彼岸島の登場人物
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彼岸島の登場人物(ひがんじまのとうじょうじんぶつ)は、松本光司の漫画『彼岸島』及びその関連作品に登場する、架空のキャラクターの一覧である。ここでは、人間・吸血鬼併せて記述する。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 人物一覧
- 宮本明(みやもと あきら)
- 本作の主人公。商店街の宮本青果店の店長の息子。二年前に行方不明になった兄を捜すため、高校卒業後、友人達や知り合った女性(青山冷)と共に彼岸島へ赴く。彼岸島に来る以前は、両親(特に母親)から、自分自身を兄の篤と比較されていた為、篤の事を妬んでいた。
- 兄を発見した後、兄や友人らと共に脱出不可能な島を脱出するべく吸血鬼達と戦っていたが、吸血鬼ウィルスに感染した友を自らの手で殺した事で、目的が島の脱出から吸血鬼の頭領で在る雅を打倒する事に変化し、強行な行動となる。後に再登場した時は、鋭い目付きはそのままで、髪や髭が伸び、雰囲気が大きく変わった。師匠の下で修行を積み、他のメンバーと比べて群を抜いて強くなった。居合いのような剣さばきで樹木をも両断するほど。
- 軽い予知能力を持っており、普段はそれが豊かな想像力として表に出て、発揮されている。最初はその想像力の所為で裸のユキ等の妄想に悩まされて居た。絵心(絵の才能)が無かったので、漫画家の夢を諦め、現在の将来の夢は小説家。考えた話は仲間内の皆に話して聞かせていた。今ではその想像力が戦術考察力にも通じる様にもなっている。
- ゲームでは、師匠(後述)が登場しない為か、髪の毛や髭が伸びたりする事は無く、服の色も違う。
- 加藤(かとう)
- 明の友人。本名「三村政和(みむら まさかず)」。だが、ケンちゃんとよくつるんでいるので、加藤と呼ばれるようになる。高校卒業後、明と共に彼岸島に行く。気弱でおっちょこちょいである。彼岸島の人間の村での吸血鬼達の襲撃の際、誤って肥溜めに落ち、吸血鬼の襲撃の難を逃れる。商店街の外れのプレハブ小屋を所有して居る。実家は商店街の写真屋。その為、「加藤」と呼ばれる前の仇名は「写真屋」である彼も一応は師匠の下で鍛えたらしく、槍を持って奮戦する。
- 西山(にしやま)
- 明の友人。本名「西山正一(にしやま しょういち)」。高校卒業後、明と共に彼岸島に行く。頭脳明晰で、家が商店街の文房具屋。分身の術が使用可能で、炭坑からの脱出の際、姫(後述)に追われる際に、その能力を発揮した。明と一緒に東京へ行って、女探しをするのを夢見ている。妹が居る。豚汁、どぶろくなどの調理を得意とし、戦闘ではお手製の地雷を駆使する。「こんなこともあろうかと」と窮地を脱する一手を放つ手際のよさは、しばしば「でかした!」と絶賛される。
- 妹が居る為か、ゲームでは、明に「ロリコン西山」と呼ばれており、将来の夢は、医者で、医大に進学する予定だった。尚、如何して名前の「正一」では無く、「西山」と呼ばれているのかは、ゲームにて明らかになる。
- ポン
- 明の幼馴染みの友人。本名不明。高校卒業後、明と共に彼岸島に行くが、敵の屋敷から逃走中に入浴中の女性吸血鬼を発見。覗き見し興奮している間に捕まり、雅(みやび)に化け物「亡者(後述)」にされる。「人間としての死」を望み、明に自分を殺して欲しいと頼み、明に殺される。その際、明に自分の拳銃と弾丸を手渡す。メインキャラクター最初の犠牲者。彼岸島に来る前は、ゴロツキに苛められていた所を、篤に救って貰った事がある。家は商店街の玩具店で、兄は警察官。ギ・エンカイに似ている。
- ケンちゃん
- 明の友人。本名「斉藤健一(さいとう けんいち)」。明と良く気が合う。自慢の愛車はジミ・ヘンドリックスの名をつけたジミヘン号。母親が再婚を繰り返しており、現在は家が商店街の魚屋。高校卒業後、明と共に彼岸島に行く。名前からして長男の様に思われるが、実は次男。兄の翔一(しょういち)と父親は、ケンが4歳の頃に事故で死亡。ジミヘン号は現在の父親からプレゼントして貰った物。篤からは「ケン坊」と呼ばれている。
- ゲームでは、彼岸島(逆神島)の病院から脱出する際に、救急車を強奪して明達と一緒に脱出するという勇敢な一面を見せる。
- ユキ
- 明の幼馴染みのガールフレンド。ポンと同じく本名不明。ケンと付き合っている。高校卒業後、明と共に彼岸島に行く。特技は弓道で、矢を射るのが得意。
- ゲームでは、霊鬼(後述)に捕らえられたり、病院で服を脱いだ所を気絶し、明に見られたりと、散々な目に遭っている。
- 宮本篤(みやもと あつし)
- 明の兄。頭脳明晰で運動神経抜群の青年。宮本家の希望だったらしい。ロイド眼鏡を着用している。二年前、婚約者の涼子と共に来た神社で、閉じ込められていた吸血鬼の雅(みやび)を開放してしまった為に、悲劇を起こす事になる。婚約者の涼子を殺され(正確には吸血鬼化した涼子を半殺しにしたのは篤本人)、雅に復讐する事を誓う。
- 後に明を助ける為に雅の返り血を浴びて吸血鬼ウィルスに感染し、最期は雅の動きを封じたまま、明が邪鬼(オニ)を落とした振動で起きた雪崩に巻き込まれ死亡……したかに思われたが、吸血鬼として五十嵐の研究所址にて再登場し、その際に自らの意志で雅に従っている事を告白。明側、レジスタンス側、ひいては人間側と訣別。吸血鬼側につく。
- 涼子を傷付けた事への贖罪も兼ねて、人間を捕まえられず雅に見捨てられた年寄り吸血鬼達の面倒も見ており、皆から信頼されている。お互い護る者(明は人間、自分は涼子達)が在る事を明に教え、自ら弟に超えられる事を恐怖に思っていた事を告白。ワクチンを賭けて明と真剣勝負を挑む。
- 以前は雅から「丸メガネ」と悪口で呼ばれていたが、現在は普通に名前で「篤」と呼ばれている。以前は青山冷と組み、雅の不死に付いて調査していた。武器は丸太と日本刀を愛用していたが、実際には薙刀をもっとも得意とし、その腕前は師匠をも上回る(大型の武器で携帯に不向きなため、あまり使用していなかった)。
- 教会での激戦の際、左目を潰され、失明した挙句、彼に深手を負わされている。涼子や村の老吸血鬼達を護らねばと、命乞いをするが、直後に足場が崩れ、転落した。その際、落下の衝撃から明を庇ったため下半身を失い、瀕死の重傷を負う。その後、明に止めを請い、彼の介錯で死去。享年25。平成15年4月3日の事であった。
- ゲームでは、冒頭で男性を殺害する際に、鎌で彼の首を斬り落としている(原作では丸太で彼の頭を潰している)。雅にキスを交わされ、吸血鬼ウィルスを体内に注入されるが、冷に因って辛うじて吸血鬼に成るのを免れる。
- 青山冷(あおやま れい)
- 彼岸島の吸血鬼達のメンバーと繋がっている人間の女性。明に篤の免許証を手渡す。後に明達の味方になり、彼岸島に赴く事になる。檻に入れられる直前で、逃走。その後行方不明になるが、第100話にて廃校の理科室で再登場。実は「師匠」の娘で、以前は篤と共に雅の不死に付いて調査していた。篤に恋心を抱いていた(ゲームでは、この設定が篤と恋人同士と言う事で表現されている)が、篤が「涼子を護る」と宣言した為、その想いを伝える事は出来無かった。実は涙脆い。明達と一緒に五十嵐の研究所迄行くが、そこで出くわした篤に斬られてしまう。吸血鬼として復活する説も浮上したが、最後そう成る事は無かった。実は田中(後述)と離婚した井上典子(後述)の連れ子なので、師匠の養女に成った彼女に吸血鬼の特徴は現れなかった。
- 青山楓(あおやま かえで)
- 冷の妹。師匠の養女に成った。吸血鬼達に磔にされ、殺害されてしまう。
- 師匠(ししょう)
- 明と篤の師匠。年齢不詳。吸血鬼達に対する抵抗組織(レジスタンス)のリーダー。巨大な体躯(たいく)を持つ怪力の持ち主。実は吸血鬼なのだが、吸血鬼で在る事を隠す為、常に寺から代々伝わる恐ろしげな仮面を被っている。元々は心優しい住職で、島の子供達の人気者だった。発作が起きると大声を上げて暴れ出す為、発作が起きている間は鎖で繋がれている。
- 本名は「青山龍ノ介(あおやま りゅうのすけ)」。後述の五十嵐と協力して、雅を日本軍の冷凍室に封印し、長い間、冷凍室の扉が開けられないよう様に見張っていた。五十嵐の人体実験の後遺症と長年の孤独に由って、生きる希望を失っていたが、少女(青山典子)と出会い、目が人間同様になり、牙も埋没し自分が人間と外観が大差が無くなった事を知る。そして、彼岸島の人達と仲良くする事を誓う。ほぼ人間同様の姿になれたのは、五十嵐の人体実験の後遺症に由ってである。
- 前述の発作は、五十嵐の人体実験の後遺症である。師匠が現在着用して居る仮面は、寺のガラスケースの中に入れられて飾られていた物で、典子(後述)はこの仮面を「気味が悪い」と怖がっていたが、師匠は「格好良い」と言った。
- 冷と楓の義父。口癖は「すまぬ(スマヌ)」。冷の死後、怒りに任せ仏像を「役立たず」と破壊した。「師匠」と言う呼称はニックネームと化している。後述のレジスタンスの忍者達は、師匠の事を「お頭」と呼び、雅からは、「怪力坊主(雑誌掲載時は、「クソ坊主」)」と呼ばれている。
- 雅が復活した時、多くの村人が殺されたことで、五十嵐から預かった注射器で吸血鬼の血液を体内に注射し、吸血鬼に戻り、身体が巨大化する。
- 物語に関与されない為か、ゲーム未登場。後述のゲームオリジナルキャラクターの首輪を着用している少女の、仮面を被った吸血鬼の父親が師匠だと言う説も在る。
- 五十嵐一郎(いがらし いちろう)
- 大日本帝国陸軍(日本軍)の軍医中佐。「五十嵐部隊」の隊長。「彼岸島ニオケル吸血病ノ報告」と言う報告書を書いた人物。約60年前(昭和17年)、日本軍を率い、当時島に棲息していた吸血鬼を兵士として利用しようと彼岸島に上陸する。吸血鬼の一族を生体実験に利用し、死なない軍人、最強の軍隊を作ろうと試み、雅という「人類の敵」を生みだしてしまう。雅の力を恐れた彼は501ワクチンを使って雅を追い込む者の、雅の力に対して期待を捨てきれず、殺さずに封印した。
- そしてのちに研究所に繋がっている炭鉱で吸血鬼として再登場。炭鉱で吸血鬼に襲われ、吸血鬼と化した事、長い炭坑生活によってか、言動などに異常が見られるが、未だ「お国の為」と言う信念は捨てていない。邪鬼の爪に引っ掻かれ瀕死の重体である明をユキの血液との交換条件で救った。第141話で「501ワクチンで人間に戻り、人々の役に立ちたい」と言う夢が叶わぬまま、篤に刀で首を斬られ絶命。雅の事を「4番」と呼ぶ。雅を501ワクチンで、彼の同族の青山龍ノ介(後の師匠)と協力して不死の能力を奪い、龍ノ介を説得して、殺さずに、研究用の冷凍室に封印した。後に、其処は神社に成る。その際、龍ノ介に、大型獣用連続注射器を託す。
- 師匠と同じく物語に関与されない為か、ゲーム未登場。
- 涼子(りょうこ)
- 篤の婚約者。明達が彼岸島に来る二年前、病院で篤の目の前で雅に陵辱された挙句殺され、篤が雅に復讐する事を誓う切っ掛けとなった女性。しかし、死亡したかに思われた彼女だが、吸血鬼の村で精神に異常を来たし乍も、吸血鬼として再登場する。
- 篤は最初「涼子が吸血鬼にされた」と言い、その後「涼子が雅に殺された」と矛盾する事を言ったが、これは前述で、混乱した篤が涼子に大怪我を負わせた為である。その後、吸血鬼の村に保護された涼子は、吸血鬼化した篤に介抱され、漸く相手と話せる迄に回復する。現在は、篤の子供を身篭っている。篤を「あっちゃん」と呼び、慕っている。下半身を失った篤が明に介錯される時は、自決しようとした。篤の村が亡んだ時に、妊娠中の子供と共に死亡した者と思われる。
- ゲーム版では既に死亡とされている為か、未登場。
- 田中(たなか)
- 典子の手紙の写真でのみ登場。井上典子の夫で、数年後に3子を儲けるが、彼女とは離婚してしまう。後に、レジスタンスの一員として再登場する。「あしなが婆さん」と呼ばれる邪鬼に襲われるも間一髪逃げ延び、ロッカーの中で隠れている所を明に発見された。「あしなが婆さん」の命名者は、彼と師匠で在る。
- 井上典子(いのうえのりこ)
- 青山龍ノ介(師匠)に、自分が人間に成った事を教えて上げた少女。寺に在った代々伝わる仮面を怖がっていたが、この仮面は師匠が着用する事に成る。数年後、東京の大学に進学し、田中と結婚。3子を儲ける。田中と離婚した後は、旧姓の井上に戻り、彼岸島に帰り、師匠と再婚し、青山典子に成る。数年後、篤が解き放った雅の襲撃に遭い、吸血鬼に成りはて、楓の前に現れた。
- 雅(みやび)
- 明と篤の宿敵。彼岸島の吸血鬼の頭領にして、彼岸島の吸血鬼一族の生き残りの1人、感染型吸血鬼の始祖。篤と涼子の恩を仇で返し、吸血鬼ウィルスを島中に蔓延させ、彼岸島の殆どの島民を吸血鬼にした張本人。
- ポンを化け物にし、篤にも吸血鬼ウィルスを感染させた。前述の日本軍の生体実験により不死を手に入れた為、刀で斬り刻んでも銃で撃っても死ぬ事はない。銃で撃たれても、寧ろその弾丸を口から吐き出し敵を攻撃するなど離れ業もやってのける。少なくとも江戸時代から生き続けている。
- 吸血鬼一族の中で、唯一髪の毛が白かった(銀髪?である)為、一族から忌み嫌われていた。その為か、人間や人間と共存する一族を非常に忌み嫌っている。自分より遥かに年上に見える弟が居た。4番。
- 篤に因って封印を解かれ、島の人間達を吸血鬼にした際は、師匠が持っている丸太を「小枝」と呼んだり、大木を丸太として使用する為に持ち上げる程の怪力を持ち合わせており、その大木を振り回し、師匠に大ダメージを与えた。
- 服のセンスが微妙にズレている様で、彼岸島には似つかわしく無いタキシードを普段着として着用している。又、ロイド眼鏡の事を皮肉って、篤の事を「丸メガネ」と呼ぶ。
- 冷に酷似している為、ゲームでは冷の双子の弟で、彼女に変装した事もあった。その際は篤とキスを交わし、篤の体内に吸血鬼ウィルスを注入した事がある。冷と対を成す存在。明が篤からお守りとして貰った、特殊な石に極端に弱い。最後は、巨大な桜と成り、火山島で在る彼岸島の、噴火した火山の溶岩に呑まれ、生死不明となる。
- 忍者
- 吸血鬼に対するレジスタンスと成った漁村の男達。忍者の様な格好をしている。師匠に鍛えられている筈だが劣勢な描写が多く戦闘ではあまり役に立たないイメージが強い。
- 師匠が登場しない為か、ゲーム未登場。
- 吸血鬼
- 吸血鬼ウィルスに感染した彼岸島の島民達。一応人間の心は持っては居るが、雅に吸血鬼にさせられたのに、何故か彼を吸血鬼にさせられた事を恨まずに寧ろ崇拝している。また、殆どの吸血鬼が笠とほっ被りを被っている。明を始めとするレジスタンス達が相当に斃しているが、未だ多くの人口(吸血鬼口?)を持つ。詳しくは吸血鬼を参照。
- 太郎
- 着物を着た邪鬼。傘の下には巨大な単眼が在る。邪鬼使い(後述)使役にされる邪鬼。着物の下の腹部には、縦に割れた口が在る。
- 邪鬼使い
- 年老いた吸血鬼。雅の様に邪鬼を自由自在に操れるが、其れは邪鬼に苦痛を与え、操るのをカバーして居る。邪鬼(太郎)にお仕置きをすると、年甲斐も無く興奮する。彼が持っている杖の先端には、刀が仕込んである。太郎が谷底に落ち掛けた時に、転落死したものと思われる。
- 謎の美少女
- ゲームオリジナルキャラクター。ゲームのオープニングデモにも登場する。首輪を着用して居り、仮面を被った吸血鬼(彼の正体は、師匠と言う説が在る)の娘でも在る。容姿端麗な上、首輪を着用して居る為か、独特な雰囲気を醸し出す。明達に救出された後、何処かへ走り去ってしまう。彼女の部屋には、沢山の縫い包みが在る。
- 謎の老人
- ゲームオリジナルキャラクター。彼岸島の或る所に小屋を建てて、其処で暮らしている老人。小屋の中には、ラジオ等が置いてある。
- 犬
- ゲームオリジナルキャラクター。彼岸島に行く際、船の操舵士が飼っている犬。明達が彼岸島を脱出する際、明達が邪鬼に襲われた際は、この犬が脱出の手助けをし、犬は邪鬼と一緒にクレバスへと落ちてしまう。その後の消息は不明。