天竜浜名湖鉄道天竜浜名湖線
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天竜浜名湖線(てんりゅうはまなこせん)は、静岡県掛川市の掛川駅から浜松市天竜区の天竜二俣駅を経て、湖西市の新所原駅に至る天竜浜名湖鉄道が運営する鉄道路線。略して天浜線(てんはません)とも呼ばれる。旧国鉄の特定地方交通線(二俣線)を引き継いだ路線。
東海道本線から分岐して内陸部に入り、浜名湖の北岸を巡って再び東海道本線に合流しており、掛川~豊橋間の北回りバイパス線ともなっている。
本来は、掛川から遠江二俣、三河大野を経て岐阜県東濃地方の大井(現在の恵那)に至る鉄道(改正鉄道敷設法別表第63号)として計画されたが、軍事上の要請から(浜名湖付近で海岸線を通る東海道本線が、敵軍の攻撃により不通になった際のバイパスとするため)、終点を新所原に変更して建設された。また、天竜二俣付近では、1929年~1935年に存在した光明電気鉄道線の廃線跡を転用して建設を行っている。
目次 |
[編集] 路線データ
[編集] 運行形態
ワンマン運転の列車が各駅停車で運転される。第三セクター転換後は、東海道本線などとの直通列車はない。単線かつローカル線であるために、完全な等間隔運行ではないが、昼間はほぼ1時間に1本の割合で列車が運行されている。朝夕はこの他に新所原~金指間、遠州森~掛川間に、それぞれ区間運転が行われる。
また、2000年の夏期からトロッコ列車「そよかぜ号」が三ヶ日~天竜二俣間を走り、人気を呼んでいる。このトロッコは、貨車改造のトロッコ車両2両と、上り方向にレールバス1両を付けた3両編成で、動力はレールバスのみである。
終着駅でレールバスの機回しを避けるため、トロッコ車両の下り側は制御付き運転台で、下り列車の場合トロッコ車両を先頭にして、後のレールバスを操作する方式を採用している。
[編集] 設備
天竜二俣駅構内は、国鉄時代の遠江二俣機関区をそのまま引き継いだ物を利用している。扇形車庫も現存し、登録有形文化財に登録されている。昼間の下り列車は、ここ天竜二俣で車両交換をする列車が多い。
行き違い設備を持つ駅は、知波田、三ヶ日、西気賀、金指、宮口、天竜二俣、豊岡、遠江一宮、原谷、桜木、掛川である。大半の交換駅では構内踏切を挟んで上下列車が斜向かいに停まるため、通常2両での運行にしては上下線とも構内が長く感じる。
新所原は東海道本線とかつて接続していたところを簡易留置線としているが、行き違い設備は持っていない。そのため、トロッコ列車は三ヶ日以東しか走れない。
[編集] 利用状況
[編集] 輸送実績
天竜浜名湖線の近年の輸送実績を下表に記す。輸送量は減少している。 表中、輸送人員の単位は万人。輸送人員は年度での値。表中、最高値を赤色の枠で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色の枠で、1987年(昭和62年)以降の最高値を記録した年度以前の最低値を緑色の枠で囲んで表記している。
年 度 | 輸送実績(乗車人員):万人/年度 | 特 記 事 項 | |||
通勤定期 | 通学定期 | 定期外 | 合計 | ||
1986年(昭和61年) | 1.6 | 1.8 | 6.5 | 9.9 | 国鉄より転換 開業 |
1987年(昭和62年) | 35.7 | 87.6 | 75.0 | 198.3 | |
1988年(昭和63年) | 37.0 | 93.0 | 83.5 | 213.5 | |
1989年(平成元年) | 39.6 | 98.9 | 82.3 | 220.8 | |
1990年(平成2年) | 40.7 | 106.2 | 87.5 | 234.4 | |
1991年(平成3年) | 39.9 | 103.3 | 90.9 | 234.1 | |
1992年(平成4年) | 37.7 | 98.2 | 91.7 | 227.6 | |
1993年(平成5年) | 38.0 | 93.6 | 96.3 | 227.9 | |
1994年(平成6年) | 36.8 | 95.9 | 93.3 | 226.0 | |
1995年(平成7年) | 36.4 | 92.6 | 92.2 | 221.2 | 新型車両(TH3000型2両)導入 |
1996年(平成8年) | 36.0 | 90.0 | 101.1 | 227.1 | |
1997年(平成9年) | 35.4 | 85.4 | 96.3 | 217.1 | |
1998年(平成10年) | 33.7 | 86.8 | 92.7 | 213.2 | |
1999年(平成11年) | 34.2 | 86.8 | 86.8 | 207.8 | |
2000年(平成12年) | 32.5 | 86.2 | 87.6 | 206.3 | |
2001年(平成13年) | 30.6 | 84.4 | 84.6 | 199.6 | 新型車両(TH2000・2100型)導入開始 |
2002年(平成14年) | 30.0 | 81.0 | 83.4 | 194.6 | 在来車両(TH1型)引退 |
2003年(平成15年) | 28.0 | 82.2 | 79.1 | 189.3 | 新型車両(TH9200型1両)導入 |
2004年(平成16年) | 27.8 | 77.8 | 75.7 | 181.4 | |
2005年(平成17年) | |||||
2006年(平成18年) |
[編集] 収入実績
天竜浜名湖線の近年の収入実績を下表に記す。旅客運賃収入は1996年(平成8年)以降減少している。運輸雑収については年度による変動が大きい。 表中、収入の単位は千円。数値は年度での値。表中、最高値を赤色の枠で、最高値を記録した年度以降の最低値を青色の枠で、最高値を記録した年度以前の最低値を緑色の枠で囲んで表記している。
年 度 | 旅客運賃収入:千円/年度 | 運輸雑収 千円/年度 |
総合計 千円/年度 |
||||
通勤定期 | 通学定期 | 定期外 | 手小荷物 | 合 計 | |||
1986年(昭和61年) | 12,143 | ←←←← | 21,442 | 0 | 33,585 | 35,472 | 69,057 |
1987年(昭和62年) | 66,908 | 105,760 | 172,668 | 0 | 426,409 | 26,006 | 452,415 |
1988年(昭和63年) | 69,897 | 115,458 | 282,464 | 0 | 467,819 | 19,781 | 487,600 |
1989年(平成元年) | 74,238 | 125,459 | 277,337 | 0 | 477,034 | 25,076 | 502,110 |
1990年(平成2年) | 76,274 | 134,780 | 290,461 | 0 | 501,515 | 33,379 | 534,894 |
1991年(平成3年) | 73,228 | 131,028 | 302,300 | 0 | 506,556 | 25,143 | 531,699 |
1992年(平成4年) | 68,049 | 123,470 | 307,104 | 0 | 498,623 | 24,143 | 522,766 |
1993年(平成5年) | 67,640 | 118,729 | 317,478 | 0 | 503,847 | 30,676 | 534,523 |
1994年(平成6年) | 71,741 | 130,573 | 332,899 | 0 | 535,213 | 25,525 | 560,738 |
1995年(平成7年) | 69,799 | 130,859 | 325,184 | 0 | 525,842 | 24,499 | 550,341 |
1996年(平成8年) | 68,655 | 127,785 | 363,237 | 0 | 559,677 | 36,312 | 595,989 |
1997年(平成9年) | 66,516 | 121,636 | 346,131 | 0 | 534,283 | 30,989 | 565,272 |
1998年(平成10年) | 63,729 | 124,549 | 327,857 | 0 | 516,135 | 34,430 | 550,565 |
1999年(平成11年) | 63,856 | 126,151 | 305,195 | 0 | 495,202 | 27,988 | 523,190 |
2000年(平成12年) | 61,623 | 126,541 | 311,185 | 0 | 499,349 | 28,298 | 527,647 |
2001年(平成13年) | 59,148 | 121,806 | 299,559 | 0 | 480,513 | 27,087 | 507,600 |
2002年(平成14年) | 58,449 | 119,500 | 282,001 | 0 | 459,950 | 30,531 | 490,481 |
2003年(平成15年) | 53,697 | 115,776 | 269,327 | 0 | 438,800 | 36,482 | 475,282 |
2004年(平成16年) | 54,540 | 111,207 | 263,464 | 0 | 419,211 | 55,696 | 474,907 |
2005年(平成17年) | |||||||
2006年(平成18年) |
[編集] 歴史
- 1935年(昭和10年)4月17日 - 二俣線 掛川~遠江森(現在の遠州森)間(12.9km)開業。遠江桜木駅、原谷駅、遠江森駅開業。
- 1936年(昭和11年)12月1日 - 二俣西線 新所原~三ヶ日間(12.1km)開業。(新所原駅)、知波田駅、尾奈駅、三ヶ日駅開業。二俣線を二俣東線に改称。
- 1938年(昭和13年)4月1日 - 二俣西線 三ヶ日~金指間(13.8km)開業。都筑駅、佐久米駅、西気賀駅、気賀駅、金指駅開業。
- 1940年(昭和15年)6月1日 - 遠江森~金指間(29.1km)開業。二俣東線が新規開業区間及び二俣西線を編入し二俣線に改称。掛川~新所原間(67.9km)全通。遠江一宮駅、敷地駅、野部駅、遠江二俣駅、西鹿島駅、岩水寺駅、宮口駅、都田駅開業。
- 1953年(昭和28年)7月8日 - (仮)東都筑駅開業。
- 1954年(昭和29年)10月10日 - 西掛川駅開業。
- 1955年(昭和30年)5月6日 - 寸座駅開業。(仮)東都筑駅を駅に格上げし東都筑駅開業。
- 1955年(昭和30年)6月1日 - 上野部駅開業。
- 1956年(昭和31年)5月10日 - 細谷駅開業。
- 1956年(昭和31年)12月15日 - 二俣本町駅開業。
- 1958年(昭和33年)10月 - 遠州鉄道の気動車が西鹿島~遠江二俣(現在の天竜二俣)間に乗入れ開始。
- 1960年(昭和35年)4月20日 - 戸綿駅開業。
- 1961年(昭和36年)5月 - 遠州鉄道の気動車の乗入れ区間を遠江森まで延長 。
- 1966年(昭和41年)9月 - 遠州鉄道の気動車乗り入れ廃止。
- 1984年(昭和59年)6月22日 - 第2次廃止対象特定地方交通線として廃止承認。
- 1985年(昭和60年)3月14日 - 貨物営業廃止。
- 1987年(昭和62年)3月15日 - 国鉄二俣線廃止。天竜浜名湖鉄道 天竜浜名湖線 掛川~新所原間(67.7km)開業。気賀高校前駅、アスモ前駅開業。遠江桜木駅を桜木駅に、遠江森駅を遠州森駅に、野部駅を豊岡駅に、遠江二俣駅を天竜二俣駅に、佐久米駅を浜名湖佐久米駅に改称。
- 1988年(昭和63年)3月13日 - 掛川~金指間を電子閉塞に切り替え。いこいの広場駅、原田駅、円田駅、浜松大学前駅、奥浜名湖駅開業。
- 1989年(平成元年)3月11日 - 金指~新所原間電子閉塞に切り替えにより全線電子閉塞化。タブレット廃止。
- 1996年(平成8年)3月18日 - 掛川市役所前駅、フルーツパーク駅開業。
[編集] 駅一覧
括弧内は旧国鉄時代の駅名。*印は天竜浜名湖鉄道転換後の新設駅。
駅名 | 営業キロ | 国鉄時代の 営業キロ |
接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
掛川駅 | 0.0 | 0.0 | 東海旅客鉄道:東海道新幹線・東海道本線 | 静岡県 | 掛川市 |
*掛川市役所前駅 | 1.3 | --- | |||
西掛川駅 | 1.8 | 1.9 | |||
桜木駅 (遠江桜木) |
4.0 | 4.1 | |||
*いこいの広場駅 | 5.5 | --- | |||
細谷駅 | 6.0 | 6.1 | |||
原谷駅 | 7.9 | 8.0 | |||
*原田駅 | 9.4 | --- | |||
戸綿駅 | 12.0 | 12.1 | 周智郡森町 | ||
遠州森駅 (遠江森) |
12.8 | 12.9 | |||
*円田駅 | 14.7 | --- | |||
遠江一宮駅 | 16.4 | 16.5 | |||
敷地駅 | 19.9 | 20.0 | 磐田市 | ||
豊岡駅 (野部) |
23.0 | 23.1 | |||
上野部駅 | 24.4 | 24.5 | |||
天竜二俣駅 (遠江二俣) |
26.2 | 26.3 | 浜松市天竜区 | ||
二俣本町駅 | 26.8 | 26.9 | |||
西鹿島駅 | 28.5 | 28.6 | 遠州鉄道:鉄道線 | ||
岩水寺駅 | 30.3 | 30.5 | 浜松市浜北区 | ||
宮口駅 | 32.3 | 32.4 | |||
*フルーツパーク駅 | 36.2 | --- | 浜松市北区 | ||
都田駅 | 37.7 | 37.8 | |||
*浜松大学前駅 | 39.1 | --- | |||
金指駅 | 41.9 | 42.0 | |||
*気賀高校前駅 | 43.5 | --- | |||
気賀駅 | 44.8 | 45.0 | |||
西気賀駅 | 47.7 | 47.8 | |||
寸座駅 | 49.4 | 49.5 | |||
浜名湖佐久米駅 (佐久米) |
50.7 | 50.8 | |||
東都筑駅 | 51.9 | 52.0 | |||
都筑駅 | 53.3 | 53.4 | |||
三ヶ日駅 | 55.6 | 55.8 | |||
*奥浜名湖駅 | 56.8 | --- | |||
尾奈駅 | 58.1 | 58.2 | |||
知波田駅 | 62.9 | 63.1 | 湖西市 | ||
*アスモ前駅 | 66.7 | --- | |||
新所原駅 | 67.7 | 67.9 | 東海旅客鉄道:東海道本線 |
[編集] この路線が登場する作品
- 漫画
- ドラマ
- ウォーターボーイズ2 - ドラマの中で「姫乃」となっている駅は、「原谷」駅である。