眠れる森の美女
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『眠れる森の美女』(ねむれるもりのびじょ)は、ヨーロッパの古い民話・童話。AT分類では、410に分類されている。ペロー童話集にも取り上げられ、グリム童話集では、『茨姫』として類話が取り上げられている(KHM 50)。また、ジャンバティスタ・バジーレの『ペンタメローネ』所収の「太陽と月のターリア」も類話として知られている。『眠りの森の美女』、『眠り姫』、『茨姫』(いばらひめ)の邦題もある。英語タイトルの"Sleeping Beauty"で呼ばれることもあり、同タイトルの小説も発行されている。
バレエの演目や、ディズニー映画としても有名。また日本では劇団東少によってミュージカル化されている。
目次 |
[編集] あらすじ
民話のため、さまざまなパターンがあるが、ここではひとまず、日本語圏では一番ポピュラーなグリム版に基づいてストーリーを紹介する。
あるところに子供を欲しがっている国王夫妻がいた。ようやく女の子を授かり、祝宴に一人を除き国中の十二人の魔法使いが呼ばれた(十三は不吉な数字であった為と見られる、またメインディッシュのための金の皿が12枚しかなかった為とも)。魔法使いは一人ずつ贈り物をする。宴の途中に、一人だけ呼ばれなかった十三人目の魔法使いが現れ、十一人目の魔法使いが贈り物をした直後に“王女は錘が刺さって死ぬ”という呪いをかける。まだ魔法をかけていなかった十二人目の魔法使いが、先の魔法を修正し「王女は錘が刺さっても百年の間眠るだけ」という呪いに変える。
王女を心配した王は、国中の紡ぎ車を燃やさせてしまう。王女は順調に育っていくが、十五歳の時に一人で城の中を歩いていて、城の塔の一番上で老婆が紡いでいた錘で手を刺し、眠りに落ちる。呪いは城中に波及し、そのうちに茨が繁茂して誰も入れなくなった。
百年後。近くの国の王子が噂を聞きつけ、城を訪れる。王女は目を覚まし、2人はその日のうちに結婚、幸せな生活を送った。
[編集] ペロー版の相違点
一番大きな違いとしては、この話に続きがある点が上げられる。
王子は、自分の母親が人食い鬼の血を引いていることを考えて、王女と出会ったことを秘密にしていた。そのうちに「あかつき姫(オーロール)」と「日の王子(ジュール)」という子供まで生まれた。王位を継いだ王子は結婚を発表し、王女とあかつき姫と日の王子は城に住む。
戦争が始まり、王は出かけることになった。その間に王の母はコック長にあかつき姫や日の王子、王妃を食べたいとねだる。コック長は3人を殺さず、子羊や子ヤギ、鹿を差し出す。しかし、ひょんなことから3人を見つけた王の母は、桶にマムシやガマや毒蛇を入れて3人を放り込むように家来に命令する。すると、王が帰ってくる。王の母は悔しさのあまり自分から桶に入って毒蛇にかみ殺された。王は、妻や子を守ったコック長にたくさんのほうびを出す。
またこの他にも次のように小さな違いが見られる。
- 呼ばれたのはフェアリー(妖精。仙女との訳もある)で、呼ばれたのは7人。呼ばれなかったフェアリーを含めると8人。
- 王女はつむ針(紡錘)で手を刺して百年の眠りにつく。
[編集] 展開
[編集] バレエ
バレエ作品としての「眠れる森の美女」は、1890年にサンクトペテルブルグで初演された。3時間もの大作で、現在も多くのバレエ団が上演している。
当時、劇場の総裁だったイワン・フセヴォロシスキーが豪華絢爛なバレエ作品を作りたい、と考えたことから制作が始まった。振り付けはマリウス・プティパ、音楽はピョートル・チャイコフスキー。
チャイコフスキーは「白鳥の湖」での失敗があり、もうバレエ曲は作らないと決めていた、という説もあるが、音楽が失敗だったわけではなく、バレエ曲を作曲すること自体はその後も検討していたので、「眠れる森の美女」の台本に感動して仕事を引き受けた。チャイコフスキーの三大バレエの一つといわれる。
詳細は眠れる森の美女 (チャイコフスキー)を参照。
[編集] アニメ
1959年にディズニーによって「眠れる森の美女」(Sleeping Beauty)として、600万ドルの制作費をかけて長編アニメーション映画化され、同年1月に全米公開された。日本での公開は1960年7月。眠れる森の美女 (アニメ映画)を参照。
[編集] ミュージカル
劇団東少によってミュージカル化される。初演は1965年。翌1966年に東京都芸術祭の公演で上演。その後も全国各地で上演され続け、1980年からは三越劇場での東京定期公演が復活すると『眠れる森の美女』もレパートリーに加わる。近年では、1996年の公演で小田茜が、2001年-2002年の公演で細川ふみえが王女役を演じており、2006年の公演で松下萌子が王女役を演じることになった。本節では1965年、1966年、1996年、2001年-2002年、2006年の各公演の公演日時・キャスト・スタッフを記す。
[編集] 1965年版
[編集] 公演日時
[編集] キャスト
- 王女:西沢和子
- 王子:木俣貞雄
- 料理番の娘:森田和代
- 料理番:立川恵三
[編集] スタッフ
- 脚本:重森孝
[編集] 1966年版
[編集] 公演日時
[編集] キャスト
[編集] スタッフ
[編集] 1996年版
[編集] 公演日時
[編集] キャスト
- 王女:小田茜
[編集] スタッフ
- 演出:相羽源次郎
- 音楽:神尾憲一
- 製作:三越劇場
- 制作:劇団東少
[編集] 2001年-2002年版
[編集] 公演日時
[編集] キャスト
[編集] スタッフ
- 監修:相羽源次郎
- 脚本:重森孝
- 演出:源紀
- 音楽:神尾憲一
- 振り付け:山本教子
- 美術:園良昭
- 照明:古賀満平
- 音響:斉藤英士
- 声楽指導:吉岡巌
- 舞台監督:倉本秀哉
- 製作:三越劇場
- 制作:劇団東少
[編集] 2006年版
[編集] 公演日時
- 2006年7月22日-7月30日:三越劇場(東京都中央区三越日本橋本店6階)
- 2006年8月5日:栃木県那須野が原ハーモニーホール(栃木県大田原市)
- 2006年8月18日:福井県大野市文化会館
- 2006年8月19日:鶴来総合文化会館(石川県白山市)
- 2006年8月20日:京都府宇治市文化会館
- 2006年8月21日:石川県津幡町文化会館
- 2006年8月22日:高知県のいちふれあいセンター
- 2006年8月24日:香川県民ホール(香川県高松市)
- 2006年8月25日:兵庫県淡路市立しずかホール
- 2006年8月27日:岐阜県笠原町中央文化会館
- 2006年8月30日:静岡県川根本町文化会館
- 2006年9月3日:神奈川県南足柄市文化会館
- 2006年9月9日:静岡県袋井市文化会館
- 2006年9月18日:千葉県千葉市民会館
- 2006年10月18日:静岡県湖西市民会館(non talent ver)
- 2006年12月25日:山口県山口情報芸術センター(山口県山口市)
- 2006年12月26日:山口県菊川ふれあいセンター(山口県下関市)
[編集] キャスト
- 王女:松下萌子
- 王子:溝呂木賢
- 料理番の娘:沢井美優
- 黒の妖精:大佳央
- 王:小池雄介
- 王妃:中島由紀
- 大臣・料理番頭:水木竜司
- 白の妖精:花木佐千子
- 赤の妖精:山田麻由
- 緑の妖精・黒の分身・料理番:小林紀恵
- 緑の妖精・黒の分身・料理番:矢嶋美紗希
- 女官長・料理番女房:中村ひろみ
- 若者:高口真寤
- 黒の分身・料理番:正木聖子
[編集] スタッフ
- 脚本:重森孝
- 演出:源紀
- プロデューサー:相羽源之助
- 制作:平山武男、深田倫紀、内村健治
- 音楽:神尾憲一
- 振り付け:山本教子
- 美術:園良昭
- 照明:古賀満平
- 衣裳:山田いずみ
- 音響:斉藤英士
- 声楽指導:林絵理
- 舞台監督:倉本秀哉
- 美術補:高橋あや子
- 作詞:重森孝、すみだがわみどり、NaNa
- イラスト・デザイン・プログラム編集:大西三朗
- バレエミストレス:小林紀恵、矢嶋美紗希
- 演出補:渡部美帆
- 舞台スタッフ:村井重樹、正井令二
- 事務局:柏原理恵、仙頭美峯
- 大道具製作:イトウ舞台工房
- 小道具製作:原浩、本橋一雄
- 照明操作:舞台照明満平舎
- 音響操作:SEG、木谷晶代
- 衣裳装飾製作:ピカイア
- かぶりもの:清水帽子店
- かつら:丸善かつら
- 協力:山本教子バレエスタジオ、オスカープロモーション、トリプルエー、ボックスコーポレーション
- 製作:三越劇場
- 制作:劇団東少
[編集] 関連項目
- ユッセ城:王女が目覚めたお城のモデルとされている。
- おとぎ銃士 赤ずきん