山内昌之
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山内 昌之 (やまうち まさゆき、1947年8月30日 - ) は、北海道札幌市生まれ、小樽市出身の歴史学者である。専攻はイスラム史と国際関係史。東京大学大学院総合文化研究科教授。専門のイスラム史のみならず文化芸術などにも造詣が深く、多彩な言論活動を展開しており、注目を集めている。また、外務省などの研究会にも名前を連ね、現実の政策立案にも影響を及ぼしている。『嫉妬の世界史』は安倍晋三が総理就任前に読んだ本として紹介され、広く注目を集めた。
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[編集] 経歴
- 北海道小樽潮陵高等学校卒業。
- 1971年 北海道大学文学部卒業。
- 1973年 同大学院文学研究科修士課程修了。
- 同東洋史学専攻博士課程単位取得退学。
- カイロ大学留学。
- 1978年~1980年 カイロ大文学部客員助教授。
- 1982年 東大教養学部助教授。
- 1992年~1993年 ハーバード大学客員研究員。
- 1993年 東大総合文化研究科教授。
- 東大から学術博士号取得。
- 2007年 内閣官房「美しい国づくり」プロジェクト・企画会議委員。
[編集] 受賞歴
- 1987年 『スルタンガリエフの夢』でサントリー学芸賞。
- 1990年 『瀕死のリヴァイアサン』で毎日出版文化賞。
- 1991年 『ラディカル・ヒストリー』で吉野作造賞。
- 2002年 一連の業績に対して司馬遼太郎賞、共同編集した『岩波イスラーム辞典』が毎日出版文化賞。
- 2006年 紫綬褒章。
[編集] 著作
[編集] 単著
- 『現代のイスラム――宗教と権力』(朝日新聞社, 1983年)
- 『オスマン帝国とエジプト――1866-67年クレタ出兵の政治史的研究』(東京大学出版会, 1984年)
- 『スルタンガリエフの夢――イスラム世界とロシア革命』(東京大学出版会, 1986年)
- 『神軍緑軍赤軍――ソ連社会主義とイスラム』(筑摩書房, 1988年)
- 『瀕死のリヴァイアサン――ペレストロイカと民族問題』(TBSブリタニカ, 1990年/講談社[講談社学術文庫], 1995年)
- 『ラディカル・ヒストリー――ロシア史とイスラム史のフロンティア』(中央公論社[中公新書], 1991年)
- 『ソ連・中東の民族問題――新しいナショナリズムの時代』(日本経済新聞社, 1991年)
- 『イスラムのペレストロイカ』(中央公論社, 1992年)
- 『新・ナショナリズムの世紀――分裂する国家と民族の行方を探る』(PHP研究所, 1992年)
- 『民族と国家――イスラム史の視角から』(岩波書店[岩波新書], 1993年)
- 『世紀末のモザイク――民族から読みなおす世界史』(毎日新聞社, 1994年)
- 『民族の時代――混沌と共生の21世紀』(PHP研究所, 1994年)
- 『イスラムとアメリカ』(岩波書店, 1995年)
- 『歴史家の本棚』(みすず書房, 1995年)
- 『イスラムとロシア――その後のスルタンガリエフ』(東京大学出版会, 1995年)
- 『世界の歴史(20)近代イスラームの挑戦』(中央公論社, 1996年)
- 『帝国の終末論――文明と衝突のパラダイム』(新潮社, 1996年)
- 『民族問題入門』(中央公論社[中公文庫], 1996年)
- 『「反」読書法』(講談社[講談社現代新書], 1997年)
- 『イスラームと国際政治――歴史から読む』(岩波書店[岩波新書], 1998年)
- 『歴史家の一冊』(朝日新聞社, 1998年)
- 『20世紀のプリズム』(角川書店, 1999年)
- 『イスラームと世界史』(筑摩書房[ちくま新書], 1999年)
- 『納得しなかった男――エンヴェル・パシャ中東から中央アジアへ』(岩波書店, 1999年)
- 『文明の衝突から対話へ』(岩波書店[岩波現代文庫], 2000年)
- 『イスラームと日本政治』(中央公論新社, 2000年)
- 『歴史という名の書物』(新潮社, 2001年)
- 『歴史の想像力』(岩波書店[岩波現代文庫], 2001年)
- 『政治家とリーダーシップ――ポピュリズムを超えて』(岩波書店, 2001年)
- 『文明論としてのイスラーム』(角川書店, 2002年)
- 『戦争と外交――イラク・アメリカ・日本』(ダイヤモンド社, 2003年)
- 『歴史の作法――人間・社会・国家』(文藝春秋[文春新書], 2003年)
- 『帝国と国民』(岩波書店, 2004年)
- 『歴史のなかのイラク戦争――外交と国際協力』(NTT出版, 2004年)
- 『嫉妬の世界史』(新潮社[新潮新書], 2004年)
- 『歴史家の書見台』(みすず書房, 2005年)
- 『鬼平とキケロと司馬遷と――歴史と文学の間』(岩波書店, 2005年)
- 『歴史と政治の間』(岩波書店[岩波現代文庫], 2006年)
- 『歴史と外交』(中央公論新社, 2007年)
- 『歴史学の名著30』(筑摩書房[ちくま新書], 2007年)
[編集] 共著
- (中井和夫・廣岡正久・佐久間邦夫・北川誠一)『分裂するソ連――なぜ民族の反乱が起こったか』(日本放送出版協会, 1990年)
- (蓮實重彦)『われわれはどんな時代を生きているか』(講談社[講談社現代新書], 1998年)
- (蓮實重彦)『20世紀との訣別――歴史を読む』(岩波書店, 1999年)
- (I・ウォーラーステイン・網野善彦・榊原英資・川勝平太)『『地中海』を読む』(藤原書店, 1999年)
[編集] 編著
- 『21世紀の民族と国家――新しい地域像を探る』(日本経済新聞社, 1993年)
- 『中央アジアと湾岸諸国』(朝日新聞社, 1995年)
- 『ベーシック世界の民族/宗教地図』(日本経済新聞社[日経文庫], 1996年)
- 『「イスラム原理主義」とは何か』(岩波書店, 1996年)
- 『史料スルタンガリエフの夢と現実』(東京大学出版会, 1998年)
[編集] 共編著
- (民族問題研究会)『入門・世界の民族問題』(日本経済新聞社, 1991年)
- (岡田英弘・川田順造・樺山紘一)『歴史のある文明・歴史のない文明』(筑摩書房, 1992年)
- (長崎暢子)『現代アジア論の名著』(中央公論社[中公新書], 1992年)
- (大塚和夫)『イスラームを学ぶ人のために』(世界思想社, 1993年)
- (蓮實重彦)『文明の衝突か、共存か』(東京大学出版会, 1995年)
- (原暉之)『講座スラブの世界(2)スラブの民族』(弘文堂, 1995年)
- (蓮実重彦)『地中海終末論の誘惑』(東京大学出版会, 1996年)
- (増田一夫・村田雄二郎)『帝国とは何か』(岩波書店, 1997年)
- (義江彰夫・本村凌二)『歴史の文法』(東京大学出版会, 1997年)
- (義江彰夫・本村凌二)『歴史の対位法』(東京大学出版会, 1998年)
- (古田元夫)『日本イメージの交錯――アジア太平洋のトポス』(東京大学出版会, 1997年)
- (大塚和夫・小杉泰・小松久男・東長靖・羽田正)『岩波イスラーム辞典』(岩波書店, 2002年)
- (後藤明)『イスラームとは何か』(新書館, 2003年)
- (猪口孝・田中明彦・恒川惠一・薬師寺泰蔵)『国際政治事典』(弘文堂, 2005年)