ニュルブルクリンク
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ニュルブルクリンク(ドイツ語:Nürburgring)はドイツ北西部、ケルンの南方ニュルブルクにあるサーキット。北コースと南コースがある。
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[編集] 概要
1995年以降毎年、F1グランプリが行われている。(1997年、1998年はルクセンブルクGP、それ以外はヨーロッパGPとして開催。) 1995年から1997年にかけてはWGPも開催された。なお、ここで開催された1964年のF1ドイツグランプリでホンダが日本車として初めてF1に出走した(当時は北コース)。
[編集] 歴史
第一次世界大戦に敗れたドイツで、当時の政府が失業者に職を与えるために建設した。1927年の開設当初は全長が22.8kmの巨大な北コース(ドイツ語:Nordschleife)と全長7.7kmの南コース(ドイツ語:Südschleife)の2つに分かれており、現在は北コースが20.8km、南コースが5.1kmとなっている。名称はNürburg-Ringだったが、1933年、ナチスが政権につくと国力高揚のためにアドルフ・ヒトラーはモータースポーツに資金援助をおこなった。ニュルブルクリンクもその一環で改良され、また名称もこのときハイフンが取られ、Nürburgringとなった。第二次世界大戦前まで、ドイツ、フランス、イタリアなどの欧州諸国はレーシングカーの開発に力を入れメルセデス・ベンツ、アウトウニオン、ブガッティ、アルファ・ロメオなどが争ったグランプリが行われたが、ナチスの強力な資金援助のためにドイツ勢が優勢となっていった。戦後は、1951年から76年の大事故(レースの項参照)までF1GPが開催された。
[編集] 世界一過酷な北コース
豊かな森の中にある古城ニュルブルク城を囲む北コースは、高低差300メートルで坂の連続、カーブ(コーナー)の数は超高速から超低速まで172(うちコンクリート舗装のバンクがついたカーブが2ヶ所ある)もあり、その多くはブラインドコーナーとなっていて、カーブがどのくらい回り込んでいるか見えない。それでいて、コース全体の平均スピードが高く、バンピーでツイスティー、つまり路面は埃っぽく滑る上、凸凹している。それだけでも危険なのに、コース幅は一般のサーキットより狭く、エスケープゾーン(安全地帯)もほとんどないも等しい位狭く、コースが橋ですぐ両側が壁になっているところもある。まさに舗装された山道をものすごい速さで走る感じである。また、一番長い直線は約2100メートルあり(途中ゆるいカーブがある)、富士スピードウェイよりも長い。そこではレーシングカーなどでは最高時速300kmを超える。以上の事から、車の各パーツ等に負担が大きく、何よりドライバーに多大な負担がかかる。狭く荒れた道を高速で長時間車を走らせるには、相当の腕前と勇気、経験、集中力さらには体力も必要となってくる。まず、コースを覚える事自体大変である。またその過酷さから、車両の総合的な性能が求められ、走行する車両のボディーが良くないと良いタイムが出ない事から、スポーツカー等自動車開発時にテストサーキットとしてよく利用されている。日本車ではホンダ・NSX、日産・スカイラインGT-R、スバル・インプレッサWRX、三菱・ランサーエボリューションなどの開発テストコースに用いられたことで知られる。世界の自動車メーカーのほとんどがここでテスト走行を行ったことがあり、ここでロードカーのテスト走行を行っていないのはフェラーリだけである。
北コースは一周アタックすると、300馬力程度のスポーツカーでは8分を切るか切らないか、それ以上、またはレーシングカーでは約7分かかる。コースレコードは、事故(後述のレース参照)で走行が禁止される前のF1マシンではなく、1983年5月28日、グループCカーで行われた1000km耐久レースの予選で、ワークスのポルシェ956に乗るステファン・ベロフが6分11秒13という驚異的な記録を打ち立てている。ちなみに市販車のコースレコードはマイケル・バーガーの運転によるラディカル・SR8で、6分56秒。
なお、北コースは法的には一般有料道路に位置づけられており、貸し切り日以外は一般の人も料金を支払えば自分の愛車でサーキットを走行することが可能だが、北コースで起きた事故に関しては自動車保険が適用されない。
またコースのアスファルト上に、テストを行ったメーカーやドライバーなどがチョークで書いた、自動車会社のエンブレムなどの落書きがいたる所に見られる。
[編集] レース
ニュルブルクリンクでF1が行われ始めたころは北コースを使用していたが、上記にもある通り起伏が激しく車がジャンプする地点があるなど、車の性能が上がるにしたがって危険になっていった。そして1976年のドイツGPとして行われたレース中にフェラーリのニキ・ラウダが大事故を起こしたことで、北コースでF1は行うことができなくなった。その後ドイツGPは、近代的なホッケンハイムで行われる事になった。そして1984年に全長4.5kmの新たな南コースが建設され、1995年にニュルブルクリンクでのF1グランプリが復活し、ビートルシケインの形状が小変更された後の2002年に1コーナーが大きく改修されたため、全長は5.1kmとなった。現在のF1ではこの南コースを使用しており、北コースは現在でもニュルブルクリンク24時間レース等で使用されている。(ほぼDTM仕様と言って差し支えない車両からアマチュア所有のオペルマンタやディーゼルエンジンのベンツ190Eなどありとあらゆる車両が1分程度の時差でスタートし狭いコースを混走する様はまさに圧巻)。又、24時間レースでは、北・南両コースをつなげて使用され、スタート・ゴール、ピットは南コースが使用される。他に、カミオン(トラック)レースも行われている。
[編集] その他
ニュルブルクリンクでは他にも、マラソン大会、自転車レース、ロックイベントなどが行われている。
[編集] テレビゲームにおけるニュルブルクリンク
近年、家庭用テレビゲーム機の性能向上に伴い、レースゲームにおいてニュルブルクリンク・北コースが収録されるケースが多くなっている。その先駆となったのは、マイクロソフトのXbox用ソフト「プロジェクト・ゴッサム・レーシング2」であるが、販売本数、クオリティなどの点で、より広く北コースの魅力をゲームファンたちに知らしめるきっかけとなったのは、ソニー・コンピュータエンタテインメントより2004年末に発売された、プレイステーション2用ソフト「グランツーリスモ4」である。同ソフトでは、ゲーム内のレースカテゴリーとして、24時間の耐久レースまでもが設けられ、多くのゲームファン、レースファンの話題を呼んだ。
その後も、「フォルツァ・モータースポーツ」(マイクロソフト、Xbox用)、「エンスージア プロフェッショナル レーシング」(コナミ、PS2用)、「プロジェクト・ゴッサム・レーシング3」(マイクロソフト、Xbox360用)など、続々と北コースを収録するゲームが登場、そのリアリティを競っている。
なお、現在F1が行われている南コースに関しては、1995年の開催以降、プレイステーション用ソフト「Formula1」(ソニー・コンピュータエンタテインメント、1996年発売、収録データは1995年のもの)を始め、大半のF1ゲームに収録されている。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- Nürburgring
- ファルケンGT-Rのニュル24時間参戦レポート動画GT-Rの速さとドライバーのテクニックもさることながら、オーバーテイクされる車両の多彩さとスピードレンジの違いに注目
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