南九州
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南九州(みなみきゅうしゅう)とは、一般的には九州南部に位置する鹿児島県と宮崎県の2県、または熊本県南部を含めた地域を指す。また、まれに熊本県や大分県、さらに沖縄県の全域を含めることもある。詳細は下記参照。
南九州の対義語は北九州であるが、北九州は北九州市を指すことが多いため「九州北部」あるいは「北部九州」と呼ぶこともあり、それに呼応して九州南部あるいは南部九州と呼ぶこともある。
目次 |
[編集] 地域
日本銀行鹿児島支店、日本政策投資銀行鹿児島支店、JR九州鹿児島支社、NTT西日本南九州支店、九州南方海域を広くカバーする第十管区海上保安本部、九州南部地方の長期気象予報を出す鹿児島地方気象台、南九州を管轄する福岡高等裁判所宮崎支部、準幹線空港の鹿児島空港、重要港湾の細島港、宮崎港、油津港、鹿児島港、志布志港、川内港、西之表港、名瀬港、それに一部の企業のブロック営業拠点などがある。
南九州が独自性を保って来たのには以下の理由があると推測される。
- 江戸時代まで、地域の大半が薩摩藩の領地であった事。
- 近年(20世紀末)に至るまで北九州との陸上交通網が未発達途上だった事。
- しかし古来より多くの天然の良港に恵まれた事。⇒鹿児島港、志布志港など。
- 北九州と現在に至るまで文化・慣習等や方言が大きく異なり接点があまりない事。
- 人口規模が小さい地域ながら、規模の大きい一極集中型の都市圏が存在する事。
- 教育に熱心な土地柄で北九州と比較しても一般学童の中学受験が盛んであり、ラサール学園のような全国から生徒が集まる進学目的の私立学校が多く存在する。また高等教育も熱心であり、明治時代にいち早く第七高等学校造士館も設置された事。
- 陸上交通網は整備途上であったが関東や関西など、大都市圏との航路(船舶・航空)が早い時期より比較的発達していた事。
- 圏域内の主要地点を結ぶ幹線鉄道の電化や主要高速道路が比較的早く実現した事。
- 山間部や離島の多い地勢を範囲としており、中央の出先機関が多く置かれる北九州から日帰りし難い為、企業の支店や支社・営業所・出張所・駐在所が多く置かれている事。
- 経済活動の活発な北九州の影響が少なくエリア内での競合も殆どない為、市場で寡占状態の近い地場企業が多い事。
- 地場企業の大半は同族経営・個人商店の体裁が多く経営の全般亘り柔軟性がない為、積極的に経営拡大する事もなく、また県外への進出や県外資本に対して好意的な態度を示して来なかった事。
尚、九州新幹線一部開業後に懸念されていた北九州方面へのストロー現象は、現段階では起きておらず、むしろ開業以前より各方面で活況を呈している。
[編集] 地勢
北九州との陸路の交通路として大切なのは、九州山地越えをして到る南九州側最初の平地であり、延岡・高千穂・水俣などである。これらの玄関口の内、高千穂は軍事的意味合いは強かったが、南九州の主要な平地である国分平野から遠いため、最も重要な玄関口は「人吉」であった。西都原には古墳群があり、のちに国府も置かれている。古墳時代の「表日本」は、対馬海流域の日本海側なので、日本という国の玄関であった出雲地域に古墳群があるが、その他、平野や盆地の玄関口の地域に多く分布する。
[編集] 人文地理
- ニニギノミコトや神武王(→神武東征)といった日本神話や、邪馬台国に登場する熊襲や隼人などの勇猛な一族の説話に登場する市町村が多く、アジア大陸文化の窓口となった北九州とは一線を画している。
- 山間部には、平家落人伝説が残る山村(隠田百姓村)が多い。
[編集] 自然地理
日本有数の台風上陸地として有名であり、夏から秋にかけては台風の襲来が多い。 「南国」九州を象徴する物として、八代市の不知火、鹿児島市の桜島、日南海岸(宮崎市・串間市)のフェニックス通りなどを持つ。
農業では、静岡県と並んで緑茶の産地。みかん、薩摩芋、らっきょう、そら豆、隠元豆、そば、葉たばこ、さとうきびの出荷高も全国トップレベル。
畜産では薩摩黒豚、薩摩地鶏、鶏卵、薩摩黒毛和牛の産地、漁業では、温暖な気候を利用して鰤や車海老の養殖が盛んであり、高知県や静岡県と鰹の水揚げ高と鰹節の生産量が並ぶ。
- 主要山岳:桜島、霧島山系、開聞岳、宮之浦岳、紫尾山
- 主要河川:川内川、大淀川、五ヶ瀬川、球磨川
- 主要海浜:吹上浜、日南海岸、鹿児島湾、八代海、志布志湾、佐多岬
- 主要平坦地:宮崎平野、人吉盆地、都城盆地、川内平野、出水平野
[編集] 熊本・大分・沖縄との関係
一般的には南九州といえば宮崎県と鹿児島県の2県を指すが、熊本県や大分県、沖縄県全域を南九州エリアとして管轄している企業や官公庁も多い。南九州の中枢拠点を熊本市に置く企業や官公庁もいくつか存在する。
主な例
- 熊本国税局(所在地:熊本市 管轄エリア:熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県)
- 南九州税理士会(所在地:熊本市 管轄エリア:熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県)
- 南九州コカ・コーラボトリング(本社:熊本市 管轄エリア:熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県)
- 南九州ペプシコーラ(本社:熊本市 管轄エリア:熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県)
- 南日本信販(本社:熊本市 管轄エリア:熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県)
- 住宅金融公庫南九州支店
- NTTファイナンス南九州支店
- 南九州信用金庫協会
他にも、2006年度の全国高等学校クイズ選手権(日本テレビ系)の南九州予選は熊本・宮崎・鹿児島の3県で行われたり、 南九州観光調査開発委員会が編纂する「南九州格付けガイド」も熊本県を含めていたりするなど、「南九州」を拡大解釈する向きもある。
しかしながら、実際のところ、熊本県や大分県は県境を越えて福岡県との繋がりが強い。そのため、熊本県南の一部を除き、南九州であるという意識は薄い。その理由としては総体的に熊本県では、南九州という語彙に僻地的な印象を強く持つ為でないかと推測される。
一方で鹿児島県では本来「県内最大」と称すべきところを「南九州最大」と置き換える傾向がある。鹿児島市自ら「南九州最大の都市」「南九州の中心都市」だと公称していたり、繁華街の天文館を「南九州最大の繁華街」だと強調する傾向がある。この場合の南九州というのは鹿児島県と宮崎県の2県を指しているのだが、実際は上記のように熊本県や沖縄県など、より広範囲に拡大解釈する人も多いため、暗に都市規模や人口でやや上位に立つ熊本市よりも鹿児島市のほうが格が上だという対外的アピールをしているのではないかという指摘もある。
[編集] 交通網
[編集] 鉄道
[編集] 道路
[編集] 高規格幹線道路
[編集] 高速自動車国道
[編集] 高速自動車国道に並行する一般国道自動車専用道路
[編集] 国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)
[編集] 地域高規格道路
[編集] 一般有料道路
[編集] 一般国道
- 国道3号
- 国道10号
- 国道218号
- 国道219号
- 国道220号
- 国道221号
- 国道222号
- 国道223号
- 国道224号
- 国道226号
- 国道265号
- 国道267号
- 国道268号
- 国道269号
- 国道270号
- 国道326号
- 国道328号
- 国道445号
- 国道446号
- 国道447号
- 国道448号
- 国道499号
- 国道504号
[編集] 港湾
- 鹿児島港
- 志布志港
- 名瀬港
[編集] 関連項目
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