 死神一覧 |
メディア展開: | アニメ - 小説 - 映画 |
映画音楽: | -映画音楽 - 映画音楽2 |
カテゴリ: DEATH NOTE | 日本の映画作品 | 2006年の映画 | 金子修介の監督映画 | 映画関連のスタブ項目