成田新幹線
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成田新幹線(なりたしんかんせん)とは、東京都心部と成田空港の連絡を目的として計画された新幹線である。沿線自治体の建設反対運動が激しく、用地買収が進まなかったため工事が中止された。
目次 |
[編集] 路線データ
- 路線距離 : 約65km
- 軌間 : 1435mm
- 駅数 : 3駅(起終点駅含む)
- 複線区間 : 全線複線
[編集] 歴史
- 1966年:成田国際空港の建設決定。
- 1971年1月18日:全国新幹線鉄道整備法に基づき基本計画決定。
- 1971年4月1日:整備計画決定。
- 1972年2月10日:工事実施計画認可。
- 1974年:着工。
- 前述の経緯があったため、着工できたのは土屋~成田空港間及び、成田空港駅の設備だけであった。
- 1978年:成田国際空港開港。
- 1983年:工事を凍結。
- 1987年:国鉄民営化にあわせて基本計画を失効。
- 1990年:東京側(東京駅~越中島貨物駅間)の用地を京葉線に転用して営業開始。
- 1991年:土屋~成田空港間で完成していた高架線を成田線(支線)に転用し、成田新幹線用に完成していた成田空港駅へのJR東日本と京成電鉄の乗り入れ開始。
[編集] 駅一覧
なお、現在の空港第2ビル駅に相当する駅は成田新幹線では計画されていなかったが、線路の位置関係から路線開業後に、第2ターミナル完成時の追加設置を想定していたものと思われる。
また千葉ニュータウン駅は当初設置の予定がなかったものの、国鉄の「途中駅なしでは採算性に疑問」という主張を受けて、設置される事になっていた。
[編集] 運行形態
東京~成田空港間を最速30分、千葉ニュータウン駅停車列車は35分で運転する事が予定されていた。
[編集] 現状
成田新幹線は1983年の工事凍結までに千葉県成田市の土屋地区(成田駅から北へ約2km、成田線との交差部)から成田空港までの路盤を完成させ、それ以外にも僅かながら建設用地の買収などが行われた。仮に全線開業に漕ぎ着けていたとしても、東京駅の立地条件の悪さや総距離の短さで新幹線としての威力を発揮する事は困難だったとの見方が強い。現在では東京都心と成田空港の高速輸送計画は、成田新高速鉄道計画に受け継がれる形になっている。
[編集] 東京駅
将来の新宿方面への延伸を考慮し、東海道本線と鍛冶橋通りが交差する地点(東京駅~有楽町駅間のほぼ中間)の地下に、成田新幹線用の駅施設を建設するための場所が設定されていた。成田新幹線の事実上の計画中止後、ここには京葉線の駅施設が新たに建設されている。なお、京葉線の駅施設が在来線の地下駅としては躯体が広く見えることや、位置的には成田新幹線東京駅の予定地と同じ場所であることなどから「成田新幹線用に建設された躯体を京葉線ホームに転用した」と誤解されることが多いが、実際には「確保した場所の転用」だけであり、成田新幹線用に造られた躯体を京葉線に転用したわけではない。
[編集] 東京駅~越中島貨物駅付近
成田新幹線用に設定された地下空間を活用する形で京葉線が建設された。このためこの区間のルートは現在の京葉線とほぼ同一である。
[編集] 越中島貨物駅付近~原木中山駅付近
総武本線越中島貨物駅の西側で地上に出て東方向へほぼ直進し、荒川を渡ったあたりから原木中山駅付近まで東京地下鉄東西線に並行する予定だった。
[編集] 原木中山駅付近~武蔵野線交差部
原木中山駅の北側で東西線から少し離れ、現在の千葉県船橋市本郷町付近から中山競馬場の南東側まで地下トンネルを通り、トンネルを抜けた直後に武蔵野線の下をくぐる予定だった。
- 原木中山駅付近
- 原木中山駅の北側にある真間川の両岸で用地買収が行われている。右岸の用地は以前、日本国有鉄道清算事業団の宿舎があったが、現在は民間企業のビルが建っている。また、左岸の用地は2004年頃の時点で空き地であったことが確認されている。
- 武蔵野線交差部
- 武蔵野線西船橋~船橋法典間のほぼ中間の線路施設は、成田新幹線を下に通すことを考慮し、比較的スパンの長い架道橋が設けられている。
[編集] 武蔵野線交差部~千葉ニュータウン中央駅付近
北東方向へほぼ一直線に進み、新京成電鉄新京成線の三咲駅の地下を通って現在の北総鉄道北総線の小室駅と千葉ニュータウン中央駅のほぼ中間で北総線に合流する予定だった。
[編集] 千葉ニュータウン中央駅付近~印旛日本医大駅付近
千葉県が確保した鉄道用地を使用する予定だった。現在も北総鉄道北総線の北側に成田新幹線用の敷地が空き地のまま残っている。また、千葉ニュータウン中央駅に隣接して成田新幹線の千葉ニュータウン駅が設けられる予定だった。
※千葉県は千葉ニュータウンの造成工事の際、ニュータウンを東西に横断する複々線分の鉄道用地を確保し、当初の計画では新鎌ヶ谷~小室間で北総開発鉄道(現・北総鉄道北総線の第一種鉄道事業区間)と千葉県営鉄道北千葉線(未成線、2002年3月31日免許廃止)を並行して整備し、小室(実際は小室~千葉ニュータウン中央間のほぼ中間)~印旛日本医大間では成田新幹線と北千葉線(現・北総鉄道北総線の第二種鉄道事業区間)を並行して建設することになっていた。
[編集] 印旛日本医大駅付近~成田市土屋付近
現在工事中の成田新高速鉄道とほぼ同一のルートを通る計画だった。印旛沼の東側(八代付近)には車両基地の設置が予定されていた。
[編集] 成田市土屋付近~成田空港駅
1983年の工事凍結までに、成田市土屋地区から成田空港まで高架、地下トンネルによる路盤が完成した。完成後はしばらく放置されていたが、1991年に開業した成田空港高速鉄道線に転用された。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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事業用車両 |
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